シーフな魔術師

極楽とんぼ

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卒業後

510 星暦555年 藤の月 10日 俺はオマケです。(9)

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洞窟に入ったらハラファはあちらこちらを舐めるようにじっくりと観察し始め、アルマは奥の座っていた白骨死体(と言うよりもその前に広げてあった日誌と思われる書類)へと進んだ。

「ちなみに、発掘現場から罠みたいな攻撃魔術のこもった魔道具とか、毒や病原菌とかが発見されることってあるの?」
ぶらぶらと奥へと進みながらシェイラに尋ねる。

それこそ以前見かけた東の大陸の蚤市のように呪いモドキな術が掛った魔道具だってあっても不思議では無い。

いや、態々そんな魔道具を作って大切に保管して置いたのが今になって見つかるというのはちょっと変な気はするが、発掘作業とは言うなれば金庫のような大切な物を仕舞っている場所を暴く作業だろう。
だとしたら防犯用の仕組みがあってもおかしくは無い。
もっとも、『遺跡』になっている時点で魔道具が風化して起動しない可能性の方が高いだろうが。

だが、大昔には墓に貴重品を死者と一緒に埋葬する習慣もあったらしく、そう言った地域では墓泥棒対策としてそれなりに罠も仕掛けられていたという話を図書館で見かけた。

「埋葬品が沢山あるような遺跡では罠とかは要注意よね。
残念ながら私は実物を見たことは無いけど。
毒とか病原菌は・・・あまり聞かないわね。
寒いさなかに現場に残りすぎて風邪を引くという話は良くあるけど」
シェイラが肩を竦めながら答えた。

「・・・ここみたいな封鎖って、ちょっとヤバいかな~なんてさっき思いついたんだよね。
中に生きた人間がいるのに洞窟の入り口を封じるのって、致死率の高い危険な伝染病が発覚して中の人間ごと封じた場合なんかにやるのかも、と思い至って。
伝染病の病原菌も時間の流れで風化して死ぬんだよね??」

まあ、他にも戦争か何かで敵軍に襲われそうになって防衛の為に取り敢えず封じて、味方の助けが間に合わなかったか助けを求める連絡がたどり着けなかったかという状況もありえるけど。

防衛的な意味で封じたのだったら、入り口近辺に敵が土砂を避けてきた時の対策として攻撃的な罠をしかけている可能性は高いが、既に入り口の土砂は問題無いしアスカによって撤去されたので今更罠の心配はしなくて良いだろう。

だが、危険な病原菌を封じていたのだとしたら・・・ヤバいのではないだろうか?
まだ俺とシェイラはほぼ全く何も洞窟の中の物に触っていない。
まあ、オーバスタ神殿の時代からの空気に菌が残っているというのならどうしようも無いところだが、流石にそれは大丈夫だと思いたい。
衣服や死体についた病原菌が長生きするのだったら危険かも知れないが・・・どうなのだろう?

既に忘れ去られた、命に関わるような伝染病を掘り起こして現代に復活させてしまったなんて『名誉』はいらんぞ。

シェイラが肩を竦めた。
「伝染病で封じたので無くても、遺跡にあった病原菌に今の人が抵抗できなくて大病化してしまうというのは時折あることよ。
だから発掘を始める前にそこら辺は一通り調査して殺菌するの。
アルマがちゃんと中の物を触る前に検査してくれるはずよ」

おい。
「・・・そんな危険があるんだったら、洞窟に入る前に何も触るなって警告して欲しかったぞ」

シェイラに『だいじょーぶよ!』とでも言う感じで背中を叩かれた。
「ウィルは発掘の素人じゃ無いから、初めて入る発掘現場で迂闊に物に触れて状態を崩しちゃあ駄目だって事ぐらい分かっているでしょ?
だから態々声を掛けなくても大丈夫だと思ったの。
どちらにせよ、触ろうとしたら止めたわよ~」

・・・というか、初めてあのハラファが今調べている遺跡を見て回った時って俺達色々触りまくっていたよな。
まあ、3人とも全然病気になっていないのでへんな病原菌はなかったようだが、ちょっとヤバかったかも?

しっかし。
遺跡って迂闊に触っちゃあ行けないんかぁ。

今度、その病気を検査する術とか殺菌する術というのをアルマに教わっておこう・・・


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考古学とかで病原菌が掘り起こされちゃって広まる事って実際にはないんですかね?
まあ、『遺跡』と言うほど古かったら病原菌も死んじゃってるか・・・。

でも、エジプトのファラオの『呪い』ってそういう昔の病原菌か何かが原因なんじゃないかと思ってるんですけどね~。

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