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7.波乱の花火大会
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「深谷、早くしろよ」
星野くんがなかなか歩き出さない私を急かす。
「ごめん」
私はほんの少しの期待でドキドキしながら、星野くんの背中を追いかけた。
唐揚げの屋台の列に並んだ私たちは、十分以上待ってようやく唐揚げとポテトが買うことができた。お金を払い終えて屋台から離れようとしたとき、星野くんのスマホに電話がかかってくる。
「あ、憲からだ」
スマホを耳に押し当てた星野くんの横でおとなしく待っていると、しばらくして通話を終えた彼が私を見て眉を顰めた。
「なんか憲たち、他の屋台も並んでんだって。もうちょっと時間かかりそうだから、適当に花火見る場所取っとけって」
「そうなんだ。岸本さんたちは?」
「さぁ? 憲のとこにはまだ連絡ないみたい」
「そう、なんだ」
村田さんたちの分の唐揚げとポテトも買ったけど、冷めちゃいそうだな。
余分に買った唐揚げの袋に視線を落とすと、星野くんが私の手からそれを奪った。
「先食べる? 冷めるし。腹減った」
星野くんが唐揚げの串を一本取って私に差し出す。
「ん。食いながら花火見れる場所探そう」
「うん」
もうしばらく、星野くんとふたりだけなんだ。
彼の手から唐揚げを受け取りながら、少しドキドキした。
唐揚げを齧りながら歩く私と星野くんは、終始無言だった。
お互いに唐揚げを食べている間はあまり沈黙が気にならなかったけれど、付いていたポテトをふたりで摘み、それぞれお茶を飲んだところで、星野くんとの間に流れる沈黙が急に気になり出した。
「人、増えてきたね」
「そうだな」
考えに考えてようやく口にした言葉では話が全く広がらず。星野くんの短い相槌で、あっさりと会話が終了してしまう。
隣を気にしてドキドキしながら歩き続けていると、星野くんが不意に足を止める。
そのあたりは、道の側面が緩やかな勾配の土手になっていた。傾斜があるから花火が見えやすいのか、たくさんの見物客が敷物を置いて場所取りをしている。
「場所、この辺にしとく?」
「うん、そうだね」
ここなら屋台がある場所からそれほど離れていないし、村田さんや岸本さんとも合流しやすそうだ。
「上に行ったほうが見えやすいのかな?」
「登ってみる?」
ひとりごとみたいな私のつぶやきを拾った星野くんが、クスリと笑って、先に土手の上へと登り始める。
「あ、待って」
慌てて追いかけようとしたら、土と草で下駄の裏が滑った。膝から転びそうになったとき、先に上がったと思っていた星野くんが私の手をつかむ。そうして、ぐっと上へと引っ張って助けてくれた。
「ありがとう」
お礼を言うために顔を上げると、思ったよりも近い距離に星野くんの顔がある。かなりの至近距離で星野くんと目が合って、頬が一気にカーッと熱くなった。
勢いよく顔をそらす私のそばで、星野くんが苦笑いする。
「その格好、実は全然花火大会向けじゃないよな。歩きにくそうだし」
すぐにそれが浴衣のことだと気付いて、今度は一気に頬の熱が冷めていく。
もしかして星野くんは、私が浴衣着てきたことを迷惑に思ってるのかな。
今だって、うまく坂を登れなくてこんなふうに手間をかけてるし。彼女ならともかく、あまりよく思ってない女子の浴衣になんて、一ミリも興味ないよね……。
せめてこれ以上星野くんに迷惑かけないように自力で登らないと。悲しい気持ちで足元に視線を落とす。
支えてくれた星野くんの手を離そうとしたら、彼が私の手をギュッと握り直して土手の上へと導くように引っ張った。
「まあ、かわいーけど」
「え?」
ボソリと上から降ってきた声に、ドキリとする。ぱっと顔を上げてみたけれど、土手を登る星野くんは私を見てはいなかった。
なんだかすごくドキドキさせられる言葉が聞こえたような気がしたけど、私の聞き間違いだったのかもしれない。
でも、離さずに手を引っ張ってくれる星野くんの力は、強くて優しい。先を歩く星野くんの背中を見つめるだけで、鼓動がどんどん速くなる。
繋いだ手から私の心臓の音までが伝わってしまいそうで、歩いている間ずっと緊張しっぱなしだった。
「この辺で座る?」
土手を半分くらいまで登ったところで、星野くんが足を止める。
振り向いた星野くんの手が自然と離れていって、そのことを少し残念に思いながら、私は小さく頷いた。
「憲と竜馬に連絡入れとこう」
スマホを出してメッセージを打ち始めた星野くんが、その場にしゃがむ。つられるように私も彼から一人分の間隔を空けて腰を落とした。
「みんな、もうすぐこっちに向かうって」
星野くんがスマホを弄りながら私に話しかけてくる。その言葉に頷くと、私たちはまた無言になってしまった。
花火開始の時間が近付いて、空はもうかなり暗くなってきている。
それでも、私たちがここまで歩いてきた道には、花火を見る場所を探して歩く人たちが、まだまだたくさんいた。
友達同士だったり、恋人同士だったり、家族連れだったり。ガヤガヤとした意味を持たない音となって聞こえてくるその人たちの話し声は、明るくて楽しげだ。
土手に座って花火が始まるのを待つ周りの人たちからも、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
そんななかで、星野くんと中途半端に距離を取って無言で座っているのは結構気まずかった。
星野くんが黙ってスマホを弄っているから、私も真似してスマホを出してみる。
特に意味もなくスマホを弄って時間をやり過ごしていると、星野くんが空笑いと共にぼそっとつぶやいた。
「智ちゃんも岸本もいないし、俺とふたりじゃ深谷もビミョーだよな」
反射的に顔を上げると、星野くんが自嘲の笑みを浮かべて足元を見ていたから悲しくなった。
「そ、そんなことないよ!」
全力で否定すると、星野くんが私を見て驚いたように目を瞠る。
そりゃ、星野くんとふたりだと何を話していいかわからない。
気の利いたことも言えなければ、可愛げな態度をとるのだって柄じゃない。愛想よく笑顔を振りまくのだって得意じゃない。
そんなふうだから、絶対に私の気持ちは伝わってないだろうけど。
さっきからずっと、星野くんの態度や言葉に一喜一憂させられて、ドキドキしている。そんな私が、星野くんといてビミョーだなんて思うわけない。
だから。本当にビミョーだって思ってるのは、私じゃなくて星野くん……、なんだよね?
「私、トイレ行ってくる」
スマホをきつく握りしめて唐突に立ち上がると、星野くんが困惑気味に眉を寄せた。
「急に何だよ。もうすぐ花火始まるけど」
「急じゃないよ。ずっと我慢してたから」
「は?」
眉間に力を入れて睨む私を、星野くんが意味不明とでも言いたげに見つめ返してくる。
ふたりでいるのがビミョーなら、みんなが来るまで私がここから離れるしかない。
私は星野くんから離れると、周りの人を避けながら通路になっている道のほうへと土手を下った。
「深谷」
一緒にいたってビミョーな私のことなんてどうでもいいはずなのに、星野くんが呼び止めてくれる。その声につい気を取られて、足が滑った。
慣れない下駄のせいでうまく体勢が整えられず、そのまま足がズルズルと土手を滑り落ちていく。
「深谷、危ない!」
土手の一番下まで滑り落ちた私は、そこでドスンと勢いよく尻餅をついた。
すごく痛かったけど、それよりも通路の道を歩く人たちの注目を一斉に集めてしまって、痛みよりも恥ずかしさのほうが勝る。
情けないな。
顔を赤くしてうつむきながら、地面に手をつく。立ち上がろうとしたけど、ぶつけたところが痛くてすぐに立ち上がれなかった。
なんとか痛みを誤魔化して立ち上がろうと頑張っていると、不意に腕がつかまれて助け起こされた。
「大丈夫か?」
耳元で星野くんの声がして、焦りや恥ずかしさとともにいろんな複雑な感情が胸を駆け巡る。
星野くんと一緒にいるべきじゃないと思ったから離れたのに。格好悪いところを見せたうえに助けられてしまうなんて。私は何をしているんだろう。
「深谷って、しっかりしてそうに見えて結構手がかかるよな」
「面倒だって言いたいんでしょ?」
星野くんに呆れ顔で笑われて、つい捻くれた言葉を返すと、彼が私を数秒見つめてから諦めたようにため息をついた。
「そう思いたいなら、そう思っとけばいいよ。で、トイレどうすんの? 漏れそうなんじゃなかった?」
「こ、こんなとこで女子にそんなこと聞かないでよ!」
「先に大声で俺にトイレ宣言したのは深谷だろ」
人目を気にして顔を赤くする私を、星野くんがこれ以上ないくらい呆れた目で見てきた。
「トイレじゃないなら、戻るぞ」
星野くんがため息をつきながら、私の手を引いて土手を上がろうとする。本心はわからないけど、星野くんの横顔はとても気怠げだ。
「面倒くさいならそう言ってよ。私とふたりでビミョーだって思ってるのは星野くんでしょ?」
足を止めてつぶやくと、私に引っ張られるようにして立ち止まった星野くんが振り向いてため息を吐く。
さっきよりも深い、星野くんのため息。言葉なんてなくても、その深さで彼の本音がわかる。
トイレが嘘だったことはバレてる。そのうえで、面倒なやつだと呆れられてる。
星野くんに繋がれた手を乱暴に振り払うと、泣きそうな気持ちで彼の前から逃げ出した。
星野くんがなかなか歩き出さない私を急かす。
「ごめん」
私はほんの少しの期待でドキドキしながら、星野くんの背中を追いかけた。
唐揚げの屋台の列に並んだ私たちは、十分以上待ってようやく唐揚げとポテトが買うことができた。お金を払い終えて屋台から離れようとしたとき、星野くんのスマホに電話がかかってくる。
「あ、憲からだ」
スマホを耳に押し当てた星野くんの横でおとなしく待っていると、しばらくして通話を終えた彼が私を見て眉を顰めた。
「なんか憲たち、他の屋台も並んでんだって。もうちょっと時間かかりそうだから、適当に花火見る場所取っとけって」
「そうなんだ。岸本さんたちは?」
「さぁ? 憲のとこにはまだ連絡ないみたい」
「そう、なんだ」
村田さんたちの分の唐揚げとポテトも買ったけど、冷めちゃいそうだな。
余分に買った唐揚げの袋に視線を落とすと、星野くんが私の手からそれを奪った。
「先食べる? 冷めるし。腹減った」
星野くんが唐揚げの串を一本取って私に差し出す。
「ん。食いながら花火見れる場所探そう」
「うん」
もうしばらく、星野くんとふたりだけなんだ。
彼の手から唐揚げを受け取りながら、少しドキドキした。
唐揚げを齧りながら歩く私と星野くんは、終始無言だった。
お互いに唐揚げを食べている間はあまり沈黙が気にならなかったけれど、付いていたポテトをふたりで摘み、それぞれお茶を飲んだところで、星野くんとの間に流れる沈黙が急に気になり出した。
「人、増えてきたね」
「そうだな」
考えに考えてようやく口にした言葉では話が全く広がらず。星野くんの短い相槌で、あっさりと会話が終了してしまう。
隣を気にしてドキドキしながら歩き続けていると、星野くんが不意に足を止める。
そのあたりは、道の側面が緩やかな勾配の土手になっていた。傾斜があるから花火が見えやすいのか、たくさんの見物客が敷物を置いて場所取りをしている。
「場所、この辺にしとく?」
「うん、そうだね」
ここなら屋台がある場所からそれほど離れていないし、村田さんや岸本さんとも合流しやすそうだ。
「上に行ったほうが見えやすいのかな?」
「登ってみる?」
ひとりごとみたいな私のつぶやきを拾った星野くんが、クスリと笑って、先に土手の上へと登り始める。
「あ、待って」
慌てて追いかけようとしたら、土と草で下駄の裏が滑った。膝から転びそうになったとき、先に上がったと思っていた星野くんが私の手をつかむ。そうして、ぐっと上へと引っ張って助けてくれた。
「ありがとう」
お礼を言うために顔を上げると、思ったよりも近い距離に星野くんの顔がある。かなりの至近距離で星野くんと目が合って、頬が一気にカーッと熱くなった。
勢いよく顔をそらす私のそばで、星野くんが苦笑いする。
「その格好、実は全然花火大会向けじゃないよな。歩きにくそうだし」
すぐにそれが浴衣のことだと気付いて、今度は一気に頬の熱が冷めていく。
もしかして星野くんは、私が浴衣着てきたことを迷惑に思ってるのかな。
今だって、うまく坂を登れなくてこんなふうに手間をかけてるし。彼女ならともかく、あまりよく思ってない女子の浴衣になんて、一ミリも興味ないよね……。
せめてこれ以上星野くんに迷惑かけないように自力で登らないと。悲しい気持ちで足元に視線を落とす。
支えてくれた星野くんの手を離そうとしたら、彼が私の手をギュッと握り直して土手の上へと導くように引っ張った。
「まあ、かわいーけど」
「え?」
ボソリと上から降ってきた声に、ドキリとする。ぱっと顔を上げてみたけれど、土手を登る星野くんは私を見てはいなかった。
なんだかすごくドキドキさせられる言葉が聞こえたような気がしたけど、私の聞き間違いだったのかもしれない。
でも、離さずに手を引っ張ってくれる星野くんの力は、強くて優しい。先を歩く星野くんの背中を見つめるだけで、鼓動がどんどん速くなる。
繋いだ手から私の心臓の音までが伝わってしまいそうで、歩いている間ずっと緊張しっぱなしだった。
「この辺で座る?」
土手を半分くらいまで登ったところで、星野くんが足を止める。
振り向いた星野くんの手が自然と離れていって、そのことを少し残念に思いながら、私は小さく頷いた。
「憲と竜馬に連絡入れとこう」
スマホを出してメッセージを打ち始めた星野くんが、その場にしゃがむ。つられるように私も彼から一人分の間隔を空けて腰を落とした。
「みんな、もうすぐこっちに向かうって」
星野くんがスマホを弄りながら私に話しかけてくる。その言葉に頷くと、私たちはまた無言になってしまった。
花火開始の時間が近付いて、空はもうかなり暗くなってきている。
それでも、私たちがここまで歩いてきた道には、花火を見る場所を探して歩く人たちが、まだまだたくさんいた。
友達同士だったり、恋人同士だったり、家族連れだったり。ガヤガヤとした意味を持たない音となって聞こえてくるその人たちの話し声は、明るくて楽しげだ。
土手に座って花火が始まるのを待つ周りの人たちからも、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
そんななかで、星野くんと中途半端に距離を取って無言で座っているのは結構気まずかった。
星野くんが黙ってスマホを弄っているから、私も真似してスマホを出してみる。
特に意味もなくスマホを弄って時間をやり過ごしていると、星野くんが空笑いと共にぼそっとつぶやいた。
「智ちゃんも岸本もいないし、俺とふたりじゃ深谷もビミョーだよな」
反射的に顔を上げると、星野くんが自嘲の笑みを浮かべて足元を見ていたから悲しくなった。
「そ、そんなことないよ!」
全力で否定すると、星野くんが私を見て驚いたように目を瞠る。
そりゃ、星野くんとふたりだと何を話していいかわからない。
気の利いたことも言えなければ、可愛げな態度をとるのだって柄じゃない。愛想よく笑顔を振りまくのだって得意じゃない。
そんなふうだから、絶対に私の気持ちは伝わってないだろうけど。
さっきからずっと、星野くんの態度や言葉に一喜一憂させられて、ドキドキしている。そんな私が、星野くんといてビミョーだなんて思うわけない。
だから。本当にビミョーだって思ってるのは、私じゃなくて星野くん……、なんだよね?
「私、トイレ行ってくる」
スマホをきつく握りしめて唐突に立ち上がると、星野くんが困惑気味に眉を寄せた。
「急に何だよ。もうすぐ花火始まるけど」
「急じゃないよ。ずっと我慢してたから」
「は?」
眉間に力を入れて睨む私を、星野くんが意味不明とでも言いたげに見つめ返してくる。
ふたりでいるのがビミョーなら、みんなが来るまで私がここから離れるしかない。
私は星野くんから離れると、周りの人を避けながら通路になっている道のほうへと土手を下った。
「深谷」
一緒にいたってビミョーな私のことなんてどうでもいいはずなのに、星野くんが呼び止めてくれる。その声につい気を取られて、足が滑った。
慣れない下駄のせいでうまく体勢が整えられず、そのまま足がズルズルと土手を滑り落ちていく。
「深谷、危ない!」
土手の一番下まで滑り落ちた私は、そこでドスンと勢いよく尻餅をついた。
すごく痛かったけど、それよりも通路の道を歩く人たちの注目を一斉に集めてしまって、痛みよりも恥ずかしさのほうが勝る。
情けないな。
顔を赤くしてうつむきながら、地面に手をつく。立ち上がろうとしたけど、ぶつけたところが痛くてすぐに立ち上がれなかった。
なんとか痛みを誤魔化して立ち上がろうと頑張っていると、不意に腕がつかまれて助け起こされた。
「大丈夫か?」
耳元で星野くんの声がして、焦りや恥ずかしさとともにいろんな複雑な感情が胸を駆け巡る。
星野くんと一緒にいるべきじゃないと思ったから離れたのに。格好悪いところを見せたうえに助けられてしまうなんて。私は何をしているんだろう。
「深谷って、しっかりしてそうに見えて結構手がかかるよな」
「面倒だって言いたいんでしょ?」
星野くんに呆れ顔で笑われて、つい捻くれた言葉を返すと、彼が私を数秒見つめてから諦めたようにため息をついた。
「そう思いたいなら、そう思っとけばいいよ。で、トイレどうすんの? 漏れそうなんじゃなかった?」
「こ、こんなとこで女子にそんなこと聞かないでよ!」
「先に大声で俺にトイレ宣言したのは深谷だろ」
人目を気にして顔を赤くする私を、星野くんがこれ以上ないくらい呆れた目で見てきた。
「トイレじゃないなら、戻るぞ」
星野くんがため息をつきながら、私の手を引いて土手を上がろうとする。本心はわからないけど、星野くんの横顔はとても気怠げだ。
「面倒くさいならそう言ってよ。私とふたりでビミョーだって思ってるのは星野くんでしょ?」
足を止めてつぶやくと、私に引っ張られるようにして立ち止まった星野くんが振り向いてため息を吐く。
さっきよりも深い、星野くんのため息。言葉なんてなくても、その深さで彼の本音がわかる。
トイレが嘘だったことはバレてる。そのうえで、面倒なやつだと呆れられてる。
星野くんに繋がれた手を乱暴に振り払うと、泣きそうな気持ちで彼の前から逃げ出した。
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