495 / 1,060
Side View Story 10
25~28 Side 司 03話
しおりを挟む
「俺が病室に入ったら抱きつかれた」
翠は瞬時に赤面した。けど、別に脚色などしてはいない。
「誇張表現はしていない。五分くらいしたら落ち着いて、すぐにベッドへ上がらせた。病室にカメラを設置する話をしたのはこのとき。秋兄が翠に変なことができないように監視――遠まわしに言っても翠には伝わらないと思ったから、ストレートに強姦されることがないように監視って、そう伝えたのは俺だ」
たぶん、引き金を引いたのは俺だと思う。
「きっとそのあとね、私が病室へ来たのは。御園生さんは、司くんが静さんに連絡したと勘違いしていたから、私が前の晩に連絡を入れたことを話したわ。その直後よ……」
「翠が『消えたい』と口にした」
「そのあとは私たちの声は届いていなかったわ」
藤原さんが淡々と話し始めたのは、あの日翠が――翠が壊れる直前に口にした言葉たち。
コンナコトノゾンデイナカッタノニ。ミナトセンセイヤアキトサンタチモノスゴクナカガヨクテ、ツカサトダッテナカガヨカッタノニ、ドウシテコンナ、モウヤダ――
頭が割れそうだ……。でも、俺の役割はまだ残っている。
「両耳を塞いで俺たちをシャットアウトした直後――」
言葉に詰まると、先を藤原さんが続けてくれた。
「御園生さん、あなたは自分でIVHも点滴も引き抜いたのよ」
見るも無残な地獄絵図――
「そのまま不整脈を起こしてベッドの上で倒れた」
恐る恐る翠を見れば、翠は自分の両腕をぎゅっと掴み小さく震えていた。視線が合うと、怯えた瞳で謝罪の言葉を口にする。ほぼ反射的に。
「それしか言えないわけ?」
「坊主、やめとけや」
あんたが言わせているようなものだろ?
そうは思うけど、たぶん相馬さんがいなくても言っていただろう。
「俺、帰ります」
誰に引き止められても帰るつもりだった。でも、誰にも止められることはなかった。
足早に廊下を突っ切り、単調にセキュリティをパスしていく。全部のドアを通過し十階に停まったままだったエレベーターに乗り込むと、ノンストップで一階まで降りた。
エレベーターを降り通用口へ向かって歩くと、歩みを進めるたびに湿気を帯びた生温かい空気が肌に絡みだす。
いつもなら気持ち悪いと感じるはずのものなのに、妙に心地がいいと思った。
プールから上がってバスタオルに包まれるような、そんな感覚。キンキンに冷えた頭を安心して預けられるような安息感。じわりじわり――飽和しきった空気に身を委ねたいと思う。
自転車――
視界の隅に自分の自転車を捉えるものの、どうしてかそれが歪んで見える。まるで陽炎のようだった。
地面が熱を持っているからなのか、それとも――
「俺、疲れているのか……?」
メガネを外し、少しだけ目を擦る。
さっきから視野がおかしくなること数回。メガネのせいなのか、だから頭痛がひどいのか……。
通用口の脇に水道を見つけ、そこで顔を洗った。しかし、蛇口から放出されたのはお湯に近い液体だった。
「とりあえず、帰ろう……」
家までの道は上り坂。たいした距離はないのに、今の自分にはかなり険しい道のりに思えた。
いつもより時間をかけて帰宅すると、庭先で母さんが花に水遣りをしていた。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「司……?」
「何?」
「ううん……ご飯まであと三十分くらいなんだけど」
「先にシャワー浴びてくる」
「じゃ、上がったらご飯にしましょうね」
その言葉に頷き、一度部屋に戻って着替えを持ってから一階のバスルームへ向かった。
「今日は湯に浸かろう……」
先にバスタブに湯を張ろうと思いコックを捻ると、出ると思っていた場所とは別の場所から放水される。
ツール選択がシャワーになったままだったため、ものの見事に頭から水をかぶった。
「俺、大丈夫か……?」
豪快に水を受けてその場に座り込む。
「こんなことしばらくやってなかったのに……」
一度コックを閉めてからはっとする。
「……ものすごく大丈夫じゃない気がする」
珍しく胸元に入れていた携帯を取り出しそう思う。
でも、最悪なりにも救いはあり、だろうか。
病院を出てから電源は入れていない。つまり、起動しなければ通電することはないはず……。
明日にでもショップに持っていって修理に出そう。それが懸命だ。
昨夜は夕飯を食べてすぐに寝た。
時計を見ればすでに八時を回っている。
いつもなら目覚ましが鳴らなくても六時前には目が覚めるのに……。いつもより数時間長く寝るだけでこんなにも身体が重くなるものか?
ついでに頭痛もまだ治まってはいない。
朝食を食べたらサプリメントでも飲もう。そう考えた矢先、身体の異変に気づく。
……身体が起こせないって何?
直後、喉の異変にも気づき声を出そうとしたら咳が出た。
まずい――声が出ないって……風邪か!?
自分の額に手を当てるも、温度などまったくわからない。
八時じゃ父さんは出勤しているし……。
できることならあと一時間早く起きたかった。
……でも、起きられたところでどうできる気もしない。
声は出ないし身体も起こせない。
窓際に干してある携帯に目をやったものの、あれを通電するわけにはいかない、という結論に落ち着く。
携帯さえ使えればメールという手段が取れたものを……。ほかにメールといえばノートパソコンがあるわけだけど、身体が起こせない時点で使用圏外決定。
さすがに十時を過ぎれば母さんが起こしに来るだろう。
すごくまずい気がする……。でも、申し訳ないくらいに頭が働かない。
気づけば俺はまた眠りに落ちていた。
「司、入るわよ?」
入る……どこに……? あ――
「ゴホッ、ゴホゴホッ――」
声を発しようとしたら咳が出た。
「司っ!?」
母さんがドアを開け駆け寄ろうとしていた。
「(来るなっ)」
目と読唇術を使って伝えると、母さんはむっとした顔でずんずんと寄ってくる。
「風邪?」
額に置かれた手が冷たくて気持ちよかった。
「やだ、すごい熱っ――」
「(だから、この部屋から出て。今すぐ出て)」
俺の意思は伝わっている。しかし、
「私は母親、司は子ども。いい?」
当たり前のことを自信満々に宣言され、部屋の子機を手に取ると、母さんはどこへかけるか逡巡し始めた。
「今日は涼さん忙しいのよね……。かといって楓のシフトまではチェックしていないし……。あ、湊ちゃんなら大丈夫ね」
いや、その人だけはやめて……。
こちらに背を向けている母さんに意思を伝えられるわけがなく、あえなく断念。
熱ってこんなにだるくなるものだったか?
久しぶりすぎてよくわからない。
ただ寝ているだけなのに息が切れる。
熱、いったい何度あるんだか……。
「湊ちゃん? 司が熱を出しているの。――声も出ないみたい。疲れているんだろうと思って寝かせていたのだけど、実は発熱で起きられなかったみたいで。――えぇ、氷嚢だけしたら部屋から出るわ。じゃ、お願いね」
……姉さんにもこの部屋から出るように言われたか。ならいい……。
俺が風邪をひく分には問題ないけど、母さんが風邪をひくと長引く。ゆえに、「風邪の人間母に近寄るべからず」という暗黙のルールがうちにはある。……にも関わらず、風邪を持ち込んだ俺は父さんに睨まれることを避けられそうにはない。
ついてない……。とことんついてない。
母さんが俺の様子を見にきたのが十時で今は十一時。すでに姉さんが来ている。
「司が熱なんて珍しいわね? 四十度よ? 四十度。これで癌細胞も死滅よ。ついでに脳細胞もいくらか死ぬわね」
姉さんは言いながらくつくつと笑う。
腕には点滴が刺さっており、珍しく、自分の血液ではないものがそこを流れていた。
冷たい液体が少しずつ体内に流れ込んできている。
不覚――こんなのは十年ぶりくらいだと思う。
「点滴にはビタミンも解熱剤も入れてある。ま、ゆっくり休むのね」
「(悪い)」
「くっ、見事に声まで出ないっていうのが笑えるわ」
俺と同じ顔がケラケラと笑う様が気に食わない。
「あんたらしくないわね? いつもなら風邪をひきそうなときや風邪のひき始めはうちに退避するのに」
気づけなかったとは口が裂けても言いたくなかった。
「あんたのその携帯は飾りもの? 不調に気づいたら、お母様をこの部屋に入れる前にメールくらいよこしなさいよ」
あぁ、そうだった……。
「つか……ない。すいぼ……」
なんとか声を出せてもこの様だ。
「くっ、何? もしかして水没させたの?」
目尻に涙を滲ませ訊いてくる。
くそっ――もう、煮るなり焼くなり好きにしてくれ。
「だから防水のに機種変すればって言ったのに」
うるさい……。
じとりと睨むと、
「はいはい、あとで機種変してきてあげるわよ。じゃ、私は昼ご飯の用意を手伝ってくるわ」
短時間だというのに、喋れないことがかなり苦痛だった。
次に熱を出すときは声だけは死守したい。
冷房は二十八度設定。窓が少しだけ開いている。
そんな環境下にいるにも関わらず、やたらと熱い……。
熱を下げるために、頭に氷嚢、腹部と脇には冷却シートを貼られた。
翠はこういう発熱を年に何度出すのだろう……。
俺は発熱して喉をやられるくらいだけど、翠は必ず胃腸にくるといっていた。
嘔吐が始まると水すら飲めず、薬の投与が注射か点滴になると――
俺よりも体力のない人間が、俺よりもひどい風邪を何度もひく。俺よりも気をつけて生活している人間が、俺よりも簡単に発熱する。
何もかもが不公平すぎる――
翠は瞬時に赤面した。けど、別に脚色などしてはいない。
「誇張表現はしていない。五分くらいしたら落ち着いて、すぐにベッドへ上がらせた。病室にカメラを設置する話をしたのはこのとき。秋兄が翠に変なことができないように監視――遠まわしに言っても翠には伝わらないと思ったから、ストレートに強姦されることがないように監視って、そう伝えたのは俺だ」
たぶん、引き金を引いたのは俺だと思う。
「きっとそのあとね、私が病室へ来たのは。御園生さんは、司くんが静さんに連絡したと勘違いしていたから、私が前の晩に連絡を入れたことを話したわ。その直後よ……」
「翠が『消えたい』と口にした」
「そのあとは私たちの声は届いていなかったわ」
藤原さんが淡々と話し始めたのは、あの日翠が――翠が壊れる直前に口にした言葉たち。
コンナコトノゾンデイナカッタノニ。ミナトセンセイヤアキトサンタチモノスゴクナカガヨクテ、ツカサトダッテナカガヨカッタノニ、ドウシテコンナ、モウヤダ――
頭が割れそうだ……。でも、俺の役割はまだ残っている。
「両耳を塞いで俺たちをシャットアウトした直後――」
言葉に詰まると、先を藤原さんが続けてくれた。
「御園生さん、あなたは自分でIVHも点滴も引き抜いたのよ」
見るも無残な地獄絵図――
「そのまま不整脈を起こしてベッドの上で倒れた」
恐る恐る翠を見れば、翠は自分の両腕をぎゅっと掴み小さく震えていた。視線が合うと、怯えた瞳で謝罪の言葉を口にする。ほぼ反射的に。
「それしか言えないわけ?」
「坊主、やめとけや」
あんたが言わせているようなものだろ?
そうは思うけど、たぶん相馬さんがいなくても言っていただろう。
「俺、帰ります」
誰に引き止められても帰るつもりだった。でも、誰にも止められることはなかった。
足早に廊下を突っ切り、単調にセキュリティをパスしていく。全部のドアを通過し十階に停まったままだったエレベーターに乗り込むと、ノンストップで一階まで降りた。
エレベーターを降り通用口へ向かって歩くと、歩みを進めるたびに湿気を帯びた生温かい空気が肌に絡みだす。
いつもなら気持ち悪いと感じるはずのものなのに、妙に心地がいいと思った。
プールから上がってバスタオルに包まれるような、そんな感覚。キンキンに冷えた頭を安心して預けられるような安息感。じわりじわり――飽和しきった空気に身を委ねたいと思う。
自転車――
視界の隅に自分の自転車を捉えるものの、どうしてかそれが歪んで見える。まるで陽炎のようだった。
地面が熱を持っているからなのか、それとも――
「俺、疲れているのか……?」
メガネを外し、少しだけ目を擦る。
さっきから視野がおかしくなること数回。メガネのせいなのか、だから頭痛がひどいのか……。
通用口の脇に水道を見つけ、そこで顔を洗った。しかし、蛇口から放出されたのはお湯に近い液体だった。
「とりあえず、帰ろう……」
家までの道は上り坂。たいした距離はないのに、今の自分にはかなり険しい道のりに思えた。
いつもより時間をかけて帰宅すると、庭先で母さんが花に水遣りをしていた。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「司……?」
「何?」
「ううん……ご飯まであと三十分くらいなんだけど」
「先にシャワー浴びてくる」
「じゃ、上がったらご飯にしましょうね」
その言葉に頷き、一度部屋に戻って着替えを持ってから一階のバスルームへ向かった。
「今日は湯に浸かろう……」
先にバスタブに湯を張ろうと思いコックを捻ると、出ると思っていた場所とは別の場所から放水される。
ツール選択がシャワーになったままだったため、ものの見事に頭から水をかぶった。
「俺、大丈夫か……?」
豪快に水を受けてその場に座り込む。
「こんなことしばらくやってなかったのに……」
一度コックを閉めてからはっとする。
「……ものすごく大丈夫じゃない気がする」
珍しく胸元に入れていた携帯を取り出しそう思う。
でも、最悪なりにも救いはあり、だろうか。
病院を出てから電源は入れていない。つまり、起動しなければ通電することはないはず……。
明日にでもショップに持っていって修理に出そう。それが懸命だ。
昨夜は夕飯を食べてすぐに寝た。
時計を見ればすでに八時を回っている。
いつもなら目覚ましが鳴らなくても六時前には目が覚めるのに……。いつもより数時間長く寝るだけでこんなにも身体が重くなるものか?
ついでに頭痛もまだ治まってはいない。
朝食を食べたらサプリメントでも飲もう。そう考えた矢先、身体の異変に気づく。
……身体が起こせないって何?
直後、喉の異変にも気づき声を出そうとしたら咳が出た。
まずい――声が出ないって……風邪か!?
自分の額に手を当てるも、温度などまったくわからない。
八時じゃ父さんは出勤しているし……。
できることならあと一時間早く起きたかった。
……でも、起きられたところでどうできる気もしない。
声は出ないし身体も起こせない。
窓際に干してある携帯に目をやったものの、あれを通電するわけにはいかない、という結論に落ち着く。
携帯さえ使えればメールという手段が取れたものを……。ほかにメールといえばノートパソコンがあるわけだけど、身体が起こせない時点で使用圏外決定。
さすがに十時を過ぎれば母さんが起こしに来るだろう。
すごくまずい気がする……。でも、申し訳ないくらいに頭が働かない。
気づけば俺はまた眠りに落ちていた。
「司、入るわよ?」
入る……どこに……? あ――
「ゴホッ、ゴホゴホッ――」
声を発しようとしたら咳が出た。
「司っ!?」
母さんがドアを開け駆け寄ろうとしていた。
「(来るなっ)」
目と読唇術を使って伝えると、母さんはむっとした顔でずんずんと寄ってくる。
「風邪?」
額に置かれた手が冷たくて気持ちよかった。
「やだ、すごい熱っ――」
「(だから、この部屋から出て。今すぐ出て)」
俺の意思は伝わっている。しかし、
「私は母親、司は子ども。いい?」
当たり前のことを自信満々に宣言され、部屋の子機を手に取ると、母さんはどこへかけるか逡巡し始めた。
「今日は涼さん忙しいのよね……。かといって楓のシフトまではチェックしていないし……。あ、湊ちゃんなら大丈夫ね」
いや、その人だけはやめて……。
こちらに背を向けている母さんに意思を伝えられるわけがなく、あえなく断念。
熱ってこんなにだるくなるものだったか?
久しぶりすぎてよくわからない。
ただ寝ているだけなのに息が切れる。
熱、いったい何度あるんだか……。
「湊ちゃん? 司が熱を出しているの。――声も出ないみたい。疲れているんだろうと思って寝かせていたのだけど、実は発熱で起きられなかったみたいで。――えぇ、氷嚢だけしたら部屋から出るわ。じゃ、お願いね」
……姉さんにもこの部屋から出るように言われたか。ならいい……。
俺が風邪をひく分には問題ないけど、母さんが風邪をひくと長引く。ゆえに、「風邪の人間母に近寄るべからず」という暗黙のルールがうちにはある。……にも関わらず、風邪を持ち込んだ俺は父さんに睨まれることを避けられそうにはない。
ついてない……。とことんついてない。
母さんが俺の様子を見にきたのが十時で今は十一時。すでに姉さんが来ている。
「司が熱なんて珍しいわね? 四十度よ? 四十度。これで癌細胞も死滅よ。ついでに脳細胞もいくらか死ぬわね」
姉さんは言いながらくつくつと笑う。
腕には点滴が刺さっており、珍しく、自分の血液ではないものがそこを流れていた。
冷たい液体が少しずつ体内に流れ込んできている。
不覚――こんなのは十年ぶりくらいだと思う。
「点滴にはビタミンも解熱剤も入れてある。ま、ゆっくり休むのね」
「(悪い)」
「くっ、見事に声まで出ないっていうのが笑えるわ」
俺と同じ顔がケラケラと笑う様が気に食わない。
「あんたらしくないわね? いつもなら風邪をひきそうなときや風邪のひき始めはうちに退避するのに」
気づけなかったとは口が裂けても言いたくなかった。
「あんたのその携帯は飾りもの? 不調に気づいたら、お母様をこの部屋に入れる前にメールくらいよこしなさいよ」
あぁ、そうだった……。
「つか……ない。すいぼ……」
なんとか声を出せてもこの様だ。
「くっ、何? もしかして水没させたの?」
目尻に涙を滲ませ訊いてくる。
くそっ――もう、煮るなり焼くなり好きにしてくれ。
「だから防水のに機種変すればって言ったのに」
うるさい……。
じとりと睨むと、
「はいはい、あとで機種変してきてあげるわよ。じゃ、私は昼ご飯の用意を手伝ってくるわ」
短時間だというのに、喋れないことがかなり苦痛だった。
次に熱を出すときは声だけは死守したい。
冷房は二十八度設定。窓が少しだけ開いている。
そんな環境下にいるにも関わらず、やたらと熱い……。
熱を下げるために、頭に氷嚢、腹部と脇には冷却シートを貼られた。
翠はこういう発熱を年に何度出すのだろう……。
俺は発熱して喉をやられるくらいだけど、翠は必ず胃腸にくるといっていた。
嘔吐が始まると水すら飲めず、薬の投与が注射か点滴になると――
俺よりも体力のない人間が、俺よりもひどい風邪を何度もひく。俺よりも気をつけて生活している人間が、俺よりも簡単に発熱する。
何もかもが不公平すぎる――
5
あなたにおすすめの小説
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる