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私のご主人様は本当に悪人なのかしら7
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「あ。もしかしてお勉強の最中でしたか?」
シシィ王女の机の上に分厚い書物が置かれているのを見て、私は肩をすくめた。邪魔をしてしまっただろうか。
シシィ王女は笑いながら、首を振る。
「ううん。お勉強じゃないわ。大好きな作家の本を読んでいたの」
「読書がご趣味なんですね。どんな本ですか?」
彼女はとても頭がいいという設定だったはず……。外国語や哲学なんかの難しい本だろうか。
「笑わないでね。長編の恋愛小説なののよ」
シシィ王女はその本を私にも見せてくれる。そして、ストーリーも説明してくれた。難しい話なんかではなく、王道のメロドラマといった内容だった。
「面白そうですね。文章も読みやすいし」
「そうなの! 長編だけど、さくさく読めちゃうのよ。おかげで寝不足で」
「主役ふたりもいいけど、この脇役のおじ様がとってもかっこいい!」
「わかってくれる? 私もそのキャラが一番のお気に入りなの。この親友とのやり取りが最高でね」
シシィ王女はいつもとはまるで別人のように、イキイキと語り出す。その様子を見て、私は確信した。
私たち、絶対に仲良くなれるわ。だってシシィ王女、間違いなくオタクだもん。しかも腐女子の素質あり。気が合わないはずがないわ。
その確信通り、私たちはすっかり意気投合しオタクトークを繰り広げた。はたと気がついたときには、もう日が沈みかけていた。
「こんなにたくさん借りちゃっていいんですか?」
「もちろん! 感想を楽しみにしてる」
う~ん。とっても仲良くなれたけど、オタク趣味で意気投合ってそのままキース様に報告していいのかしら。今度は別の心配を増やしちゃいそう。
私は大量の本を抱えながら、シシィ王女の部屋を出た。すると入れ替わりで、誰かがシシィの部屋へとやってきた。私は廊下の飾り棚の陰にとっさに身を隠す。
って、別に隠れる必要なかったじゃないの。悪いことしてるわけでもないのに。でも、いまさらのこのこと出ていくのもためらわれて、そのまま物陰にひそんでいることにした。
誰だろう。私はこそっと顔を出して様子をうかがう。
「いい? どんな手使ってでもシシィ王女を味方につけるのよ」
姿も見えていて、声もはっきり聞こえているのに、一瞬そこにいるのが誰なのか迷ってしまった。だって、あまりにもいつもと違うから。表情も口調もまるで別人なんだもん。
えっと……アリスよね?
向こう側から歩いてきているのはアリスと、彼女が実家から連れてきた唯一の侍女ルウだった。アリスはいつものゆるふわ笑顔もおっとりした話し方も一切なく、フィオナもびっくりの悪役顔でほくそえんでいた。
「将を射るにはまず馬から。王子をゲットするには、なんとしてでもシシィ王女を手駒にしないとね」
「その意気ですわ、アリスお嬢様」
「手違いだかなんだか知らないけど、お妃候補に選ばれたのはラッキーだったわ。貧乏男爵家の娘で一生を終えるなんてまっぴらごめんよ。私の手練手管で、ぼんくら王子なんて骨抜きにしてやるわ」
高笑いするアリスに、ルウは苦笑まじりの相槌をうつ。
「アリスお嬢様の男遊びが役に立つ日がくるとは……実家のお父様もさぞ驚くことでしょうね」
お、男遊び~? 田舎でのびのびと育った純真無垢なヒロインじゃなかったわけ?
シシィ王女の机の上に分厚い書物が置かれているのを見て、私は肩をすくめた。邪魔をしてしまっただろうか。
シシィ王女は笑いながら、首を振る。
「ううん。お勉強じゃないわ。大好きな作家の本を読んでいたの」
「読書がご趣味なんですね。どんな本ですか?」
彼女はとても頭がいいという設定だったはず……。外国語や哲学なんかの難しい本だろうか。
「笑わないでね。長編の恋愛小説なののよ」
シシィ王女はその本を私にも見せてくれる。そして、ストーリーも説明してくれた。難しい話なんかではなく、王道のメロドラマといった内容だった。
「面白そうですね。文章も読みやすいし」
「そうなの! 長編だけど、さくさく読めちゃうのよ。おかげで寝不足で」
「主役ふたりもいいけど、この脇役のおじ様がとってもかっこいい!」
「わかってくれる? 私もそのキャラが一番のお気に入りなの。この親友とのやり取りが最高でね」
シシィ王女はいつもとはまるで別人のように、イキイキと語り出す。その様子を見て、私は確信した。
私たち、絶対に仲良くなれるわ。だってシシィ王女、間違いなくオタクだもん。しかも腐女子の素質あり。気が合わないはずがないわ。
その確信通り、私たちはすっかり意気投合しオタクトークを繰り広げた。はたと気がついたときには、もう日が沈みかけていた。
「こんなにたくさん借りちゃっていいんですか?」
「もちろん! 感想を楽しみにしてる」
う~ん。とっても仲良くなれたけど、オタク趣味で意気投合ってそのままキース様に報告していいのかしら。今度は別の心配を増やしちゃいそう。
私は大量の本を抱えながら、シシィ王女の部屋を出た。すると入れ替わりで、誰かがシシィの部屋へとやってきた。私は廊下の飾り棚の陰にとっさに身を隠す。
って、別に隠れる必要なかったじゃないの。悪いことしてるわけでもないのに。でも、いまさらのこのこと出ていくのもためらわれて、そのまま物陰にひそんでいることにした。
誰だろう。私はこそっと顔を出して様子をうかがう。
「いい? どんな手使ってでもシシィ王女を味方につけるのよ」
姿も見えていて、声もはっきり聞こえているのに、一瞬そこにいるのが誰なのか迷ってしまった。だって、あまりにもいつもと違うから。表情も口調もまるで別人なんだもん。
えっと……アリスよね?
向こう側から歩いてきているのはアリスと、彼女が実家から連れてきた唯一の侍女ルウだった。アリスはいつものゆるふわ笑顔もおっとりした話し方も一切なく、フィオナもびっくりの悪役顔でほくそえんでいた。
「将を射るにはまず馬から。王子をゲットするには、なんとしてでもシシィ王女を手駒にしないとね」
「その意気ですわ、アリスお嬢様」
「手違いだかなんだか知らないけど、お妃候補に選ばれたのはラッキーだったわ。貧乏男爵家の娘で一生を終えるなんてまっぴらごめんよ。私の手練手管で、ぼんくら王子なんて骨抜きにしてやるわ」
高笑いするアリスに、ルウは苦笑まじりの相槌をうつ。
「アリスお嬢様の男遊びが役に立つ日がくるとは……実家のお父様もさぞ驚くことでしょうね」
お、男遊び~? 田舎でのびのびと育った純真無垢なヒロインじゃなかったわけ?
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