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モブにも驚くべき背景があるんですのよ2
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でも、やっぱりダメだった。十分くらいは我慢すべきだった。
【ながらスマホは危険です】
この標語は正しかった。画面に集中していたあまりに、反応が遅れた。耳をつんざくようなガァンという衝撃音に、はっと顔を上げたときにはもう遅かった。シルバーのセダンが目の前に迫っていてとても避けきることなんてできなかった。
あぁ、せめてキース様エンドを見終えてからにしてよ。
それが新田菜穂の最後の思考だった。ちなみに、私の名誉のために言っておくと、たしかに歩きスマホはしていたけれども、私はきちんと青信号で歩道を渡っていた。ついでに言うと、私を轢いたシルバーのセダンも悪くない。飲酒運転だった黒いミニバン。これが元凶だ。赤信号で止まっていたシルバーセダンに高速のまま突っ込んできたのだ。シルバーセダンは前に押し出され、私はそれに巻き込まれた。
次の記憶では、私は幽霊になっていた。実体のない魂だけの存在となり空に浮かんでいた。地上では葬式が行われていて、よくよく見てみれば遺影の写真は私自身だった。
「死んじゃったのか。なんてあっけない。ていうか、あの写真の私、ブス……」
そんなことをつぶやいた。すると空から声が降ってきた。天使なのか神様なのか、それは永遠に謎のままだが……可愛らしい少年のような声だった。
「そう、正解。君は死んじゃったんだ。けど心配いらないよ。来世があるからね。こうご期待!」
そんな軽いノリで告げられた来世が、まさかのゲーム世界の登場人物だったのだ。
目覚めたときは、そりゃあびびった。というか、あのゲームを相当やり込んでいる私ですら「誰よ、これ」状態だった。見覚えのある顔ではあるんだけどなぁ……から思い出すまでに小一時間はかかったわ。
エマはそのくらいのモブキャラだ。冒頭のほんの数分間しか出番がない。キャラクター紹介ページには名前すら載っていないし。
せっかく転生するならヒロインのアリスか、彼女のライバル兼親友ポジのシルビアか、そのあたりがよかったけれどエマになってしまった以上は仕方ない。
とりあえず、最初の関門であるこのピンチをなんとか乗り切らなきゃ。
「って言っても、どう乗り切るのよ、これ……」
私はフィオナの衣装部屋に足を踏み入れ、そこにある大量のドレスを見回し、がくりと肩を落とした。
黒、赤、濃紫、焦げ茶、また黒。これだけ大量だというのに、淡い優しい色合いのドレスが一着もないのだ。
【ながらスマホは危険です】
この標語は正しかった。画面に集中していたあまりに、反応が遅れた。耳をつんざくようなガァンという衝撃音に、はっと顔を上げたときにはもう遅かった。シルバーのセダンが目の前に迫っていてとても避けきることなんてできなかった。
あぁ、せめてキース様エンドを見終えてからにしてよ。
それが新田菜穂の最後の思考だった。ちなみに、私の名誉のために言っておくと、たしかに歩きスマホはしていたけれども、私はきちんと青信号で歩道を渡っていた。ついでに言うと、私を轢いたシルバーのセダンも悪くない。飲酒運転だった黒いミニバン。これが元凶だ。赤信号で止まっていたシルバーセダンに高速のまま突っ込んできたのだ。シルバーセダンは前に押し出され、私はそれに巻き込まれた。
次の記憶では、私は幽霊になっていた。実体のない魂だけの存在となり空に浮かんでいた。地上では葬式が行われていて、よくよく見てみれば遺影の写真は私自身だった。
「死んじゃったのか。なんてあっけない。ていうか、あの写真の私、ブス……」
そんなことをつぶやいた。すると空から声が降ってきた。天使なのか神様なのか、それは永遠に謎のままだが……可愛らしい少年のような声だった。
「そう、正解。君は死んじゃったんだ。けど心配いらないよ。来世があるからね。こうご期待!」
そんな軽いノリで告げられた来世が、まさかのゲーム世界の登場人物だったのだ。
目覚めたときは、そりゃあびびった。というか、あのゲームを相当やり込んでいる私ですら「誰よ、これ」状態だった。見覚えのある顔ではあるんだけどなぁ……から思い出すまでに小一時間はかかったわ。
エマはそのくらいのモブキャラだ。冒頭のほんの数分間しか出番がない。キャラクター紹介ページには名前すら載っていないし。
せっかく転生するならヒロインのアリスか、彼女のライバル兼親友ポジのシルビアか、そのあたりがよかったけれどエマになってしまった以上は仕方ない。
とりあえず、最初の関門であるこのピンチをなんとか乗り切らなきゃ。
「って言っても、どう乗り切るのよ、これ……」
私はフィオナの衣装部屋に足を踏み入れ、そこにある大量のドレスを見回し、がくりと肩を落とした。
黒、赤、濃紫、焦げ茶、また黒。これだけ大量だというのに、淡い優しい色合いのドレスが一着もないのだ。
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