709 / 1,060
第十三章 紅葉祭
07話
しおりを挟む
準備が整った教室にクラスメイト全員が揃う。
紅葉祭がスタートすればこの顔が全部揃うのは難しい。
「じゃ、まずは記念撮影とまいりましょうか!」
空太くんの提案に、海斗くんがすぐに動く。
廊下に顔を出し、ちょうどそこを通り過ぎた人を捕まえた。
「聖司! 悪いんだけど写真撮って!」
「おぉ?」
その人は教室をざっと見回すと、私に目を留めた。
「姫っ! 何その格好っ、超かわいい! 海斗、ツーショット写真撮ってよ!」
「聖司、落ち着け……。おまえはとりあえずうちのクラスの集合写真を撮れ」
空太くんがその人の肩に手を置き諭すのも聞かず、「セイジ」と呼ばれた人は私に向かって足を繰り出す。
私は近づかれるたびに一歩ずつ後退。
格好も格好だから、誰かの後ろに隠れたくなる。
裾をきゅっと掴んで下を向くと、数歩離れたところから、
「逃げなくてもいーじゃん」
ちょっと不機嫌そうな声で言われた。
そのすぐあと、その人は肩越しに空太くんを振り返り、
「意味わかった」
「でしょ? だから、あまり無茶しないでほしいんだけど」
空太くんが私とその人の間に入ると、壁が一枚できたみたいな安心感があった。
胸を撫で下ろす私を見たクラスメイトは、私の肩に手をかけたり、頭をポンポンと叩きながらくつくつと笑いだす。
「いい傾向いい傾向」
「っていうか、俺ら今すんごい優越感でいっぱいだし」
男子が口々に言う。
「……どうして?」
尋ねてみたけれど、誰も詳しい説明はしてくれない。
苦笑を貼り付けた空太くんが、
「翠葉ちゃんはそれでいいと思うよ。クラス以外の人間にはそのうち慣れればいい」
「じゃ、撮るよー!」
セイジと呼ばれた人は海斗くんからデジカメを受け取り、最初に一言だけ掛け声を発した。
そのあとは何も掛け声なしでシャッターを何枚か切る。
カメラを向けられるのは苦手だけど、掛け声がないと意外と大丈夫かもしれないと思った。
「姫、またね!」
写真を撮ってくれた人は、片手を上げてクラスを出ていった。
「あいつ、テニス部の進藤聖司。入学当初から翠葉ちゃんのことかわいいかわいいって騒いでる人間」
空太くんの説明にどう反応しようか考えていると海斗くんが会話に加わる。
「悪いやつじゃないよ。ノリ的には千里と似た感じ」
「……サザナミくんと同じ?」
しばし回想。サザナミくんと出逢ったころのことを思い出す。
名前が覚えられない、顔が覚えられない。ついでに、側に来られるのが苦手だった。
でも今は――?
今は大丈夫。苦手じゃないし普通に話せる。けど――
「時間はかかるかも……」
情けない声を漏らすと、桃華さんに軽く小突かれた。
「それが翠葉でしょ? 翠葉の手に負えない人間くらい私がどうにかしてあげるわよ」
すごく頼もしい言葉だけど、それではまた守られてしまう……。
「簾条、あまり過保護なのはどうかと思う。御園生、慣れだよ、慣れ。今は知らないやつに挨拶されても意外と普通に返せてるじゃん」
佐野くんに言われて、「そういえば」と思う。
さらには、すっかりと忘れていることを思い出した。
「佐野くん、蒼兄からプレゼント預かっているの」
出がけに渡された手提げ袋から自分の分を取り出し手提げ袋ごと渡すと、佐野くんは感涙するほどに喜んでくれた。
この場にいるクラスメイトは蒼兄と佐野くんの関係を知らない。
たいそう不思議そうな顔をしているクラスメイトに、
「御園生蒼樹さんって、俺の憧れのスプリンターなんだっ!」
佐野くんが蒼兄の話を始めると長い……。
クラスメイトは饒舌に語る佐野くんを物珍しそうに見ていて、その隣にいた私は嬉しいやら恥ずかしいやら、奇妙な気分だった。
でも、「憧れの人」と胸を張って自分の兄を慕われるのはとても嬉しい。
こんなことがなくても自慢の兄だけれど、こんなふうに話してくれる人がいるともっと誇らしい気持ちになる。
こういうのを優越感っていうのかな?
新しい感情に名前をつけては佐野くんに追加情報を促す。
「佐野くん、蒼兄はたぶん朝一でうちのクラスに来るよ」
「マジでっ!?」
そう言ったあとはしばらくフリーズしていて、そのあとは忙しなく動きだす。
どちらかというと、落ち着いた人に分類される佐野くんの、こんな姿はちょっと新鮮。
そんな佐野くんを香乃子ちゃんがにこにこと見ていて、そんな光景も微笑ましく思えた。
あと十分もしたら紅葉祭がスタートする、そんなときだった。
「翠葉、ちょっといい?」
「え?」
ペットボトルの蓋にこめた力を緩めると、海斗くんがクラスメイトに向き直り、
「みんな悪い。数分でいいからバックヤード使わせて」
海斗くんはみんなの返事も聞かずに私の手を取り、バックヤードへと移動を始めた。
バックヤードに残っていた数人にも、「ちょっと悪い」と外に出てもらう。
いつもは人の目を見て話す海斗くんが、誰とも視線を合わせずに取った行動は明らかにおかしい。
朝、インカムの使い方を説明したときから何かおかしいとは思っていたけれど、それが露になった感じだ。
「海斗くん……?」
「安心して? 告白とかじゃないから」
笑って言うけど……なんで笑うのかな。本当は……心は笑っていないのでしょう?
そういう笑顔は見ているとつらくなる……。
「……教室に入ってきたときから何か変だったよね?」
思い切って訊いてみた。
「……本当に、俺は繕うのが下手だよなぁ」
海斗くんは頭を抱えてその場にしゃがみこむ。
いつもは見上げる人の頭が、今は私より低い位置にある。
なんだか変な感じ……。
そう思ったら自分も同じようにしゃがみこんでいた。
「何かあった?」
頭を抱えて俯いている海斗くんに声をかけると、今度は繕った笑顔ではなく、苦く歪んだ表情だった。
「翠葉、悪い……。うちの一族に巻き込むことになる」
「……え?」
「正確には、もうとっくのとうに巻き込んでた」
口を真一文字に引き結び、じっと見つめられる。
真面目な話だということはわかるのに、なんのことなのかはさっぱりわからない。
「翠葉が俺たち藤宮とつながりが強いのは、傍から見て明らかだ。それはつまり、標的になりやすいってことなんだ」
藤宮とつながりが強い人は標的になる……? な、に……? なんのこと?
「幼稚部から一緒なわけでもなく、高等部からの入学でこれだけ藤宮の人間と深く関わっている人間ともなると、狙われかねない。普段の校内ならまだしも、外部から人が入ってくるとなると話は別」
もともと座ってはいたけれど、気づけば床にお尻をついていた。そして、自分の身体を支えるように、両腕を身体の後方へつく。
なんのことかもわからないまま話を進められることに危機感を覚え、
「海斗くん、何? なんの話?」
海斗くんはす、と息を吸い込んでから口を開いた。
「ごめんな。俺たちと関わっていると身の危険に晒される可能性がある」
私はゴクリ、と唾を飲みこんだ。
「薬物と外から持ち込まれた飲食物――それだけは警備ではじけない。だから――」
海斗くんは私に合わせていた視線を逸らし、「それ」とさっき飲もうとしてやめたミネラルウォーターを指差した。
「開封済みのペットボトルや食べ物。一度でも自分が目を離したものは口にしないでほしい」
「っ……」
「本当にごめん……。薬物入れられてたら洒落にならないから。今日は色んなところで飲食物を出してるけど、俺か司が調達したもの以外は口にしないでほしい。もしくは湊ちゃんか秋兄。ほかからはもらわないで。もし、もらったとしても口にはしないでほしい。それを人にあげることも禁止」
続けざまに話すけど、それに心が伴っていないことはすぐにわかった。
このまま話し続けたら海斗くんが壊れてしまう気がして、慌てて口を挟む。
「海斗くんっ」
「本当にごめん――」
違う、謝ってほしいわけじゃない。そうじゃない――
「海斗くん……」
海斗くんは俯いてしまった。
私、遮るの遅かった……。もう少し手前で気づけたらよかったのに。
ごめんね、すぐに気づけなくて。桃華さんやツカサみたいに機転が利かなくてごめんね。
私、頭の回転はあまりいいほうじゃないの。だから、少し私のペースに合わせて話してもらってもいいかな?
紅葉祭がスタートすればこの顔が全部揃うのは難しい。
「じゃ、まずは記念撮影とまいりましょうか!」
空太くんの提案に、海斗くんがすぐに動く。
廊下に顔を出し、ちょうどそこを通り過ぎた人を捕まえた。
「聖司! 悪いんだけど写真撮って!」
「おぉ?」
その人は教室をざっと見回すと、私に目を留めた。
「姫っ! 何その格好っ、超かわいい! 海斗、ツーショット写真撮ってよ!」
「聖司、落ち着け……。おまえはとりあえずうちのクラスの集合写真を撮れ」
空太くんがその人の肩に手を置き諭すのも聞かず、「セイジ」と呼ばれた人は私に向かって足を繰り出す。
私は近づかれるたびに一歩ずつ後退。
格好も格好だから、誰かの後ろに隠れたくなる。
裾をきゅっと掴んで下を向くと、数歩離れたところから、
「逃げなくてもいーじゃん」
ちょっと不機嫌そうな声で言われた。
そのすぐあと、その人は肩越しに空太くんを振り返り、
「意味わかった」
「でしょ? だから、あまり無茶しないでほしいんだけど」
空太くんが私とその人の間に入ると、壁が一枚できたみたいな安心感があった。
胸を撫で下ろす私を見たクラスメイトは、私の肩に手をかけたり、頭をポンポンと叩きながらくつくつと笑いだす。
「いい傾向いい傾向」
「っていうか、俺ら今すんごい優越感でいっぱいだし」
男子が口々に言う。
「……どうして?」
尋ねてみたけれど、誰も詳しい説明はしてくれない。
苦笑を貼り付けた空太くんが、
「翠葉ちゃんはそれでいいと思うよ。クラス以外の人間にはそのうち慣れればいい」
「じゃ、撮るよー!」
セイジと呼ばれた人は海斗くんからデジカメを受け取り、最初に一言だけ掛け声を発した。
そのあとは何も掛け声なしでシャッターを何枚か切る。
カメラを向けられるのは苦手だけど、掛け声がないと意外と大丈夫かもしれないと思った。
「姫、またね!」
写真を撮ってくれた人は、片手を上げてクラスを出ていった。
「あいつ、テニス部の進藤聖司。入学当初から翠葉ちゃんのことかわいいかわいいって騒いでる人間」
空太くんの説明にどう反応しようか考えていると海斗くんが会話に加わる。
「悪いやつじゃないよ。ノリ的には千里と似た感じ」
「……サザナミくんと同じ?」
しばし回想。サザナミくんと出逢ったころのことを思い出す。
名前が覚えられない、顔が覚えられない。ついでに、側に来られるのが苦手だった。
でも今は――?
今は大丈夫。苦手じゃないし普通に話せる。けど――
「時間はかかるかも……」
情けない声を漏らすと、桃華さんに軽く小突かれた。
「それが翠葉でしょ? 翠葉の手に負えない人間くらい私がどうにかしてあげるわよ」
すごく頼もしい言葉だけど、それではまた守られてしまう……。
「簾条、あまり過保護なのはどうかと思う。御園生、慣れだよ、慣れ。今は知らないやつに挨拶されても意外と普通に返せてるじゃん」
佐野くんに言われて、「そういえば」と思う。
さらには、すっかりと忘れていることを思い出した。
「佐野くん、蒼兄からプレゼント預かっているの」
出がけに渡された手提げ袋から自分の分を取り出し手提げ袋ごと渡すと、佐野くんは感涙するほどに喜んでくれた。
この場にいるクラスメイトは蒼兄と佐野くんの関係を知らない。
たいそう不思議そうな顔をしているクラスメイトに、
「御園生蒼樹さんって、俺の憧れのスプリンターなんだっ!」
佐野くんが蒼兄の話を始めると長い……。
クラスメイトは饒舌に語る佐野くんを物珍しそうに見ていて、その隣にいた私は嬉しいやら恥ずかしいやら、奇妙な気分だった。
でも、「憧れの人」と胸を張って自分の兄を慕われるのはとても嬉しい。
こんなことがなくても自慢の兄だけれど、こんなふうに話してくれる人がいるともっと誇らしい気持ちになる。
こういうのを優越感っていうのかな?
新しい感情に名前をつけては佐野くんに追加情報を促す。
「佐野くん、蒼兄はたぶん朝一でうちのクラスに来るよ」
「マジでっ!?」
そう言ったあとはしばらくフリーズしていて、そのあとは忙しなく動きだす。
どちらかというと、落ち着いた人に分類される佐野くんの、こんな姿はちょっと新鮮。
そんな佐野くんを香乃子ちゃんがにこにこと見ていて、そんな光景も微笑ましく思えた。
あと十分もしたら紅葉祭がスタートする、そんなときだった。
「翠葉、ちょっといい?」
「え?」
ペットボトルの蓋にこめた力を緩めると、海斗くんがクラスメイトに向き直り、
「みんな悪い。数分でいいからバックヤード使わせて」
海斗くんはみんなの返事も聞かずに私の手を取り、バックヤードへと移動を始めた。
バックヤードに残っていた数人にも、「ちょっと悪い」と外に出てもらう。
いつもは人の目を見て話す海斗くんが、誰とも視線を合わせずに取った行動は明らかにおかしい。
朝、インカムの使い方を説明したときから何かおかしいとは思っていたけれど、それが露になった感じだ。
「海斗くん……?」
「安心して? 告白とかじゃないから」
笑って言うけど……なんで笑うのかな。本当は……心は笑っていないのでしょう?
そういう笑顔は見ているとつらくなる……。
「……教室に入ってきたときから何か変だったよね?」
思い切って訊いてみた。
「……本当に、俺は繕うのが下手だよなぁ」
海斗くんは頭を抱えてその場にしゃがみこむ。
いつもは見上げる人の頭が、今は私より低い位置にある。
なんだか変な感じ……。
そう思ったら自分も同じようにしゃがみこんでいた。
「何かあった?」
頭を抱えて俯いている海斗くんに声をかけると、今度は繕った笑顔ではなく、苦く歪んだ表情だった。
「翠葉、悪い……。うちの一族に巻き込むことになる」
「……え?」
「正確には、もうとっくのとうに巻き込んでた」
口を真一文字に引き結び、じっと見つめられる。
真面目な話だということはわかるのに、なんのことなのかはさっぱりわからない。
「翠葉が俺たち藤宮とつながりが強いのは、傍から見て明らかだ。それはつまり、標的になりやすいってことなんだ」
藤宮とつながりが強い人は標的になる……? な、に……? なんのこと?
「幼稚部から一緒なわけでもなく、高等部からの入学でこれだけ藤宮の人間と深く関わっている人間ともなると、狙われかねない。普段の校内ならまだしも、外部から人が入ってくるとなると話は別」
もともと座ってはいたけれど、気づけば床にお尻をついていた。そして、自分の身体を支えるように、両腕を身体の後方へつく。
なんのことかもわからないまま話を進められることに危機感を覚え、
「海斗くん、何? なんの話?」
海斗くんはす、と息を吸い込んでから口を開いた。
「ごめんな。俺たちと関わっていると身の危険に晒される可能性がある」
私はゴクリ、と唾を飲みこんだ。
「薬物と外から持ち込まれた飲食物――それだけは警備ではじけない。だから――」
海斗くんは私に合わせていた視線を逸らし、「それ」とさっき飲もうとしてやめたミネラルウォーターを指差した。
「開封済みのペットボトルや食べ物。一度でも自分が目を離したものは口にしないでほしい」
「っ……」
「本当にごめん……。薬物入れられてたら洒落にならないから。今日は色んなところで飲食物を出してるけど、俺か司が調達したもの以外は口にしないでほしい。もしくは湊ちゃんか秋兄。ほかからはもらわないで。もし、もらったとしても口にはしないでほしい。それを人にあげることも禁止」
続けざまに話すけど、それに心が伴っていないことはすぐにわかった。
このまま話し続けたら海斗くんが壊れてしまう気がして、慌てて口を挟む。
「海斗くんっ」
「本当にごめん――」
違う、謝ってほしいわけじゃない。そうじゃない――
「海斗くん……」
海斗くんは俯いてしまった。
私、遮るの遅かった……。もう少し手前で気づけたらよかったのに。
ごめんね、すぐに気づけなくて。桃華さんやツカサみたいに機転が利かなくてごめんね。
私、頭の回転はあまりいいほうじゃないの。だから、少し私のペースに合わせて話してもらってもいいかな?
3
あなたにおすすめの小説
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる