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卒業後
1297 星暦558年 橙の月 26日 保存(18)
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「まずは壊れていない呪器と壊れているっぽいけど氷が解けるのが遅くなった奴と、完全に壊れているっぽい呪器の魔術回路を比べてみよう」
ネズミたちを各自箱に突っ込み終わったところで、アレクが提案した。
かなり念入りに手を洗っていたし、アレクもネズミは嫌いなのかな?
触りたくないとは言わななかったけど。
「分解したら更に壊れそうだから、まずはウィルが魔術回路を描きだしてよ。
何か違いがあるのが分からなかったら……壊れているのでも分解してみて、しっかり基盤になっている魔術回路の形を描きだしたら他のとの違いも分かるかも?」
シャルロが提案する。
「上手くいくかどうかは不明だが、取り敢えず試してみるか。
素材とかに拘る必要があるかもだからなぁ」
この瘴気のモヤは魔術回路やその周囲の素材のせいなんじゃないかって気もするんだよな。
普通の魔術回路に魔力を通しただけで瘴気が発生するなんて聞いたことがないからな。
呪器ってどう機能するのか、この際はっきり解明させてもいかも知れない。
知識を下手に共有するとアファル王国内でも呪器を作ろうと考えるアホが出てくるかもしれないから、分かった結果は公表するつもりはないけど。
「ほい」
アレクが大きな紙を渡してきた。
それを作業机の上に広げ、四方を固定してから近くにあった推定完全に壊れた呪器を心眼《サイト》で視つめて中の魔力の流れを作っている魔術回路に集中する。
「これか」
魔術回路って魔力が通りやすいから周囲よりも少し明るくなるか暗くなるかのどちらかで眼を引く。今回のは少し暗い。
線を引きながらそっと呪器にも微量の魔力を流し、どこであのモヤが生じたのか分からないか試す。
うん……?
一瞬暗くなったと思ったら、直ぐにそれが消えた。
あれ、今のは瘴気《モヤ》が出て来たのか?
もう同じ個所に魔力を通したら、やはり一瞬瘴気が生じた。
ここが原因なのかな?
魔術回路の図に印をつけた上で、更に回路を描き続けていく。
意外なことに、更に2か所ほど、魔力を通したら瘴気《モヤ》が生じるところがあった。
「なんなんだろうな、この瘴気《モヤ》?」
書き終わった魔術回路を確認しながら呟く。
「そういえば、暗黒界から攻めてくる連中を幻想界の妖精たちとかが撃退していたが、暗黒界の奴らの中には悪魔とかも含まれるようだし、あちらで開発された魔術回路も存在するのではないか?」
アレクが言った。
シャルロがその言葉にゆっくりと頷く。
「そうなると、誰かが悪魔憑きや悪魔と取引をして、呪詛の効果を再現する魔術回路を教えてもらって呪器を作り出したのかも?
そんでもっても向こうの世界の魔術回路には瘴気《モヤ》を生み出す効果があったとか?」
あ~。あり得そうだな。
「求められる効果を生じさせる魔術回路に、わざと瘴気《モヤ》を生み出す魔術回路を混ぜ込んで売りつけているかもだな。
悪魔とか暗黒界の連中がこの世界の何を対価に魔術回路を売りつけるのか知らんが」
というか、元々なんであの連中が幻想界を襲おうとするのかとか、隙があったらこの世界も浸食したがるっぽいのかも分からない。
「瘴気が濃くなったら、幻想界で起きたみたいに時折暗黒界との境界が薄くなって攻め込みやすくなるのかも?
攻めこむ理由としては、やっぱ僕たちが美味しいからなんじゃないかなぁ?
要は、妖精も人間も餌扱いされてるんじゃない?」
シャルロがちょっと不快そうに言う。
まあ、人間の体を食べると言うよりも、魂を食べるとかなのかもだな。
御伽噺では悪魔に魂を売って敵を陥れるとか殺すとかって話が多い。
俺たちの魂を食わなきゃ生きていけないっていうのだったら流石に暗黒界の連中がとっくのとうに餓死しまくっているか、もっと切実に攻め込もうとしていると思うから、ちょっと上手い酒とか美味しい菓子程度な対価の可能性が高そうだが。
「今度、アルフォンスにでも呪器を見てもらって、あの瘴気《モヤ》とかがどのくらい危険か確認しておかないか?
もしも王宮の研究所で働く連中がこの呪器を緊急時に仮死状態にする魔具的な使い方をする開発に成功した場合に、ちゃんと瘴気を消してるかどうか学院長経由ででも確認した方が良いだろう。口を出す前にどのくらいの危険性があるのか聞いておく方が良いだろう」
連続でネズミに使い続けていてネズミが瘴気に侵されるようになってきたらそれを証拠として差し出しても良いが、手を出すなと言われたのに実験していると自分たちから白状するのはちょっと微妙だからなぁ。
アルフォンスから聞いたって形の方が良さげだ。
ネズミたちを各自箱に突っ込み終わったところで、アレクが提案した。
かなり念入りに手を洗っていたし、アレクもネズミは嫌いなのかな?
触りたくないとは言わななかったけど。
「分解したら更に壊れそうだから、まずはウィルが魔術回路を描きだしてよ。
何か違いがあるのが分からなかったら……壊れているのでも分解してみて、しっかり基盤になっている魔術回路の形を描きだしたら他のとの違いも分かるかも?」
シャルロが提案する。
「上手くいくかどうかは不明だが、取り敢えず試してみるか。
素材とかに拘る必要があるかもだからなぁ」
この瘴気のモヤは魔術回路やその周囲の素材のせいなんじゃないかって気もするんだよな。
普通の魔術回路に魔力を通しただけで瘴気が発生するなんて聞いたことがないからな。
呪器ってどう機能するのか、この際はっきり解明させてもいかも知れない。
知識を下手に共有するとアファル王国内でも呪器を作ろうと考えるアホが出てくるかもしれないから、分かった結果は公表するつもりはないけど。
「ほい」
アレクが大きな紙を渡してきた。
それを作業机の上に広げ、四方を固定してから近くにあった推定完全に壊れた呪器を心眼《サイト》で視つめて中の魔力の流れを作っている魔術回路に集中する。
「これか」
魔術回路って魔力が通りやすいから周囲よりも少し明るくなるか暗くなるかのどちらかで眼を引く。今回のは少し暗い。
線を引きながらそっと呪器にも微量の魔力を流し、どこであのモヤが生じたのか分からないか試す。
うん……?
一瞬暗くなったと思ったら、直ぐにそれが消えた。
あれ、今のは瘴気《モヤ》が出て来たのか?
もう同じ個所に魔力を通したら、やはり一瞬瘴気が生じた。
ここが原因なのかな?
魔術回路の図に印をつけた上で、更に回路を描き続けていく。
意外なことに、更に2か所ほど、魔力を通したら瘴気《モヤ》が生じるところがあった。
「なんなんだろうな、この瘴気《モヤ》?」
書き終わった魔術回路を確認しながら呟く。
「そういえば、暗黒界から攻めてくる連中を幻想界の妖精たちとかが撃退していたが、暗黒界の奴らの中には悪魔とかも含まれるようだし、あちらで開発された魔術回路も存在するのではないか?」
アレクが言った。
シャルロがその言葉にゆっくりと頷く。
「そうなると、誰かが悪魔憑きや悪魔と取引をして、呪詛の効果を再現する魔術回路を教えてもらって呪器を作り出したのかも?
そんでもっても向こうの世界の魔術回路には瘴気《モヤ》を生み出す効果があったとか?」
あ~。あり得そうだな。
「求められる効果を生じさせる魔術回路に、わざと瘴気《モヤ》を生み出す魔術回路を混ぜ込んで売りつけているかもだな。
悪魔とか暗黒界の連中がこの世界の何を対価に魔術回路を売りつけるのか知らんが」
というか、元々なんであの連中が幻想界を襲おうとするのかとか、隙があったらこの世界も浸食したがるっぽいのかも分からない。
「瘴気が濃くなったら、幻想界で起きたみたいに時折暗黒界との境界が薄くなって攻め込みやすくなるのかも?
攻めこむ理由としては、やっぱ僕たちが美味しいからなんじゃないかなぁ?
要は、妖精も人間も餌扱いされてるんじゃない?」
シャルロがちょっと不快そうに言う。
まあ、人間の体を食べると言うよりも、魂を食べるとかなのかもだな。
御伽噺では悪魔に魂を売って敵を陥れるとか殺すとかって話が多い。
俺たちの魂を食わなきゃ生きていけないっていうのだったら流石に暗黒界の連中がとっくのとうに餓死しまくっているか、もっと切実に攻め込もうとしていると思うから、ちょっと上手い酒とか美味しい菓子程度な対価の可能性が高そうだが。
「今度、アルフォンスにでも呪器を見てもらって、あの瘴気《モヤ》とかがどのくらい危険か確認しておかないか?
もしも王宮の研究所で働く連中がこの呪器を緊急時に仮死状態にする魔具的な使い方をする開発に成功した場合に、ちゃんと瘴気を消してるかどうか学院長経由ででも確認した方が良いだろう。口を出す前にどのくらいの危険性があるのか聞いておく方が良いだろう」
連続でネズミに使い続けていてネズミが瘴気に侵されるようになってきたらそれを証拠として差し出しても良いが、手を出すなと言われたのに実験していると自分たちから白状するのはちょっと微妙だからなぁ。
アルフォンスから聞いたって形の方が良さげだ。
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