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悪女の手下
4 悪女の手下
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「はぁ~~~~♡今日も騎士団長殿はかっこいいわぁ…」
横からの声に涙が出そうになる。
その原因は婚約破棄騒動から2週間のある日に告げられたことである。レディに突然告白されたのだ。
「私、騎士団長が好きなの」
それを聞いた私は、紅茶を吹き出した。
お陰様で私のお菓子は食べれなくなってしまった。
「ゴホッ……えっと、騎士団長って……私の兄の……」
「ええ」
その顔は恋する乙女だったので、無下に出来なかった。どうしても言えなかった。「兄はやめておけ」と。
だから、私は現実を自分で気づいてもらおうと思い、兄の話をする事にしたのだ。
私の兄は2つ上の20歳。一応伯爵子息だが、次期伯爵になるつもりはない。それもそうだ、彼はこの国一の剣士である騎士団長だからだ。
そんな騎士団長様には問題点がある。天才が故に他人にあまり興味を示さない。私に対しても両親に対しても塩対応である。仕事でも変わらず無駄な事をしないのはいいが、交流をせず、部下達の性格すら知らないので適材適所が出来ない。
もし、うちの兄がレディと婚約したとしてちゃんとレディを愛せるだろうか?いや、無理だ。白い結婚だって全然あり得る。そんな事になったら、私は死を覚悟して兄に飛び掛かるだろう。
「騎士団長様って素敵な方なのね…!」
「何で!??!?」
そう、どうしようも無かった。恋は盲目とこのことである。
今じゃ、騎士団の観覧席には1週間に3回は行っている。
学生の頃にも1ヶ月に1回は行っていた。つまり、その頃から兄の事が好きだったのだろう。
さっきの感嘆の溜息も出てしまうのは仕方がないのも分かる。私の兄ながら、騎士団長は汗のせいかいつにも増して艶やかだ。
騎士団の練習が終わると、兄は一番に帰っていく。まぁ、大方する事が無いからいても無駄だと思って居るのだろう。
レディは、いつも騎士団の練習が終わるとそのまま帰って馬車の中で騎士団長の良さを聞かされるのだが、今日のレディは急いで兄に会おうと、何故か一目散に駆け出した。
「ちょっ…待って下さい!!」
あまりに突然の事だったから、凄く焦る。こういうことは正直やめてほしい。
慌てて急いでレディを追いかけた。
ああ、レディは周りが見えていないのか。恋とは末恐ろしいものだ。今までのレディならこんな無鉄砲な事はしないはずなのに。
急いで走ったつもりだった。
「きゃっ…!!」
レディの声が聞こえる。間に合わなかった。
時すでに遅しとはこういう事なのだろう。
息を切らせた私が見たのは、兄とレディが角でぶつかってしまい、レディが兄にのしかかるように二人で倒れ込んでいた所だった。
あまりの事に目を逸らす。すると、私と同じで、“悪魔の手下”と呼ばれる騎士と目が合った。
お互いがお互いの事を瞬時に理解した二人は、お互いに同情の笑みを送ったのだった。
まぁ、結果から言おう。
二人は何故か成立した。
もうすでに婚約が結ばれている。
起点はあの角でのぶつかり事故。
私の兄は、運命のようにレディに一目惚れをした。レディの美しさにかどうかは知らないが、少なくとも白い結婚にはならなさそうなくらいの愛をレディに送っている。
まぁ、レディに連れられて騎士団に行く事も無くなったし、レディの取り巻きをしなくてよくなった。全ては、兄の溺愛っぷりが凄いお陰である。
兄は、レディと会った後からロボットが心を取り戻したようにレディに対してだけ、気遣いや気持ちの汲み取りをし始めたのだ。
愛の力である(諦め)。
横からの声に涙が出そうになる。
その原因は婚約破棄騒動から2週間のある日に告げられたことである。レディに突然告白されたのだ。
「私、騎士団長が好きなの」
それを聞いた私は、紅茶を吹き出した。
お陰様で私のお菓子は食べれなくなってしまった。
「ゴホッ……えっと、騎士団長って……私の兄の……」
「ええ」
その顔は恋する乙女だったので、無下に出来なかった。どうしても言えなかった。「兄はやめておけ」と。
だから、私は現実を自分で気づいてもらおうと思い、兄の話をする事にしたのだ。
私の兄は2つ上の20歳。一応伯爵子息だが、次期伯爵になるつもりはない。それもそうだ、彼はこの国一の剣士である騎士団長だからだ。
そんな騎士団長様には問題点がある。天才が故に他人にあまり興味を示さない。私に対しても両親に対しても塩対応である。仕事でも変わらず無駄な事をしないのはいいが、交流をせず、部下達の性格すら知らないので適材適所が出来ない。
もし、うちの兄がレディと婚約したとしてちゃんとレディを愛せるだろうか?いや、無理だ。白い結婚だって全然あり得る。そんな事になったら、私は死を覚悟して兄に飛び掛かるだろう。
「騎士団長様って素敵な方なのね…!」
「何で!??!?」
そう、どうしようも無かった。恋は盲目とこのことである。
今じゃ、騎士団の観覧席には1週間に3回は行っている。
学生の頃にも1ヶ月に1回は行っていた。つまり、その頃から兄の事が好きだったのだろう。
さっきの感嘆の溜息も出てしまうのは仕方がないのも分かる。私の兄ながら、騎士団長は汗のせいかいつにも増して艶やかだ。
騎士団の練習が終わると、兄は一番に帰っていく。まぁ、大方する事が無いからいても無駄だと思って居るのだろう。
レディは、いつも騎士団の練習が終わるとそのまま帰って馬車の中で騎士団長の良さを聞かされるのだが、今日のレディは急いで兄に会おうと、何故か一目散に駆け出した。
「ちょっ…待って下さい!!」
あまりに突然の事だったから、凄く焦る。こういうことは正直やめてほしい。
慌てて急いでレディを追いかけた。
ああ、レディは周りが見えていないのか。恋とは末恐ろしいものだ。今までのレディならこんな無鉄砲な事はしないはずなのに。
急いで走ったつもりだった。
「きゃっ…!!」
レディの声が聞こえる。間に合わなかった。
時すでに遅しとはこういう事なのだろう。
息を切らせた私が見たのは、兄とレディが角でぶつかってしまい、レディが兄にのしかかるように二人で倒れ込んでいた所だった。
あまりの事に目を逸らす。すると、私と同じで、“悪魔の手下”と呼ばれる騎士と目が合った。
お互いがお互いの事を瞬時に理解した二人は、お互いに同情の笑みを送ったのだった。
まぁ、結果から言おう。
二人は何故か成立した。
もうすでに婚約が結ばれている。
起点はあの角でのぶつかり事故。
私の兄は、運命のようにレディに一目惚れをした。レディの美しさにかどうかは知らないが、少なくとも白い結婚にはならなさそうなくらいの愛をレディに送っている。
まぁ、レディに連れられて騎士団に行く事も無くなったし、レディの取り巻きをしなくてよくなった。全ては、兄の溺愛っぷりが凄いお陰である。
兄は、レディと会った後からロボットが心を取り戻したようにレディに対してだけ、気遣いや気持ちの汲み取りをし始めたのだ。
愛の力である(諦め)。
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