私は"悪女の手下"ですが、苦労が絶えません。何故でしょうか?

こん

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悪女の手下

3 悪女の手下

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「は…?え、シンシア?」
「だぁれが姉様に虐められたですって?デマもいいところですね!!そんな事一度もされて無くってよ!何処で勘違いしたのか知りませんが、勝手に姉様を汚さないで下さい!!!貴方の方が私に「シンシア。落ち着きなさい」

完全にキレたシンシアの叫びはレディの一声で遮られた。
レディは一歩辺境伯子息に近づく。辺境伯子息は混乱して今の状況が掴めないのか、ずっと「は?」か「え?」しか声に出していない。

「私の妹はこう言っておりますわ。それに、そんなもの証言如きで証拠になるとでもお思い?」

バサっと扇子を開いて口元に当て、

「頭が(イかれていて)凄いですわね!よく、これで私の大事な妹を口説こうと思いましたのね」

と貶した。レディの横でシンシアが目をウルウルさせて「大事な…」と感動に浸っている。
流石の辺境伯子息も気づき、正気をもどしたのか、ワナワナと震え始めた。

「……私を騙したのか………」
「いいえ、私は貴方に毎回断りの返事を聞かせているので、騙す何もですよ。私にストーキング行為をしておいてよく言えたものですね」
「貴方がし始めた事に対して言っているのよ。シンシア何処に溺れたのか知らないけど、自業自得よ」

彼は姉妹に滅多うちに言われてしまっている。

「では、この茶番婚約破棄は終わりと言う事で。ああ、父にはちゃんと伝えておきますので大丈夫ですわよ。伯爵子息の妄言によって姉妹は傷ついた、と。婚約破棄ももちろんさせていただきますのでご安心を」

嬉しさが隠しきれていないのか、ニッコリと微笑んだ姿に何人かが見惚れてしまっている。

「ああ…そうか……忘れてた。私の仕事だ…」

私は、今までの一連の出来事婚約破棄の後始末が大変だと頭を悩ませるのだった。




結果、レディは婚約破棄出来たしシンシアの悩みも解決された。元婚約者殿は部屋から出なくなった為、領地に強制送還されたらしい。

一生懸命の私の後始末も虚しく、そんな一件から、社交会でのレディの異名は“悪女”となった。それに伴い、あだ名を消そうと走り回っていた私を見た人は、私を“悪女の手下”と呼んだ。

ある一定の人からすると婚約者に向かってボロクソに言ったことと、最後の妖艶さがさも物語から出て来た悪役令嬢のようだったからそう呼んだのだそう。そこまではいい、唯、最後に王女の一手間が加わっているのだ。

王女とレディは仲が悪い。というか、王女が一方的に嫌っている。
理由は簡単。レディが王女よりも美しく、賢いからだ。きっと、王女は今までの教育中でレディと比べられる事が多々あったのだろう。いつも敵視し、何かと揚げ足を取ろうとしている。
今回、王女が取り巻きに命じて悪女という話題をでっちあげ、今回の騒動に混ぜて勝手に異名として成立させたらしい。まぁ、レディが何とも思ってなさそうなのが救いだと思おう。
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