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4.いつも見ていた気がします。
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しおりを挟む「アイツ、アキちゃんていうんだ? アイツ、衣奈ちゃんとはどういう関係?」
空洞みたいな感情のない瞳でわたしを見つめる由井くん。その瞳の冷たさに背筋がゾクリとした。
「あ、アキちゃんは近所に住んでる幼なじみだよ」
「幼なじみ?」
ドキドキしながら答えると、由井くんがふわりとわたしに近付いてきて、目の奥まで覗き込むようにジッと見てくる。
「そう。小学校からの」
「ふーん……」
そう答える由井くんは、わたしとアキちゃんの関係を変に疑っているらしい。
こんなふうに疑うのも、彼がわたしのことしか覚えてないからなのかな。
わたしとアキちゃんが付き合ってるとでも思って、不安定になってるのかも。
「アキちゃんには彼女いるよ。里桜先輩って人」
「そう、なんだ……」
その瞬間、由井くんの表情がぱぁーっと明るくなり、改札の扉がパタンと開いた。
由井くんて思い込みが激しいけど、結構単純……。
改札の扉をバタバタさせていたのはやっぱり由井くんの力だったみたいで。謎の怪奇現象は治った。
ほっと息を吐くと、由井くんの気が変わらないうちに改札の外に出る。
ちょうどそのタイミングで、アキちゃんが駅員さんを連れて戻ってきた。
「あれ? 出れたんだ?」
「うん。なんか、直ったみたい」
「えー、さっきまであんなにバタンバタ鳴ってたのに……」
アキちゃんが、信じられないといった様子でまばたきをする。
「すみません、せっかくきていただいたのに……」
わたしが謝ると、駅員さんは「いえいえ」と首を横に振った。
「故障かもしれないので、念のため、あとで点検してみますね」
駅員さんはにこやかに笑ってそう言っていたけど、点検したところで不具合は見つからないだろう。
改札の扉をめちゃくちゃに動いたのは、たぶん由井くんのせいだから。
アキちゃんと一緒に駅員さんに頭をさげると、学校へと向かう。
とりとめのないことを話しながら通学路を歩くわたし達の後ろから、由井くんが憑いてくる。
わたしとアキちゃんが付き合ってないってことは納得してくれた由井くんだけど……。学校に向かって歩いているあいだ、由井くんはずっとアキちゃんにガンを飛ばしていた。
アキちゃんと話しながら、由井くんがまたさっきみたいな怪奇現象を起こさないか気が気じゃなくて。わたしは、ずっとそわそわしっぱなしだった。
そのせいで、アキちゃんに聞きたいことがあったのをすっかり忘れていて、校門をくぐる直前で思い出す。
「そういえばアキちゃん、青南学院に通ってる友達いるよね」
「ああ、大野のこと?」
「そうそう、大野くん。たまに連絡とったりしてる?」
「うーん、定期的に連絡とってるってわけじゃないけど、ラインは繋がってるからいつでもは連絡できるよ。でも急にどうした? 大野と連絡とりたいの?」
中学時代にアキちゃんと親しかった同級生の顔を思い出していると、アキちゃんがわたしの顔を横から覗くようにして、ニヤッと笑った。
アキちゃんが大野くんのことでなにか勘違いしているみたいなので、わたしは苦笑いで首を横に振る。
「違う、違う。大野くんに直接連絡とりたいわけじゃなくて、青南学院の生徒のことでちょっと聞きたいことがあって」
わたしがそう言うと、アキちゃんが「聞きたいこと?」と首をかしげる。
「うん。もしよかったら、大野くんに、由井くんって人を知らないか聞いてみてもらえないかな」
わたしが名前を出すと、それまでアキちゃんにガンを飛ばしていた由井くんが、ふと真顔になった。
突然知らない男の子の名前を聞かされたアキちゃんは、わたしを見て、からかうように唇の端を引きあげる。
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