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第二章
17 アルメリアの想い①
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今日もお兄ちゃんは鍛錬をしている。
パパは朝早く仕事へ行き、ママはキッチンでスープを作っている。
私はリビングにある窓に腕を置いて外を眺めていた。
大きな庭に昔お兄ちゃんと登った木、大きな石があってよく昼寝をしている。今はそこに木刀を振るうお兄ちゃんがいる。
ここ最近は毎日鍛錬ばっかりで私と遊んでくれない。
皆んなお兄ちゃんは強くてすごいって褒めるけど、そんなに強くなってどうするんだろう。お兄ちゃんに差をつけられているみたいで少し寂しい――
私は魔術が得意だけど大きな力はないし、誰かと戦うとかしたくない。
どうせなら便利な物を作り出すとか、ご飯がポンッて出てくるとかがいいな。皆んな平和に生きたいよね。
私の将来はかっこよくて優しくて、いつでも遊んでくれるお兄ちゃんみたいな人と結婚したい。私はお兄ちゃんが大好きだからよく見ている。
ある日を境にお兄ちゃんは変わった――
それは成人を迎える前日――父は仕事の休み二日間を取り、家族で楽しく今まで通りに過ごしていた。
パパは剣術を教えたかったみたいだけど、お兄ちゃんの成人前のお祝いの日だったからゆっくり過ごしたかったみたいで庭でパパとお兄ちゃんと私の3人で遊んだ。
その時のお兄ちゃんは私達をすごくじっくり記憶に刻むように見ていた。
見ていたのは私たちの事だけじゃなく、その日の夕日がとても綺麗でオレンジ色に染まった家や庭を恋しがるように見ていた。
家に入ると豪華なご馳走が並んでいて、家族みんなでテーブルを囲い、パーティーが始まった。
懐かしい思い出話や未来の私たちの話をしたり、パパとママの恋バナを聞いたり、すごくとても幸せだった。
話の途中いきなりお兄ちゃんが立ち上がって「部屋に忘れ物をしたから取ってくる」と言った。
でも食事中なのに忘れ物なんて変だなと思った。だから私はこっそり後をついて行ったんだ。
お兄ちゃんの部屋の扉が少し開いていて、私は見てしまった――泣いているお兄ちゃんを。
お兄ちゃんは暗い部屋でベッドに寄りかかり下を向いて泣いていた。正確に言えばその時泣き顔は見ていない、声を殺して震えていた。でも多分泣いている。
――そんな姿を初めて見た。だから何故か声をかけづらくて、どうしたの? って聞いて慰めたいのに聞いちゃいけない気がして。
そっとしておこうと後ろに下がった時、床の音が鳴ってしまった――
その瞬間、お兄ちゃんはこっちを向いた。
その顔は今まで見た事ないくらいくしゃくしゃで、大粒の涙が溢れていて、すごく辛そうで、放っておけなくった。
私は部屋に入り、お兄ちゃんの涙を服の袖で吹いてあげた。
「アル……この事はママとパパには内緒だよ」
「…………」
泣き止めた訳じゃないのに、私の前だから無理矢理作った笑顔。まだ止まらない涙のせいで震えているくせに。
我慢しなくてもいい、私は何があってもお兄ちゃんの味方だからって伝えたい。
「アル、よく聞いて。兄ちゃんはアルのこと大好きだよ、アルと僕は特別なんだ。アルにはまだ時間がある。だからよく聞いて、これからもパパもママをもっと大切にして。それと兄ちゃんのこと好きだよな?」
「うん……大好きだよ」
「明日からも兄ちゃんのこと好きなままでいてくれるか?」
「……どうしたの?」
「いてくれるよな?」
「当たり前だよ。大好きなままだよ」
お兄ちゃんは私を強く抱きしめた。何故今更そんなことを聞くのか分からなかった。でも何か事情があるのかなって思うとそれ以上は聞かなかった。
「ありがとうアル。ずっと、永遠に愛してるよ」
翌日。
朝、叫び声が聞こえた。お兄ちゃんの声だった。
何があったんだろうって心配で部屋を見に行ったらお兄ちゃんが頭を抱えて床に伏せていた。
昨日のこともあって、私は怖くて部屋に逃げた。
暫く悩んで、もう一度お兄ちゃんと話すべきか、それともママかパパに相談しようか悩んだ。けれど昨日のお兄ちゃんが『内緒だよ』って言っていたのを思い出して、私は約束を守ることにした。
そして私は何事もなかったかように一階に降りた。
いつものようにお兄ちゃんを目で追うと大丈夫そうだったから安心した。
テーブルには鹿肉が沢山並んでいて今日が盛大なパーティーだから楽しみだなって思った。
でも鹿肉はお兄ちゃんの大好物なのに、なかなか手をつけないから変だなって思いった。やっと手をつけたかと思ったら、初めて食べたような素振りをした。
私はお兄ちゃんの顔をちゃんと見たくて、ちゃんと安心したくて、
「お兄ちゃん。美味しいね」って言った。
――やっとこっち見た。
でもね、その瞬間思っちゃったの。
「…………誰?」
パパは朝早く仕事へ行き、ママはキッチンでスープを作っている。
私はリビングにある窓に腕を置いて外を眺めていた。
大きな庭に昔お兄ちゃんと登った木、大きな石があってよく昼寝をしている。今はそこに木刀を振るうお兄ちゃんがいる。
ここ最近は毎日鍛錬ばっかりで私と遊んでくれない。
皆んなお兄ちゃんは強くてすごいって褒めるけど、そんなに強くなってどうするんだろう。お兄ちゃんに差をつけられているみたいで少し寂しい――
私は魔術が得意だけど大きな力はないし、誰かと戦うとかしたくない。
どうせなら便利な物を作り出すとか、ご飯がポンッて出てくるとかがいいな。皆んな平和に生きたいよね。
私の将来はかっこよくて優しくて、いつでも遊んでくれるお兄ちゃんみたいな人と結婚したい。私はお兄ちゃんが大好きだからよく見ている。
ある日を境にお兄ちゃんは変わった――
それは成人を迎える前日――父は仕事の休み二日間を取り、家族で楽しく今まで通りに過ごしていた。
パパは剣術を教えたかったみたいだけど、お兄ちゃんの成人前のお祝いの日だったからゆっくり過ごしたかったみたいで庭でパパとお兄ちゃんと私の3人で遊んだ。
その時のお兄ちゃんは私達をすごくじっくり記憶に刻むように見ていた。
見ていたのは私たちの事だけじゃなく、その日の夕日がとても綺麗でオレンジ色に染まった家や庭を恋しがるように見ていた。
家に入ると豪華なご馳走が並んでいて、家族みんなでテーブルを囲い、パーティーが始まった。
懐かしい思い出話や未来の私たちの話をしたり、パパとママの恋バナを聞いたり、すごくとても幸せだった。
話の途中いきなりお兄ちゃんが立ち上がって「部屋に忘れ物をしたから取ってくる」と言った。
でも食事中なのに忘れ物なんて変だなと思った。だから私はこっそり後をついて行ったんだ。
お兄ちゃんの部屋の扉が少し開いていて、私は見てしまった――泣いているお兄ちゃんを。
お兄ちゃんは暗い部屋でベッドに寄りかかり下を向いて泣いていた。正確に言えばその時泣き顔は見ていない、声を殺して震えていた。でも多分泣いている。
――そんな姿を初めて見た。だから何故か声をかけづらくて、どうしたの? って聞いて慰めたいのに聞いちゃいけない気がして。
そっとしておこうと後ろに下がった時、床の音が鳴ってしまった――
その瞬間、お兄ちゃんはこっちを向いた。
その顔は今まで見た事ないくらいくしゃくしゃで、大粒の涙が溢れていて、すごく辛そうで、放っておけなくった。
私は部屋に入り、お兄ちゃんの涙を服の袖で吹いてあげた。
「アル……この事はママとパパには内緒だよ」
「…………」
泣き止めた訳じゃないのに、私の前だから無理矢理作った笑顔。まだ止まらない涙のせいで震えているくせに。
我慢しなくてもいい、私は何があってもお兄ちゃんの味方だからって伝えたい。
「アル、よく聞いて。兄ちゃんはアルのこと大好きだよ、アルと僕は特別なんだ。アルにはまだ時間がある。だからよく聞いて、これからもパパもママをもっと大切にして。それと兄ちゃんのこと好きだよな?」
「うん……大好きだよ」
「明日からも兄ちゃんのこと好きなままでいてくれるか?」
「……どうしたの?」
「いてくれるよな?」
「当たり前だよ。大好きなままだよ」
お兄ちゃんは私を強く抱きしめた。何故今更そんなことを聞くのか分からなかった。でも何か事情があるのかなって思うとそれ以上は聞かなかった。
「ありがとうアル。ずっと、永遠に愛してるよ」
翌日。
朝、叫び声が聞こえた。お兄ちゃんの声だった。
何があったんだろうって心配で部屋を見に行ったらお兄ちゃんが頭を抱えて床に伏せていた。
昨日のこともあって、私は怖くて部屋に逃げた。
暫く悩んで、もう一度お兄ちゃんと話すべきか、それともママかパパに相談しようか悩んだ。けれど昨日のお兄ちゃんが『内緒だよ』って言っていたのを思い出して、私は約束を守ることにした。
そして私は何事もなかったかように一階に降りた。
いつものようにお兄ちゃんを目で追うと大丈夫そうだったから安心した。
テーブルには鹿肉が沢山並んでいて今日が盛大なパーティーだから楽しみだなって思った。
でも鹿肉はお兄ちゃんの大好物なのに、なかなか手をつけないから変だなって思いった。やっと手をつけたかと思ったら、初めて食べたような素振りをした。
私はお兄ちゃんの顔をちゃんと見たくて、ちゃんと安心したくて、
「お兄ちゃん。美味しいね」って言った。
――やっとこっち見た。
でもね、その瞬間思っちゃったの。
「…………誰?」
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