消えていく君のカケラと、進まない僕の時間

碧月あめり

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グレイシュブルー

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「そういえば、結局、藤川くんからの告白の返事ってどうしたの?」

 考えていると、あやめがまだ他のメンバーが来ていないことを確認してからわたしに訊ねてきた。

「それは、まだ……」
「そうなの? それが原因で、藤川くんは陽咲とちょっと距離をとってるのかな。なんでまだ返事してないの? 迷わずオッケーでしょ」

 中学生のときからわたしと大晴のことを知っているあやめは、わたしが大晴の告白を断る理由がないと思っている。わたしは、大晴が好きだなんて一度も言ったことがないのに、あやめの中でわたしと大晴は両思い認定されているのだ。

 だけど、あやめの言うように「迷わずオッケー」なんてことはない。

 返事をするのは、今度大晴とふたりで出かける夏祭りの日。日にちが迫ってきているのに、わたしはまだ答えに迷っている。

「返事はまだできてないんだけど、今度……」
「陽咲ー、深澤さん、おはよう」

 大晴から夏祭りに誘われていることを話そうとしたとき、涼晴が手を振りながらこちらに向かって歩いてきた。

「あれ、大晴は?」
「ああ。たいせーは、蒼月くん誘っていくっておれより先に家出たよ。まだ来てない?」

 ひとりきりでやってきた涼晴が、わたしに聞き返してくる。

「来てないよ。先に改札に入ってるとかじゃなければ……。ね、あやめ」
「うん、わたしが一番乗りだと思うんだけどな」
「ていうか、大晴はなんでわざわざ蒼月のこと誘いに行ったの? 逆ならわかるけど」

 真面目な蒼月は、人との待ち合わせに遅刻するようなタイプじゃない。連絡もなく約束の時間に遅れてきたりするのは、どちらかというと大晴のほうだ。

「さあ、おれもわかんない。たいせー、夏休みに入ってからほぼ毎日ってくらい蒼月くんのところに行ってるみたいなんだよね」
「毎日?」

 涼晴から聞かされた事実に驚いた。小学生のあの事件以降、わたしが蒼月とあまり話さなくなってからも、大晴と蒼月は変わらず仲が良かった。

 といっても、いつも一緒にいるわけではなくて、お互いが必要のあるときにだけ一緒にいるという感じ。付かず離れず。わたしからしてみればうらやましく思えるような幼なじみの関係でふたりは繋がっていた。

 一番仲が良かった小学校のときですら、ふたりが毎日一緒に遊ぶようなことはなかったのに……。

 そんなふたりが、毎日会っていて、しかも、大晴のほうが蒼月の家に頻繁に遊びに行っているなんて……。

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