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Aルート月島
第7話 冒険者召集
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「おい!本気でこの町から逃げるのかよ!リーダー!」
「当たり前だろ!人狼なんて相手にしてられるかよ!」
「でも、もし冒険者の資格を剥奪されたらどうするのよ?せっかく五年かけてCクラスになれたのに」
「勝てっこないよ、サーベラスに勝つようなモンスターなんかにそれよりどこに逃げるかじゃない?」
俺は冒険者で名前はコンラッド、剣士だ。そして仲間の大剣使いのヴィルホ、ナイフ使いのロアナ、能力者であり弓使いのクローデット。
俺達は男二人、女二人の計四人でチームを組んで活動をしていてチーム名は『雪国の守り人』。
俺達はほぼ同じ時期に冒険者になり、最初は別々のチームにいたが元々いたチームが解散してしまい困っていたところで出会いチームを組んだ。
元いたチームの解散理由は俺のいたチームはチーム内の痴情の縺れ、ヴィルホのいたチームはチーム内の報酬の分配・金銭問題、ロアナのいたチームは俺と同じチーム内での痴情の縺れ、クローデットはモンスターにリーダーとメンバー数名殺られて生き残りだけではやっていけないということで解散したりだ。
このドミニオン共和国ではソロでやろうという奴はほとんどいない。大抵は5人~8人からなるチームを組むかサポーター(荷物持ち専門)を雇い入れる。
モンスターのいる狩場は一年中雪が降り視界が悪い。モンスターの痕跡を探すのも一苦労だし、なにより素材を持ち帰るのにはやはり人数がいた方がいい。数回に分けて持ち込むより一度に大量持ち込むと買い取り価格が少し上がり、解体していない場合は解体料金が少し安くなる。
非常事態に陥ってもソロより複数なら生存率もぐっと上がる。
ソロで活動している奴なんてほとんどいないが全くいないわけではない。
その中で大半は1ヶ月以内にチームを組むか行方不明か死亡するが例外もいる。
それがSランク冒険者。
ドミニオン共和国最強の冒険者『皇帝企鵝(コウテイペンギン)』を筆頭に『雪妖精(エナガ)』『氷魔猿(ヒョウマエン)』『軍隊蟻(アーミーアント)』くらいなもんだろうなソロでやっていける奴なんて。
噂程度だが四人全員が能力者であり、前三人は寒さに耐性のある『変身能力』と後一人は『召喚魔法』を使うらしい。やはり氷点下に耐えられる体を手に入れるだけでもそうとうなアドバンテージになるし召喚魔法が使えれば沢山の素材を持ち帰ることができれば冒険者ギルドの貢献度が一気に上がるだろう。
羨ましい限りだ。
ウチのチームのクローデットの能力は『帰巣本能』。
『巣』と設定した場所の方角を知ることができ、設定した『巣』への戻る道を本能的に察知できる能力。
『巣』の設定ができるのは一ヶ所だけで、別の場所に『巣』を設定した場合、元に設定していた『巣』へ戻るための道を知ることが出来なくなる。
迷子になった時には大変便利だがそれ以外には使い道がないハズレ能力だ。
それでも一生懸命四人で頑張り、五年の月日をかけてCランクまでなったが昇級試験がたまたまうまくいっただけで、自分達はまだまだ実力不足だという実感がある。
恐らく俺達では人狼の相手は無理だろうと判断した。
「人狼達は南から北上してきてんだから南に逃げるのダメだろ」
「北に逃げても逃げ切れるか?さすがに人狼の速度には勝てないだろ?」
「山中に逃げて通り過ぎるのを待つ?」
「もし人狼が町を避けて山を通って北上したらどうするのよ?」
「くそ!どうすりゃあいいんだよ!」
「とにかく荷物はまとめ終わったわよ。リーダー、あとは逃げる先を決めれば、」
ドンドン、ドンドン
四人で共同て借りた借家の扉が叩かれている音が聞こえてきた。
『明かりを消せ!音を立てるな!息を気配を殺せ!』
ドンドン、ドンドン
『ねえ、やっぱり行くだけ行って逃げ回るってのは?』
『人狼は人間並みの知能を持つんだぞ。馬鹿相手じゃねえんだ、』
『・・・・扉を叩く音が聞こえなくなったね。諦めたのかな?』
『そうだといいが、念のため少し様子を見よう。じっと、』
『ヒッイ!」
『おい!もう少し音量下げろよ!』
クローデットは体を震わせながら人差し指で何かを指している。
『ン?何、窓・・・ッ!』
クローデット以外の三人が窓の方を見た瞬間凍りついた。
そこには窓一面に厳つい男達の顔が見えたからだ。
「「きゃああああああああああ!」」
「「うわわわわわわわわわわわ!」」
バリン!バリン!ドバキャ!ガシャン!ドガッ!
四人が悲鳴を上げると一斉に借家の扉や窓が蹴破られ顔に傷がある屈強な体つきの男達がなだれ込んできてCランク冒険者である俺達を簡単に抑え込まれた。
「おうおう!ウチの姐さんのノックを無視して居留守使うなんていい度胸しちょるじゃねえか?ああん!」
「てめえら覚悟できてんだろうな!埋めちまうぞコラ!」
「腸引きずり出して撒き散らすぞ!ワレ!」
「待ちなさい貴方達」
屈強な男達の集団の中から女の子が出てきた。獣耳で尻尾の生えて凍えないのかという疑問が浮かぶほどの薄着だった。
「私の名前は碧海氷狐(アオミヒコ)と言います。アオミと呼んでください」
「あ、えっとどうもコンラッドです。そっちがヴィルホ、ロアナ、クローデットです」
相手が頭を下げて自己紹介してきたのでつい名乗ってしまった。
「姐さん、間違いないようです。コイツら召集から逃げた冒険者チーム『雪国の守り人』のようです」
しまった!コイツら冒険者ギルドの使いか!全員が黒のコートにスーツ姿だったから気付かなかった!
俺達は今日冒険者ギルドにいて人狼討伐の話をされて準備をしてくるといって逃げ出していたのだ。
「へえ~、そうなの?」
「あ、いや、その、まだ準備の途中というか、その、」
「貴方達の後ろにあるまとめた荷物はどう見ても戦いに行くって感じじゃないですよね?まるで夜逃げをしようとする人みたいな?ねえ?」
「だから、その、そんなはずないっすよ。あはは、はは」
「そうですか?ならいいんです。では行きましょうか?準備は出来ているようですし、扉と窓の修理はこの人達がやりますので」
「えっ!いや、ちょっとそれは、」
「何か問題でも?まだ行く場所がありますし、時間を掛けなくないんですけど?」
「あの、さすがに見ず知らずの他人に家の修理を頼むのはちょっと、ほら、家の中には貴重品もありますしなにより貴方達が本当に冒険者からの使いかわからないわけですし、」
「ああん!姐さんが嘘ついちょるいいたいんか小僧!ぶっ殺すぞ!」
「死んだぞてめえらっ!」
「ちょっとこっちこんかいワレ!ワシが礼儀を叩きこんだろわ!」
ひぃ!マジで疑うは!どっからどう見ても冒険者じゃねえだろ!盗賊がピッタリだよアンタら!
『ちょっとリーダー!あれ!あれ!』
ロアナが見つけたもの。それは厳つい男達が抱えているもの。手足を縛られ頭から血を流し気絶している複数の人間。
「アイツらは、『雪牙の一団』か?Bランクの?」
Bランク冒険者チーム『雪牙の一団』は10年以上の歴戦の冒険者チームであり俺達『雪国の守り人』とは比べ物にならないほどの強者の集まりなのにそいつ等が全員気絶して拘束されるなんて。
「ああ、彼等ですか?『人狼はこの辺りでは神よりも信奉されており戦いたくないというメンバーが多いため人狼討伐は断る』なんてぬかしたので痛め付けて連れて来たんですよね♪」
痛め付けちゃったの!Bランク冒険者チームを!もうアンタらが戦えばいいじゃん!俺達の方が足手まといにならないかな!邪魔しちゃうかもよ!
「それで、来ますか?来ないんですか?」
さっきまで微笑んでいたアオミさんが真顔になり俺の顔を覗きこんできた。
怖いよ!恐らく自分より年下の女の子に睨まれて完全にびびってるよ俺!足がさっきからガクンガクン振るえてるよ!
「あははは、行きます」
「よろしい!さあ、皆さんこの調子でどんどん集めましょう♪」
「「「「「「「オッス!!!」」」」」」」
雪が降り積もる町中に野太い声が響き渡る。
「当たり前だろ!人狼なんて相手にしてられるかよ!」
「でも、もし冒険者の資格を剥奪されたらどうするのよ?せっかく五年かけてCクラスになれたのに」
「勝てっこないよ、サーベラスに勝つようなモンスターなんかにそれよりどこに逃げるかじゃない?」
俺は冒険者で名前はコンラッド、剣士だ。そして仲間の大剣使いのヴィルホ、ナイフ使いのロアナ、能力者であり弓使いのクローデット。
俺達は男二人、女二人の計四人でチームを組んで活動をしていてチーム名は『雪国の守り人』。
俺達はほぼ同じ時期に冒険者になり、最初は別々のチームにいたが元々いたチームが解散してしまい困っていたところで出会いチームを組んだ。
元いたチームの解散理由は俺のいたチームはチーム内の痴情の縺れ、ヴィルホのいたチームはチーム内の報酬の分配・金銭問題、ロアナのいたチームは俺と同じチーム内での痴情の縺れ、クローデットはモンスターにリーダーとメンバー数名殺られて生き残りだけではやっていけないということで解散したりだ。
このドミニオン共和国ではソロでやろうという奴はほとんどいない。大抵は5人~8人からなるチームを組むかサポーター(荷物持ち専門)を雇い入れる。
モンスターのいる狩場は一年中雪が降り視界が悪い。モンスターの痕跡を探すのも一苦労だし、なにより素材を持ち帰るのにはやはり人数がいた方がいい。数回に分けて持ち込むより一度に大量持ち込むと買い取り価格が少し上がり、解体していない場合は解体料金が少し安くなる。
非常事態に陥ってもソロより複数なら生存率もぐっと上がる。
ソロで活動している奴なんてほとんどいないが全くいないわけではない。
その中で大半は1ヶ月以内にチームを組むか行方不明か死亡するが例外もいる。
それがSランク冒険者。
ドミニオン共和国最強の冒険者『皇帝企鵝(コウテイペンギン)』を筆頭に『雪妖精(エナガ)』『氷魔猿(ヒョウマエン)』『軍隊蟻(アーミーアント)』くらいなもんだろうなソロでやっていける奴なんて。
噂程度だが四人全員が能力者であり、前三人は寒さに耐性のある『変身能力』と後一人は『召喚魔法』を使うらしい。やはり氷点下に耐えられる体を手に入れるだけでもそうとうなアドバンテージになるし召喚魔法が使えれば沢山の素材を持ち帰ることができれば冒険者ギルドの貢献度が一気に上がるだろう。
羨ましい限りだ。
ウチのチームのクローデットの能力は『帰巣本能』。
『巣』と設定した場所の方角を知ることができ、設定した『巣』への戻る道を本能的に察知できる能力。
『巣』の設定ができるのは一ヶ所だけで、別の場所に『巣』を設定した場合、元に設定していた『巣』へ戻るための道を知ることが出来なくなる。
迷子になった時には大変便利だがそれ以外には使い道がないハズレ能力だ。
それでも一生懸命四人で頑張り、五年の月日をかけてCランクまでなったが昇級試験がたまたまうまくいっただけで、自分達はまだまだ実力不足だという実感がある。
恐らく俺達では人狼の相手は無理だろうと判断した。
「人狼達は南から北上してきてんだから南に逃げるのダメだろ」
「北に逃げても逃げ切れるか?さすがに人狼の速度には勝てないだろ?」
「山中に逃げて通り過ぎるのを待つ?」
「もし人狼が町を避けて山を通って北上したらどうするのよ?」
「くそ!どうすりゃあいいんだよ!」
「とにかく荷物はまとめ終わったわよ。リーダー、あとは逃げる先を決めれば、」
ドンドン、ドンドン
四人で共同て借りた借家の扉が叩かれている音が聞こえてきた。
『明かりを消せ!音を立てるな!息を気配を殺せ!』
ドンドン、ドンドン
『ねえ、やっぱり行くだけ行って逃げ回るってのは?』
『人狼は人間並みの知能を持つんだぞ。馬鹿相手じゃねえんだ、』
『・・・・扉を叩く音が聞こえなくなったね。諦めたのかな?』
『そうだといいが、念のため少し様子を見よう。じっと、』
『ヒッイ!」
『おい!もう少し音量下げろよ!』
クローデットは体を震わせながら人差し指で何かを指している。
『ン?何、窓・・・ッ!』
クローデット以外の三人が窓の方を見た瞬間凍りついた。
そこには窓一面に厳つい男達の顔が見えたからだ。
「「きゃああああああああああ!」」
「「うわわわわわわわわわわわ!」」
バリン!バリン!ドバキャ!ガシャン!ドガッ!
四人が悲鳴を上げると一斉に借家の扉や窓が蹴破られ顔に傷がある屈強な体つきの男達がなだれ込んできてCランク冒険者である俺達を簡単に抑え込まれた。
「おうおう!ウチの姐さんのノックを無視して居留守使うなんていい度胸しちょるじゃねえか?ああん!」
「てめえら覚悟できてんだろうな!埋めちまうぞコラ!」
「腸引きずり出して撒き散らすぞ!ワレ!」
「待ちなさい貴方達」
屈強な男達の集団の中から女の子が出てきた。獣耳で尻尾の生えて凍えないのかという疑問が浮かぶほどの薄着だった。
「私の名前は碧海氷狐(アオミヒコ)と言います。アオミと呼んでください」
「あ、えっとどうもコンラッドです。そっちがヴィルホ、ロアナ、クローデットです」
相手が頭を下げて自己紹介してきたのでつい名乗ってしまった。
「姐さん、間違いないようです。コイツら召集から逃げた冒険者チーム『雪国の守り人』のようです」
しまった!コイツら冒険者ギルドの使いか!全員が黒のコートにスーツ姿だったから気付かなかった!
俺達は今日冒険者ギルドにいて人狼討伐の話をされて準備をしてくるといって逃げ出していたのだ。
「へえ~、そうなの?」
「あ、いや、その、まだ準備の途中というか、その、」
「貴方達の後ろにあるまとめた荷物はどう見ても戦いに行くって感じじゃないですよね?まるで夜逃げをしようとする人みたいな?ねえ?」
「だから、その、そんなはずないっすよ。あはは、はは」
「そうですか?ならいいんです。では行きましょうか?準備は出来ているようですし、扉と窓の修理はこの人達がやりますので」
「えっ!いや、ちょっとそれは、」
「何か問題でも?まだ行く場所がありますし、時間を掛けなくないんですけど?」
「あの、さすがに見ず知らずの他人に家の修理を頼むのはちょっと、ほら、家の中には貴重品もありますしなにより貴方達が本当に冒険者からの使いかわからないわけですし、」
「ああん!姐さんが嘘ついちょるいいたいんか小僧!ぶっ殺すぞ!」
「死んだぞてめえらっ!」
「ちょっとこっちこんかいワレ!ワシが礼儀を叩きこんだろわ!」
ひぃ!マジで疑うは!どっからどう見ても冒険者じゃねえだろ!盗賊がピッタリだよアンタら!
『ちょっとリーダー!あれ!あれ!』
ロアナが見つけたもの。それは厳つい男達が抱えているもの。手足を縛られ頭から血を流し気絶している複数の人間。
「アイツらは、『雪牙の一団』か?Bランクの?」
Bランク冒険者チーム『雪牙の一団』は10年以上の歴戦の冒険者チームであり俺達『雪国の守り人』とは比べ物にならないほどの強者の集まりなのにそいつ等が全員気絶して拘束されるなんて。
「ああ、彼等ですか?『人狼はこの辺りでは神よりも信奉されており戦いたくないというメンバーが多いため人狼討伐は断る』なんてぬかしたので痛め付けて連れて来たんですよね♪」
痛め付けちゃったの!Bランク冒険者チームを!もうアンタらが戦えばいいじゃん!俺達の方が足手まといにならないかな!邪魔しちゃうかもよ!
「それで、来ますか?来ないんですか?」
さっきまで微笑んでいたアオミさんが真顔になり俺の顔を覗きこんできた。
怖いよ!恐らく自分より年下の女の子に睨まれて完全にびびってるよ俺!足がさっきからガクンガクン振るえてるよ!
「あははは、行きます」
「よろしい!さあ、皆さんこの調子でどんどん集めましょう♪」
「「「「「「「オッス!!!」」」」」」」
雪が降り積もる町中に野太い声が響き渡る。
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