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第9話 乙女ゲームのグレゴリオと悪役令嬢
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グレゴリオは涙を流し体を震わせている女性に手をかざす。
よく見るとうっすらとだが身体中に傷がある。
両腕にはめられた最上級の罪人を示す黒色の腕輪は本物のようだ。
きっとそういう事だろう。
あの自称聖女に何かされたに違いない。
我々の前に降り立った時とは別人のように怯える彼女。
男が嫌い・・・触れるわけにはいかない。
今触れると粉々に砕けてしまいかねない。
するとグレゴリオの掌から赤い光がヤミの体へと流れていく。
「グレゴリオ・・・・お前、」
「アレックス、俺は後悔しない」
先ほど『自称聖女』ナオミに近付かれた際、俺の体の中にある何かが必死にしがみついてきた気がした。
『コイツじゃない、渡しちゃダメ』
そう言っている気がした。
だが今は目の前にいる女性に近付くと俺の体の中にある何かが彼女に引っ張られる感じがする。俺から離れて彼女の方へ行きたがっているようだ。
俺の体からベリベリと剥がされていく感覚がする。
頭が胸が身体中に痛みが走る。
失われていく。
俺の何かが。
だが剥がされていく何かとは全く違うものが奥底から溢れだしてくる。
『彼女を救え』と声がする。
『彼女の支えとなれ』と声がする。
『彼女に全てを捧げろ』と声がする。
ある光景が見えた、それはあり得ない光景だった。
夜の公園にアレックスとナオミが肩を寄せ合いベンチに座っている光景。
アレックスとナオミが顔を見合せ、そしてキスをする光景。
それを目撃した俺がその場から静かに立ち去る光景。
ナオミがアレックスと仲間達の前に飛び出し巨大な魔物の攻撃を光魔法の障壁で防いでいる光景。
力尽きかけている親友の想い人であり自分の初恋だった少女の力になりたいと手をかざす自分がいる光景。
自分の体から出る赤い光が彼女に吸い込まれていき、彼女の光と火と合わさり魔物を滅ぼす事ができた光景。
アレックスとナオミが抱き合い喜びを分かち合うのを見て何かを思いつつも二人を祝福する光景。
そして頭に王冠のような黒い角を背から蝶の翅を生やし、両腕に罪人を示す黒色の腕輪をはめ、黒いドレスを身に纏う者。大量の血を流し地面に倒れ息絶えた黒髪の女の腹に突き刺さされた剣を引き抜き天に掲げると周囲から溢れんばかりの歓声があがる光景。
心と体が黒髪の女に徐々に侵食され苦しむ自分の光景。
黒髪の全裸の女、耳元でアレックスや仲間への嫉妬心や魔法が使えなくなった喪失を煽られ、自分がトドメを刺したはずの女に男根を口や指でいいように弄ばれ、自身に股がり腰を激しく動かす女に情けない表情をうかべ果てる自分の光景。
そして女と自分が一つになり完全に溶け合い、混ざり合い、自分の体が黒髪の女に変貌する光景。
親友のアレックス、初恋の相手だったナオミ、苦楽を共にした仲間達に向けて天に届くほどの禍々しくも神々しい巨大な漆黒の剣を狂喜しながら振り下ろし美しかった聖都が破壊されたのを見て狂ったように笑う黒髪の女の光景。
アレックスとナオミが涙を流し、地面に横たわる胸に穴があいた自分の側に駆け寄り何かを叫んでいる光景。
そんな二人にグレゴリオは憎悪のこもった言葉を送る光景。
力尽きた黒髪の女を抱き抱えて闇に堕ちていく自分の光景。
「俺はヤミ様の忠実なる信徒グレゴリオ!魔法使いでなくなっても俺は貴女様についていきます!」
今見ている光景なんぞ幻に決まってる。
アレックスは・・・・親友なんて思ってねえよ!
だってアイツモテるしい!
この前なんか女性騎士達からなんかプレゼント貰ってたしい!
バレンタインでもお菓子貰ってるしい!
女友達多いしい!
クリスマスデートしないか誘われてたしい!
俺は男友達とチキンの虐殺デーを大いに楽しんだよ!
アレックスと違ってグレゴリオって吊り合ってなくね?って言われたしい!うっさいはボケ!
妬ましい!!!
毎日が充実してるって奴、クソ妬ましいわ!
ナオミ・・・さっきの奴と今見た光景、中身が別人じゃねえか!詐欺だ、もはや犯罪レベルで違うじゃん!なりすましだあんなもん!この光景みたく優しく微笑むような奴じゃねえよ!高笑いがお似合いの小物臭プンプンしてたわ!
それに初恋だ~、俺の初恋は五歳の頃隣に住んでた女の子だよ!
・・・・告って玉砕したけどな!
全く役に立たない幻を見せやがってくだらねえ!
今まで一番の痛みが襲い掛かる。
こんな痛み大したことねえんだよ!!!!
黒髪の女の過去の光景を見た。
それに比べればこんな痛みみみいいいいい!!!!
一度も誰からも愛される事なく世界を憎み世界を壊そうとして世界によって散らされた惡の華。
もし誰かが手を伸ばせば幻に映し出された悲劇の数々は起こりえなかったかもしれない。
もう一度グレゴリオが手をかざしている女性を見る。
似ている、いや黒髪の女と同一人物と言えるだろう。
もし彼女が世界を滅ぼしたいと言ったらそれでも俺はついていくと決めている。
グレゴリオの髪色が黒い色に変化する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『黒獣のグレゴリオ』
とある乙女ゲームの第3部の序盤に出てくる敵キャラクター。
乙女ゲームとは?
コンピューターゲームの一種で女性の主人公が意中の男性と恋愛をするストーリーのシュミレーションゲームである。
そのはずだがこの乙女ゲームを製作した会社は、なにをトチ狂ったのかアクション要素をふんだんにもりこんだ、いや、やんわりした言い方はやめよう。
その乙女ゲームは第3部以降『死にゲー』と化した。
意中のイケメンとイチャイチャしたい乙女の願望に唾を吐きかけ踏みにじり嘲笑うかのような作品に仕上がっていた。
ネットの評価は賛否両論だったが、
『はいクソゲー!はいクソゲー!』
『バットエンド?いりませんよそんなの。敵が強すぎて道中ばったばった死にますもん!』
『ネットの評価見て男だけど初めて乙女ゲーム買ってプレイしました!・・・ムズッ!これ女子でクリアできる奴いるの?』
『脱げシステムマジいらねえ!ダメージに応じて服が破れていくが聖女ナオミの服は中々脱げないのに攻略キャラの服すぐ脱げるんですけど!』
『アレックスの乳首マジピンクなwww』
『ダークソウルや仁王やブラッドボーンよりはるかにマシだよ』
『あれは死にゲー代表格だろ』
『死にゲー代表格と比べられる乙女ゲームwww』
『乙女ゲーム初の死にゲーwww』
『日常パートは攻略キャラと甘々な生活送ってるのに、町の外にでると本当に地獄だよ。進撃の巨人レベルで危険だよ』
『見える!聖女が町の外では迷彩軍服を着て顔にペイントして銃を抱えて走る歴戦のソルジャーに』
『なんでこんなつええモンスターが町の近くにうろついてるような世界で人間滅んでねえの?』
『この乙女ゲームの第3部に序盤に出てくる黒獣のグレゴリオっているじゃん?あれ序盤に出していい敵じゃないだろ!』
『それな!こっちが使えるキャラ遠距離武器が弓や魔法だけなのにアッチ銃使うからな!しかも双銃な!』
『連射がウザい!威力低めだけど魔法やアイテム使用を中断させられるんですけど!』
『あとグレゴリオの後ろにいる背後霊的な女なに?クソウザい』
『女狙ってもすり抜けるし攻撃範囲が広い魔法ばかすか撃ってくるンだよなあ』
『あの女は第1部では攻略キャラのライオネルの婚約者だった悪役令嬢で第2部は中ボスの噛ませ犬として登場で難易度ベリーハード時のみ、グレゴリオの体を乗っ取って再登場する隠しボスだよ。第3部ではグレゴリオに取り憑いてるみたいになってるな背後霊かよwww』
『体力三割くらいになると即死攻撃連発がウザい!』
『地面から黒い鎖が出てきてプレーヤーに襲い掛かる→それに捕まると両手両足を縛られ吊るされる→グレゴリオが近付いてきて双銃をプレーヤーの腹に押し当て連射→最後に眉間に一発撃ち込む→南無~な』
『最後に眉間に撃つ時、あれ操作キャラ違うとセリフ変わるよね?』
『アレックス→昔からお前が嫌いだったよ→ドンッ!』
『ナオミ→お前のせいで彼女は苦しんだ。お前の大切なものを俺が全て壊してやる→ドンッ!』
『グレゴリオを簡単に倒せる方法ありますよ』
『え?』
『え?』
『え?』
『一度とあるバットエンドイベントを回収し、そのデータで引き継ぎプレイで最初からゲームを始めると一周目で通れなかったとあるルートでグレゴリオを好きだった女性と出会うのですが、その女性と出会っていれば、グレゴリオ戦にサポートキャラとして選べるようになり、そのキャラをサポート枠につけているとグレゴリオを説得してくれ、グレゴリオの決心が揺らぎ弱体化させる事ができます』
『マジかー面倒い!』
『このグレゴリオ、倒さずに素通りできストーリーを進める事ができますが、とあるキャラのルートで素通りすると第2部同様に隠しボスとして登場してハッピーエンドルートだったはず強制的にバットエンドにされます』
『そんなバカな・・・ワールドブレイクだと、』
『ワールドブレイクwww』
『あとグレゴリオを倒すと、グレゴリオの装備していた漆黒の双銃が聖女の力によって浄化され、白銀の銃に生まれ変わり、聖女と好感度が一番高いキャラの二人が1挺ずつ持ち使用できるようになります』
『悪役令嬢!聖女恨み過ぎだろ大人しく成仏しとけよ!』
これが第3部の感想だったがこの乙女ゲームは第4、第5、第6部とどんどん続くがグレゴリオと第1部からが出ている悪役令嬢は第4部まででそれ以降は登場しない。
第4部では『黒獣のグレゴリオ』は第4部のラスボスの復活の影響で復活してしまい『忠誠の黒騎士グレゴリオ』として中盤までは聖女達に力を貸すことになる。
中盤にラスボスが聖女一行の前に姿を現し強制バトルすることになる。
ちなみにそのイベントではラスボスは絶対に倒せない仕様である。そのイベントで全滅に追い込まれるもその危機を救う者が現れる。
それは悪役令嬢である。
そいつが出た瞬間、この乙女ゲームシリーズをプレイしてきたほとんどのプレーヤーが大声を出して驚いた。
何故なら製作会社は悪役令嬢が出ることを一切予告せず、物語の中にも悪役令嬢が出るという伏線がなかったからだ。
聖女を恨んでいたはずの悪役令嬢が聖女一行を助けたのだ。
『ワタクシのペットを痛めつけるのは誰かしら?』
聖女達ではなくグレゴリオを助けに来たようだ。
そしてこのバトルイベントのみ悪役令嬢を操作することができ、プレーヤーの反応は、
『つうか、グレゴリオこんだけ悪役令嬢につくしてンのにペット扱いwww』
『やべえ、悪役令嬢の強さが桁違いなんですけど!』
『聖女達より遥かに強いぞ!』
『完全に復活していないとはいえ、聖女一行を全滅寸前まで追い込んだラスボスと互角以上で戦ってるんですけど!』
『つえええ!グレゴリオよりコイツが復活してた方が良かったんじゃね?』
『いや無理だろ?グレゴリオいないと聖女を助けたりしなかったろ?つかトドメ刺しに来たろうぜ』
そのバトルイベントが終了すると、
『グレゴリオ、地獄へ帰りますわよ』と言ってグレゴリオを死後の世界へと連れて行ってしまう。
聖女やアレックスが引き留めようとするが、グレゴリオは悪役令嬢についていく。
その場には、第1と2部の攻略キャラだったライオネルもいて(ライオネルの攻略は第2部までで、あとは重要キャラとして登場するだけ)悪役令嬢に助けてくれた事への感謝と黒髪と闇魔法を理由に婚約破棄し国外追放した謝罪をするが、それを悪役令嬢は無視をして地獄へ帰っていく。
グレゴリオはここで離脱する。
これを最後に悪役令嬢とグレゴリオはこの乙女ゲームシリーズには出て来なくなった。
よく見るとうっすらとだが身体中に傷がある。
両腕にはめられた最上級の罪人を示す黒色の腕輪は本物のようだ。
きっとそういう事だろう。
あの自称聖女に何かされたに違いない。
我々の前に降り立った時とは別人のように怯える彼女。
男が嫌い・・・触れるわけにはいかない。
今触れると粉々に砕けてしまいかねない。
するとグレゴリオの掌から赤い光がヤミの体へと流れていく。
「グレゴリオ・・・・お前、」
「アレックス、俺は後悔しない」
先ほど『自称聖女』ナオミに近付かれた際、俺の体の中にある何かが必死にしがみついてきた気がした。
『コイツじゃない、渡しちゃダメ』
そう言っている気がした。
だが今は目の前にいる女性に近付くと俺の体の中にある何かが彼女に引っ張られる感じがする。俺から離れて彼女の方へ行きたがっているようだ。
俺の体からベリベリと剥がされていく感覚がする。
頭が胸が身体中に痛みが走る。
失われていく。
俺の何かが。
だが剥がされていく何かとは全く違うものが奥底から溢れだしてくる。
『彼女を救え』と声がする。
『彼女の支えとなれ』と声がする。
『彼女に全てを捧げろ』と声がする。
ある光景が見えた、それはあり得ない光景だった。
夜の公園にアレックスとナオミが肩を寄せ合いベンチに座っている光景。
アレックスとナオミが顔を見合せ、そしてキスをする光景。
それを目撃した俺がその場から静かに立ち去る光景。
ナオミがアレックスと仲間達の前に飛び出し巨大な魔物の攻撃を光魔法の障壁で防いでいる光景。
力尽きかけている親友の想い人であり自分の初恋だった少女の力になりたいと手をかざす自分がいる光景。
自分の体から出る赤い光が彼女に吸い込まれていき、彼女の光と火と合わさり魔物を滅ぼす事ができた光景。
アレックスとナオミが抱き合い喜びを分かち合うのを見て何かを思いつつも二人を祝福する光景。
そして頭に王冠のような黒い角を背から蝶の翅を生やし、両腕に罪人を示す黒色の腕輪をはめ、黒いドレスを身に纏う者。大量の血を流し地面に倒れ息絶えた黒髪の女の腹に突き刺さされた剣を引き抜き天に掲げると周囲から溢れんばかりの歓声があがる光景。
心と体が黒髪の女に徐々に侵食され苦しむ自分の光景。
黒髪の全裸の女、耳元でアレックスや仲間への嫉妬心や魔法が使えなくなった喪失を煽られ、自分がトドメを刺したはずの女に男根を口や指でいいように弄ばれ、自身に股がり腰を激しく動かす女に情けない表情をうかべ果てる自分の光景。
そして女と自分が一つになり完全に溶け合い、混ざり合い、自分の体が黒髪の女に変貌する光景。
親友のアレックス、初恋の相手だったナオミ、苦楽を共にした仲間達に向けて天に届くほどの禍々しくも神々しい巨大な漆黒の剣を狂喜しながら振り下ろし美しかった聖都が破壊されたのを見て狂ったように笑う黒髪の女の光景。
アレックスとナオミが涙を流し、地面に横たわる胸に穴があいた自分の側に駆け寄り何かを叫んでいる光景。
そんな二人にグレゴリオは憎悪のこもった言葉を送る光景。
力尽きた黒髪の女を抱き抱えて闇に堕ちていく自分の光景。
「俺はヤミ様の忠実なる信徒グレゴリオ!魔法使いでなくなっても俺は貴女様についていきます!」
今見ている光景なんぞ幻に決まってる。
アレックスは・・・・親友なんて思ってねえよ!
だってアイツモテるしい!
この前なんか女性騎士達からなんかプレゼント貰ってたしい!
バレンタインでもお菓子貰ってるしい!
女友達多いしい!
クリスマスデートしないか誘われてたしい!
俺は男友達とチキンの虐殺デーを大いに楽しんだよ!
アレックスと違ってグレゴリオって吊り合ってなくね?って言われたしい!うっさいはボケ!
妬ましい!!!
毎日が充実してるって奴、クソ妬ましいわ!
ナオミ・・・さっきの奴と今見た光景、中身が別人じゃねえか!詐欺だ、もはや犯罪レベルで違うじゃん!なりすましだあんなもん!この光景みたく優しく微笑むような奴じゃねえよ!高笑いがお似合いの小物臭プンプンしてたわ!
それに初恋だ~、俺の初恋は五歳の頃隣に住んでた女の子だよ!
・・・・告って玉砕したけどな!
全く役に立たない幻を見せやがってくだらねえ!
今まで一番の痛みが襲い掛かる。
こんな痛み大したことねえんだよ!!!!
黒髪の女の過去の光景を見た。
それに比べればこんな痛みみみいいいいい!!!!
一度も誰からも愛される事なく世界を憎み世界を壊そうとして世界によって散らされた惡の華。
もし誰かが手を伸ばせば幻に映し出された悲劇の数々は起こりえなかったかもしれない。
もう一度グレゴリオが手をかざしている女性を見る。
似ている、いや黒髪の女と同一人物と言えるだろう。
もし彼女が世界を滅ぼしたいと言ったらそれでも俺はついていくと決めている。
グレゴリオの髪色が黒い色に変化する。
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『黒獣のグレゴリオ』
とある乙女ゲームの第3部の序盤に出てくる敵キャラクター。
乙女ゲームとは?
コンピューターゲームの一種で女性の主人公が意中の男性と恋愛をするストーリーのシュミレーションゲームである。
そのはずだがこの乙女ゲームを製作した会社は、なにをトチ狂ったのかアクション要素をふんだんにもりこんだ、いや、やんわりした言い方はやめよう。
その乙女ゲームは第3部以降『死にゲー』と化した。
意中のイケメンとイチャイチャしたい乙女の願望に唾を吐きかけ踏みにじり嘲笑うかのような作品に仕上がっていた。
ネットの評価は賛否両論だったが、
『はいクソゲー!はいクソゲー!』
『バットエンド?いりませんよそんなの。敵が強すぎて道中ばったばった死にますもん!』
『ネットの評価見て男だけど初めて乙女ゲーム買ってプレイしました!・・・ムズッ!これ女子でクリアできる奴いるの?』
『脱げシステムマジいらねえ!ダメージに応じて服が破れていくが聖女ナオミの服は中々脱げないのに攻略キャラの服すぐ脱げるんですけど!』
『アレックスの乳首マジピンクなwww』
『ダークソウルや仁王やブラッドボーンよりはるかにマシだよ』
『あれは死にゲー代表格だろ』
『死にゲー代表格と比べられる乙女ゲームwww』
『乙女ゲーム初の死にゲーwww』
『日常パートは攻略キャラと甘々な生活送ってるのに、町の外にでると本当に地獄だよ。進撃の巨人レベルで危険だよ』
『見える!聖女が町の外では迷彩軍服を着て顔にペイントして銃を抱えて走る歴戦のソルジャーに』
『なんでこんなつええモンスターが町の近くにうろついてるような世界で人間滅んでねえの?』
『この乙女ゲームの第3部に序盤に出てくる黒獣のグレゴリオっているじゃん?あれ序盤に出していい敵じゃないだろ!』
『それな!こっちが使えるキャラ遠距離武器が弓や魔法だけなのにアッチ銃使うからな!しかも双銃な!』
『連射がウザい!威力低めだけど魔法やアイテム使用を中断させられるんですけど!』
『あとグレゴリオの後ろにいる背後霊的な女なに?クソウザい』
『女狙ってもすり抜けるし攻撃範囲が広い魔法ばかすか撃ってくるンだよなあ』
『あの女は第1部では攻略キャラのライオネルの婚約者だった悪役令嬢で第2部は中ボスの噛ませ犬として登場で難易度ベリーハード時のみ、グレゴリオの体を乗っ取って再登場する隠しボスだよ。第3部ではグレゴリオに取り憑いてるみたいになってるな背後霊かよwww』
『体力三割くらいになると即死攻撃連発がウザい!』
『地面から黒い鎖が出てきてプレーヤーに襲い掛かる→それに捕まると両手両足を縛られ吊るされる→グレゴリオが近付いてきて双銃をプレーヤーの腹に押し当て連射→最後に眉間に一発撃ち込む→南無~な』
『最後に眉間に撃つ時、あれ操作キャラ違うとセリフ変わるよね?』
『アレックス→昔からお前が嫌いだったよ→ドンッ!』
『ナオミ→お前のせいで彼女は苦しんだ。お前の大切なものを俺が全て壊してやる→ドンッ!』
『グレゴリオを簡単に倒せる方法ありますよ』
『え?』
『え?』
『え?』
『一度とあるバットエンドイベントを回収し、そのデータで引き継ぎプレイで最初からゲームを始めると一周目で通れなかったとあるルートでグレゴリオを好きだった女性と出会うのですが、その女性と出会っていれば、グレゴリオ戦にサポートキャラとして選べるようになり、そのキャラをサポート枠につけているとグレゴリオを説得してくれ、グレゴリオの決心が揺らぎ弱体化させる事ができます』
『マジかー面倒い!』
『このグレゴリオ、倒さずに素通りできストーリーを進める事ができますが、とあるキャラのルートで素通りすると第2部同様に隠しボスとして登場してハッピーエンドルートだったはず強制的にバットエンドにされます』
『そんなバカな・・・ワールドブレイクだと、』
『ワールドブレイクwww』
『あとグレゴリオを倒すと、グレゴリオの装備していた漆黒の双銃が聖女の力によって浄化され、白銀の銃に生まれ変わり、聖女と好感度が一番高いキャラの二人が1挺ずつ持ち使用できるようになります』
『悪役令嬢!聖女恨み過ぎだろ大人しく成仏しとけよ!』
これが第3部の感想だったがこの乙女ゲームは第4、第5、第6部とどんどん続くがグレゴリオと第1部からが出ている悪役令嬢は第4部まででそれ以降は登場しない。
第4部では『黒獣のグレゴリオ』は第4部のラスボスの復活の影響で復活してしまい『忠誠の黒騎士グレゴリオ』として中盤までは聖女達に力を貸すことになる。
中盤にラスボスが聖女一行の前に姿を現し強制バトルすることになる。
ちなみにそのイベントではラスボスは絶対に倒せない仕様である。そのイベントで全滅に追い込まれるもその危機を救う者が現れる。
それは悪役令嬢である。
そいつが出た瞬間、この乙女ゲームシリーズをプレイしてきたほとんどのプレーヤーが大声を出して驚いた。
何故なら製作会社は悪役令嬢が出ることを一切予告せず、物語の中にも悪役令嬢が出るという伏線がなかったからだ。
聖女を恨んでいたはずの悪役令嬢が聖女一行を助けたのだ。
『ワタクシのペットを痛めつけるのは誰かしら?』
聖女達ではなくグレゴリオを助けに来たようだ。
そしてこのバトルイベントのみ悪役令嬢を操作することができ、プレーヤーの反応は、
『つうか、グレゴリオこんだけ悪役令嬢につくしてンのにペット扱いwww』
『やべえ、悪役令嬢の強さが桁違いなんですけど!』
『聖女達より遥かに強いぞ!』
『完全に復活していないとはいえ、聖女一行を全滅寸前まで追い込んだラスボスと互角以上で戦ってるんですけど!』
『つえええ!グレゴリオよりコイツが復活してた方が良かったんじゃね?』
『いや無理だろ?グレゴリオいないと聖女を助けたりしなかったろ?つかトドメ刺しに来たろうぜ』
そのバトルイベントが終了すると、
『グレゴリオ、地獄へ帰りますわよ』と言ってグレゴリオを死後の世界へと連れて行ってしまう。
聖女やアレックスが引き留めようとするが、グレゴリオは悪役令嬢についていく。
その場には、第1と2部の攻略キャラだったライオネルもいて(ライオネルの攻略は第2部までで、あとは重要キャラとして登場するだけ)悪役令嬢に助けてくれた事への感謝と黒髪と闇魔法を理由に婚約破棄し国外追放した謝罪をするが、それを悪役令嬢は無視をして地獄へ帰っていく。
グレゴリオはここで離脱する。
これを最後に悪役令嬢とグレゴリオはこの乙女ゲームシリーズには出て来なくなった。
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