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襲撃
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前日に完徹でゲームをしていたせいで、その日は学校をサボって日中から惰眠を貪っていた。口うるさい親は仕事に行っていて夜まで家を空けている。14時過ぎに空腹で起床してカップラーメンを食べ、またベッドに戻って眠りについた。
ピンポンピンポンと繰り返されるインターフォンの音で意識が浮上した。居留守を使う気でシカトを決め込んでいたが、あまりのしつこさに根負けする。俺は悪態を吐きながら身を起こし、渋々玄関へと向かった。くだらないセールスだったら怒鳴りつけて追い返してやる。
この時俺は、モニターで来訪者の姿を確認しなかった。寝起きで思考力が低下していたのと、折角人がいい気持ちで眠っていたのを叩き起された腹立たしさとで、そこまで頭が回っていなかったのだ。その軽率さが命取りになるとも知らずに――
荒っぽくドアを開ける。相手を確認する間もなく、いきなり踏み込んできた大柄な影が覆い被さってきた。咄嗟のことに反応が遅れる。その刹那、首筋に何かを押し当てられた。途端に強烈な痺れと激痛が全身を駆け抜け、激しく痙攣しながら俺はその場にくずおれた。
口に湿った布のようなものを押し当てられる。くらりと目眩を覚え、急激に意識が薄らいでいく……。
………………
…………
……
湿った粘膜で覆われたグロテスクな巨大ミミズが、体中を這いずり回っている。皮膚に走るヌメヌメとした不快感に、そんな不気味なイメージが浮かび上がった。途端に血が凍るような悪寒に襲われ、ガチガチと歯と歯がぶつかり合う。
気が狂いそうなほどの恐怖に、ぎゅうぎゅうと絞られるような胃痛を覚えた。はやく逃げ出さなければならないと本能が警鐘を鳴らしているのに、萎縮した体は身動き一つ取ることができない。
「――ッ、ぁーッ、ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ、ハァー……ッ!」
至近距離から荒い息遣いが聞こえてくる。獲物を前にした肉食獣のような生臭い吐息が顔に吹きかかり、全身の毛穴から冷や汗がぶわっと吹き出した。肋骨がツキツキと痛むほどに、心臓が激しく動悸を打つ。
「っ、ぅ、う、……うぅ゛う゛っ、……」
自分の口から漏れる呻き声は、情けないほどに弱々しかった。言葉を発することができないどころか、呼吸すら満足に叶わない。口の中に何かをパンパンに詰め込まれているせいだった。吐き出そうと試みるも、なぜだか自由のきかない身では、それすらも困難だった。
「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ、ァッ、ハァッ、えーいちくん、えーいちくん、えーいちくぅん♡♡」
水あめのように粘着質な声が、俺の名を呼び続けている。
頬に熱くて硬いナニカが押し当てられる。鼻腔を突く生臭さに吐き気を催した。こちらが無抵抗でいるのをこれ幸いとばかりに、その気持ち悪いナニカは顔中を執拗に這いずり回る。
「んんっ、ぅんんん~~~っ!!」
「ハァハァハァハァハァハァ♡♡ えーいちくんえーいちくんえーいちくんえーいちくんッッッ♡♡」
しゅこしゅこしゅこしゅこ♡ ずりずりずりずり♡
「あっぁっあっァッアッ♡♡ やばっ、イキそ♡♡ えーいちくんのイケメン顔に高速チンポズリするのヨすぎて、またイっちゃいそぉだぁっ♡♡ ア゛ァ゛~、イクイクイクッ、イ、ぐぅッッッ♡♡♡」
びくびくびくびくびくびくっ!!
ぶぴゅっ、びゅるっ、びゅるびゅるびゅるびゅるっっ!! どぷどぷどぷっ、どぷっ、どぽぽぉ~~~っっ!!
「ぅあぁアア゛ぁ゛♡♡ あっはぁっ、えーいちくんのカッコカワイイお顔にぶっかけちんぽ汁ぅ♡♡ ヤバイッ、俺の大量ちんぽ汁でどろどろに汚されて顔面便器にされちゃったえーいちくん、ハァハァッ、めっちゃくちゃ、萌えるッッ♡♡」
ドロリとした熱い粘液が顔面に降りかかり、腐った牛乳のような饐えた激臭に堪らず俺はオエッとえずいた。
「綺麗な金髪にまでかかっちゃったねぇ、ごめんね? でもカワイイ~♡♡ 毎日コツコツえーいちくんの抜け毛収集して、それをオカズにチンポ扱いて慰めてたんだよ? こんな風にえーいちくんの髪にザー汁シャンプーしてあげられるなんて夢みたいッ♡♡ 嬉しい嬉しい嬉しいッッッ♡♡」
興奮した様子の声の主に、ぐしゃぐしゃと髪を掻き回される。ぐちゅぐちゅねちゃねちゃと不快な粘着音が耳元に響く。
やっと解放されたかと思えば、今度はカシャカシャとシャッター音が鳴り出した。コイツは嬉々として一体なにを撮っているんだ? まさか、まさか――
ピンポンピンポンと繰り返されるインターフォンの音で意識が浮上した。居留守を使う気でシカトを決め込んでいたが、あまりのしつこさに根負けする。俺は悪態を吐きながら身を起こし、渋々玄関へと向かった。くだらないセールスだったら怒鳴りつけて追い返してやる。
この時俺は、モニターで来訪者の姿を確認しなかった。寝起きで思考力が低下していたのと、折角人がいい気持ちで眠っていたのを叩き起された腹立たしさとで、そこまで頭が回っていなかったのだ。その軽率さが命取りになるとも知らずに――
荒っぽくドアを開ける。相手を確認する間もなく、いきなり踏み込んできた大柄な影が覆い被さってきた。咄嗟のことに反応が遅れる。その刹那、首筋に何かを押し当てられた。途端に強烈な痺れと激痛が全身を駆け抜け、激しく痙攣しながら俺はその場にくずおれた。
口に湿った布のようなものを押し当てられる。くらりと目眩を覚え、急激に意識が薄らいでいく……。
………………
…………
……
湿った粘膜で覆われたグロテスクな巨大ミミズが、体中を這いずり回っている。皮膚に走るヌメヌメとした不快感に、そんな不気味なイメージが浮かび上がった。途端に血が凍るような悪寒に襲われ、ガチガチと歯と歯がぶつかり合う。
気が狂いそうなほどの恐怖に、ぎゅうぎゅうと絞られるような胃痛を覚えた。はやく逃げ出さなければならないと本能が警鐘を鳴らしているのに、萎縮した体は身動き一つ取ることができない。
「――ッ、ぁーッ、ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ、ハァー……ッ!」
至近距離から荒い息遣いが聞こえてくる。獲物を前にした肉食獣のような生臭い吐息が顔に吹きかかり、全身の毛穴から冷や汗がぶわっと吹き出した。肋骨がツキツキと痛むほどに、心臓が激しく動悸を打つ。
「っ、ぅ、う、……うぅ゛う゛っ、……」
自分の口から漏れる呻き声は、情けないほどに弱々しかった。言葉を発することができないどころか、呼吸すら満足に叶わない。口の中に何かをパンパンに詰め込まれているせいだった。吐き出そうと試みるも、なぜだか自由のきかない身では、それすらも困難だった。
「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ、ァッ、ハァッ、えーいちくん、えーいちくん、えーいちくぅん♡♡」
水あめのように粘着質な声が、俺の名を呼び続けている。
頬に熱くて硬いナニカが押し当てられる。鼻腔を突く生臭さに吐き気を催した。こちらが無抵抗でいるのをこれ幸いとばかりに、その気持ち悪いナニカは顔中を執拗に這いずり回る。
「んんっ、ぅんんん~~~っ!!」
「ハァハァハァハァハァハァ♡♡ えーいちくんえーいちくんえーいちくんえーいちくんッッッ♡♡」
しゅこしゅこしゅこしゅこ♡ ずりずりずりずり♡
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びくびくびくびくびくびくっ!!
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「ぅあぁアア゛ぁ゛♡♡ あっはぁっ、えーいちくんのカッコカワイイお顔にぶっかけちんぽ汁ぅ♡♡ ヤバイッ、俺の大量ちんぽ汁でどろどろに汚されて顔面便器にされちゃったえーいちくん、ハァハァッ、めっちゃくちゃ、萌えるッッ♡♡」
ドロリとした熱い粘液が顔面に降りかかり、腐った牛乳のような饐えた激臭に堪らず俺はオエッとえずいた。
「綺麗な金髪にまでかかっちゃったねぇ、ごめんね? でもカワイイ~♡♡ 毎日コツコツえーいちくんの抜け毛収集して、それをオカズにチンポ扱いて慰めてたんだよ? こんな風にえーいちくんの髪にザー汁シャンプーしてあげられるなんて夢みたいッ♡♡ 嬉しい嬉しい嬉しいッッッ♡♡」
興奮した様子の声の主に、ぐしゃぐしゃと髪を掻き回される。ぐちゅぐちゅねちゃねちゃと不快な粘着音が耳元に響く。
やっと解放されたかと思えば、今度はカシャカシャとシャッター音が鳴り出した。コイツは嬉々として一体なにを撮っているんだ? まさか、まさか――
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