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卒業後
448 星暦554年 翠の月 20日 新しいことだらけの開拓事業(20)
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『船が来たよ~』
自分の魔力を魔石の代わりに使う事で携帯式通信機をより軽く小さく出来ないかと色々試していたら、突然横に清早が姿を現した。
今回の休息日はシャルロが遊びに行く番だったので、清早に一応船に関しては気をつけておいてくれと頼んでいたのだが・・・本当に船が来るとは思わなかった。
もうそろそろガルカ王国もザルガ共和国との戦争に負けを認めて敗北宣言をするんじゃないかとジャレットが言っていたし、他国と戦っている間にアファル王国にまで喧嘩をふっかける余裕は無いだろう。
そう考えるとこの船も特に変な目的では無い可能性が高い。
だが。
今日は船が来る予定は無かったはずではある。
嵐があったり変な突風が吹いたという話も聞いていないので、風に流されたり帆が破損した船が緊急で寄港したという可能性も低いだろう。
通信機があるので、アファル王国以外の船が来るにしても前もって連絡してくる事が多いんだけどなぁ。
事前に連絡がある方が、補給用の水を準備しておけるし、こちらが買いたい商品を伝えられてお互いに無駄がないとの事で、先日東大陸の領事館があちらの港湾事務所にパストン島と直通で連絡が取れる安価な通信機を設置したのだ。
そう考えると、連絡無しに突然現れる船というのはちょっと怪しい。
急いで港の脇にある警備隊の建物に足を運んだ。
「何やら船が来たようなんだけど。
今朝確認した際には何も予定は無いと聞いていたんだけど、その後連絡があった?」
警備隊長のザクリーが顔をしかめながら立ち上がった。
「いや、そんな話は聞いていない。
足止めはしてあるんだな?
様子を見に行こう」
港が面する湾の入り口付近で清早に足止めを喰らった船は・・・微妙な感じだった。
最近見慣れた交易船に比べるとスリムで、容積量が少なそうだ。
だが、軍船と比べると小ぶりに見える。
どちらかと言うと・・・先日の軍部の依頼で行った海賊モドキの島にあった船に近い感じか?
日が落ちる前に偵察としてかなりの上空から飛んだ際にちらっと見た程度なので、詳しいことは分からないが・・・中途半端な造りで私掠船のタイプに近い感じがする。
「怪しいな。
あの型と大きさだったら、ちょっと馬鹿な中堅商会が背伸びして造らせた船か、私掠船だ」
ザクリーも同じようなことを考えたのか、双眼鏡で船を見ながら呟いた。
「だけど、私掠船が何でパストン島に??
まだ略奪するほどの資産は無いのに。
それとも俺達を誘拐して身代金を請求するつもりなのか?
流石にあの程度の船に乗っている人員だけで島の人間を打ち負かして誘拐していくというのは無理があると思うが」
というか、開拓団に加わっている人間を誘拐したとして、誰から身代金を取るんだ??
大きな商会の船だったら商会に請求すれば良いだろうが、元々開拓団に加わる人間というのはあまり金が無いから新天地を求めて苦労すると分かっている開拓団に参加するんだろうに。
奴隷商人に売るんだったらもっと人口密度が高いところで人を攫う方が良いだろう。
まあ、シャルロやアレクを誘拐すれば金になるだろうが・・・誘拐はほぼ不可能だろう。
魔術師を狙って開拓地に来るなんて聞いたことが無い。
とは言え、中堅の商会がまだ開拓を始めたばかりの補給島に連絡も無しに来るとも考えにくい。
「さてな。
話を聞きにいくしかないな。
一緒に来てくれ」
折角の休息日なのに。
迷惑な奴らだ。
【後書き】
ちょっと短いですが、区切りが良いので。
ちなみにアレクは内陸にまたラフェーンと出かけてます。
自分の魔力を魔石の代わりに使う事で携帯式通信機をより軽く小さく出来ないかと色々試していたら、突然横に清早が姿を現した。
今回の休息日はシャルロが遊びに行く番だったので、清早に一応船に関しては気をつけておいてくれと頼んでいたのだが・・・本当に船が来るとは思わなかった。
もうそろそろガルカ王国もザルガ共和国との戦争に負けを認めて敗北宣言をするんじゃないかとジャレットが言っていたし、他国と戦っている間にアファル王国にまで喧嘩をふっかける余裕は無いだろう。
そう考えるとこの船も特に変な目的では無い可能性が高い。
だが。
今日は船が来る予定は無かったはずではある。
嵐があったり変な突風が吹いたという話も聞いていないので、風に流されたり帆が破損した船が緊急で寄港したという可能性も低いだろう。
通信機があるので、アファル王国以外の船が来るにしても前もって連絡してくる事が多いんだけどなぁ。
事前に連絡がある方が、補給用の水を準備しておけるし、こちらが買いたい商品を伝えられてお互いに無駄がないとの事で、先日東大陸の領事館があちらの港湾事務所にパストン島と直通で連絡が取れる安価な通信機を設置したのだ。
そう考えると、連絡無しに突然現れる船というのはちょっと怪しい。
急いで港の脇にある警備隊の建物に足を運んだ。
「何やら船が来たようなんだけど。
今朝確認した際には何も予定は無いと聞いていたんだけど、その後連絡があった?」
警備隊長のザクリーが顔をしかめながら立ち上がった。
「いや、そんな話は聞いていない。
足止めはしてあるんだな?
様子を見に行こう」
港が面する湾の入り口付近で清早に足止めを喰らった船は・・・微妙な感じだった。
最近見慣れた交易船に比べるとスリムで、容積量が少なそうだ。
だが、軍船と比べると小ぶりに見える。
どちらかと言うと・・・先日の軍部の依頼で行った海賊モドキの島にあった船に近い感じか?
日が落ちる前に偵察としてかなりの上空から飛んだ際にちらっと見た程度なので、詳しいことは分からないが・・・中途半端な造りで私掠船のタイプに近い感じがする。
「怪しいな。
あの型と大きさだったら、ちょっと馬鹿な中堅商会が背伸びして造らせた船か、私掠船だ」
ザクリーも同じようなことを考えたのか、双眼鏡で船を見ながら呟いた。
「だけど、私掠船が何でパストン島に??
まだ略奪するほどの資産は無いのに。
それとも俺達を誘拐して身代金を請求するつもりなのか?
流石にあの程度の船に乗っている人員だけで島の人間を打ち負かして誘拐していくというのは無理があると思うが」
というか、開拓団に加わっている人間を誘拐したとして、誰から身代金を取るんだ??
大きな商会の船だったら商会に請求すれば良いだろうが、元々開拓団に加わる人間というのはあまり金が無いから新天地を求めて苦労すると分かっている開拓団に参加するんだろうに。
奴隷商人に売るんだったらもっと人口密度が高いところで人を攫う方が良いだろう。
まあ、シャルロやアレクを誘拐すれば金になるだろうが・・・誘拐はほぼ不可能だろう。
魔術師を狙って開拓地に来るなんて聞いたことが無い。
とは言え、中堅の商会がまだ開拓を始めたばかりの補給島に連絡も無しに来るとも考えにくい。
「さてな。
話を聞きにいくしかないな。
一緒に来てくれ」
折角の休息日なのに。
迷惑な奴らだ。
【後書き】
ちょっと短いですが、区切りが良いので。
ちなみにアレクは内陸にまたラフェーンと出かけてます。
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