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7.わかったかもしれません。
5
しおりを挟む「はい」
「もしかして君は、周の彼女……、なのかな?」
なんだろう……、と思ったら。お兄さんから急にそんな質問をされて、ビックリする。
「え……!?」
おもわずちょっと過剰に反応すると、由井くんのお兄さんが困ったように苦笑いした。
「ごめんね。突然……。やっぱり違う、よね?」
「えーっと、はい……」
由井くんを気にしながら曖昧に首を横に振ると、お兄さんがなんだか残念そうな顔になる。
「そうだよね……。実は周がね、夏休みが終わったあとくらいから見た目を急に変え始めたんだ。それまで、髪型にも服装にも無頓着だったのに、好きな子ができたから、その子に見合うようになりたいって、ネットや雑誌とかで研究して頑張ってたみたい」
お兄さんの話に、話の胸がドクンと鳴った。
お兄さんが言ってる好きな子って、たぶんわたしのことだよね……。
由井くんのほうをチラリと見ると、彼が焦ったようにブンブンと首を横に振る。
「知らない、知らない。おれは何にも覚えてないから……!」
わたしにしか聞こえない声で必死に否定する由井くんがおもしろい。
ユーレイになって現れた由井くんの見た目が、駅のホームで助けたときとも、告白されたときとも違ってたのは、そういう理由だったんだ……。
自惚かもしれないけど、由井くんの変化がわたしのためだったと知って、胸が、なんだかほわほわした気分になる。
「事故に遭う前の周は、それまでの周とは全然印象が変わってすっかり垢抜けてて。もしかして言ってた好きな子とうまくいったのかなって思ってたんだけど……。周の片想いのままだったのかな……」
由井くん本人がそばで話を聞いていることなんて知らないお兄さんが、淋しそうな目で笑って、ふっと後ろを振り返る。
広い個室の中央には白いベッドがあって、そこに由井くんらしき男の子が横たわっていた。
淋しそうなお兄さんの表情と、ベッドに眠る由井くんの姿を目の当たりにして、胸がぎゅっと詰まる。
嘘でもいいから、由井くんの彼女ですって言ったほうが、お兄さんは嬉しかったのかな……。
一瞬、そんな考えが過ぎったけど、やっぱり嘘はよくない。
「あの……、わたし、三住 衣奈と言いまして。彼女ではないですけど、由井くんの友達です」
そう言うと、お兄さんと、それから由井くんが、ハッとしたようにわたしのことを見てきた。
友達って言ったの、だめだったのかな……。
由井くんはわたしを好きだってことしか覚えてなくて、わたしは彼に憑けられてるっていう変な関係だけど……。
ここまで関わった以上、わたし達の関係は確実に知人以上だし。友達って言うのは誇張じゃない、よね……?
由井くんの反応に少し不安になったけど、お兄さんの前ではこのまま友達で通すことにする。
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