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19~20 Side 唯 03話
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イライラしながらメンテナンス作業を再開させるものの、リィの脈拍が気になって仕方ない。
アラートが鳴らないから不整脈は起きてない。でも、一〇〇を超える脈拍は聞いていて気が気じゃない。
ツールバーに表示される血圧数値を見てひやりとする。
血圧の上が七十を切りそうだった。
普段血圧が正常値と呼ばれる範囲にある人がこんな数値に陥れば、心不全になる可能性もあるらしい。
でも、リィなら――今までの経験上、まだ大丈夫。
こんな数値でも意識だってあるに違いない。
そうは思うけど、正直心臓に悪い。
きっと、こんな思いをしているのは俺だけじゃない。
「あ――やばい」
あんちゃんも碧さんたちも、今は俺がリィと一緒にいると思ってるんだ。
だから大丈夫、と思われていてもおかしくない。
インカムから、リィが座り込んだという内容が聞こえてきた。
俺は手に持っていた携帯を投げつける。
「着拒されてんじゃ意味ねーじゃんっっっ」
仕方なく、俺はインカムの会話に混ざることにした。
「割り込みすみませんっ。システム開発第一課所属、秋斗さん直下の御園生唯芹――えぇと、若槻唯のほうが知られてるかもっ!? それはおいておいて、対象、倒れたりしていませんかっ!?」
『こちら警護班、松原です。対象、倒れてはいません。ホームに膝を崩した状態で座っています』
「胸を押さえたりはっ?」
『それもとくには……あの、何か?』
「今、血圧が低下、脈拍が上昇中です。そこから顔色は見えますか?」
『残念ながら、髪の毛で隠れていて顔色までは確認できません』
「……すみませんが、対象を確保してください。妹には持病があります」
『対象に初老の男性が接触』
初老の男性……?
『対象の知り合いの模様です。手にはウィステリアホテルの手提げ袋』
老人、ホテルの手提げ袋……?
『対象、男性と待合室へ向かって移動を開始』
初老の男性って誰……?
警護班が知らない人間ということは派閥関連企業関連の人間じゃない。第一、そんな人間とリィが知り合いだという話も聞いていない。
ノーマークな人間でリィが追いかけたくなる人間。リィが警戒せずに接することのできる人間――
『今、データ転送しました。写真です』
「確認します」
送られてきた写真には確かに女の子と男が写っていた。だが、とても鮮明とはいいがたいものだった。
『もっとはっきりした写真は撮れないのか?』
本社の人間から激が飛ぶ。
『待合室の中と外では間にガラス一枚を挟んでおり、ホーム内の照明が反射するため、これ以上のものは撮れません』
それは三人いる警備員誰もが同じ状況らしい。
仕方ないといえば仕方ない。
ホームの待合室はたいてがガラス張り。
それは保安上の問題であったり、ホームに電車が入ってきたのがわかるように、と考慮されているからだ。
まさか、待合室の中を「撮る」ことは想定されていない。
『ですが、肉眼で見る限り、顔色はそこまで悪くないと思います』
ふと思い立ち、駅の監視カメラをハッキングする方法を思いつく。
すぐに取り掛かろうと思ったそのとき、パソコンがメッセージを受信した。
秋斗さんからだ。
――今すぐ経過と現状を報告しろ。
秋斗さんのスケジュールを確認すると、今の時間は本社で会議中。
秋斗さんのことだ。リィのバイタルに変動があった時点でGPSで所在確認は済ませているだろう。
今日、俺とリィの予定はホテルでの仕事のみ。
俺に関しては現在メインコンピューターのメンテナンスをしているわけで、本来ならリィのGPSはこのウィステリアホテルなくてはいけなかった。少なくとも、藤倉市街になくてはいけなかった。
それが今は支倉にある。
一緒にいないことにもすでに気づかれている。
けど、会議中ということは音声通話の傍受まではできていないだろう。
それらを踏まえたうえで経過を報告する。
「今から駅の監視カメラにハッキングしかけます。写真よりは鮮明な映像が得られるはずなので」
秋斗さんに伝えた直後、
『動きありました。エレベーターで改札階へ上がります』
そのあと聞こえてきた情報に唖然とする。
『特急列車のホームへ下り乗車券を購入。どこまでかは不明です。……が、時刻表からすると、次に来るのは下りです』
特急列車って何……?
すぐに支倉から出ている特急列車を調べるものの、意味がわからない。
下りって……いったいどこへ向かおうとしているっ!?
警護班は乗車券を購入し、特急列車に同乗する準備を始めていた。
「すみませんっ、それ、追跡じゃなくて確保でお願いしますっ」
『了解しました。五分以内に確保します』
警護班は対象が危険に晒されない限りは見守るに徹する。俺が口を挟まない限りはこのままだっただろう。
これ以上無理だと判断したのは俺。その先には行かせたらいけない気がしたんだ。
俺は複数のウィンドウを立ち上げ、ハッキングを開始していた。
鉄道会社の監視カメラを見ることなど容易い。しかし、数あるカメラのどれにリィが映ってるのかを割り出すのに時間がかかる。
そんな中、リィを示す点は列車上に移動し、車内にいることがわかった。
その列車はあと三分ほどで発車する。
警護班のひとりは列車をいつでも止められるように、ホーム備え付けのブレーキレバーの側に立っていた。
大丈夫、何があってもここで確保できる。してもらえる。
数ある監視カメラにリィの姿を見つけたとき、俺の携帯が鳴りだした。
曲がリトルマーメイドの「Part Of Your World」。リィからだっ――
「リィっ!? なんで支倉なんかにいるんだよっ。だいたいにして、何ひとりで電車乗ってんのっ!?」
通話状態になって最初に口にしたのはそんな言葉だった。
リィは咄嗟に謝罪を口にする。
『ごめんなさいっ――藤倉の駅で木田さんを見かけて……気づいたら追いかけていたの』
いつもみたいな条件反射ではなく、謝罪のあとにはそこにいる理由が続いた。
「キダさん……?」
はっとして、さっき送られてきた不鮮明な写真を改めて見る。
すると、もやっとした印象の写真は記憶に残る木田さんと重なった。
『木田です。もっと早くにご連絡を入れるべきでしたね。申し訳ございません。これからお嬢様もご一緒にブライトネスパレスへとお連れする予定なのですが、ご了承いただけますでしょうか?』
気づけば通話相手は木田さんに代わっていた。
……間違いなく、これは木田さんだ。
俺は一気に脱力する。
木田さんは「許可」を求めているわけだけど、状況的には「ほぼ決定事項です」と言っているようなものだ。
「木田さーん……それ、もう決定事項なんじゃないですか? リィのGPS、めっちゃ電車内なんですが……」
『おやおや、ご存知でしたか。すでに特急乗車券も手配済みで、今は特急列車の車内におります。御園生夫妻にもこちらからご連絡入れておきますのでご安心ください。因みに、静様にも通知してありますので』
それとほぼ同時にインカムから警護班の声が聞こえてきた。
『静様から確保撤回命令を受けました。警護を続行いたします』
「やられた……。完全に外堀埋められたチックです」
『さぁ、なんのことでしょう? 老いぼれにはさっぱりわかりません』
ナンバーツーであるオーナーが直に命令を下したともなれば、俺の言葉なんて即刻無に帰す。
『若槻さん、時に強行手段が否めないこともあるのですよ』
携帯から穏やかな笑い声が聞こえたままに通話は途切れた。
「超絶やられた感満載なんですけど……」
そうだった、木田さんもオーナーの直下と言ってもいい人だった。
直下もとい、懐刀――
全国にあるパレスの総支配人を束ねる人間だ。
「あああああああっっっ。何っ!? 俺、結局オーナーにしてやられたのっ!? 超悔しいんだけどっっっ」
ことの顛末を秋斗さんに伝えると、「わかった」とだけ返信があった。
今ごろ、きっと木田さんから碧さんに連絡がいっていることだろう。そして、その碧さんにはすでにオーナーから連絡が入っている可能性もある。
「あ……この場合、あんちゃんには俺が連絡しないとだめって状況だよね」
俺はオーナーから与えられた暗黙のミッションをこなすことにした。
通話を発信しながらふと思う。
「リィ、明日の司っちとの約束すっぽかすつもり……?」
してやられた直後なだけに、人の不幸が美味しくてたまらない。
人を呪わば穴ふたつっていうけど、今はいいことにしよう。
くくっ、と声に出して笑う。
司っち、残念だったね。明日は間違いなくリィに会えないと思うよ――
アラートが鳴らないから不整脈は起きてない。でも、一〇〇を超える脈拍は聞いていて気が気じゃない。
ツールバーに表示される血圧数値を見てひやりとする。
血圧の上が七十を切りそうだった。
普段血圧が正常値と呼ばれる範囲にある人がこんな数値に陥れば、心不全になる可能性もあるらしい。
でも、リィなら――今までの経験上、まだ大丈夫。
こんな数値でも意識だってあるに違いない。
そうは思うけど、正直心臓に悪い。
きっと、こんな思いをしているのは俺だけじゃない。
「あ――やばい」
あんちゃんも碧さんたちも、今は俺がリィと一緒にいると思ってるんだ。
だから大丈夫、と思われていてもおかしくない。
インカムから、リィが座り込んだという内容が聞こえてきた。
俺は手に持っていた携帯を投げつける。
「着拒されてんじゃ意味ねーじゃんっっっ」
仕方なく、俺はインカムの会話に混ざることにした。
「割り込みすみませんっ。システム開発第一課所属、秋斗さん直下の御園生唯芹――えぇと、若槻唯のほうが知られてるかもっ!? それはおいておいて、対象、倒れたりしていませんかっ!?」
『こちら警護班、松原です。対象、倒れてはいません。ホームに膝を崩した状態で座っています』
「胸を押さえたりはっ?」
『それもとくには……あの、何か?』
「今、血圧が低下、脈拍が上昇中です。そこから顔色は見えますか?」
『残念ながら、髪の毛で隠れていて顔色までは確認できません』
「……すみませんが、対象を確保してください。妹には持病があります」
『対象に初老の男性が接触』
初老の男性……?
『対象の知り合いの模様です。手にはウィステリアホテルの手提げ袋』
老人、ホテルの手提げ袋……?
『対象、男性と待合室へ向かって移動を開始』
初老の男性って誰……?
警護班が知らない人間ということは派閥関連企業関連の人間じゃない。第一、そんな人間とリィが知り合いだという話も聞いていない。
ノーマークな人間でリィが追いかけたくなる人間。リィが警戒せずに接することのできる人間――
『今、データ転送しました。写真です』
「確認します」
送られてきた写真には確かに女の子と男が写っていた。だが、とても鮮明とはいいがたいものだった。
『もっとはっきりした写真は撮れないのか?』
本社の人間から激が飛ぶ。
『待合室の中と外では間にガラス一枚を挟んでおり、ホーム内の照明が反射するため、これ以上のものは撮れません』
それは三人いる警備員誰もが同じ状況らしい。
仕方ないといえば仕方ない。
ホームの待合室はたいてがガラス張り。
それは保安上の問題であったり、ホームに電車が入ってきたのがわかるように、と考慮されているからだ。
まさか、待合室の中を「撮る」ことは想定されていない。
『ですが、肉眼で見る限り、顔色はそこまで悪くないと思います』
ふと思い立ち、駅の監視カメラをハッキングする方法を思いつく。
すぐに取り掛かろうと思ったそのとき、パソコンがメッセージを受信した。
秋斗さんからだ。
――今すぐ経過と現状を報告しろ。
秋斗さんのスケジュールを確認すると、今の時間は本社で会議中。
秋斗さんのことだ。リィのバイタルに変動があった時点でGPSで所在確認は済ませているだろう。
今日、俺とリィの予定はホテルでの仕事のみ。
俺に関しては現在メインコンピューターのメンテナンスをしているわけで、本来ならリィのGPSはこのウィステリアホテルなくてはいけなかった。少なくとも、藤倉市街になくてはいけなかった。
それが今は支倉にある。
一緒にいないことにもすでに気づかれている。
けど、会議中ということは音声通話の傍受まではできていないだろう。
それらを踏まえたうえで経過を報告する。
「今から駅の監視カメラにハッキングしかけます。写真よりは鮮明な映像が得られるはずなので」
秋斗さんに伝えた直後、
『動きありました。エレベーターで改札階へ上がります』
そのあと聞こえてきた情報に唖然とする。
『特急列車のホームへ下り乗車券を購入。どこまでかは不明です。……が、時刻表からすると、次に来るのは下りです』
特急列車って何……?
すぐに支倉から出ている特急列車を調べるものの、意味がわからない。
下りって……いったいどこへ向かおうとしているっ!?
警護班は乗車券を購入し、特急列車に同乗する準備を始めていた。
「すみませんっ、それ、追跡じゃなくて確保でお願いしますっ」
『了解しました。五分以内に確保します』
警護班は対象が危険に晒されない限りは見守るに徹する。俺が口を挟まない限りはこのままだっただろう。
これ以上無理だと判断したのは俺。その先には行かせたらいけない気がしたんだ。
俺は複数のウィンドウを立ち上げ、ハッキングを開始していた。
鉄道会社の監視カメラを見ることなど容易い。しかし、数あるカメラのどれにリィが映ってるのかを割り出すのに時間がかかる。
そんな中、リィを示す点は列車上に移動し、車内にいることがわかった。
その列車はあと三分ほどで発車する。
警護班のひとりは列車をいつでも止められるように、ホーム備え付けのブレーキレバーの側に立っていた。
大丈夫、何があってもここで確保できる。してもらえる。
数ある監視カメラにリィの姿を見つけたとき、俺の携帯が鳴りだした。
曲がリトルマーメイドの「Part Of Your World」。リィからだっ――
「リィっ!? なんで支倉なんかにいるんだよっ。だいたいにして、何ひとりで電車乗ってんのっ!?」
通話状態になって最初に口にしたのはそんな言葉だった。
リィは咄嗟に謝罪を口にする。
『ごめんなさいっ――藤倉の駅で木田さんを見かけて……気づいたら追いかけていたの』
いつもみたいな条件反射ではなく、謝罪のあとにはそこにいる理由が続いた。
「キダさん……?」
はっとして、さっき送られてきた不鮮明な写真を改めて見る。
すると、もやっとした印象の写真は記憶に残る木田さんと重なった。
『木田です。もっと早くにご連絡を入れるべきでしたね。申し訳ございません。これからお嬢様もご一緒にブライトネスパレスへとお連れする予定なのですが、ご了承いただけますでしょうか?』
気づけば通話相手は木田さんに代わっていた。
……間違いなく、これは木田さんだ。
俺は一気に脱力する。
木田さんは「許可」を求めているわけだけど、状況的には「ほぼ決定事項です」と言っているようなものだ。
「木田さーん……それ、もう決定事項なんじゃないですか? リィのGPS、めっちゃ電車内なんですが……」
『おやおや、ご存知でしたか。すでに特急乗車券も手配済みで、今は特急列車の車内におります。御園生夫妻にもこちらからご連絡入れておきますのでご安心ください。因みに、静様にも通知してありますので』
それとほぼ同時にインカムから警護班の声が聞こえてきた。
『静様から確保撤回命令を受けました。警護を続行いたします』
「やられた……。完全に外堀埋められたチックです」
『さぁ、なんのことでしょう? 老いぼれにはさっぱりわかりません』
ナンバーツーであるオーナーが直に命令を下したともなれば、俺の言葉なんて即刻無に帰す。
『若槻さん、時に強行手段が否めないこともあるのですよ』
携帯から穏やかな笑い声が聞こえたままに通話は途切れた。
「超絶やられた感満載なんですけど……」
そうだった、木田さんもオーナーの直下と言ってもいい人だった。
直下もとい、懐刀――
全国にあるパレスの総支配人を束ねる人間だ。
「あああああああっっっ。何っ!? 俺、結局オーナーにしてやられたのっ!? 超悔しいんだけどっっっ」
ことの顛末を秋斗さんに伝えると、「わかった」とだけ返信があった。
今ごろ、きっと木田さんから碧さんに連絡がいっていることだろう。そして、その碧さんにはすでにオーナーから連絡が入っている可能性もある。
「あ……この場合、あんちゃんには俺が連絡しないとだめって状況だよね」
俺はオーナーから与えられた暗黙のミッションをこなすことにした。
通話を発信しながらふと思う。
「リィ、明日の司っちとの約束すっぽかすつもり……?」
してやられた直後なだけに、人の不幸が美味しくてたまらない。
人を呪わば穴ふたつっていうけど、今はいいことにしよう。
くくっ、と声に出して笑う。
司っち、残念だったね。明日は間違いなくリィに会えないと思うよ――
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