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第10話 グレゴリオの本質
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ヤミは気を失い倒れそうになるが黒髪になったグレゴリオが抱き止める。
グレゴリオがヤミの体に接触した瞬間、黒い光に包まれグレゴリオの服装が変化していた。
今までのグレゴリオの服装は一般的な魔法使いがよく着るローブ姿だったのが、今はボマージャケット、全身黒を基調とした衣装を身に着けており首にはベルトチョーカーを巻いている。
両腕にはヤミが着けていた黒色の腕輪と見た目だけが同じ腕輪。
左右の太腿部には銃が収められたホルスター。
グレゴリオは自身の太腿にあるホルスターに収められた銃のグリップを握りホルスターから取り出す。
ある世界に存在するMaxim9という名の銃をモデルにデザインされたもの。
漆黒の大型拳銃、トリガーから前方が大きくなっている異形の形をした銃。
右のホルスターから取り出した銃の銃身には狼のエングレービングがあり緋色に発光している。
左のホルスターから取り出した銃にも同じ物が彫られており翡翠色に発光している。
黒色は闇魔法を表し、緋色は火魔法を表し、翡翠色は風を表す。
グレゴリオは、かつて使えた火魔法を使えるか試すが全く反応しない。というより体から魔力は感じない。なのに銃からとんでもない魔力を感じる。
この世界は魔法が使えない人間でも魔力が宿っているのがどうか分かる程度は視認できる。
「おい、グレゴリオ?」
アレックスが心配そうに見てきた。
「ヤミ様を頼む」
「は?グレゴリオ?グレゴリオ!どこに行く気だ!」
グレゴリオは突然どこかへ歩き出しそれを追いかけるアレックス。
「待て待て待て!この先がどこかわかってるだろ!」
アレックスはグレゴリオの行き先がわかり慌てて止める。
「この先は毒界だ!せめてヤミが目覚めるまで待とう!無毒化が使えるヤミを!それから皆で行けばいいだろ!ヤミが心配なら陣地に人に守らせといて!」
「俺はヤミ様の忠実なる信徒『黒獣のグレゴリオ』だ。ヤミ様の障害は俺が破壊する」
「なに自分に酔ってんだよ!お前、魔法が使えなくなったんだろ!お前は軍に入るまでは研究者だったろ!軍で訓練したからって魔法なしのお前なんて正直いって並み以下だぞ!」
「アレックス・・・俺はあの人に惚れた」
「は?え?惚れたって?は?」
「ああ、一目惚れと言っていい」
「いやいや、急すぎるだろ!お前ヤミの姿を最初に見た時、お前完全に信仰の対象くらいだったろ?」
「ちっ、細かい事はいいんだよ。俺はヤミ様に幸せになってもらいたいんだよ。気丈に振る舞っていたけど見たろ?聖女ナオミを見たヤミ様の怯えようをきっとあの女に酷い目に合わされたにちがいない」
「それは分かるが、ならどうするんだよ?」
「アレックス、お前が王になるんだよ」
「は?何言ってるグレゴリオ?俺が?なんの冗談だ?」
「ライオネルを押し退けてお前が王になれ!アレックス!」
「いやいや、いやいや、なんでそんな話しになる!」
「俺が聖女ナオミを倒す!お前はライオネルを倒すんだ!」
「だから落ち着けって!まさかお前あの女の言ってる事を信じるのか?ヤミを酷い目に合わせたかもしれない女の事を。俺が陛下の血を継いでるなんてデマを!」
「あの女が言ってたろ。陛下と宰相様と騎士団長がお前のことを知ってるならヒュドラ討伐って名目で謁見できればその足掛かりができるかもしれない!覚えているだろ?俺達の軍の入隊式の時だけ陛下が挨拶しに来たのを」
そうアレックスとグレゴリオが軍に入った年だけ何故か陛下直々に入隊式に挨拶しに出てこられたのだ。
それだけではなく偶々宰相様にお会いする機会があり、そこで平民であるはずの母を知っているという事で話し掛けられた。
騎士団長は正式な配属先が決まるまでグレゴリオや同期の連中と共に王都で毎日朝から晩までみっちりしごかれていた。
そこで騎士団長に『お前は剣の才能がないな、そうだこれを使ってみたらどうだ?』と棒読みのセリフと不審な態度で渡された大鎚と大盾。
正直最初は無理だろと心の中で叫んでいた。
何か機嫌を損ねる事をしてしまったのかと考えた。こんな重量がある大鎚と大盾なんて同時に取り回しなんてできる訳がない。
だが予想と違って凄くしっくりとして、それ以降大鎚と大盾を装備して訓練を受けていた。
「俺はあんな色欲の権化の血も涙もない奴等が国のトップになるなんて許せない!」
「だからってお前、それに聖女の力がなくてもアイツは光魔法の使い手なんだぞ!聖女と同じ属性の魔法だぞ!ヤミの闇と風と火でも、」
「俺一人でやる。ヤミ様には頼らない」
「・・・・何馬鹿言ってやがる!!!」
「未来か幻の光景を見た。ヤミ様は・・・・」
グレゴリオはアレックスの両肩を掴む。
「俺はヤミ様に踏まれたい!!!・・・・じゃなかった幸せになって欲しいんだよ!!!!」
「・・・・おい、今なんか漏れてなかったか?」
「俺はヤミ様に押し倒されたい!!!・・・・じゃなかった心から笑ってほしんだよ!!!!」
「うん、やっぱり漏れてるよな?聞き違いではないよな?」
「俺はヤミ様に罵倒されたい!!!・・・・じゃなかった貶されたい!!!!でもなかった、飼われたい!!!!」
「我欲がだだ漏れじゃねえか!!!」
グレゴリオの本質は・・・Mだった。
グレゴリオがヤミの体に接触した瞬間、黒い光に包まれグレゴリオの服装が変化していた。
今までのグレゴリオの服装は一般的な魔法使いがよく着るローブ姿だったのが、今はボマージャケット、全身黒を基調とした衣装を身に着けており首にはベルトチョーカーを巻いている。
両腕にはヤミが着けていた黒色の腕輪と見た目だけが同じ腕輪。
左右の太腿部には銃が収められたホルスター。
グレゴリオは自身の太腿にあるホルスターに収められた銃のグリップを握りホルスターから取り出す。
ある世界に存在するMaxim9という名の銃をモデルにデザインされたもの。
漆黒の大型拳銃、トリガーから前方が大きくなっている異形の形をした銃。
右のホルスターから取り出した銃の銃身には狼のエングレービングがあり緋色に発光している。
左のホルスターから取り出した銃にも同じ物が彫られており翡翠色に発光している。
黒色は闇魔法を表し、緋色は火魔法を表し、翡翠色は風を表す。
グレゴリオは、かつて使えた火魔法を使えるか試すが全く反応しない。というより体から魔力は感じない。なのに銃からとんでもない魔力を感じる。
この世界は魔法が使えない人間でも魔力が宿っているのがどうか分かる程度は視認できる。
「おい、グレゴリオ?」
アレックスが心配そうに見てきた。
「ヤミ様を頼む」
「は?グレゴリオ?グレゴリオ!どこに行く気だ!」
グレゴリオは突然どこかへ歩き出しそれを追いかけるアレックス。
「待て待て待て!この先がどこかわかってるだろ!」
アレックスはグレゴリオの行き先がわかり慌てて止める。
「この先は毒界だ!せめてヤミが目覚めるまで待とう!無毒化が使えるヤミを!それから皆で行けばいいだろ!ヤミが心配なら陣地に人に守らせといて!」
「俺はヤミ様の忠実なる信徒『黒獣のグレゴリオ』だ。ヤミ様の障害は俺が破壊する」
「なに自分に酔ってんだよ!お前、魔法が使えなくなったんだろ!お前は軍に入るまでは研究者だったろ!軍で訓練したからって魔法なしのお前なんて正直いって並み以下だぞ!」
「アレックス・・・俺はあの人に惚れた」
「は?え?惚れたって?は?」
「ああ、一目惚れと言っていい」
「いやいや、急すぎるだろ!お前ヤミの姿を最初に見た時、お前完全に信仰の対象くらいだったろ?」
「ちっ、細かい事はいいんだよ。俺はヤミ様に幸せになってもらいたいんだよ。気丈に振る舞っていたけど見たろ?聖女ナオミを見たヤミ様の怯えようをきっとあの女に酷い目に合わされたにちがいない」
「それは分かるが、ならどうするんだよ?」
「アレックス、お前が王になるんだよ」
「は?何言ってるグレゴリオ?俺が?なんの冗談だ?」
「ライオネルを押し退けてお前が王になれ!アレックス!」
「いやいや、いやいや、なんでそんな話しになる!」
「俺が聖女ナオミを倒す!お前はライオネルを倒すんだ!」
「だから落ち着けって!まさかお前あの女の言ってる事を信じるのか?ヤミを酷い目に合わせたかもしれない女の事を。俺が陛下の血を継いでるなんてデマを!」
「あの女が言ってたろ。陛下と宰相様と騎士団長がお前のことを知ってるならヒュドラ討伐って名目で謁見できればその足掛かりができるかもしれない!覚えているだろ?俺達の軍の入隊式の時だけ陛下が挨拶しに来たのを」
そうアレックスとグレゴリオが軍に入った年だけ何故か陛下直々に入隊式に挨拶しに出てこられたのだ。
それだけではなく偶々宰相様にお会いする機会があり、そこで平民であるはずの母を知っているという事で話し掛けられた。
騎士団長は正式な配属先が決まるまでグレゴリオや同期の連中と共に王都で毎日朝から晩までみっちりしごかれていた。
そこで騎士団長に『お前は剣の才能がないな、そうだこれを使ってみたらどうだ?』と棒読みのセリフと不審な態度で渡された大鎚と大盾。
正直最初は無理だろと心の中で叫んでいた。
何か機嫌を損ねる事をしてしまったのかと考えた。こんな重量がある大鎚と大盾なんて同時に取り回しなんてできる訳がない。
だが予想と違って凄くしっくりとして、それ以降大鎚と大盾を装備して訓練を受けていた。
「俺はあんな色欲の権化の血も涙もない奴等が国のトップになるなんて許せない!」
「だからってお前、それに聖女の力がなくてもアイツは光魔法の使い手なんだぞ!聖女と同じ属性の魔法だぞ!ヤミの闇と風と火でも、」
「俺一人でやる。ヤミ様には頼らない」
「・・・・何馬鹿言ってやがる!!!」
「未来か幻の光景を見た。ヤミ様は・・・・」
グレゴリオはアレックスの両肩を掴む。
「俺はヤミ様に踏まれたい!!!・・・・じゃなかった幸せになって欲しいんだよ!!!!」
「・・・・おい、今なんか漏れてなかったか?」
「俺はヤミ様に押し倒されたい!!!・・・・じゃなかった心から笑ってほしんだよ!!!!」
「うん、やっぱり漏れてるよな?聞き違いではないよな?」
「俺はヤミ様に罵倒されたい!!!・・・・じゃなかった貶されたい!!!!でもなかった、飼われたい!!!!」
「我欲がだだ漏れじゃねえか!!!」
グレゴリオの本質は・・・Mだった。
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