久し振りに実家の喫茶店に帰って来たら不良(レディース)のたまり場になっていた件

アカヤシ

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第6話 灯士夜子 その5

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「姉は・・・どうでもいいや。結局お前等は何がしたいわけ?」

「え?乗り込むなら私等も交ぜてもらおうと思ってな」

「は?」

何を考えてるんだコイツ等?吉田川極は世間的には超がつくほどの有名人で非公式だがオリンピック金メダリストも圧倒する柔道界期待の星と言われていて学校に取材の申し込みが半端ないって聞いたことがあるぞ。他の奴等も志村楓も清宮弾歩もそれぞれ全国から勧誘されるほどだが。

「何でお前まで?」

一番分からないのは幼馴染の猿飛雛だ。コイツは新体操部でサボりの常連さんだが、コイツも一度全国でいいとこまでいったが生来のやる気のなさが災いしてかいいとこ止まりの奴。コイツはけして好き好んで喧嘩するタイプじゃない。むしろ面倒事から逃げるタイプなのに。

「え~だって面白そうじゃん?そ・れ・よ・り!男と同棲していたアンタにビックリだよ~。ねえ食べちゃた?そ・れ・と・も食べられちゃた。ニヤニヤ」

ぐはっ!そういえば内緒にしてたんだった。

「もう一年近く同棲してたんだって?ヒューヒュー!やるじゃねーか夜子」

「・・・不潔」

「で?どうなの?もう夜な夜なズッコンズッコンヤっちゃたと?ニヤニヤ」

「そりゃ若い男女が一つ屋根の下で暮らしてたんだから若さ故の過ちなんて10~20回あってもおかしくな、」

「ないわ!悲しいほど何にもないわ!」

「ええええ!夜子、アンタって子は、ヨヨヨヨ、」

「仕方ねえさ、雛よ。コイツには女の魅力ってもんが足りなかったのさ。主に胸とか」

「うるせえよ!筋肉だるまより魅力溢れてるわ!しかも私はある方だし!貧乳ではないし!」

「なんだと!女の腹筋にときめく男もいるって聞いたことがあるぞ!」

「全身ガチムチの筋肉装甲のくせに胸があるんだよ!そこは大胸筋くらいに留めとけよ!」

「お二方、それくらいにするで候う」

「あと気になってたんだけど一人武士が混じってんだけど!」

「某、男気殿に憧れているので」

「・・・は?え?ええええ!!!」

「よく休日にあるボランティアでお会いして話すで候う。町内のゴミ拾いなどで」

「まあ、私等は男気先輩の強さに憧れて私は柔道、志村は剣道を始めたんだよな!なあ、楓!あと弾歩は町内会の草野球大会で同じチームに所属したことがあるんだ!」

同級生が割りと男気先輩と接点が多いことが何気にショックなんだけど。

「私と楓は小学生の頃見に行った男気先輩とブルーウェイの青園彩夏との高速道路を封鎖してのスピードバトルは凄まじかったぜ!普段は男気先輩は絶対許さないけど、青園彩夏の『勝負を受けなきゃ飛び降り自殺してやる』って言って受けさせた。一度だけの夢のバトル!熱かったなあ!」

「某は男気殿のように強く、優しく、気高く、まるで侍のような生き方に憧れたで候う」

「素直に侍に憧れろよ!」

「某、男気殿に告白したことがあるで候う」

「「「なにいいいいいいいいい!!!」」」

「まあ子供の告白程度にしか思われていたで候う」

「ちなみになんて言われた?」

「『ん?俺も楓ちゃんの事は大好きだぞ?休日なのに朝早くからボランティアに参加しているし素直で年下の子達のお世話もして優しいしな。偉い偉い』と頭を撫でられたで候う」

完全に子供扱いじゃねえか!けど羨ましい!!!

「それよりマサさんはなんでいるの?今日は喫茶店は定休日だったはずだけど」

「ああ、えっと、その、夜子ちゃんを待ってたんだよ。ははは」

「・・・・?」

吉田川一同ニヤニヤしながら。

「だってよお。呼びにいったら、もう!」

え?呼びに来た・・・え?いつ?

「エロい声で盛りのついた猫みたいに、ニャアニャア喘ぎやがって、」

ひゃああああああああ!!!オナニーしてんの聞かれてたのかい!!!

「もう夜子ちゃんたら、そんなに息子を想ってくれていたなら夜這い解禁してあげてたのに」

「やめて!一子さん! ああああああ!私の馬鹿馬鹿馬鹿!!!」

「まあ夜子落ち着けよ。誰にも言わないから」

「吉田川ッ!」

「俺っちラーメンでいいぜ(吉田川極)」

「某、蕎麦で(志村楓)・・・・」

「私はパスタで(猿飛雛)!」

「うどんでいいよ(清宮弾歩)」

なんで麺縛り!!!つうか集るのかよ!!!

「それは置いといて、実は夜子ちゃん達に渡す物があるんだ。駐車場に停めてあるから」

マサさんは懐から何かを取り出しカウンターの上に置く。

「これって・・・・鍵?」

「レッドナイトの連中が乗っていたバイクをお前等にやるよ」

「ッ!え?なんでマサさんが?」

「メンバーの1人の剛角拓海は俺の息子でな。メンバーのバイクは俺の仕事場で預かってたんだよ。メンバーには許可をとってあるから安心しな」

「男気先輩と連絡がとれるんですか!」

「ん?ああ、いや、悪いな。アイツとは連絡がとれないんだ。というより必要ない。乗れるかは君達次第だからね」

「必要ない?君達次第?どういう?」

「『妖車』なんだよ。男気一本が乗っていた『紅蓮のZⅡ』はね」

「冗談ですよね?」

「・・・そのZⅡは二十年以上前にいつの間にかウチの修理店兼スクラップ場にあったんだ。乗れたのが、いや、動かせたのは男気一本と先代のオーナーの二人だけ。その他の人間はエンジンすらかけられない。俺もチャレンジしたけど無理だった」

「・・・私達の誰かが回せるンですか?」

「それはわからない。けどそのZⅡは妖車なのは間違いない!選ばれたなら、まず間違いなく男気一本の後継者と言っても過言じゃない!」
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