消えていく君のカケラと、進まない僕の時間

碧月あめり

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オールキャスト

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「そう。なんだかんだいって、蒼月は昔から大晴が大好きだからね。大晴に直接誘われたことは、めったに断らないんだよ」
「それ言ったら、たいせーも蒼月くん大好きだからね。 で、その人は陽咲の友達? その人も、映画撮影に参加すんの?」

 横から口を挟んで来た涼晴が、ふっと笑って、あやめのほうに視線を向ける。

「うん、今ちょうどスカウトしてきたところ。あやめはわたしの中学のときからのダブルスの相棒なの」
「へえ」
「あやめ。こっちは、大晴の弟の涼晴ね」
「よろしく、涼晴くん」
「よろしく」
「おー、みんなそろってる!」

 あやめと涼晴にそれぞれを紹介していると、ようやく大晴がやってきた。

 一時に集合をかけておきながら、堂々と二十分遅刻してきた大晴が、わたし達を見回してにこにことする。

「大晴……、呼び出しといて、また遅刻?」
「まあまあ。そういうこともあるって」
「大晴は、そういうことばっかりだよね」

 今日も自由奔放さ全開の大晴に文句を言っていると、教室のドアの向こうから蒼月が顔をのぞかせた。

 大晴と一緒に来たんだと思うけど……。恐る恐るって感じで教室の様子を伺う蒼月に、なんだか違和感を覚える。

「どうしたの、蒼月」

 気になって声をかけると、「陽咲……?」と、蒼月が確認するみたいにわたしを呼んだ。

 メガネの奥から不安そうな目で見つめられて、わたしは少しショックを受ける。

 二日前にコンビニからふたりで歩いて帰ったとき、ひさしぶりに蒼月とたくさん話して、彼との距離が少し縮まった気がしたのに。あれは、わたしの思い違いだったのかな。

 わたしと蒼月の距離は、近付くどころか前よりも遠ざかった気がする。

「陽咲だけど……。どうしたの?」
「べつに、どうもしない……」

 ガッカリする気持ちを胸の奥に押し込んでヘラッと笑いかけると、蒼月がわたしから視線をはずして首を横に振る。それから、大晴の後ろに隠れるようにして教室に入ってきた。人見知りが一番ひどかった小学生の頃の蒼月みたいだ。

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