今日も、由井くんに憑けられています…!

碧月あめり

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5.それは、デートってことですか?

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「勉強が終わったらでいいんだけど、お買い物頼まれてくれない?」

「買い物? いいよ」

 そう答えながら、ふと思った。

 そういえば、由井くんとは学校と家までの往復と、近所のスーパー、それから図書館くらいにしか出かけてない。

 青南学院の学校の近くとか、あの学校の生徒が行きそうな場所を巡ってみたら、なにか思い出したりしないかな……。

 うん、名案かもしれない。

 そう思ったわたしは、階段の上からお母さんに呼びかけた。


「おかあさーん、わたし、ちょっと出かける用事思い出した。買い物はその帰りでもいい~?」

「夕方でも大丈夫よー」

 お母さんの返事を確認してから、後ろの由井くんを振り返る。


「ねえ、由井くん。今から、一緒に出かけよう」

「それって、デート?」

 部屋の中からわたしの様子をうかがっていた由井くんの瞳が、嬉しそうにキラリと輝く。

 デート……。わたし的には、全然そんなつもりはなかったけど……。

 ふたりで出かけるっていう点では、まあ……。


「デート、なのかな……?」

 首をひねりながらつぶやくと、由井くんがぴょんっと部屋から飛び出してきた。


「衣奈ちゃんとデート、嬉しい。行こう、今すぐ」

「デートって言ったって、青南学院の近くにちょっと行ってみるだけだよ。由井くんがなにか思い出せるかもしれないから……」

「衣奈ちゃんとふたりで出かけられるなら、どこだっていいよ」

 にこにこ笑顔の由井くんが、わたしの左腕に両腕をからめてくる。そこに体温や質感はなくて、実際には由井くんがわたしと腕をからめてるふうにくっついてきているだけなのだけど……。

 デートって言葉に喜んでいる由井くんは、無邪気でちょっとかわいく見える。

 由井くんがユーレイじゃなくて生身の人間だったときに知り合えたら、もうちょっとふつうの友達になれたのかな……。

 ぼんやり考えていると、「衣奈ちゃん?」と由井くんがわたしの顔を横から覗き込んできた。

 心配そうに目の奥をジッと見つめられて、ドキッとした。由井くんは、整った綺麗な顔立ちをしているのだ。

 四六時中いっしょにいるとはいえ、間近で見つめられると変に緊張してしまう。


「衣奈ちゃん、大丈夫?」

「だ、大丈夫、大丈夫」

 わたしは由井くんからパッと顔をそらすと、部屋に戻ってスマホと近所に出かけるときにいつも持ち歩く黒のボディバッグを手に取った。

 それから、「行こう」と由井くんに声をかけて、先に階段を駆け降りる。

「衣奈ちゃん、ちょっと待って」

 追いかけてくる由井くんの気配を感じながら玄関に向かうと、お母さんがリビングから顔を出した。


「衣奈、出かけるの?」

「うん。帰りに買い物してくるから、あとでラインにリストを送っといて」

「ありがとう。お願いね」

「はーい、いってきます」

 お母さんに軽く手を振ると、わたしは靴箱の上の小物入れから自転車のカギを取って外に出た。

 玄関の横の通路からガレージに抜けて、自転車を道路に出すと由井くんがわたしのことを不思議そうに見てきた。


「おれが通ってた学校の近くまで行くんだよね? そこまで自転車で行くの?」

「それはさすがにムリだよ。遠いもん。自転車で行くのは地元の駅まで。帰りに買い物寄るとき、自転車があると楽だから」

「ふーん」

「じゃあ、行こうか」

「あ、ちょっと待って」

 わたしが自転車に乗ってペダルを漕ぎ出そうとすると、由井くんがストップをかけてくる。

 なんだろう? って思ったら……。


「おれも乗りたい」

 にこっと笑った由井くんが、わたしの自転車の荷台にふわりと腰かけた。
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