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卒業後
1292 星暦558年 橙の月 25日 保存(13)
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「ありがとな。
ちなみにどのくらい餌をやらないと死ぬとか、分かるか?」
近所のガキから納品された箱に詰められたネズミを見ながら尋ねる。
取り敢えず4匹と頼んだのだが、考えてみたら個体差があるだろうから最低でも8匹、できれば12匹頼んで実験の検体数を増やすべきだったかも?
「さあ?
ネズミは基本的に見つけたら殺すからね。
餌をやるなんて、考えてこともないよ」
首を傾げて『何を言っているの??』と言いたげな視線を目の前のガキンチョから投げかけられた。
「ちょっと実験をしているんで、それのせいで死んだのか、餌をやらなかったから死んだのか確認したかったんだが……まあいいや、これから暫く、毎日いきの良いネズミを持ってきてくれ。
最低4匹、もっと多くても構わない」
約束していた銅貨を渡しながら、継続依頼をしておく。
「まじか?!
よし、任せておけ!!」
飛び上がって喜ばれた。
これって母親には秘密な副業になっている気がする。
一応後でパディン夫人経由で隣の母ちゃんにも伝えておくべきかな?
「ネズミの納品は夕食前までか、朝食後で頼む」
夜中に持ってくるのは遠慮してくれ。
というか、夜中にネズミを捕まえるために出歩いたりしないよな??
マジで早いめにパディン夫人経由で情報共有しておいて、忍び出ようとしたら母ちゃんに捕まるようにしておこう。
ここら辺は危険な動物とか犯罪者はあまりいない筈だが、王都から比較的近いから、正規な道を使わない変な連中に夜中にばったり会ったりしたら危険かも知れない。
◆◆◆◆
「被験者第一弾が来たぞ~」
ネズミを入れた箱を工房に運び込みながら声を上げる。
「あ、箱を開けるのはちょっと待って!!
今結界を張るから!」
シャルロが慌てて声を掛けてくる。
捕まえてある箱から呪器や保存庫《フリッジ》がある箱へ突っ込むのに逃げられる可能性はあまりないと思うんだけどな。
まあ、うっかりネズミを逃がしたらパディン夫人に怒られそうだし、再確保するまで実験が出来ないからな。
万全を期して待っておく方が良いだろう。
というか、眠りの術を掛けておこう。
眠ったまま箱から移して、準備が出来たところで術を解けばいい。
「はい、準備できたよ~!」
結界が展開されたのを感じたところで、シャルロが声を掛けてきた。
「うっし。
術で眠らせたから、このまま箱に入れるぞ」
むんずとネズミをつかみ、庭へ出る扉の傍にある箱にまず一匹入れ、ガラスの蓋を戻す。
……考えてみたら、ネズミって木とかも齧るんだよな?
この箱を齧って穴を開けたりするんだろうか?
ちょっと様子を見て、必要がありそうだったら金属の箱を探してこよう。
「人間用の術をこのサイズの動物に掛けて、大丈夫なのか?」
アレクが覗き込みながらちょっと首を傾げた。
「……どうだろ?
まあ、全部死んじまったらまた明日貰うネズミで実験しよう。
でも、子供と大人とで魔力の量を調整しろとは習わなかったから、大丈夫なんじゃないのか?」
薬なんかだと、体重に応じて飲ませる量を変えなきゃいけないみたいだが、術ってあまり相手のサイズに応じて変えたりはしないんだよなぁ。
拘束するような術だったら相手の筋力とかに応じて調整はするが。
急いで他の箱と保存庫にネズミを詰め込んでいき、全部ガラスの蓋がしっかりしまっているのを確認して眠りの術を解除する。
「あ、ちゃんと起きたね。……でもあんまり動かない??」
シャルロが箱の一つを覗き込みながら言った。
ふむ。
なんかこう、固まっているのが警戒心なのか、眠りの術の後遺症なのか、それとも呪器の効果なのか、分からんな。
「あまり悪戯をしないように、胡桃でも殻ごと放り込んでおいてみるか?」
アレクがふと思いついたように提案した。
「確かに?
体調が悪かったら食欲にも影響が出るだろうから、反応が分かりやすいかもだね」
シャルロが頷く。
死にかけていたり何か臓器に異常があったら心眼《サイト》で分かるが、気分が微妙にすぐれない程度のことは分からない。
そう考えると、胡桃はいいかもだな。
「いいな。
ただ……考えてみたら、フンとか多分するんだよな?
箱の中に雑巾でも敷いておくべきだったか」
考えてみたら、水も提供するべきか??
生き物を使った実験は中々面倒だな。
ちなみにどのくらい餌をやらないと死ぬとか、分かるか?」
近所のガキから納品された箱に詰められたネズミを見ながら尋ねる。
取り敢えず4匹と頼んだのだが、考えてみたら個体差があるだろうから最低でも8匹、できれば12匹頼んで実験の検体数を増やすべきだったかも?
「さあ?
ネズミは基本的に見つけたら殺すからね。
餌をやるなんて、考えてこともないよ」
首を傾げて『何を言っているの??』と言いたげな視線を目の前のガキンチョから投げかけられた。
「ちょっと実験をしているんで、それのせいで死んだのか、餌をやらなかったから死んだのか確認したかったんだが……まあいいや、これから暫く、毎日いきの良いネズミを持ってきてくれ。
最低4匹、もっと多くても構わない」
約束していた銅貨を渡しながら、継続依頼をしておく。
「まじか?!
よし、任せておけ!!」
飛び上がって喜ばれた。
これって母親には秘密な副業になっている気がする。
一応後でパディン夫人経由で隣の母ちゃんにも伝えておくべきかな?
「ネズミの納品は夕食前までか、朝食後で頼む」
夜中に持ってくるのは遠慮してくれ。
というか、夜中にネズミを捕まえるために出歩いたりしないよな??
マジで早いめにパディン夫人経由で情報共有しておいて、忍び出ようとしたら母ちゃんに捕まるようにしておこう。
ここら辺は危険な動物とか犯罪者はあまりいない筈だが、王都から比較的近いから、正規な道を使わない変な連中に夜中にばったり会ったりしたら危険かも知れない。
◆◆◆◆
「被験者第一弾が来たぞ~」
ネズミを入れた箱を工房に運び込みながら声を上げる。
「あ、箱を開けるのはちょっと待って!!
今結界を張るから!」
シャルロが慌てて声を掛けてくる。
捕まえてある箱から呪器や保存庫《フリッジ》がある箱へ突っ込むのに逃げられる可能性はあまりないと思うんだけどな。
まあ、うっかりネズミを逃がしたらパディン夫人に怒られそうだし、再確保するまで実験が出来ないからな。
万全を期して待っておく方が良いだろう。
というか、眠りの術を掛けておこう。
眠ったまま箱から移して、準備が出来たところで術を解けばいい。
「はい、準備できたよ~!」
結界が展開されたのを感じたところで、シャルロが声を掛けてきた。
「うっし。
術で眠らせたから、このまま箱に入れるぞ」
むんずとネズミをつかみ、庭へ出る扉の傍にある箱にまず一匹入れ、ガラスの蓋を戻す。
……考えてみたら、ネズミって木とかも齧るんだよな?
この箱を齧って穴を開けたりするんだろうか?
ちょっと様子を見て、必要がありそうだったら金属の箱を探してこよう。
「人間用の術をこのサイズの動物に掛けて、大丈夫なのか?」
アレクが覗き込みながらちょっと首を傾げた。
「……どうだろ?
まあ、全部死んじまったらまた明日貰うネズミで実験しよう。
でも、子供と大人とで魔力の量を調整しろとは習わなかったから、大丈夫なんじゃないのか?」
薬なんかだと、体重に応じて飲ませる量を変えなきゃいけないみたいだが、術ってあまり相手のサイズに応じて変えたりはしないんだよなぁ。
拘束するような術だったら相手の筋力とかに応じて調整はするが。
急いで他の箱と保存庫にネズミを詰め込んでいき、全部ガラスの蓋がしっかりしまっているのを確認して眠りの術を解除する。
「あ、ちゃんと起きたね。……でもあんまり動かない??」
シャルロが箱の一つを覗き込みながら言った。
ふむ。
なんかこう、固まっているのが警戒心なのか、眠りの術の後遺症なのか、それとも呪器の効果なのか、分からんな。
「あまり悪戯をしないように、胡桃でも殻ごと放り込んでおいてみるか?」
アレクがふと思いついたように提案した。
「確かに?
体調が悪かったら食欲にも影響が出るだろうから、反応が分かりやすいかもだね」
シャルロが頷く。
死にかけていたり何か臓器に異常があったら心眼《サイト》で分かるが、気分が微妙にすぐれない程度のことは分からない。
そう考えると、胡桃はいいかもだな。
「いいな。
ただ……考えてみたら、フンとか多分するんだよな?
箱の中に雑巾でも敷いておくべきだったか」
考えてみたら、水も提供するべきか??
生き物を使った実験は中々面倒だな。
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