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Chapter 15

心よりカラダが正直になってます ⑨ ♡

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 将吾さんのやわらかいくちびるが、なめらかな舌が、大きな手のひらが……わたしの肌の上のあらゆるところを這う。

「ぅん……あぁっ……んっ」
 吐息とともに、甘い喘き声が出てしまう。

 ——なぜだろう?

 昨夜、海洋から同じようなことをされたのとは違う感覚が、わたしを襲う。

 カラダの芯がカッと火照るくらい熱いのに……
 ぞくぞくするほど心臓がどきどきして……
 わたしの腕には鳥肌が立ってる。

 ——「最期」だからかな?

 もう、二度と……将吾さんにこんなことを、してもらえないから、かな?

 わたしの瞳に、じわり、と涙が浮かんだ。

「……彩乃、イヤなのか?」
 気がついた将吾さんが、不安げに瞳を揺らしながら尋ねる。

 わたしは首を振った。

 違う。……この涙は悲しい涙ではない。

 ——うれしい涙、だった。

 将吾さんの心にだれが棲んでいようとも……
 今、目の前にいるのはこのわたしで……

 彼にこんなにも、このカラダを求められている。

 そして、わたし自身が自ら……ようやく彼のものになろうとしている。

 ——たとえ、それがたった一回限り、であったとしても。


「……おまえ、朝比奈 海洋とは最後までしてないな」
 将吾さんが意地悪く、にやり、と笑った。

「ここが……ご無沙汰なままだ」

 でも、その声は表情とは裏腹に、ホッとした響きがあった。

   海洋は、だれかさんと違って「印」を残すような人ではないけれど……

   だれかさんには、わたしがどこまで許して、わたしがどこから許さなかったのか、まるっとお見通しに違いない。


 そのあと、わたしは将吾さんの指で、これでもかというくらい極みを味わわされた。

「……彩乃……もう、いいだろ?」
 かすれた声で、将吾さんが問う。

 ——そんなの、もうとっくに……いいに決まってる。わたしの方こそ、将吾さんがほしい。

 わたしの開いた脚の間に、将吾さんが身体からだを入れてきた。わたしの膝を少し持ち上げる。

 将吾さんがなにかつぶやいた。いつもの、スウェーデン語(?)だ。

「……ねぇ、なんて言ったの?」
 すっかり甘く媚びてしまった声で尋ねると……

「”Älska mig mest, när jag förtjänar det minst, för då behöver jag det bäst.”」

 先刻さっきよりははっきりとした発音で言ってくれたが、わたしにはお経のようにしか聞こえなくて、皆目わからない。

「スウェーデンの常套句みたいなもんだ。こっ恥ずかしいから、日本語では言わないからな」
と、不機嫌な声が返ってきた。

 ——やっぱり、スウェーデン語だったか。

 だけど、なんて言ってるのか意味が知りたくて、
「……ねぇ」
と、呼びかけた次の瞬間……

 将吾さんの熱くて固いものが……わたしの中に入ってきた。

 そして……

「……ぅわ……っ……おまえっ……なんてことするんだっ!?……彩乃っ!?」

   という叫び声のあとに……

「……ぅくぅ……っ!」

   という呻き声がして、どさっ、と将吾さんの身体からだが落ちてきた。

 ——あぁ……だから、言わんこっちゃない。

 だけど……わたし史上「最早」を更新したかもしれないな。

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