最強の魔砲師が失墜して行き着いた200年後の世界
ゴルオレス帝国と呼ばれる国が存在する。その国は大陸で初めて『魔法』を実戦に投入して有名になった国である。それまで戦場では剣で斬り、槍で突き、矢を放ち、盾で防ぐことが当たり前であった時代にだ。遠方から強力な魔法を撃ち込み部隊単位で吹き飛ばし、堅牢な城壁を一撃で砕き、『魔砲師』と呼ばれ戦場で華々しい戦果を挙げてきた。
ゴルオレス帝国は瞬く間に大陸で有数の強国へとのしあがる。
その中でも最強の魔砲師(30代)、『星砕き(スターブレイカー)』と呼ばれる男がいた。
一発の魔法で数千人の大部隊をも消し飛ばす強力な魔法をいくつも保有する大魔法使いだった。彼が所属していた魔砲師部隊『魔竜師団』は大陸中から恐れられた。
しかし、そんな英雄も時代の波に呑まれてしまうのだった。
彼の年齢が50代過ぎた頃、他国で『魔石』と呼ばれる魔力を宿す鉱石が発見される。
本来魔法は素養がある者しか使えない特別な力であったが、この魔石を利用すれば誰でも魔法が使えるようになったのだ。魔法の素養を持って生まれる者は少なく、スターブレイカー(星砕き)ほどの魔砲師は現れず、彼も年齢による魔法力が衰えて全盛期の半分ほどの力しかなかった。ゴルオレス帝国も戦力増強のために魔石の探索・研究を開始した。
その結果、成功を収める。剣に魔石を取り付け魔剣へ、槍に魔石を取り付け魔槍へ、弓に魔石を取り付け、盾に魔石を取り付け魔障盾へ、武器だけに留まらず日常品にまで使われだした。人間は魔力を使い切ると回復には時間がかかるが、魔石を取り付けた武器等は魔力が空になった魔石を取り外して魔力が満タンの魔石に取り替えるだけ。しかも空の魔石の大体は魔力の回復時間は何回使用しようが一定である。魔砲師の役割は相手に強力な一撃を与え損害を出すことにある。が、彼等は普段兵士に護衛されて魔法を撃ち込める距離まで近付き、魔力が尽きるまで撃ち、魔力が尽きると兵士に護衛されながら自分の陣地まで帰投する。
ぶっちゃけここまで人員を割く魔砲師より魔石を利用した武器を兵士に持たせた方が効率いいんじゃね?のお偉いさんの一言により魔竜師団は予算・人員大幅削減され、次々に辞めていった。訓練も見直され、かつては魔法知識を貪るために書庫にこもり瞑想を繰り返す訓練が、魔力が切れても動けるように兵士達と合同訓練をやらされ、兵士達にクズ呼ばわれされながらも残った団員とともに頑張り続けた。
彼が60歳の頃、魔竜師団は完全に解体され新たに『魔装具』を取り扱う専門の兵団、『魔装騎士団』が設立され魔竜師団はそこに配属され一年以内に彼以外は皆命を落とした。一番多かったのは魔力切れに陥り戦場に置き去りにされるケースだ。彼も心臓の病を患っていたため時間の問題ではあったが。そして彼の最後の任務は、退却する部隊の殿だった。
その任務で相討ちで死んだはずの彼は『目を覚ます』と・・・
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