488 / 1,060
Side View Story 10
11~12 Side 司 07話
しおりを挟む
稲荷さんの案内で渓流釣りポイントに着くと、奥さん以外の男三人が釣りを始めた。
竿から釣り糸をぶら下げるだけで魚が釣れるのだから、バカな魚がいたものだ。
俺は岩の上から、秋兄は川の中に入ったり、俺の裏側に座っていたり、あちこちに場所を移す。
秋兄らしからぬアクティブさに、見ているこっちは気味が悪くて仕方がない。
「森の中に人――」
背後から、秋兄の少し硬い声が聞こえてきた。でも、その人物には俺も気づいていつつ放置していた。
視線の主が誰だかわかっているからだ。
「それ、ゼロ課の支倉って人だから問題ない。秋兄の脱走を阻止する任務についてる奇特な人」
「なんだそれ……。奇特すぎるだろ?」
秋兄が言うなよ……。
「あ、また釣れた」
秋兄は嬉しそうに魚を手にしていた。
「昔はここで海斗とかとサバイバルゲームしたよな。川遊びもしたし、大きな岩からの飛び込みも。楽しかったな」
「……俺は誰に突き落とされたんだっけ?」
言いながら秋兄の背に寄りかかると、秋兄は嬉しそうに笑って「俺だっけ?」と答えた。
「だってさ、ずっと水面見たまま動かないから飛び降りる手伝いをしてやったんだよ」
岩から水面までは自分の背丈の倍以上の高さがあり、さらには自分の背丈を超える水深と流れある川を前に、心構えをしてから飛ぼうと思っていた俺を、秋兄は予告なく突き落とした。
あまりの驚きに、その日一日口をきかなかった記憶までばっちりと残っている。
海斗も同じことをやられ、そのあとは延々と泣いていた。
少なくとも、小さかった俺たちにはそれくらい勇気のいる遊びだったわけで……。
「俺、あんまりいい思い出はないっぽいけど?」
「嘘だろ? サバイバルゲームはかなりはまってたじゃんか」
あぁ、あれは確かに楽しかったけど……。
二チームに分かれて作戦練って、人の裏をかく――
ドンピシャリで蛍光塗料入りの玉が当たると、その部分が発光し余計に狙いやすくなる。
そんなことを思い出していると、
「俺は楽しかったなぁ……」
秋兄はしみじみと口にした。
「ここにいる間は人の目を気にする必要はなかったし、何もかも忘れて開放された気分になれた」
そのあとも延々と幼いころの話や中等部のころの話を話していた。
俺と話をしたいと言っていたけど、ただ単に秋兄が俺に話をしたいだけの間違いだと思う。
……別にかまわないけど。
「質問、こんなに釣ってどうするつもり?」
意外なもので、素人ふたりだというのに、すでに二十匹近く釣れていた。
「昼に食べて少し稲荷さんたちに残して、あとは持って帰って真白さんところかな?」
「あっそ……」
少し沈黙してから、
「なぁ……翠葉ちゃん、具合どう?」
「……今は比較的落ち着いてる。入院前に比べたら雲泥の差」
「そっか……取り乱したりしてない?」
「してない。なんか、記憶をなくす前よりも元気っていうか、積極的っていうか、驚かされることが多い」
「そっか……」
秋兄は会いたいとは言わない。けど、ひしひしと伝わってくる想いはただひとつ――「会いたい」だ。
翠は出来事を聞いたからといって思い出すことはないといっていた。ならば、秋兄を会わせても問題はないんじゃないだろうか。
帰ったら――帰ったら訊いてみよう。秋兄に会わないか、と――
「坊ちゃん方! お昼の用意が整いましたので、気をつけてお戻りください」
岸辺から稲荷さんに声をかけられ、川の中をずぶずぶと歩きながら戻る。
テーブルなどがセッティングされている場に着くと、焼きとうもろこしのいい匂いがした。
食材は程よく火が通っており、あとは釣ってきた魚を焼くだけ。
一枚のトレイを手に取り、端から一品ずつ取り分ける。
その場を離れようとすると、「どこへ行く?」と秋兄に声をかけられた。
「木陰にいる奇特な人に差し入れ」
「あ、そう」
それ以上何を説明する必要もなく、目星をつけていたあたりへと足を向けた。
「支倉さん」
声をかけると、木陰からひょっこりと顔を覗かせる。
「よくわかりましたねぇ?」
「視線でだいたいの場所はわかる。それに、盗み見ではなく堂々と見てたでしょ」
呆れたふうに口にすると、
「いやはや恐れ入りました」
と、変にかしこまるから調子が狂う。
「これ、良かったらどうぞ」
「えええええっ!? いただいてしまってよろしいのですかっ!?」
「手当てと服の礼」
「司様は律儀ですねぇ」
言いながらトレイを受け取った。
「静さんから連絡あったと思うけど――」
「えぇ、お帰りは三時半ですね」
「そういうことでよろしく」
バーベキューを終えると、秋兄の気は一通り済んだようだった。
普段モグラ生活の人間も、山で一日外にいると世間一般人並みに焼けるらしい。しかし、俺も秋兄も、一目で焼けたとわかる状態だ。
帰りの車の中では消毒薬を塗らなくてはいけないだろう。
片づけを済ませ別荘に戻ってくると二時を回ったところだった。
軽くシャワーを浴びてから別荘の外に出た。
秋兄の前で翠に電話するのは気が引けたから。
山道を散策できるルートを歩きながらコールする。
病院へかけた電話はすぐにつながり、代表電話から九階に取り次いでもらえた。
『もしもし、お電話代わりました神崎です』
「司です」
『あら、司くん。病院に電話なんて珍しいわね?』
「翠の具合はどうですか?」
『落ち着いているわ。ちょっと待ってね、呼んでくるから』
そう言うと、携帯にはオルゴールの音色で「星に願いを」が流れてくる。
ふと、翠の誕生会を思い出す。
翠のピアノと茜先輩の歌――その前の演奏は、聴いているこっちがつらくなるようなものだった。けれども、最後の演奏はすごく嬉しそうに、楽しそうに見えた。
帰ったら、またその笑顔が見られるだろうか。
そんなことを思い出していると、知らない声が携帯から聞こえてきた。
『もう、話せる。俺はナースセンターにいる』
『先生、ありがとうございますっ』
『だから……電話もうつながってんぞ?』
その言葉のあと、少ししてから「ツカサ……?」とこちらをうかがうような声がした。
「翠? ……何、今の会話」
『あ、えと……なんでもないの』
目の前にいたら、間違いなく引きつり笑いしていそうな声だった。
「翠のなんでもないとか大丈夫って言葉ほど当てにならないものはないって言わなかったか?」
かなり何度も言ってきたけれど、そのうちの大半は覚えていないんだよな……。
ひとつため息をつき、
「とりあえず、昨日は悪い。これからそっちに帰るから」
『猫さん見つかったって静さんから連絡あったの』
「それ、犬の間違いだから……」
沈黙に付加して想像するのは右に傾げている翠の顔。
「いや、深く考えなくていいけど」
むしろ考えなくていい。
『ツカサ、疲れてると思うから、今日は来ないでね?』
なんでこういうところばかり勘が働くんだか……。もっと違うところで勘を働かせろ、と言いたいのを抑え、
「なんていうか……とりあえず顔を見て安心したいんだけど。それから、話したいこともある」
秋兄のことを――会ってみないか、と訊きたい。
『でも、私は別に今日退院できるわけじゃないし、ここ病院だし、明日もいるし……』
こういうときに限って食い下がる……。
「高速を走ってる三時間は寝られる」
『……そういうの、休んだとは言わないと思うよ?』
「俺の身体は翠の身体とは出来が違う」
さて、最近の気が強い翠からはどんな返事があるものか……。
『それはまた……人が気にしていることをさらっと言うよねっ?』
くっ、噛み付かれた。
以前なら黙りこんだんじゃないだろうか。それがこんな返事をするようになった。
翠は翠で、何かしら変わり始めているのかもしれない。
そんな小さな変化をひとつひとつ近くで見ていられることを嬉しいと思う。
「本当に元気だな」
『……元気だよ。でも、別に脱走とか企てないし……』
脱走、ね……。
「やってみてもいいんじゃない? たぶん、院内で捕獲されるのがオチだと思うけど」
『もうっ、人が心配してるのに本当にひどいっ』
そっか……。俺、心配されてたんだ?
「夕方過ぎにはなるけど、八時までには行くから」
『だからっ、来なくていいっっっ』
こんな翠を見たら、秋兄はなんて思うんだろうな。
そんなことを考えながら、
「はいはい。じゃ、またあとで」
竿から釣り糸をぶら下げるだけで魚が釣れるのだから、バカな魚がいたものだ。
俺は岩の上から、秋兄は川の中に入ったり、俺の裏側に座っていたり、あちこちに場所を移す。
秋兄らしからぬアクティブさに、見ているこっちは気味が悪くて仕方がない。
「森の中に人――」
背後から、秋兄の少し硬い声が聞こえてきた。でも、その人物には俺も気づいていつつ放置していた。
視線の主が誰だかわかっているからだ。
「それ、ゼロ課の支倉って人だから問題ない。秋兄の脱走を阻止する任務についてる奇特な人」
「なんだそれ……。奇特すぎるだろ?」
秋兄が言うなよ……。
「あ、また釣れた」
秋兄は嬉しそうに魚を手にしていた。
「昔はここで海斗とかとサバイバルゲームしたよな。川遊びもしたし、大きな岩からの飛び込みも。楽しかったな」
「……俺は誰に突き落とされたんだっけ?」
言いながら秋兄の背に寄りかかると、秋兄は嬉しそうに笑って「俺だっけ?」と答えた。
「だってさ、ずっと水面見たまま動かないから飛び降りる手伝いをしてやったんだよ」
岩から水面までは自分の背丈の倍以上の高さがあり、さらには自分の背丈を超える水深と流れある川を前に、心構えをしてから飛ぼうと思っていた俺を、秋兄は予告なく突き落とした。
あまりの驚きに、その日一日口をきかなかった記憶までばっちりと残っている。
海斗も同じことをやられ、そのあとは延々と泣いていた。
少なくとも、小さかった俺たちにはそれくらい勇気のいる遊びだったわけで……。
「俺、あんまりいい思い出はないっぽいけど?」
「嘘だろ? サバイバルゲームはかなりはまってたじゃんか」
あぁ、あれは確かに楽しかったけど……。
二チームに分かれて作戦練って、人の裏をかく――
ドンピシャリで蛍光塗料入りの玉が当たると、その部分が発光し余計に狙いやすくなる。
そんなことを思い出していると、
「俺は楽しかったなぁ……」
秋兄はしみじみと口にした。
「ここにいる間は人の目を気にする必要はなかったし、何もかも忘れて開放された気分になれた」
そのあとも延々と幼いころの話や中等部のころの話を話していた。
俺と話をしたいと言っていたけど、ただ単に秋兄が俺に話をしたいだけの間違いだと思う。
……別にかまわないけど。
「質問、こんなに釣ってどうするつもり?」
意外なもので、素人ふたりだというのに、すでに二十匹近く釣れていた。
「昼に食べて少し稲荷さんたちに残して、あとは持って帰って真白さんところかな?」
「あっそ……」
少し沈黙してから、
「なぁ……翠葉ちゃん、具合どう?」
「……今は比較的落ち着いてる。入院前に比べたら雲泥の差」
「そっか……取り乱したりしてない?」
「してない。なんか、記憶をなくす前よりも元気っていうか、積極的っていうか、驚かされることが多い」
「そっか……」
秋兄は会いたいとは言わない。けど、ひしひしと伝わってくる想いはただひとつ――「会いたい」だ。
翠は出来事を聞いたからといって思い出すことはないといっていた。ならば、秋兄を会わせても問題はないんじゃないだろうか。
帰ったら――帰ったら訊いてみよう。秋兄に会わないか、と――
「坊ちゃん方! お昼の用意が整いましたので、気をつけてお戻りください」
岸辺から稲荷さんに声をかけられ、川の中をずぶずぶと歩きながら戻る。
テーブルなどがセッティングされている場に着くと、焼きとうもろこしのいい匂いがした。
食材は程よく火が通っており、あとは釣ってきた魚を焼くだけ。
一枚のトレイを手に取り、端から一品ずつ取り分ける。
その場を離れようとすると、「どこへ行く?」と秋兄に声をかけられた。
「木陰にいる奇特な人に差し入れ」
「あ、そう」
それ以上何を説明する必要もなく、目星をつけていたあたりへと足を向けた。
「支倉さん」
声をかけると、木陰からひょっこりと顔を覗かせる。
「よくわかりましたねぇ?」
「視線でだいたいの場所はわかる。それに、盗み見ではなく堂々と見てたでしょ」
呆れたふうに口にすると、
「いやはや恐れ入りました」
と、変にかしこまるから調子が狂う。
「これ、良かったらどうぞ」
「えええええっ!? いただいてしまってよろしいのですかっ!?」
「手当てと服の礼」
「司様は律儀ですねぇ」
言いながらトレイを受け取った。
「静さんから連絡あったと思うけど――」
「えぇ、お帰りは三時半ですね」
「そういうことでよろしく」
バーベキューを終えると、秋兄の気は一通り済んだようだった。
普段モグラ生活の人間も、山で一日外にいると世間一般人並みに焼けるらしい。しかし、俺も秋兄も、一目で焼けたとわかる状態だ。
帰りの車の中では消毒薬を塗らなくてはいけないだろう。
片づけを済ませ別荘に戻ってくると二時を回ったところだった。
軽くシャワーを浴びてから別荘の外に出た。
秋兄の前で翠に電話するのは気が引けたから。
山道を散策できるルートを歩きながらコールする。
病院へかけた電話はすぐにつながり、代表電話から九階に取り次いでもらえた。
『もしもし、お電話代わりました神崎です』
「司です」
『あら、司くん。病院に電話なんて珍しいわね?』
「翠の具合はどうですか?」
『落ち着いているわ。ちょっと待ってね、呼んでくるから』
そう言うと、携帯にはオルゴールの音色で「星に願いを」が流れてくる。
ふと、翠の誕生会を思い出す。
翠のピアノと茜先輩の歌――その前の演奏は、聴いているこっちがつらくなるようなものだった。けれども、最後の演奏はすごく嬉しそうに、楽しそうに見えた。
帰ったら、またその笑顔が見られるだろうか。
そんなことを思い出していると、知らない声が携帯から聞こえてきた。
『もう、話せる。俺はナースセンターにいる』
『先生、ありがとうございますっ』
『だから……電話もうつながってんぞ?』
その言葉のあと、少ししてから「ツカサ……?」とこちらをうかがうような声がした。
「翠? ……何、今の会話」
『あ、えと……なんでもないの』
目の前にいたら、間違いなく引きつり笑いしていそうな声だった。
「翠のなんでもないとか大丈夫って言葉ほど当てにならないものはないって言わなかったか?」
かなり何度も言ってきたけれど、そのうちの大半は覚えていないんだよな……。
ひとつため息をつき、
「とりあえず、昨日は悪い。これからそっちに帰るから」
『猫さん見つかったって静さんから連絡あったの』
「それ、犬の間違いだから……」
沈黙に付加して想像するのは右に傾げている翠の顔。
「いや、深く考えなくていいけど」
むしろ考えなくていい。
『ツカサ、疲れてると思うから、今日は来ないでね?』
なんでこういうところばかり勘が働くんだか……。もっと違うところで勘を働かせろ、と言いたいのを抑え、
「なんていうか……とりあえず顔を見て安心したいんだけど。それから、話したいこともある」
秋兄のことを――会ってみないか、と訊きたい。
『でも、私は別に今日退院できるわけじゃないし、ここ病院だし、明日もいるし……』
こういうときに限って食い下がる……。
「高速を走ってる三時間は寝られる」
『……そういうの、休んだとは言わないと思うよ?』
「俺の身体は翠の身体とは出来が違う」
さて、最近の気が強い翠からはどんな返事があるものか……。
『それはまた……人が気にしていることをさらっと言うよねっ?』
くっ、噛み付かれた。
以前なら黙りこんだんじゃないだろうか。それがこんな返事をするようになった。
翠は翠で、何かしら変わり始めているのかもしれない。
そんな小さな変化をひとつひとつ近くで見ていられることを嬉しいと思う。
「本当に元気だな」
『……元気だよ。でも、別に脱走とか企てないし……』
脱走、ね……。
「やってみてもいいんじゃない? たぶん、院内で捕獲されるのがオチだと思うけど」
『もうっ、人が心配してるのに本当にひどいっ』
そっか……。俺、心配されてたんだ?
「夕方過ぎにはなるけど、八時までには行くから」
『だからっ、来なくていいっっっ』
こんな翠を見たら、秋兄はなんて思うんだろうな。
そんなことを考えながら、
「はいはい。じゃ、またあとで」
5
あなたにおすすめの小説
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる