最強の魔砲師が失墜して行き着いた200年後の世界

アカヤシ

文字の大きさ
4 / 12

第4話 ブッぱなすぜベイベー!!!

しおりを挟む
ドゴオオオオオオオオン!!!

バレットが彼女を抱えて回避したためミノタウロスは反対側の建物へと衝突する。

ズドオオオオオオオオオ!!!

建物が衝撃に耐えきれず崩壊していく。

「まあ、これで死ぬとは思えんが・・・魔物というのは街中に出てくるもんか?」

「ダンジョンの外にあれだけの魔物が自力で出てくるなんてあり得ないよ。今頃街中大パニックになってる。だから人が連れ出したとしか思えない。魔物で商売する連中は少なからずいるからね」

「それ需要があるんか?」

「戦争している国には凄く売れてるらしいよ。ヴィアインは利用してないけど。まあ使い捨てで戦場に解き放つだけで飼い慣らすのは難しい。一般兵より遥かに強いからね魔物は。なかでもミノタウロスは30階層で発見された新種の魔物で調査兵団『ヴィアイン支部』だけでも100人以上被害が出てる。あれをダンジョンの外に連れ出すなんて『凄腕の兵士』とそれを動かせる上層部が絡んでるはず」

「上層部?」

「ダンジョンには『4つの出入口』があって、それぞれ北入口がヴィアイン、東入口がガルシア、西入口ブライアン、南入口ゴルオレスで管理されてる。そこを通らないかぎりダンジョンから出られない」

「おぬしの命が狙いならゴルオレスが管理している出入口から出された可能性があるんじゃないのかのう?」

「支部長、副支部長、それに職員のほとんどがゴルオレス人だけど監視として三国の人間も職員として働いているから一番厳しいかもしれない」

「となると、ガルシアか?ブライアンか?」

「ひょっとしたらヴィアインもあるかもね。私は父様に可愛がられているから、その他には嫌われ者なんだ」

「おっと、話をしている場合じゃないのう」

ガラガラガラガラ!!!

倒壊した建物から瓦礫を押しのけミノタウロスがゆっくりと出てきた。しかも全くの無傷。その目線はステラに向かっていて離さない。

「聞くが討伐されたことはあるんじゃろ?確か今は31階層まで攻略が進んでいるらしい、」

「あれはブライアンの記録、ヴィアインも30階層まで先日到達したけどミノタウロス一匹倒すのに魔装具を装備した精鋭20人以上必要だったって報告書には書いてあったかな」

「ヴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

「ッ!!!!魔物か!!!!姫様!!!」

そこに武装した四人の兵士が現れた。

「大丈夫ですか姫様!ここは我等が!」

「あの魔物は私を狙っています。私が逃げては民間人に被害が、」

「ッ!姫様は避難して下さい!この地区はゴルオレスの蛮族が住む地区です!姫様の命に比べればゴミ当然の連中です!貴女が亡くなられたら王が悲しみます!急いでダンジョンに向かって下さい!我等が討伐できなければ、」

「ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

グチャ!バキキッ!ゴチュ!ゴリリリ!

「避けろ若いの!!!」

1人の兵士が剣の魔装具を起動させてミノタウロスに斬りかかるが簡単に刃を手で掴まれた。もう片方の手を握り締め拳を作り一気に兵士の頭へと振り下ろす。兵士は肉の塊に変えられミノタウロスはその塊を拾い投げつけてきた。1人は当たり所が悪く頭に当たり顔は潰れ首が変な風に曲がり倒れ込み、もう1人も巻き込まれ腹に当たったのか、血を口から吐きながら顔を苦痛で歪ませ腹を押さえ足をバタバタと動かし苦しんでいる。

「早くダンジョンへ!ミノタウロスを討伐できる兵士がいるはずです!この騒ぎを聞き駆け付けてくれるかもしれません!真っ直ぐにダンジョンへ向かって下さい!急いで!」

最後に残った兵士も剣の魔装具を起動。刃に炎を纏わせ構える。

「すまない!ここは任せたよ!」

「ちょっと待て!儂はいい!あ、下ろさんか!」

ステラはバレットを荷物を抱えるように持ち上げ走り出した。

「ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

最後の兵士は残念ながら時間を稼げず突進してきたミノタウロスの角に鎧ごと胸を突き抜かれ絶命、邪魔だとばかりに頭を振り回し角から抜けた兵士は道端に転がる。

「マジか!ダンジョンにはあんな奴がゴロゴロおるのか!」

「私も魔物を生で見るのは初めてだよ!」

儂は脇に抱えられた状態で後ろを向いており兵士の最後を見届けた。ステラは前方ダンジョンを目指し全力疾走していたが突然立ち止まる。

「どうしたんじゃ?」

「・・・君に頼みたい。ダンジョンに向かって応援を呼んできてほしい。これ以上先は人通りが多いから私は進めない」

「儂があの牛頭の相手をしようか?というかしたい!!!」

「強がりを言っている場合じゃないんだよ。君の速さならダンジョンまであっという間でしょ。それにもう私の足が限界なの。私、式典での自爆テロで足に傷を負ったの。もう走れないかな、ははは、」

「・・・その足と持っとるナイフじゃ勝ち目なんてないじゃろ?魔装具か魔法は?」

「魔装具は持ってないよ。魔法は使えない。『御技』って力は持ってるけど『水を自在に操る力』で」

ステラは懐から透明な水が入った瓶をフタを開ける。

「魔法のように便利な力じゃないんだ。魔法は体内の魔力を消費して現象を顕現できるけど、御技は魔力は必要ないけど自然物がないと使えない。私の場合は水」

瓶を下へと傾け水が瓶から流れ出るが地面に垂れず刀剣の形を成していく。

「私はステラ。ステラ=ド=ヴィアイン。ダンジョンのヴィアイン支部でその名を出して。すぐ動いてくれるはずだから」

ステラは悲壮感を漂わせながらバレットの頭を撫で、ミノタウロスの方へ身体を向ける。

「私が時間を稼いでみせるから。あ、ところで君の名前、」

「バレット=フォン=ミュラー」

「ミュラー、もしかして『白老師』バーゼル=フォン=ミュラーの血族?・・・・なわけないか」

白老師バーゼル?聞いたことがないのう。誰ぞな?

「さあ、行って」

「え?いやじゃけど?『ライトニング・スター・レーザー(雷星閃)』」

バレットの両手の指先から放たれた稲妻のように乱反射しつつ曲進する10本の魔力光線が、建物の倒壊に巻き込まれても無傷、魔装具でもかすり傷程度だったミノタウロスの屈強な肉体を簡単に貫通してのけた。

「ヴモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

ミノタウロスが声を上げる。先程までの元威行為、強さを誇示するための咆哮ではない。今まで感じたことのない痛みに耐え兼ねて思わず絶叫してしまったのだ。

「イィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィヤッホオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!やっと魔法が使えたのじゃああああああ!!!!!!絶頂!!!!!!絶頂!!!!!!!大、絶頂おおおおおおおおお!!!!!!!!!それに山羊頭以来の上物じゃあああああああ!!!!ブッぱなすぜ、ベイベー!!!!」

バレットの狂喜乱舞の舞!!!!

「まだ生きとるの!!!生きとるのおおおおおお!!!人間より遥かに頑丈じゃ!!!撃ち込み甲斐が半端ないのおおおおおお!!!きゃはははははははははははははははははははははははははは!!!」

バレットの身体に異変が生じる。

今世のバレットの『黒髪』『黒目』が『白髪』に複数色、複雑な模様が入る『アースアイ』へ。前世の肉体的特徴が浮かび上がってくる。

「生娘が処女膜ブチ抜かれた時のように泣き喚くでないわ!まだ逝くなよ!逝くなよ!!!!体内からハジけるのがいいかのう?外をこんがり焼くのがいいかのう?それとも愛を貫くとかけまして貫通といくかのう!!!!」

あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!きゃははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!

「絶対に逃がさんぞ(真顔)」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...