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49:第二核
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研究所に、
不快な“脈動音”が響き続けていた。
ドクン……
ドクン……
ドクン……
巨大影の胸の中心で、
黒い光が渦を巻き、
第二核が形を成しつつある。
鎖で拘束されているはずなのに、
影の体は震え、
まるで“誕生”そのものを祝っているようにも見えた。
「まずい……
代わりの核が完成してしまう……!」
「これはもはや……執着……」
「核を奪った相手への……」
研究員達の視線がチラッと凰翔へと向く
巨大影の核が膨らむ。
影の皮膚がビキビキと裂け、
黒い光が漏れ出す。
「第二核が不安定な状態で暴走したら……研究所が吹き飛ぶ。」
影は鎖に拘束されながらも、
苦しげに叫んだ。
キィィィィ……!!!
その叫びは、
まるで“泣き声”のようで――
同時に、
なにかを“呼んでいる”ようでもあった。
「……今の声……」
「まさか……」
「反響が……複数方向から返ってきてる……!」
(絶対やばいやつじゃん!!!!)
「凰翔さん!! この個体……外の影を呼んでます!!」
ただ、状況は最悪だけではなかった。
――器が震えていた。
「今、器が、勝手に震えた?」
「第四形態……! 再展開まで残り23秒!!」
「まだ23秒も!?」
凰翔が叫ぶと、
その“器”の刃がひとりでに開き始めた。
カチ……カチチ……
黒と赤の光を帯び、
内部で影核が脈動を返している。
「凰翔……
器が“何かを拒んでいる”」
「まさか俺を!?」
「違います。
器が拒絶してるのは――」
シロガネが答えた。
「第二核の誕生そのものです。」
器の内部にある“第一の影核”が、
まるで怒ったように光を放った。
ドクンッ!!!
ドクンッ!!!!
「核が……“嫉妬”している……!?」
巨大影の第二核と、
凰翔の器にある第一核が――
互いに
ぶつかろうとしていた。
「二つの影核が……! 同じ影の性質を持つ核同士は……存在を奪い合う……!」
「つまり器の中にある核が、
相手の核を消しに行こうとしてる!?!」
「はい!!!」
「器の中の核が……敵核の誕生を拒んでいます!!」
そのとき。
巨大影が、
最後の力を振り絞るように叫んだ。
キイイイイイイイイ!!
その咆哮に反応して――
研究所の壁の向こうから、
“複数の足音”が聞こえた。
ズズ……ズズズズ……
「外部影……!」
「複数体が……ここに向かってる……!」
「間に合わない!!」
「凰翔……!!
時間が……!」
「間もなく……
第四形態が再展開できます!!」
「第二核の完成まで――」
「あと10秒!!」
「外部影の到着まで―― 15秒!!」
「斬滅領域の再展開まで―― 9秒!!」
(何で全部ギリギリなんだ!!)
巨大影の胸の第二核が、
いよいよ形をととのえる瞬間――
凰翔の器が赤黒く輝いた。
「きた!!
再展開可能!!」
「凰翔!! やれ!!
第二核が完成する前に、全部消し飛ばせ!!」
凰翔が器を構えたそのとき――
巨大影の第二核が、
“こちらを見た”。
まるで意思を持って生まれたかのように。
「凰翔さん!!」
「早く!!!」
「斬滅領域――」
しかし。
次の瞬間、
凰翔の腕が――
動かなかった。
「……え?」
「なっ……!?!?」
「どうした凰翔!!?」
「う……ごか……ない……!!?」
シロガネが青ざめる。
「凰翔さん……!
器が……
発動を拒否しています!!!」
「!!!!!?」
不快な“脈動音”が響き続けていた。
ドクン……
ドクン……
ドクン……
巨大影の胸の中心で、
黒い光が渦を巻き、
第二核が形を成しつつある。
鎖で拘束されているはずなのに、
影の体は震え、
まるで“誕生”そのものを祝っているようにも見えた。
「まずい……
代わりの核が完成してしまう……!」
「これはもはや……執着……」
「核を奪った相手への……」
研究員達の視線がチラッと凰翔へと向く
巨大影の核が膨らむ。
影の皮膚がビキビキと裂け、
黒い光が漏れ出す。
「第二核が不安定な状態で暴走したら……研究所が吹き飛ぶ。」
影は鎖に拘束されながらも、
苦しげに叫んだ。
キィィィィ……!!!
その叫びは、
まるで“泣き声”のようで――
同時に、
なにかを“呼んでいる”ようでもあった。
「……今の声……」
「まさか……」
「反響が……複数方向から返ってきてる……!」
(絶対やばいやつじゃん!!!!)
「凰翔さん!! この個体……外の影を呼んでます!!」
ただ、状況は最悪だけではなかった。
――器が震えていた。
「今、器が、勝手に震えた?」
「第四形態……! 再展開まで残り23秒!!」
「まだ23秒も!?」
凰翔が叫ぶと、
その“器”の刃がひとりでに開き始めた。
カチ……カチチ……
黒と赤の光を帯び、
内部で影核が脈動を返している。
「凰翔……
器が“何かを拒んでいる”」
「まさか俺を!?」
「違います。
器が拒絶してるのは――」
シロガネが答えた。
「第二核の誕生そのものです。」
器の内部にある“第一の影核”が、
まるで怒ったように光を放った。
ドクンッ!!!
ドクンッ!!!!
「核が……“嫉妬”している……!?」
巨大影の第二核と、
凰翔の器にある第一核が――
互いに
ぶつかろうとしていた。
「二つの影核が……! 同じ影の性質を持つ核同士は……存在を奪い合う……!」
「つまり器の中にある核が、
相手の核を消しに行こうとしてる!?!」
「はい!!!」
「器の中の核が……敵核の誕生を拒んでいます!!」
そのとき。
巨大影が、
最後の力を振り絞るように叫んだ。
キイイイイイイイイ!!
その咆哮に反応して――
研究所の壁の向こうから、
“複数の足音”が聞こえた。
ズズ……ズズズズ……
「外部影……!」
「複数体が……ここに向かってる……!」
「間に合わない!!」
「凰翔……!!
時間が……!」
「間もなく……
第四形態が再展開できます!!」
「第二核の完成まで――」
「あと10秒!!」
「外部影の到着まで―― 15秒!!」
「斬滅領域の再展開まで―― 9秒!!」
(何で全部ギリギリなんだ!!)
巨大影の胸の第二核が、
いよいよ形をととのえる瞬間――
凰翔の器が赤黒く輝いた。
「きた!!
再展開可能!!」
「凰翔!! やれ!!
第二核が完成する前に、全部消し飛ばせ!!」
凰翔が器を構えたそのとき――
巨大影の第二核が、
“こちらを見た”。
まるで意思を持って生まれたかのように。
「凰翔さん!!」
「早く!!!」
「斬滅領域――」
しかし。
次の瞬間、
凰翔の腕が――
動かなかった。
「……え?」
「なっ……!?!?」
「どうした凰翔!!?」
「う……ごか……ない……!!?」
シロガネが青ざめる。
「凰翔さん……!
器が……
発動を拒否しています!!!」
「!!!!!?」
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