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8.約束してくれますか。
由井 周・3
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ある日の放課後、彼女に助けられたホームの3両目の乗り場の前で、勢いのままに告白をしてしまった。
全然うまく気持ちを伝えられなかったし、衣奈ちゃんと一緒にいた友達の女の子は、おれのどもりながらの告白に引いてる感じだった。
うまくいくわけないってわかってはいたし、やっぱりフラれた。
それでも、電車の中や乗り継ぎ駅のホームで彼女を見かけると、目が自然と追いかけてしまう。
フラれたあとも、おれにとっての彼女は特別だった。
衣奈ちゃんにフラれてからしばらくして、おれは乗り換え駅のホームで、彼女と親しそうだった爽やか男子高校生を見かけた。
おれが勝手に衣奈ちゃんの彼氏なのかなと思っていたその男は、別の女の子と手をつないで、駅のホームで電車を待っていた。
手を繋いだ女の子と幸せそうに笑っている彼を見て、なんだか複雑な気持ちになった。
彼が衣奈ちゃんの彼氏なのかと思ったけど、違うのだろうか。それとも、彼が二股でもかけてるんだろうか。
わからないけれど、男のおれから見ても明るく爽やかな印象の彼は、女の子にモテそうだった。
おれもあんなふうだったら、もっと堂々と衣奈ちゃんに告白できたかもしれない。衣奈ちゃんの視界に入れてもらえたかもしれない……。
それからのおれは、少しでも衣奈ちゃんにつり合う男になれるように必死に努力した。
ダサい見た目を変えるために、髪の毛を切って、制服の上手な着崩し方を覚えた。
雑誌やインターネットで、おしゃれに見える服装を研究した。
地味でダサかったおれの見た目は、髪型や服装を変えただけで、衣奈ちゃんと一緒にいた男みたいな爽やか男子高校生になった。
学校に行くと、クラスメートたちはおれの変化に驚いた。
「由井くん、すごいイメチェンしたね」
見た目が変わると、おれに話しかけてくるクラスメートが増えた。
自分に少しだけ自信がついて、嫌がらせをしてくる中条からの呼び出しラインも無視できるようになった。
もっと自信がもてるようになったら、もう一度衣奈ちゃんに告白したい。
そう思っていた矢先、放課後に学校の外でおれのことを待ち伏せいていた中条たちに、ひさしぶりにお金を要求された。
「お前、最近調子乗りすぎ」
見た目を変えたおれのことを、不快げに見下ろしてくる中条。怖かったけど、勇気を出して逆らったら、生意気だと中条に殴られた。
そのまま、人気のないほうに連れて行かれそうになって……。めちゃくちゃ抵抗して、走って逃げた。
心臓が激しく脈打っていて、手足が震えて、走っているのにうまく走れているかよくわからない。
自信をつけるために見た目を変えても、やっぱりだめだった。
中条たちに強く言い返すこともできず、結局逃げるしかない。
必死に逃げるおれを、中条たちが追いかけてくる。
目の前の通りの青信号が、点滅し始めている。
走りの遅いおれは、少しでも止まれば追いつかれる。
迷っている余裕もなく、通りの向こう側を目指して飛び出した、そのとき。
キキーッと耳をつん裂くような音が響いて。
気がついたときには、駅のホーム。3両目の乗り場の前に、おれはぼんやりとひとりで立っていた――。
全然うまく気持ちを伝えられなかったし、衣奈ちゃんと一緒にいた友達の女の子は、おれのどもりながらの告白に引いてる感じだった。
うまくいくわけないってわかってはいたし、やっぱりフラれた。
それでも、電車の中や乗り継ぎ駅のホームで彼女を見かけると、目が自然と追いかけてしまう。
フラれたあとも、おれにとっての彼女は特別だった。
衣奈ちゃんにフラれてからしばらくして、おれは乗り換え駅のホームで、彼女と親しそうだった爽やか男子高校生を見かけた。
おれが勝手に衣奈ちゃんの彼氏なのかなと思っていたその男は、別の女の子と手をつないで、駅のホームで電車を待っていた。
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彼が衣奈ちゃんの彼氏なのかと思ったけど、違うのだろうか。それとも、彼が二股でもかけてるんだろうか。
わからないけれど、男のおれから見ても明るく爽やかな印象の彼は、女の子にモテそうだった。
おれもあんなふうだったら、もっと堂々と衣奈ちゃんに告白できたかもしれない。衣奈ちゃんの視界に入れてもらえたかもしれない……。
それからのおれは、少しでも衣奈ちゃんにつり合う男になれるように必死に努力した。
ダサい見た目を変えるために、髪の毛を切って、制服の上手な着崩し方を覚えた。
雑誌やインターネットで、おしゃれに見える服装を研究した。
地味でダサかったおれの見た目は、髪型や服装を変えただけで、衣奈ちゃんと一緒にいた男みたいな爽やか男子高校生になった。
学校に行くと、クラスメートたちはおれの変化に驚いた。
「由井くん、すごいイメチェンしたね」
見た目が変わると、おれに話しかけてくるクラスメートが増えた。
自分に少しだけ自信がついて、嫌がらせをしてくる中条からの呼び出しラインも無視できるようになった。
もっと自信がもてるようになったら、もう一度衣奈ちゃんに告白したい。
そう思っていた矢先、放課後に学校の外でおれのことを待ち伏せいていた中条たちに、ひさしぶりにお金を要求された。
「お前、最近調子乗りすぎ」
見た目を変えたおれのことを、不快げに見下ろしてくる中条。怖かったけど、勇気を出して逆らったら、生意気だと中条に殴られた。
そのまま、人気のないほうに連れて行かれそうになって……。めちゃくちゃ抵抗して、走って逃げた。
心臓が激しく脈打っていて、手足が震えて、走っているのにうまく走れているかよくわからない。
自信をつけるために見た目を変えても、やっぱりだめだった。
中条たちに強く言い返すこともできず、結局逃げるしかない。
必死に逃げるおれを、中条たちが追いかけてくる。
目の前の通りの青信号が、点滅し始めている。
走りの遅いおれは、少しでも止まれば追いつかれる。
迷っている余裕もなく、通りの向こう側を目指して飛び出した、そのとき。
キキーッと耳をつん裂くような音が響いて。
気がついたときには、駅のホーム。3両目の乗り場の前に、おれはぼんやりとひとりで立っていた――。
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