28 / 29
第26話 乙女ゲーム外伝~その令嬢に敗北は似合わない!~
しおりを挟む
彼女は何も語らない。
彼女はアレックスの技を正面から切り伏せ斬撃を繰り出す。
その一閃は敵を殺すものではなかった。アレックスとナオミ(聖女)の闇天使の融合を解除させたのだ。
すると彼女は一瞬だけグレゴリオのいる後ろへ振り向く。
一度だけ勝ち誇った笑みを浮かべると飛び立つ。彼女はナオミを掴むとグレゴリオとアレックスだけ悪役令嬢が造り出した闇世界から弾かれるように元のボスステージに戻ってきた。
「・・・こんなつもりじゃなかったんだ」
アレックスは血が流れるほど拳を握る。
「ごめん・・・グレイ(アレックスはグレゴリオをそう呼んでいる)」
グレゴリオは黙って聞く。
「俺はナオミが好きだった。けど彼女に告白したら『アレックスは私にとっては家族・・・兄さんみたいな存在』だって言われてグレイを見る時のナオミの目に明らかな好意が宿っているのに気付いた時に・・・頭の中に誰かの声が、『奪ってしまえ』と」
ナオミと同じように何者かに憑かれていたのか?
「ごめん、グレイ、ごめん、グレイ、」
アレックスが涙を流す。こんなアレックスの弱々しい姿をグレゴリオは初めて見た。
「ナオミもナオミで悩んでた。グレゴリオは私をちゃんと見てくれてないって。『グレゴリオの心の奥底には誰かがいる』って。私はその人の代わりにすぎないんだって」
・・・何だよ。全部俺のせいだったのか?俺のせいで二人は堕ちてしまったのか?
「許せなかった・・・俺が好きな人を誰かの代わりに側に置いているのが、誰かの代わりに触れているのが・・・目の前が真っ赤に染まって、気づいたらこんな事に、」
「俺がとやかく言える立場じゃねえよ!」
「え?」
「君を救ってみせると約束しておいて!その事を忘れちまって、本当に馬鹿だよ俺は!もしお前とナオミに出会わなかったら彼女と再会する事もなかっただろうな!」
「もしかしてさっきの女性か?酷いなグレイ、あんな美人を忘れてたのか?」
「ダチの彼女を寝取ったお前には言われたくねえよ!」
「「く、くく、ははははははははは」」
「お互い最悪な野郎だな俺達」
「そうだな最悪だな」
「・・・よし!殴り合いで決着つけよう!」
俺の提案に何言ってるんだと言うアレックス。
「どっちが一番最低な男か決めようぜ!」
グレゴリオは上の服を破り捨てる。アレックスもヤレヤレと言いつつも自身もボロボロになった服を破り捨て上半身があらわになる。
プレイヤーの反応→
『『『『『アレックスとグレゴリオの絡みきたあああああああああああああああああ』』』』』
『黙れ腐女子共!』
『『『『ギロリッ!!!(殺意込め)』』』』
『『『『何か言ったかモブ共!』』』』
『サーセン!!!(´д`|||)』
『いや~それにしてもグレゴリオとアレックスの身体・・・イイ具合に仕上げてますな~グヘヘヘ』
『細マッチョじゃない!戦う為のガチ筋肉たまりませんな!』
『腹筋の割れ具合・・・ぶはっ!鼻血が!鼻血が!』
『・・・腐女子共の侵食が激しい!このままでは我々の領域が!』
ここからVSアレックス戦が始まる。
魔法使用不可能、スキル発動不可能、出来るのは肉弾戦操作のみ。
お互いが一歩半下がった場所に線を引く。
「「この線より下がった奴の負け」」
殴る!殴る!蹴る!蹴る!殴る!蹴る!
アレックスは防御を捨てて捨て身の覚悟でグレゴリオに襲い掛かる。
ステータス上は互角値、ただしダメージを受け続けると線を越えてしまい『GAMEOVER』になる。
プレイヤー反応→
『くおっ!はやっ!アレックス!大人しく地獄に落ちろ!』
『くそおおお!防御の上からでもこのダメージかよ!』
『はあはあ、アレックス様の拳が私の顔にヒットしちゃう~(回避)ダメッ!イっちゃうよおおお!シュババババ!(回避!回避!回避!)』
『くっはっ!アレックス様の乳首が!乳首があああ!(捌き!捌き!捌き!)』
『腐女子の中に変な奴等が混じってる!!!』
『ふっ!私がもしSAOに参加していたら二刀流は私のものになっていた!(回避!捌き!回避!回避!捌き!カウンター!カウンター!)』
『私が時を止めた。9秒に時点でな。そして脱出できた。ヤレヤレだぜ。これから!テメエを殺るのに!1秒もかからねえぜ!』
『さらばだ、オールフォーワン!ユナイテッド!ステイツ!オブ!スマアアアアアアシュ!!!(さらばだワンフォーオール)』
アレックスとグレゴリオ。
おそらくこの先、二人の道は別れるだろう。
これが最後語り合い。
互いが一歩も下がらず殴り合う。
駆け引きなし!余力を残しはしない!例えこの後『更なる苦難』が待ち受けようとも!
だが戦闘では勝つが試合には必ず負ける仕様なのだ。
倒れ込むグレゴリオ。
「はあはあ、アレックス。やっぱり強いな、ナオミは任せたぜ」
「グレイ?」
ビキビキッ!
ボスステージにヒビが入る。
「グレイイイイイイイイ!!!!」
アレックスはそのヒビに吸い込まれてしまう。
「テメエか?アレックスをたぶらかしやがったのは!」
目の前に現れたのは天使。
頭の上に天使の輪、背中に天使の羽、いけすかないイケメン面。
「無言かよ」
その天使は何も語らない。
ただ優しく微笑むだけ。だがグレゴリオにはその微笑みは薄っぺらに感じる。
むしろ憐れみ?呆れ?見下されてる?
プレイヤーに選択肢が与えられる。
『いけすかないイケメン面をグシャグシャにしてやる』
『人間なら充実した人生を送れそうなイケメン面をグシャグシャにしてやる』
『とりあえずぶっ飛ばす』
プレイヤーの反応→
『イケメンに対して妬みが半端ないなグレゴリオ』
『『『『『イケメン死すべし!!!』』』』』
『『『『『彼女持ちには死を!!!』』』』』
『・・・うん、そうだね(;¬_¬)』
『『『『『裏切り者発見』』』』』
『あ、ああああああああああ!!!』
グレゴリオの身体に黒い炎に包まれる。
銀色狼の三面仮面が出現しグレゴリオはそれを被る。
ボロボロだった服は黒い炎が鎧となる。
「殺す!ぶっ殺す!死ねクソ野郎!」
彼女はアレックスの技を正面から切り伏せ斬撃を繰り出す。
その一閃は敵を殺すものではなかった。アレックスとナオミ(聖女)の闇天使の融合を解除させたのだ。
すると彼女は一瞬だけグレゴリオのいる後ろへ振り向く。
一度だけ勝ち誇った笑みを浮かべると飛び立つ。彼女はナオミを掴むとグレゴリオとアレックスだけ悪役令嬢が造り出した闇世界から弾かれるように元のボスステージに戻ってきた。
「・・・こんなつもりじゃなかったんだ」
アレックスは血が流れるほど拳を握る。
「ごめん・・・グレイ(アレックスはグレゴリオをそう呼んでいる)」
グレゴリオは黙って聞く。
「俺はナオミが好きだった。けど彼女に告白したら『アレックスは私にとっては家族・・・兄さんみたいな存在』だって言われてグレイを見る時のナオミの目に明らかな好意が宿っているのに気付いた時に・・・頭の中に誰かの声が、『奪ってしまえ』と」
ナオミと同じように何者かに憑かれていたのか?
「ごめん、グレイ、ごめん、グレイ、」
アレックスが涙を流す。こんなアレックスの弱々しい姿をグレゴリオは初めて見た。
「ナオミもナオミで悩んでた。グレゴリオは私をちゃんと見てくれてないって。『グレゴリオの心の奥底には誰かがいる』って。私はその人の代わりにすぎないんだって」
・・・何だよ。全部俺のせいだったのか?俺のせいで二人は堕ちてしまったのか?
「許せなかった・・・俺が好きな人を誰かの代わりに側に置いているのが、誰かの代わりに触れているのが・・・目の前が真っ赤に染まって、気づいたらこんな事に、」
「俺がとやかく言える立場じゃねえよ!」
「え?」
「君を救ってみせると約束しておいて!その事を忘れちまって、本当に馬鹿だよ俺は!もしお前とナオミに出会わなかったら彼女と再会する事もなかっただろうな!」
「もしかしてさっきの女性か?酷いなグレイ、あんな美人を忘れてたのか?」
「ダチの彼女を寝取ったお前には言われたくねえよ!」
「「く、くく、ははははははははは」」
「お互い最悪な野郎だな俺達」
「そうだな最悪だな」
「・・・よし!殴り合いで決着つけよう!」
俺の提案に何言ってるんだと言うアレックス。
「どっちが一番最低な男か決めようぜ!」
グレゴリオは上の服を破り捨てる。アレックスもヤレヤレと言いつつも自身もボロボロになった服を破り捨て上半身があらわになる。
プレイヤーの反応→
『『『『『アレックスとグレゴリオの絡みきたあああああああああああああああああ』』』』』
『黙れ腐女子共!』
『『『『ギロリッ!!!(殺意込め)』』』』
『『『『何か言ったかモブ共!』』』』
『サーセン!!!(´д`|||)』
『いや~それにしてもグレゴリオとアレックスの身体・・・イイ具合に仕上げてますな~グヘヘヘ』
『細マッチョじゃない!戦う為のガチ筋肉たまりませんな!』
『腹筋の割れ具合・・・ぶはっ!鼻血が!鼻血が!』
『・・・腐女子共の侵食が激しい!このままでは我々の領域が!』
ここからVSアレックス戦が始まる。
魔法使用不可能、スキル発動不可能、出来るのは肉弾戦操作のみ。
お互いが一歩半下がった場所に線を引く。
「「この線より下がった奴の負け」」
殴る!殴る!蹴る!蹴る!殴る!蹴る!
アレックスは防御を捨てて捨て身の覚悟でグレゴリオに襲い掛かる。
ステータス上は互角値、ただしダメージを受け続けると線を越えてしまい『GAMEOVER』になる。
プレイヤー反応→
『くおっ!はやっ!アレックス!大人しく地獄に落ちろ!』
『くそおおお!防御の上からでもこのダメージかよ!』
『はあはあ、アレックス様の拳が私の顔にヒットしちゃう~(回避)ダメッ!イっちゃうよおおお!シュババババ!(回避!回避!回避!)』
『くっはっ!アレックス様の乳首が!乳首があああ!(捌き!捌き!捌き!)』
『腐女子の中に変な奴等が混じってる!!!』
『ふっ!私がもしSAOに参加していたら二刀流は私のものになっていた!(回避!捌き!回避!回避!捌き!カウンター!カウンター!)』
『私が時を止めた。9秒に時点でな。そして脱出できた。ヤレヤレだぜ。これから!テメエを殺るのに!1秒もかからねえぜ!』
『さらばだ、オールフォーワン!ユナイテッド!ステイツ!オブ!スマアアアアアアシュ!!!(さらばだワンフォーオール)』
アレックスとグレゴリオ。
おそらくこの先、二人の道は別れるだろう。
これが最後語り合い。
互いが一歩も下がらず殴り合う。
駆け引きなし!余力を残しはしない!例えこの後『更なる苦難』が待ち受けようとも!
だが戦闘では勝つが試合には必ず負ける仕様なのだ。
倒れ込むグレゴリオ。
「はあはあ、アレックス。やっぱり強いな、ナオミは任せたぜ」
「グレイ?」
ビキビキッ!
ボスステージにヒビが入る。
「グレイイイイイイイイ!!!!」
アレックスはそのヒビに吸い込まれてしまう。
「テメエか?アレックスをたぶらかしやがったのは!」
目の前に現れたのは天使。
頭の上に天使の輪、背中に天使の羽、いけすかないイケメン面。
「無言かよ」
その天使は何も語らない。
ただ優しく微笑むだけ。だがグレゴリオにはその微笑みは薄っぺらに感じる。
むしろ憐れみ?呆れ?見下されてる?
プレイヤーに選択肢が与えられる。
『いけすかないイケメン面をグシャグシャにしてやる』
『人間なら充実した人生を送れそうなイケメン面をグシャグシャにしてやる』
『とりあえずぶっ飛ばす』
プレイヤーの反応→
『イケメンに対して妬みが半端ないなグレゴリオ』
『『『『『イケメン死すべし!!!』』』』』
『『『『『彼女持ちには死を!!!』』』』』
『・・・うん、そうだね(;¬_¬)』
『『『『『裏切り者発見』』』』』
『あ、ああああああああああ!!!』
グレゴリオの身体に黒い炎に包まれる。
銀色狼の三面仮面が出現しグレゴリオはそれを被る。
ボロボロだった服は黒い炎が鎧となる。
「殺す!ぶっ殺す!死ねクソ野郎!」
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる