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45:影の再構築
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黒影の身体が、ぶわりと膨れた。
肉体とも煙ともつかない黒い質量が渦を巻き、
研究所の光を吸い込みながら――
“形”を組み替えていく。
白衣A「来る……!!」
白衣B「再進化……第二段階!!」
白衣C「器への“対抗形態”!!」
黒影は、細く長いシルエットを崩し――
新たな“枝”を生やし始めた。
腕が四本。脚が四本。
人型をやめ、“獣”めいた配置に再構築されていく。
そして――
「やばい……! “動物型”は、速度特化……!」
シロガネが青ざめた声で言う。
「……まずいです。
影は凰翔さんの盾を“攻撃特化”と判断した……
だから“速さで突破する”形に……!」
「俺そんな攻撃した覚えないけど!?」
「盾で弾いたよね。
影は“弾かれた=攻撃された”と解釈するんだよ」
(なんでだ!!)
◇
黒影は――完成した。
四足で低く構え、
筋肉も骨も存在しないのに、地面を抉るような“力”の気配。
影獣形態
胸の疑似心臓がドクン、と赤黒く光る。
次の瞬間。
影獣が――
――消えた。
音もなく、残像もなく。
「凰翔さん!! 左!!」
影獣が、まるで瞬間移動のような軌跡で、
凰翔の真横に現れていた。
その爪が、
盾を――ではなく、凰翔の身体に向けて振り下ろされる。
ガッ!!
凰翔は反射的に盾を横から突き出した。
影の爪が盾に当たり――
今度は爆ぜない。
盾の表面を“削るように”滑っていく。
「だめだ!! 速度で拒絶判定の処理をすり抜けてる!!」
影獣が再び姿を消す。
だが――
その瞬間。
凰翔の盾が、微かに――
赤く、光った。
「え?」
「……来た!! “攻撃願望”だ!!
凰翔、今“やり返したい”って思ったでしょ!!」
「思ってない!!!
思ってません!!!
俺はただ生きたいだけ!!!」
「生きたい=“抵抗したい”=攻撃衝動!! 器が拾ったんだよ!!」
盾の縁が、わずかに形を変える。
丸い縁が、
薄く――鋭く――
刃のように反り始めた。
白衣A「第三形態の“予兆”……!」
白衣B「“器・刃(じん)”が……来る……!!」
白衣C「神器化……進行……!」
キィンッ!!
盾が変形した次の瞬間――
影獣が凰翔に衝突した。
が――
影獣の右前脚が、
刃に触れた瞬間、
音もなく切断された。
「………………」
白衣A「切れた……!?」
白衣B「影の一部を……“削除”した……!!」
白衣C「干渉率……200%超え……!!」
影獣が、右前脚を見て、
理解した。
そして――
後ずさる。
「……怯えてる。凰翔、君の器を……“危険”と判断した」
黒影は、じりじりと距離を取りながら――
“新たな進化条件”を探るように、
胸の疑似心臓を脈動させた。
まるで、言うように。
――まだ終わらない。
そして――
凰翔の丼は、第三形態へ向けて、
赤黒い光をほんのりと宿し始めた……。
肉体とも煙ともつかない黒い質量が渦を巻き、
研究所の光を吸い込みながら――
“形”を組み替えていく。
白衣A「来る……!!」
白衣B「再進化……第二段階!!」
白衣C「器への“対抗形態”!!」
黒影は、細く長いシルエットを崩し――
新たな“枝”を生やし始めた。
腕が四本。脚が四本。
人型をやめ、“獣”めいた配置に再構築されていく。
そして――
「やばい……! “動物型”は、速度特化……!」
シロガネが青ざめた声で言う。
「……まずいです。
影は凰翔さんの盾を“攻撃特化”と判断した……
だから“速さで突破する”形に……!」
「俺そんな攻撃した覚えないけど!?」
「盾で弾いたよね。
影は“弾かれた=攻撃された”と解釈するんだよ」
(なんでだ!!)
◇
黒影は――完成した。
四足で低く構え、
筋肉も骨も存在しないのに、地面を抉るような“力”の気配。
影獣形態
胸の疑似心臓がドクン、と赤黒く光る。
次の瞬間。
影獣が――
――消えた。
音もなく、残像もなく。
「凰翔さん!! 左!!」
影獣が、まるで瞬間移動のような軌跡で、
凰翔の真横に現れていた。
その爪が、
盾を――ではなく、凰翔の身体に向けて振り下ろされる。
ガッ!!
凰翔は反射的に盾を横から突き出した。
影の爪が盾に当たり――
今度は爆ぜない。
盾の表面を“削るように”滑っていく。
「だめだ!! 速度で拒絶判定の処理をすり抜けてる!!」
影獣が再び姿を消す。
だが――
その瞬間。
凰翔の盾が、微かに――
赤く、光った。
「え?」
「……来た!! “攻撃願望”だ!!
凰翔、今“やり返したい”って思ったでしょ!!」
「思ってない!!!
思ってません!!!
俺はただ生きたいだけ!!!」
「生きたい=“抵抗したい”=攻撃衝動!! 器が拾ったんだよ!!」
盾の縁が、わずかに形を変える。
丸い縁が、
薄く――鋭く――
刃のように反り始めた。
白衣A「第三形態の“予兆”……!」
白衣B「“器・刃(じん)”が……来る……!!」
白衣C「神器化……進行……!」
キィンッ!!
盾が変形した次の瞬間――
影獣が凰翔に衝突した。
が――
影獣の右前脚が、
刃に触れた瞬間、
音もなく切断された。
「………………」
白衣A「切れた……!?」
白衣B「影の一部を……“削除”した……!!」
白衣C「干渉率……200%超え……!!」
影獣が、右前脚を見て、
理解した。
そして――
後ずさる。
「……怯えてる。凰翔、君の器を……“危険”と判断した」
黒影は、じりじりと距離を取りながら――
“新たな進化条件”を探るように、
胸の疑似心臓を脈動させた。
まるで、言うように。
――まだ終わらない。
そして――
凰翔の丼は、第三形態へ向けて、
赤黒い光をほんのりと宿し始めた……。
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