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第20話 美容院が閉店の危機?
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「さあ、入って入って!今お茶出してあげるから、あと茶菓子くらいなら置いてたはず、ちょっと待っててね」
グレゴリオとバーブラとヤミはフェイのお店に訪れていた。
「はい、お茶と最近流行ってる『タイヤキ』ってお菓子よ」
「へえ、これは俺も知らないな」
グレゴリオとバーブラもこのお菓子は知らないようで恐る恐る一口食べてみる。
「ん!うまい!小豆のアクが強く塩気が効いて、小豆の皮がシャキシャキと心地良い歯応えがいいな!」
グレゴリオとバーブラは気に入ったのかバクバク食べていたがヤミは一口食べたまま固まっていた。
「ヤミ様?どうしたんですか?」
「あら口に合わなかったかしら?」
「・・・・あ、いえ、これって最近流行り出したんですよね?」
「ええ、聖女を騙ってるかもって噂のナオミって女が考案したらしいわよ。王都で今流行ってるお菓子類は全部ナオミがレシピを広めたものよ」
「そうですか、懐かしい味がしたもので、つい」
「一息ついたら早速貴女の髪を弄らせてね。勿論お肌も隅から隅まで綺麗にしてあげる。無料でね♪」
「なんでアンタは黒髪にこだわってるんだ?」
「・・・憧れかしらね、私、実は大司教の息子なのよ。知ってる?実は聖女って黒髪だったのよ」
「ぶっほお!!!」
ヤミはつい吹き出してしまった。
「ごめんなさい」
「いいのよ驚くのも無理はないわ。教会の奥の奥にある肖像画があるのだけど一般人が見れるものじゃない。私は幼い頃に内緒で父が見せてくれた事があるのよ。まあ、イメージが崩れかねないのよねえ。ボコボコにされた人で山を作り、その頂点に立って拳を天に突き上げ凶悪な笑みを浮かべてる肖像画なんて。しかもその肖像画の下の方に当時の聖女の言葉が遺されてたけど、その言葉が」
『世界獲ったどおおおおお!!!!』
「って書いてあったわね。それだけじゃない教会の奥の奥にある肖像画の全ては、その、聖女っぽくないものばかりだったわね。寝ッ転がって足の指で竿を持って池で釣りをする絵や町で買い食いしてる絵とか聖女の日常を描いたもの、」
ドンドンドンドン!!ドンドンドンドン!!
「フェイ!いるのだろう!今日は居留守を使っても無駄だぞ!さっさと開けろ!」
「ちっ、あの馬鹿兄貴が、アンタ達ちょっと奥に隠れててちょうだい」
バアアアアアアン!!!
壊れる勢いで開けられた店の扉から続々と人が入ってきた。
「久し振りだな愚弟よ」
最後に現れたのは白の礼服に身長165cmほどの顔がフェイによく似たイケメン。
「お久し振りクソ兄貴、元気そうでとってもガッカリだわ~大病でも患えばよかったのに。そしたらお花くらいは贈ったわよ」
「そんな事を言ってもいいのか?そういえば最近黒髪に染めた犯罪者が多いがもしかしてここで染めたんじゃないのか?お前が連中をそそのかしたんじゃないだろうなあ?」
「あら~、犯人は全員現場で殺されてるのよね~、スラムの住人がちょっと抵抗した程度で生かして捕らえることも出来ない無能な兵士によってね。もし私が黒髪にしていても私の一流の腕で染めてるのに素人が染めてると気付けるわけないでしょ」
「ふん!まあいい今日は貴様に聖女ナオミ様の伝言を伝えに来ただけだからな!」
「聖女の伝言?貴方いつから聖女の使い走りになったの?」
「使い走りではない!私は聖女様に認められた者だぞ!とにかく至急『美少女コンテスト』を開き、そのコンテストでナオミ様を優勝させろ!」
「・・・・は?美少女コンテスト?なんで私がそんなもの開催しなきゃならないのよ。貴方が開けばいいでしょ?」
「ナオミ様はお前が開いたコンテストでなければ『あのアイテム』が手に入らないと仰っているのだ!」
「は?アイテム?私が持ってるものなら何か言えば渡すわよ。二度と私には関わらないという条件付きでだけど」
「コンテストで優勝して手に入れなければならないそうだ。そのアイテムが光竜神殿攻略の鍵だそうだからな」
『『なにいいいいいいい!!!』』
グレゴリオとバーブラはしっかりと聞き耳をたてていた。
「そんな大層なもの私持ってないわよ」
「いいから急ぎ美少女コンテストを開催しろ!いいな!1週間以内だ!金はこちらで用意する!ナオミ様のためなら必要経費だ!内容はナオミ様が決めているこの紙に書かれている通りに準備しろ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『美少女コンテスト内容』
1、水着
水着は各自で準備する事。きわどすぎるのはNG。アピールタイム一分間。
得点は、
一般人200人 1人1点。満点200点。
審査員10人 1人10点。満点100点。
審査員長 100点。満点100点。
計400点中何点か?
2、音楽
歌か楽器又は両方を披露する。アピールタイムは五分間。
得点は、
1と同じ計400点中何点か?
3、料理
ジャンルは自由。材料はこちらで用意したものを使用する事。調理時間は2時間。審査員五人分と審査員長の六人分を作る。
得点は、
審査員5人、1人20点。満点100点。
審査員長、 100点。満点100点。
計200点中何点か?
4、特技
各自の得意とするものを披露する。アピールタイム三分間。魔法あり。
得点は、
1と同じ計400点中何点か?
審査員長『ライオネル(必須)』。審査員に芸術家『レオルド=ガウェイン(必須)』を入れること。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ねえ馬鹿にしてるの?審査員長が100点なんて馬鹿にしてるとしか思えないんだけど。こんな出来レースなんかに参加者が集まるわけないじゃない!しかも1週間なんて無理よ!レオルド=ガウェインは金じゃ絶対に動かない職人よ!こんなふざけた催しで外国に来るわけないわ!」
「参加者などテキトーに決めてしまえばいい!どうせナオミ様が優勝するのだからな!金ならいくらでも出すと言ってるんだ!」
「金の問題じゃないわよ!!!しかもそのお金はどこから出してるの?まさか教会のお金じゃないわよね!ナオミとかいう女のお金なのよね!」
「聖女様のためならいくらでもかき集められるは!!!」
「ッ!信じられない!アンタなんて事やってんの!あのお金は、」
「今は俺が大司教だ!貴様には教会の運営に口を出す資格はない!黙って従え!」
「アンタこそ私に強制する権限なんて持ってないでしょ!」
「貴様は俺の弟だろうが!黙って従え!」
「アンタとはもうキレてんでしょうが!」
「いいのか?王都で店を開くのに随分苦労したんじゃないのか?何年掛かった?なんならこの店ごと潰してやってもいいんだぞ?」
「・・・・はっ!潰せばいいでしょ!アンタが悪評広めたせいで客なんて来ないしちょうどいいわよ!今日でチェリーボムは閉店よ!とにかく私は絶対にやらないわよ!」
「何故ナオミ様はお前のようなやつに任せると言ったのか不思議でならない!ここはやはり俺が立派に美少女コンテストなるものを開き、大成功させれば、きっとナオミ様は俺だけを見て下さるはず!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ある乙女ゲーム、第5部から登場する美容院がある。
その美容院では、主人公の髪型(ただし髪色変更不可)や肌色や体型を自由に変更することができた(ただし有料)。
そして、その美容院で参加申請出来る『月に一度(現実世界の時間)』に『美少女コンテスト(オンライン限定)』で行われる。
その美少女コンテストはプレイヤーのファッションショーやミニゲームで一番高得点を出したプレイヤーに豪華な商品が貰えるのだ。
だが隠し要素として審査員の中で一番点が取り難い芸術家『レオルド=ガウェイン』がいる。このレオルド=ガウェインから高得点を出すと特別賞で『光竜神殿の客間への鍵』を貰えるのだ。
乙女ゲームの『光竜神殿』はそもそも聖女の国ではなく賢者の国にある建物で元々はあるサブイベントに途中に登場し、その道中に神殿の前を通るだけで、実際には光竜とは戦闘を行われず神殿の扉も開かず中には入れない。直接ストーリーには関わってこないと・・・見せかけて実は第5部のストーリー最大の隠れボス『真のラスボス』を倒した後、光竜神殿で光竜に会っているのと会っていないのとでは、ストーリーが異なってくるのだ。
まず光竜と会っていない場合は、そのままエンディングに突入する。会っていた場合は光竜が飛んで来てイベントボス『真の真のラスボス』の居場所に案内してくれるのだ。
『よくぞ⬛⬛⬛⬛を討ち果たし世界を救った。貴様達なら奴すら越えられるかもしれぬ』
・・・・なんてところに連れて来やがった!!!!
それはここまで辿り着いた数少ないプレイヤー達の叫び。
真の真のラスボスとの戦闘場所に案内されると、何もない白い空間、そこにジャージ姿の仁王立ちする黒髪の女性。
『初代聖女・清楚』と表記されるがプレイヤー達からの呼び名は『魔神』だった。
何もない空間は時間が経つ度に森林、雪山、火山、草原、大空、海中等にランダム変化していく。
そしてボスは光魔法『光速移動』で離れた場所にいるプレイヤーに一瞬で距離を詰め、光の魔力を纏った拳で殴り掛かってくる。
プレイヤーは回復する暇なんてないのにボスは殴りながらでも体が光に包まれ徐々に回復する仕様。
しかも体力が半分削られると一度全回復してから、ジャージを脱ぎ捨て黄金の鎧を身に纏い全てのステータスは倍以上に跳ね上がる。
即死攻撃も当然の如く完備しており隙がほとんどない。
それでもこの魔神を倒せる猛者(プレイヤー)はいた、いたがそれは終わりではなかった。
『我が妻が世話になったな』
このセリフとともに漆黒のマントを纏う男が現れる。
『魔王・ネザード』
闇魔法を駆使して襲い掛かってくる。
戦い方は魔神清楚に似ていて闇魔法『フェードアウト』で一瞬で距離を詰めて、闇の魔力で6本の巨腕を作り出し殴り掛かってくる。プレイヤーが避けて距離をとると巨腕の指先から杭を飛ばしてくる。
即死攻撃も完備しているが清楚より攻撃力は上だが動きははっきり言って遅く清楚を倒したプレイヤーにとっては油断さえしなければ負ける者はいなかった。
が!ここから本番だった!!!
『ちっ、情けない姿を見せちまったが、まだまだこれからだああああああ!!!』
魔神清楚が復活してきて、魔王ネザードと合体して『究極の魔神王最終戦』に突入する。
ここで賢者(主人公)と結ばれた攻略対象との好感度で更にイベントが発生する。
攻略対象との好感度がマックスではない場合は、そのまま戦闘に突入するが主人公との好感度がマックスだった場合は、こちらも合体して戦うことになる(姿と能力値は攻略対象によって変化する)。
究極の魔神王は光魔法と闇魔法の二つ魔力が本来の力に戻り、『終極魔法』になり・・・・好感度がマックスではない場合はクリア出来ない仕様になっているのだ。
ちなみに反撃すら出来ない・・・魔神王の『一撃』で世界ごと終わるという設定でゲームオーバーにはならないが武器や防具やアイテム、装備・所持していたものが消失してストーリーも初めからになる。
『ここまでやらせておいてそれはないだろ!!!』と乙女ゲーム攻略を投げ出すプレイヤーを続出させた。
好感度がマックスだった場合は魔神王の世界を終わらせる一撃に耐える。
『終わらせない!私達が絶対に!!!私達の大切な人達を守って見せます!!!』
魔神王の『終極魔法』に対抗するために主人公と攻略対象は合体し、世界に存在しなかった魔法『愛の魔法』を作り出し発動させて世界の破壊を食い止めながら魔神王との戦闘に突入する。
このイベントを発生させた場合、勝ち負けに関わらずゲームクリア扱いにされ特別に用意された攻略キャラとのエンディングが見れてステータスの上昇ボーナスやスペシャルボーナスの武器や防具やアイテムが貰える。
ゲームはクリア扱いされるが勝ち負けでエンディング内容が異なるので注意だ。
このイベントを『完全』クリア出来たプレイヤーは全国に五人もおらず真のラストエンディングを見た者は少ない。
グレゴリオとバーブラとヤミはフェイのお店に訪れていた。
「はい、お茶と最近流行ってる『タイヤキ』ってお菓子よ」
「へえ、これは俺も知らないな」
グレゴリオとバーブラもこのお菓子は知らないようで恐る恐る一口食べてみる。
「ん!うまい!小豆のアクが強く塩気が効いて、小豆の皮がシャキシャキと心地良い歯応えがいいな!」
グレゴリオとバーブラは気に入ったのかバクバク食べていたがヤミは一口食べたまま固まっていた。
「ヤミ様?どうしたんですか?」
「あら口に合わなかったかしら?」
「・・・・あ、いえ、これって最近流行り出したんですよね?」
「ええ、聖女を騙ってるかもって噂のナオミって女が考案したらしいわよ。王都で今流行ってるお菓子類は全部ナオミがレシピを広めたものよ」
「そうですか、懐かしい味がしたもので、つい」
「一息ついたら早速貴女の髪を弄らせてね。勿論お肌も隅から隅まで綺麗にしてあげる。無料でね♪」
「なんでアンタは黒髪にこだわってるんだ?」
「・・・憧れかしらね、私、実は大司教の息子なのよ。知ってる?実は聖女って黒髪だったのよ」
「ぶっほお!!!」
ヤミはつい吹き出してしまった。
「ごめんなさい」
「いいのよ驚くのも無理はないわ。教会の奥の奥にある肖像画があるのだけど一般人が見れるものじゃない。私は幼い頃に内緒で父が見せてくれた事があるのよ。まあ、イメージが崩れかねないのよねえ。ボコボコにされた人で山を作り、その頂点に立って拳を天に突き上げ凶悪な笑みを浮かべてる肖像画なんて。しかもその肖像画の下の方に当時の聖女の言葉が遺されてたけど、その言葉が」
『世界獲ったどおおおおお!!!!』
「って書いてあったわね。それだけじゃない教会の奥の奥にある肖像画の全ては、その、聖女っぽくないものばかりだったわね。寝ッ転がって足の指で竿を持って池で釣りをする絵や町で買い食いしてる絵とか聖女の日常を描いたもの、」
ドンドンドンドン!!ドンドンドンドン!!
「フェイ!いるのだろう!今日は居留守を使っても無駄だぞ!さっさと開けろ!」
「ちっ、あの馬鹿兄貴が、アンタ達ちょっと奥に隠れててちょうだい」
バアアアアアアン!!!
壊れる勢いで開けられた店の扉から続々と人が入ってきた。
「久し振りだな愚弟よ」
最後に現れたのは白の礼服に身長165cmほどの顔がフェイによく似たイケメン。
「お久し振りクソ兄貴、元気そうでとってもガッカリだわ~大病でも患えばよかったのに。そしたらお花くらいは贈ったわよ」
「そんな事を言ってもいいのか?そういえば最近黒髪に染めた犯罪者が多いがもしかしてここで染めたんじゃないのか?お前が連中をそそのかしたんじゃないだろうなあ?」
「あら~、犯人は全員現場で殺されてるのよね~、スラムの住人がちょっと抵抗した程度で生かして捕らえることも出来ない無能な兵士によってね。もし私が黒髪にしていても私の一流の腕で染めてるのに素人が染めてると気付けるわけないでしょ」
「ふん!まあいい今日は貴様に聖女ナオミ様の伝言を伝えに来ただけだからな!」
「聖女の伝言?貴方いつから聖女の使い走りになったの?」
「使い走りではない!私は聖女様に認められた者だぞ!とにかく至急『美少女コンテスト』を開き、そのコンテストでナオミ様を優勝させろ!」
「・・・・は?美少女コンテスト?なんで私がそんなもの開催しなきゃならないのよ。貴方が開けばいいでしょ?」
「ナオミ様はお前が開いたコンテストでなければ『あのアイテム』が手に入らないと仰っているのだ!」
「は?アイテム?私が持ってるものなら何か言えば渡すわよ。二度と私には関わらないという条件付きでだけど」
「コンテストで優勝して手に入れなければならないそうだ。そのアイテムが光竜神殿攻略の鍵だそうだからな」
『『なにいいいいいいい!!!』』
グレゴリオとバーブラはしっかりと聞き耳をたてていた。
「そんな大層なもの私持ってないわよ」
「いいから急ぎ美少女コンテストを開催しろ!いいな!1週間以内だ!金はこちらで用意する!ナオミ様のためなら必要経費だ!内容はナオミ様が決めているこの紙に書かれている通りに準備しろ!」
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『美少女コンテスト内容』
1、水着
水着は各自で準備する事。きわどすぎるのはNG。アピールタイム一分間。
得点は、
一般人200人 1人1点。満点200点。
審査員10人 1人10点。満点100点。
審査員長 100点。満点100点。
計400点中何点か?
2、音楽
歌か楽器又は両方を披露する。アピールタイムは五分間。
得点は、
1と同じ計400点中何点か?
3、料理
ジャンルは自由。材料はこちらで用意したものを使用する事。調理時間は2時間。審査員五人分と審査員長の六人分を作る。
得点は、
審査員5人、1人20点。満点100点。
審査員長、 100点。満点100点。
計200点中何点か?
4、特技
各自の得意とするものを披露する。アピールタイム三分間。魔法あり。
得点は、
1と同じ計400点中何点か?
審査員長『ライオネル(必須)』。審査員に芸術家『レオルド=ガウェイン(必須)』を入れること。
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「ねえ馬鹿にしてるの?審査員長が100点なんて馬鹿にしてるとしか思えないんだけど。こんな出来レースなんかに参加者が集まるわけないじゃない!しかも1週間なんて無理よ!レオルド=ガウェインは金じゃ絶対に動かない職人よ!こんなふざけた催しで外国に来るわけないわ!」
「参加者などテキトーに決めてしまえばいい!どうせナオミ様が優勝するのだからな!金ならいくらでも出すと言ってるんだ!」
「金の問題じゃないわよ!!!しかもそのお金はどこから出してるの?まさか教会のお金じゃないわよね!ナオミとかいう女のお金なのよね!」
「聖女様のためならいくらでもかき集められるは!!!」
「ッ!信じられない!アンタなんて事やってんの!あのお金は、」
「今は俺が大司教だ!貴様には教会の運営に口を出す資格はない!黙って従え!」
「アンタこそ私に強制する権限なんて持ってないでしょ!」
「貴様は俺の弟だろうが!黙って従え!」
「アンタとはもうキレてんでしょうが!」
「いいのか?王都で店を開くのに随分苦労したんじゃないのか?何年掛かった?なんならこの店ごと潰してやってもいいんだぞ?」
「・・・・はっ!潰せばいいでしょ!アンタが悪評広めたせいで客なんて来ないしちょうどいいわよ!今日でチェリーボムは閉店よ!とにかく私は絶対にやらないわよ!」
「何故ナオミ様はお前のようなやつに任せると言ったのか不思議でならない!ここはやはり俺が立派に美少女コンテストなるものを開き、大成功させれば、きっとナオミ様は俺だけを見て下さるはず!」
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ある乙女ゲーム、第5部から登場する美容院がある。
その美容院では、主人公の髪型(ただし髪色変更不可)や肌色や体型を自由に変更することができた(ただし有料)。
そして、その美容院で参加申請出来る『月に一度(現実世界の時間)』に『美少女コンテスト(オンライン限定)』で行われる。
その美少女コンテストはプレイヤーのファッションショーやミニゲームで一番高得点を出したプレイヤーに豪華な商品が貰えるのだ。
だが隠し要素として審査員の中で一番点が取り難い芸術家『レオルド=ガウェイン』がいる。このレオルド=ガウェインから高得点を出すと特別賞で『光竜神殿の客間への鍵』を貰えるのだ。
乙女ゲームの『光竜神殿』はそもそも聖女の国ではなく賢者の国にある建物で元々はあるサブイベントに途中に登場し、その道中に神殿の前を通るだけで、実際には光竜とは戦闘を行われず神殿の扉も開かず中には入れない。直接ストーリーには関わってこないと・・・見せかけて実は第5部のストーリー最大の隠れボス『真のラスボス』を倒した後、光竜神殿で光竜に会っているのと会っていないのとでは、ストーリーが異なってくるのだ。
まず光竜と会っていない場合は、そのままエンディングに突入する。会っていた場合は光竜が飛んで来てイベントボス『真の真のラスボス』の居場所に案内してくれるのだ。
『よくぞ⬛⬛⬛⬛を討ち果たし世界を救った。貴様達なら奴すら越えられるかもしれぬ』
・・・・なんてところに連れて来やがった!!!!
それはここまで辿り着いた数少ないプレイヤー達の叫び。
真の真のラスボスとの戦闘場所に案内されると、何もない白い空間、そこにジャージ姿の仁王立ちする黒髪の女性。
『初代聖女・清楚』と表記されるがプレイヤー達からの呼び名は『魔神』だった。
何もない空間は時間が経つ度に森林、雪山、火山、草原、大空、海中等にランダム変化していく。
そしてボスは光魔法『光速移動』で離れた場所にいるプレイヤーに一瞬で距離を詰め、光の魔力を纏った拳で殴り掛かってくる。
プレイヤーは回復する暇なんてないのにボスは殴りながらでも体が光に包まれ徐々に回復する仕様。
しかも体力が半分削られると一度全回復してから、ジャージを脱ぎ捨て黄金の鎧を身に纏い全てのステータスは倍以上に跳ね上がる。
即死攻撃も当然の如く完備しており隙がほとんどない。
それでもこの魔神を倒せる猛者(プレイヤー)はいた、いたがそれは終わりではなかった。
『我が妻が世話になったな』
このセリフとともに漆黒のマントを纏う男が現れる。
『魔王・ネザード』
闇魔法を駆使して襲い掛かってくる。
戦い方は魔神清楚に似ていて闇魔法『フェードアウト』で一瞬で距離を詰めて、闇の魔力で6本の巨腕を作り出し殴り掛かってくる。プレイヤーが避けて距離をとると巨腕の指先から杭を飛ばしてくる。
即死攻撃も完備しているが清楚より攻撃力は上だが動きははっきり言って遅く清楚を倒したプレイヤーにとっては油断さえしなければ負ける者はいなかった。
が!ここから本番だった!!!
『ちっ、情けない姿を見せちまったが、まだまだこれからだああああああ!!!』
魔神清楚が復活してきて、魔王ネザードと合体して『究極の魔神王最終戦』に突入する。
ここで賢者(主人公)と結ばれた攻略対象との好感度で更にイベントが発生する。
攻略対象との好感度がマックスではない場合は、そのまま戦闘に突入するが主人公との好感度がマックスだった場合は、こちらも合体して戦うことになる(姿と能力値は攻略対象によって変化する)。
究極の魔神王は光魔法と闇魔法の二つ魔力が本来の力に戻り、『終極魔法』になり・・・・好感度がマックスではない場合はクリア出来ない仕様になっているのだ。
ちなみに反撃すら出来ない・・・魔神王の『一撃』で世界ごと終わるという設定でゲームオーバーにはならないが武器や防具やアイテム、装備・所持していたものが消失してストーリーも初めからになる。
『ここまでやらせておいてそれはないだろ!!!』と乙女ゲーム攻略を投げ出すプレイヤーを続出させた。
好感度がマックスだった場合は魔神王の世界を終わらせる一撃に耐える。
『終わらせない!私達が絶対に!!!私達の大切な人達を守って見せます!!!』
魔神王の『終極魔法』に対抗するために主人公と攻略対象は合体し、世界に存在しなかった魔法『愛の魔法』を作り出し発動させて世界の破壊を食い止めながら魔神王との戦闘に突入する。
このイベントを発生させた場合、勝ち負けに関わらずゲームクリア扱いにされ特別に用意された攻略キャラとのエンディングが見れてステータスの上昇ボーナスやスペシャルボーナスの武器や防具やアイテムが貰える。
ゲームはクリア扱いされるが勝ち負けでエンディング内容が異なるので注意だ。
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