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第十三章 紅葉祭
13話
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お弁当を食べ終えると、唯兄は秋斗さんの仕事部屋へ、私たちは作業に戻った。
十二時五十分には桜林館への移動が始まる。
放送委員は先に半数の人が桜林館入りしており、校内放送の全権が桜林館に移行するのを待ってからの移動となるため、私たちが図書棟を出るときには数人が残っていた。
「翠」
ツカサに声をかけられた瞬間、次に言われる言葉が脳裏に浮かぶ。
次に言われるのは「体調は?」で間違いないはず。
「ツカサ……少し前にも同じ会話をした気がするの」
先手を打ってから見上げると、ツカサは私から視線を逸らしばつの悪い顔をした。
考えていることはわかる。お昼を食べたあとだから、消化に血液を持っていかれて貧血を起こしていないか、と心配してくれているのだろう。
でも、ツカサもその場にいたのだから知っているはず。
私は申し訳ないと思いつつも、用意されたお弁当を半分も食べなかった。
がんばれば半分くらいは食べられたかもしれない。でも、それだけ食べてしまったら動けなくなる。
相馬先生に言われたとおり、小まめに水分補給とカロリー摂取をする予定だったけど、今となってはそれも怪しい限りだ。
「気をつけてるつもりなんだけど――気をつけることが増えたから自己プランニングがおかしいことになってきちゃった」
「……それ、具体的にはどういう話?」
自己プランなんていっても、綿密に練ったものではない。
この移動時間に食堂でサンドイッチをふたつ買ってから桜林館へ行く、とその程度のもの。
けれども、一度でも目を離したものは食べたらいけないという約束をした時点で、そのプランは使えなくなった。
「本当はね、休憩時間に少しずつカロリー摂取をしようと思っていたの。でも、あらかじめ用意しても目を離したり、封が開いているものは食べたらだめなのでしょう?」
「それなら、休憩時に軽く食べられるものをこっちで用意する」
司の言う「こっち」とは、「藤宮警備で」ということなのだろう。
「ごめん、ありがとう……」
「翠が謝る必要はない。俺たちが一方的に巻き込んだ」
「……そんなふうに言われるのは嫌、かな」
「『そんなふう』がどこにかかるのかが不明瞭」
「『一方的に巻き込んだ』っていう部分」
「それなら違わなくないだろ?」
違うもの……。
「実感は湧かないし想像するのも難しい。気をつけているつもりだけど、予想外のことばかりでうまく対処できていない気もする。でもね、私はここにいたいからここにいるんだよ?」
巻き込んだと言われるのも思われるのも寂しい。
その言葉はとても良くないことみたいに聞こえるから。それに――
「巻き込んだって言われると、私の意思とは無関係って言われている気がするの……。私がツカサや海斗くんに関わるのは私の意思だよ?」
言い終わるころに気づいた。
私、ムカッとしたんだ……。
ムカつくという言葉よりも、腹が立つ、のほうがしっくりくるかもしれない。
「私はツカサや海斗くんと友達になったことを後悔したことは一度もないし、これからだってする予定はないんだからね?」
ツカサが目を見開く。
そんなにびっくりした顔をしないでよ……。
「ツカサ、これ」
私は自分の携帯をツカサに差し出した。
「今日明日、学校にいる間はツカサが持ってて」
「っ……!?」
ツカサの驚いた顔を続けざまに見られることなんてそうそうない。
珍しすぎて、私はそれだけで機嫌がなおってしまう。
生徒会の連絡はインカムで事足りるし、クラスからの連絡が私に直接入ることはないだろう。
連絡が入るとしたら家族や湊先生からくらいかな? だとしたら、事情を話してツカサが携帯を持っていることをあらかじめ伝えておけばいい。
ツカサはどの時間に誰がどこでなんの作業にあたっているのかまで頭に入ってるのだから、もし私を探す連絡があったとしても、私の居場所を伝えるのは造作もないはず。
それに、家族や先生ならGPS機能を使えば私がどこにいるのかはわかるのだ。
何かあって私が出向かなくてはいけないのなら、インカムから通信が入るだろう。
ツカサはしばらく黙ったまま携帯を見ていた。
「これを俺が持っているからといって、翠が自己申告しないのは違うと思うけど?」
そうきたか……。
「わかってる。でも、ツカサは数値で私の状態がわかるでしょう? それを持っていたら、顔を合わせるたびに私に訊く手間は省けるよ」
このバングルは、私が体調不良を口にしないということをきっかけに作られた装置だという。
そして、これをつけることで蒼兄たち家族は少しの安心を得ることができたのだと教えてもらった。
発作が起きたときには心配の種にしかならないけれど、今は――
「ツカサがずっとモニタリングしているのは反対。でも、今はツカサが持っていたほうがいいと思う」
「……安心材料ってわけか」
「そう」
「でも、俺は翠が言わなかったら容赦なく責めるけど?」
「……わかってるよ」
「了解。紅葉祭の間、預からせてもらう。その代わり、翠は俺の携帯を持ってろ」
「え? 何かあればインカムで連絡くれればいいだけじゃ――」
「翠が連絡を入れるのに、個別通信は使えない」
個別通信は、インカムを配られている各団体の中枢にいる人物にしか入れられないようになっていた。
たいていは委員長と副委員長、学年代表。生徒会では会長と茜先輩、ツカサ、朝陽先輩。それから別枠で海斗くん。
けれども、それで何か問題があるのだろうか。
ツカサは自分の携帯を操作しながら、
「翠が具合が悪いことを伝えるのに、複数人に伝わるインカムを使うとは思えない」
「あ……」
「阿呆が……。これ、翠が知ってる人間からしかかかってこないよう設定したから普通に使ってかまわない。リダイヤルの上位に相馬さんと姉さんの番号を表示させてある」
半ば押し付けられるようにしてツカサの黒い携帯を渡された。
私も同じような渡し方をしたのだから人のことは言えないけれど……。
「ただし、ライブ中は妨害電波を発生させる都合上、携帯は使えなくなる。そのときは――俺を呼べ。インカムで名前を呼ぶだけでいいから」
真剣な目にドキリとした。
「う、ん……」
ツカサはなんだかんだいっても優しい。
自分の口で体調不良を言えと言うけど、私が言いづらい状況では強要しないし、今みたいに私が気づかない小さなことにも気づいてきちんと手を打ってくれる。
冷静に淡々と話す分、言葉がきつく感じることもある。
自分がつつかれたくないところを容赦なくつついてくるから、時に心が悲鳴をあげることもあるけれど、記憶にある限り、それが私のためにならなかったことはない。
すごく厳しいけれど、それと同じくらいとても優しい人。
桜林館の観客席はすでに半分以上が埋まっていた。
円形ステージ脇に集合した人たちが二重三重に円陣を組み、中心にいる久先輩がいつもと変わらないテンションで声を張る。
「みんな、今日まで準備お疲れさんっ! いいっ? こっからは全力で楽しむよ! 仕事は楽しんでやること! それから、自分の右隣の人のことくらいは気にかけられる人間になろう! そしたら、何かあったとき、必ず自分の左隣の人が助けてくれる。ここにできた縁を大切にっ! よっし、楽しむよーっ!」
「「「「「おーーーっっっ!」」」」」
その場にいた人たちの大声に桜林館が包まれる。
――「ここにできたエンを大切に」。
久先輩、その「エン」は「縁」という漢字であってますか?
私の右隣には誰がいるだろう? 私はその人に手を差し伸べることができるかな。
手を差し伸べられるだけではなく、手を差し伸べられる人になりたい。
「じゃ、各自持ち場についてっ!」
みんなが散り散りになるのと同時に、「翠葉ちゃん」と声をかけられた。
振り返ると空太くんと香乃子ちゃんが立っていた。それから海斗くんも。
「翠葉の飲み物、俺と司だけじゃフォローしきれないから、このふたりにもお願いした。ほかは桃華もフォローに回ってくれる」
「あ、うん……」
海斗くんも、そんな申し訳なさそうな顔をしないでほしいな……。
ただでさえ気を遣ってもらっている。
警備員が管理しているところに直接飲み物を取りに行くのは気が引けるだろうから、と海斗くんかツカサが手渡してくれることになっていたのだ。
海斗くん、私はいつも体調のことだって気遣ってもらってるんだよ?
メンタル面だっていっぱい支えてもらってる。
「私が申し訳ないと思っていると、海斗くんはいつも『そんなことない』って言ってくれるよね?」
「え? あぁ……」
「今日はその言葉、私が言いたいな。友達なんだから――そんな顔しないで? さっきツカサにも言ったの。私は誰に頼まれたわけでもなくて、自分がここにいたいからここにいるの。海斗くんと友達になって後悔したことなんてないし、これからもそんな予定は一切ないの」
海斗くんもツカサと同じように驚いた顔をした。
「あのね、そこで驚かれると、私ちょっと腹が立つみたい……」
じとりと海斗くんを見上げると、「え?」と少し焦った表情を見せた。
「一方的に巻き込んだ、とか言ったら本当に怒るからねっ?」
海斗くんは口を少し開けた状態で絶句してしまった。
沈黙を破ったのは香乃子ちゃん。
「かばんはロッカーか図書室でしょ? 今持ってるのはそのチビバッグだけだよね?」
確認されて頷く。
チビバッグの中には必要最低限のものしか入っていない。
お財布と携帯、手ぬぐい、ティッシュ、ピルケース。
いつもならミネラルウォーターも入っているけれど、一度開封したものは飲まないという約束のため、お昼に飲んだものは桜林館に来る途中で捨ててきた。
「七倉香乃子、しっかり付き人勤めます!」
兵隊さんみたいにびしっと敬礼する香乃子ちゃんがおかしくて、ふ、と顔の筋肉が緩んだ。
「うん、翠葉ちゃんは笑ってたほうがいいよ。海斗くんもね! さ、急いで更衣室へ行こう!」
私は香乃子ちゃんに手を引かれ、桜林館内にある更衣室へ向かった。
十二時五十分には桜林館への移動が始まる。
放送委員は先に半数の人が桜林館入りしており、校内放送の全権が桜林館に移行するのを待ってからの移動となるため、私たちが図書棟を出るときには数人が残っていた。
「翠」
ツカサに声をかけられた瞬間、次に言われる言葉が脳裏に浮かぶ。
次に言われるのは「体調は?」で間違いないはず。
「ツカサ……少し前にも同じ会話をした気がするの」
先手を打ってから見上げると、ツカサは私から視線を逸らしばつの悪い顔をした。
考えていることはわかる。お昼を食べたあとだから、消化に血液を持っていかれて貧血を起こしていないか、と心配してくれているのだろう。
でも、ツカサもその場にいたのだから知っているはず。
私は申し訳ないと思いつつも、用意されたお弁当を半分も食べなかった。
がんばれば半分くらいは食べられたかもしれない。でも、それだけ食べてしまったら動けなくなる。
相馬先生に言われたとおり、小まめに水分補給とカロリー摂取をする予定だったけど、今となってはそれも怪しい限りだ。
「気をつけてるつもりなんだけど――気をつけることが増えたから自己プランニングがおかしいことになってきちゃった」
「……それ、具体的にはどういう話?」
自己プランなんていっても、綿密に練ったものではない。
この移動時間に食堂でサンドイッチをふたつ買ってから桜林館へ行く、とその程度のもの。
けれども、一度でも目を離したものは食べたらいけないという約束をした時点で、そのプランは使えなくなった。
「本当はね、休憩時間に少しずつカロリー摂取をしようと思っていたの。でも、あらかじめ用意しても目を離したり、封が開いているものは食べたらだめなのでしょう?」
「それなら、休憩時に軽く食べられるものをこっちで用意する」
司の言う「こっち」とは、「藤宮警備で」ということなのだろう。
「ごめん、ありがとう……」
「翠が謝る必要はない。俺たちが一方的に巻き込んだ」
「……そんなふうに言われるのは嫌、かな」
「『そんなふう』がどこにかかるのかが不明瞭」
「『一方的に巻き込んだ』っていう部分」
「それなら違わなくないだろ?」
違うもの……。
「実感は湧かないし想像するのも難しい。気をつけているつもりだけど、予想外のことばかりでうまく対処できていない気もする。でもね、私はここにいたいからここにいるんだよ?」
巻き込んだと言われるのも思われるのも寂しい。
その言葉はとても良くないことみたいに聞こえるから。それに――
「巻き込んだって言われると、私の意思とは無関係って言われている気がするの……。私がツカサや海斗くんに関わるのは私の意思だよ?」
言い終わるころに気づいた。
私、ムカッとしたんだ……。
ムカつくという言葉よりも、腹が立つ、のほうがしっくりくるかもしれない。
「私はツカサや海斗くんと友達になったことを後悔したことは一度もないし、これからだってする予定はないんだからね?」
ツカサが目を見開く。
そんなにびっくりした顔をしないでよ……。
「ツカサ、これ」
私は自分の携帯をツカサに差し出した。
「今日明日、学校にいる間はツカサが持ってて」
「っ……!?」
ツカサの驚いた顔を続けざまに見られることなんてそうそうない。
珍しすぎて、私はそれだけで機嫌がなおってしまう。
生徒会の連絡はインカムで事足りるし、クラスからの連絡が私に直接入ることはないだろう。
連絡が入るとしたら家族や湊先生からくらいかな? だとしたら、事情を話してツカサが携帯を持っていることをあらかじめ伝えておけばいい。
ツカサはどの時間に誰がどこでなんの作業にあたっているのかまで頭に入ってるのだから、もし私を探す連絡があったとしても、私の居場所を伝えるのは造作もないはず。
それに、家族や先生ならGPS機能を使えば私がどこにいるのかはわかるのだ。
何かあって私が出向かなくてはいけないのなら、インカムから通信が入るだろう。
ツカサはしばらく黙ったまま携帯を見ていた。
「これを俺が持っているからといって、翠が自己申告しないのは違うと思うけど?」
そうきたか……。
「わかってる。でも、ツカサは数値で私の状態がわかるでしょう? それを持っていたら、顔を合わせるたびに私に訊く手間は省けるよ」
このバングルは、私が体調不良を口にしないということをきっかけに作られた装置だという。
そして、これをつけることで蒼兄たち家族は少しの安心を得ることができたのだと教えてもらった。
発作が起きたときには心配の種にしかならないけれど、今は――
「ツカサがずっとモニタリングしているのは反対。でも、今はツカサが持っていたほうがいいと思う」
「……安心材料ってわけか」
「そう」
「でも、俺は翠が言わなかったら容赦なく責めるけど?」
「……わかってるよ」
「了解。紅葉祭の間、預からせてもらう。その代わり、翠は俺の携帯を持ってろ」
「え? 何かあればインカムで連絡くれればいいだけじゃ――」
「翠が連絡を入れるのに、個別通信は使えない」
個別通信は、インカムを配られている各団体の中枢にいる人物にしか入れられないようになっていた。
たいていは委員長と副委員長、学年代表。生徒会では会長と茜先輩、ツカサ、朝陽先輩。それから別枠で海斗くん。
けれども、それで何か問題があるのだろうか。
ツカサは自分の携帯を操作しながら、
「翠が具合が悪いことを伝えるのに、複数人に伝わるインカムを使うとは思えない」
「あ……」
「阿呆が……。これ、翠が知ってる人間からしかかかってこないよう設定したから普通に使ってかまわない。リダイヤルの上位に相馬さんと姉さんの番号を表示させてある」
半ば押し付けられるようにしてツカサの黒い携帯を渡された。
私も同じような渡し方をしたのだから人のことは言えないけれど……。
「ただし、ライブ中は妨害電波を発生させる都合上、携帯は使えなくなる。そのときは――俺を呼べ。インカムで名前を呼ぶだけでいいから」
真剣な目にドキリとした。
「う、ん……」
ツカサはなんだかんだいっても優しい。
自分の口で体調不良を言えと言うけど、私が言いづらい状況では強要しないし、今みたいに私が気づかない小さなことにも気づいてきちんと手を打ってくれる。
冷静に淡々と話す分、言葉がきつく感じることもある。
自分がつつかれたくないところを容赦なくつついてくるから、時に心が悲鳴をあげることもあるけれど、記憶にある限り、それが私のためにならなかったことはない。
すごく厳しいけれど、それと同じくらいとても優しい人。
桜林館の観客席はすでに半分以上が埋まっていた。
円形ステージ脇に集合した人たちが二重三重に円陣を組み、中心にいる久先輩がいつもと変わらないテンションで声を張る。
「みんな、今日まで準備お疲れさんっ! いいっ? こっからは全力で楽しむよ! 仕事は楽しんでやること! それから、自分の右隣の人のことくらいは気にかけられる人間になろう! そしたら、何かあったとき、必ず自分の左隣の人が助けてくれる。ここにできた縁を大切にっ! よっし、楽しむよーっ!」
「「「「「おーーーっっっ!」」」」」
その場にいた人たちの大声に桜林館が包まれる。
――「ここにできたエンを大切に」。
久先輩、その「エン」は「縁」という漢字であってますか?
私の右隣には誰がいるだろう? 私はその人に手を差し伸べることができるかな。
手を差し伸べられるだけではなく、手を差し伸べられる人になりたい。
「じゃ、各自持ち場についてっ!」
みんなが散り散りになるのと同時に、「翠葉ちゃん」と声をかけられた。
振り返ると空太くんと香乃子ちゃんが立っていた。それから海斗くんも。
「翠葉の飲み物、俺と司だけじゃフォローしきれないから、このふたりにもお願いした。ほかは桃華もフォローに回ってくれる」
「あ、うん……」
海斗くんも、そんな申し訳なさそうな顔をしないでほしいな……。
ただでさえ気を遣ってもらっている。
警備員が管理しているところに直接飲み物を取りに行くのは気が引けるだろうから、と海斗くんかツカサが手渡してくれることになっていたのだ。
海斗くん、私はいつも体調のことだって気遣ってもらってるんだよ?
メンタル面だっていっぱい支えてもらってる。
「私が申し訳ないと思っていると、海斗くんはいつも『そんなことない』って言ってくれるよね?」
「え? あぁ……」
「今日はその言葉、私が言いたいな。友達なんだから――そんな顔しないで? さっきツカサにも言ったの。私は誰に頼まれたわけでもなくて、自分がここにいたいからここにいるの。海斗くんと友達になって後悔したことなんてないし、これからもそんな予定は一切ないの」
海斗くんもツカサと同じように驚いた顔をした。
「あのね、そこで驚かれると、私ちょっと腹が立つみたい……」
じとりと海斗くんを見上げると、「え?」と少し焦った表情を見せた。
「一方的に巻き込んだ、とか言ったら本当に怒るからねっ?」
海斗くんは口を少し開けた状態で絶句してしまった。
沈黙を破ったのは香乃子ちゃん。
「かばんはロッカーか図書室でしょ? 今持ってるのはそのチビバッグだけだよね?」
確認されて頷く。
チビバッグの中には必要最低限のものしか入っていない。
お財布と携帯、手ぬぐい、ティッシュ、ピルケース。
いつもならミネラルウォーターも入っているけれど、一度開封したものは飲まないという約束のため、お昼に飲んだものは桜林館に来る途中で捨ててきた。
「七倉香乃子、しっかり付き人勤めます!」
兵隊さんみたいにびしっと敬礼する香乃子ちゃんがおかしくて、ふ、と顔の筋肉が緩んだ。
「うん、翠葉ちゃんは笑ってたほうがいいよ。海斗くんもね! さ、急いで更衣室へ行こう!」
私は香乃子ちゃんに手を引かれ、桜林館内にある更衣室へ向かった。
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