消えていく君のカケラと、進まない僕の時間

碧月あめり

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オールキャスト

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 コンビニに呼び出された翌日。大晴からまた呼び出しの連絡が届いた。

【明日の午後一時から映画制作の打ち合わせ。普通科の二年三組の教室に集合!】

 こっちの予定なんて聞きもせず、自分の都合に集合をかけてくるのが大晴だ。

 どうやら大晴は、本気でわたしたちと映画を撮ろうと思っているらしい。

 集合場所が学校なのはきっと、大晴が午前中にサッカー部の練習があるからだ。

 わたしもその日は午前中にバドミントン部の練習があった。 
 
「陽咲。このあと、どっかでお昼食べて帰らない?」

 部活が終わったあと、着替えを済ませて更衣室を出ようとすると、深澤ふかざわあやめが声をかけてきた。

 あやめは中学からの同級生で、その頃からわたしのダブルスのパートナーだ。

 あまり深く考えずに直感型で動くわたしと、冷静に相手の出方を見極めるあやめ。プレーのやり方も性格も似てないけれど、わたし達はバトミントンでも日常生活でも意外に気が合う。

「お腹すいたよねー。ここはもちろん! って言いたいところなんだけどさあ……」
「予定あり? わかった。藤川くんとデートだ」
「デートではない。呼び出しが大晴からってことは間違いないけど」
「えー。もしかして、あんた達、結局まだ付き合ってないの?」
「あやめっ。声大きい」
「あー、ごめん、ごめん」

 しっ、と口に人差し指をあてるわたしを見て、あやめが楽しそうに目を細める。

 あやめは、わたしが夏休み前に大晴に告白されたことを知っている。大晴とわたしのグループデートのメンバーには必ずあやめが入っていたし、告白されたときは、びっくりして一番にあやめに相談した。

「藤川くんに呼び出されたって聞いたから、とっくにくっついてるのかと思ったよ。陽咲がいつ報告してくるかなって、そわそわして、今日は全然試合に集中できなかっただけど」
「ウソ。練習試合のとき、先輩相手にも容赦なくスマッシュ打ち込みまくってたくせに」

 わたしがじとっと横目で見ると、あやめが「うふふーっ」と口元に手をあてて笑う。

「それで、陽咲はこれから何の予定があるの?」
「実はね、大晴が……」

 突然に召集がかかった、大晴からの映画制作の打ち合わせ。それについて愚痴ろうとして、わたしはふと思い付いた。

 そういえば、大晴言ってたよね。「一緒に映画撮りたいメンバーいたら他にも誘っといて」って。

「あのさあ、あやめ。わたし達といっしょに、夏休みに、なんか思い出残さない?」
「え、なに?」

 にこっと笑うわたしに、あやめがぽかんとした顔で首を傾げた。

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