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20:文明、甘味に目覚める
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焦げた匂いが、まだ森に漂っていた。
凰翔は、黒こげになった鍋を見つめながら呟く。
「……なんか惜しかった気がするんだよな」
ギンが、ぺろぺろと鍋の縁を舐める。
尻尾がぱたぱたと動いている。どうやら本当に、ギンの舌には“アリ”らしい。
「お前、苦味耐性高すぎない? もしかしてコーヒー派?」
「ワフッ!」
「……犬なのに大人の味覚かよ」
凰翔は笑いながら、ふと木の根元を見る。
そこには――昨日拾った枝とは違う、透明な液体が滲み出ていた。
指で触れると、ねっとりとした感触。
「……樹液?」
ぺろ。
――あまい。
「ギン、これ……甘いぞ!? まさかこの世界にも“糖分”が!」
「ワフワフ!」
ギンもぺろりと舐めて、尻尾がぶんぶんと揺れた。
凰翔は目を輝かせ、鍋を再び火の上に置く。
「焦がし草+甘い樹液、これでカラメル化ワンチャンあるぞ!」
火がぱちぱちと音を立てる。
湯気が立ち上るたび、焦げ臭と甘い香りが混ざり合い――
どこか“プリンを失敗した時の匂い”がした。
「……これ、もし食えたら文明レベル上がるな」
枝でかき混ぜながら、凰翔は真剣な表情で見つめる。
やがて、煮詰まった液がとろりと光り始めた。
「――試食、いきます」
舌に触れた瞬間。
「うっ……!? あ、あれ……これ、うまい!?」
焦げの苦味を甘味が包み込み、奇妙に調和していた。
スイーツと炭のあいだにある、“未知の味”だった。
「甘苦い……文明、これを“ほろにが”と呼ぶ!!」
ギンがうれしそうに吠える。
その瞬間、凰翔は確信した。
――生きるとは、味を発見することだ。
「よし、これを“焦がし樹液ソース”と名付けよう」
「ワフ!」
「次はこれをパンとか肉とかにかけて……いやパン文明が先か……!」
凰翔は枝を握りしめ、真剣な顔で未来を見据えた。
煙の向こう、朝の光が差し込む。
彼の心には、確かにひとつの灯がともっていた。
『文明、第二歩――“甘味革命”』
ギンがこくりと頷く。
その顔はどこか誇らしげで、森の空気が少しだけ甘くなった気がした。
凰翔は、黒こげになった鍋を見つめながら呟く。
「……なんか惜しかった気がするんだよな」
ギンが、ぺろぺろと鍋の縁を舐める。
尻尾がぱたぱたと動いている。どうやら本当に、ギンの舌には“アリ”らしい。
「お前、苦味耐性高すぎない? もしかしてコーヒー派?」
「ワフッ!」
「……犬なのに大人の味覚かよ」
凰翔は笑いながら、ふと木の根元を見る。
そこには――昨日拾った枝とは違う、透明な液体が滲み出ていた。
指で触れると、ねっとりとした感触。
「……樹液?」
ぺろ。
――あまい。
「ギン、これ……甘いぞ!? まさかこの世界にも“糖分”が!」
「ワフワフ!」
ギンもぺろりと舐めて、尻尾がぶんぶんと揺れた。
凰翔は目を輝かせ、鍋を再び火の上に置く。
「焦がし草+甘い樹液、これでカラメル化ワンチャンあるぞ!」
火がぱちぱちと音を立てる。
湯気が立ち上るたび、焦げ臭と甘い香りが混ざり合い――
どこか“プリンを失敗した時の匂い”がした。
「……これ、もし食えたら文明レベル上がるな」
枝でかき混ぜながら、凰翔は真剣な表情で見つめる。
やがて、煮詰まった液がとろりと光り始めた。
「――試食、いきます」
舌に触れた瞬間。
「うっ……!? あ、あれ……これ、うまい!?」
焦げの苦味を甘味が包み込み、奇妙に調和していた。
スイーツと炭のあいだにある、“未知の味”だった。
「甘苦い……文明、これを“ほろにが”と呼ぶ!!」
ギンがうれしそうに吠える。
その瞬間、凰翔は確信した。
――生きるとは、味を発見することだ。
「よし、これを“焦がし樹液ソース”と名付けよう」
「ワフ!」
「次はこれをパンとか肉とかにかけて……いやパン文明が先か……!」
凰翔は枝を握りしめ、真剣な顔で未来を見据えた。
煙の向こう、朝の光が差し込む。
彼の心には、確かにひとつの灯がともっていた。
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ギンがこくりと頷く。
その顔はどこか誇らしげで、森の空気が少しだけ甘くなった気がした。
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