勇者、チー牛

２２：壁作り

「よし、ギン。牛丼屋作りを再開だ！」
「ワフッ！」
「屋根が葉っぱで作れたから、今度は壁も作ってみる。牛丼を作ってる光景だけじゃなく、外からも中を隠せれば完璧だな」

森の中には大きな葉っぱや枝がわんさか生えていて、材料には困らない。風がそよぐたびに葉がサラサラと音を立て、木漏れ日が地面に点々と揺れる。
凰翔は葉っぱを抱え、丈夫そうな枝を手に取った

「よし、まずは柱の間に枝を立てるぞ……」

凰翔は地面に枝をぐさりと差し込み、両手で押さえて微調整する。下端は土でしっかり押さえ、上端は屋根の横木に軽く引っ掛けて固定。枝がわずかにしなるが、それもまた自然の味わいだ。


次に、大きな葉っぱを一枚ずつ枝にくくりつけていく。葉の端を枝に巻き付け、ツルで軽く縛る。重ねれば重ねるほど、緑の壁は厚くなり、光がほとんど漏れなくなった。

さらに外側にも枝を立て、葉っぱをくくりつける。これで中だけでなく、外から見える範囲もカバーされる。まるで森に溶け込むかのような原始的な外壁の完成だ。

「よし、これで中も外も完璧……簡単だけど、調理場は誰の目にも触れないはずだ」

葉っぱの香りが鼻をくすぐり、森の湿気と混ざって自然の匂いがたっぷり漂う。ギンも葉っぱの香りにうっとりしたのか、座り込んで鼻先をくんくんさせている。

こうして、森の中、葉っぱと枝で作られた原始的な仕切りと外壁が、中の調理場をしっかり守った

「これで準備完了……次はカウンター作りだな」

ギンは尻尾を大きく振り、顔を上げて次の作業を待っているようだった。