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卒業後
167 星暦552年 萌葱の月 5日 楽しい手伝い(6)
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「いやぁ、有難い。本当なら全部のオーパスタ神殿を調べて回りたいところなんだが、流石に時間が無いからね。ここだけでも隠し金庫があるのか確認出来れば大分助かるよ」
一緒にレディ・トレンティスの屋敷の傍の遺跡を一緒に見て回ることになったらガルバが嬉しそうに声をかけてきた。
・・・イマイチお礼に聞こえないところが笑える。
いや、本人はお礼を言っているつもりなんだろうけど、本音がダダ漏れ。
ま、考えてみたらこの遺跡はゴキもどきに追いかけられた後は下を見るのに忙しくて上の部分をちゃんと見て回らなかったからな。ここで専門家と一緒に回るのも面白いだろう。
「とりあえず、中心の建物から始めようか。その後は中心から回って行こう」
了解。
中心の神殿モドキな建物には隠し金庫は無かった。
右隣の建物に入って中を見回す。
街の中心部だから高さがあり、2階建てになっている。他の部分は段々街の天井が低くなり、一階建てになっていく。2階建ての家に住めたのは有力者と言うことなんだろうなぁ。
現在の基準で考えたら、当然金庫がある。
まあ、現在の基準で考えたら街の有力者の家がたったの2階建てでこんなに小さいということはあり得ないけど。王都の家のサイズで言ったら普通の商人の家ぐらいだ。
俺たちの家よりも小さいぐらいじゃないか?
丘の中に住むなんて言う非実用的なことをしているからサイズが小さくなるんだよねぇ。
本当に、何故こんな不便な生き方をしたのか、理由がはっきりしたら是非教えてもらいたいところだ。
「で、どう?ありそうかな?」
まるで手品の種を明かすかのようにワクワクしながらガルバが聞いてきた。
おいおい。まだ家に一歩入っただけじゃないか。
とは言え。
殆ど何も残っていなくて面白くないな。
持ち出せるものはとっくのとうに今までここを探検した冒険者たちや学者、近所の子供たちに持って行かれたんだろう。
とりあえず、心眼《サイト》で建物を透視して隠し金庫を探す。
今の基準で考えれば小さな家だし、家具も何もないから壁と床の空間を探せばいいだけなので簡単だ。
一階の床にあるスペースは食糧保存庫《パントリー》だな。
流石にこれは見逃してはいないだろう。隠れてもいないし。
後は・・・上の階の床と壁か。2か所も分かれていると言うことは、それなりに隠す財産があったのかな?
開けてみたが、中は空っぽだった。
「やはり隠し金庫はあったのか・・・」
ガルバが愕然としたような顔をしている。
「ま、とりあえず新しい遺跡だけが違う訳ではなく、普通に隠し金庫が必要な程度に貨幣経済が発達していたと言うことですかね?」
「そうなんだろうな」
「とは言っても、牢獄を密封する準備期間があったんだから、宝石とか貨幣が残っているとは思えないですけどね。そう言えば、あの牢獄の書き込みが何と書いてあったのかご存知ですか?」
確かハラファ達は旧遺跡の方の牢獄後の研究もしていたはず。
だから新しい方の発掘が遅れたとかいう話だから。
「ああ。どうやらあれは宗教上の問題だったようだな。神について色々議論して自分は間違っていないと主張していた」
うわ~。
自分の神を否定したから飢え死にするよう、街を捨ている際に態々牢屋を封印するか?
狂信的な集団だったんだなぁ。
新遺跡の方はもう少しまともな人間が住んでいたことを期待したいな。
「お!ここのは何か残ってる」
中央広場を面している一番小さな二階建ての家を見回して思わず声が出た。
今まで見て回った金庫は全て空だったのだが、ここのは何か残っている。
紙っぽいから、持って行ってもしょうがない書類だったのかな?
「気をつけてくれよ!扉を開く空気の動きで書類が崩壊しないように先に固定化の魔術をかけよう!」
俺の声に駆け寄ってきたガルバが俺の手を抑える。
「了解。じゃあ、どうぞ」
「頼むよ。僕は魔術師じゃないんでね」
あれ?
そうなんだ。
「考古学者なんて言うのは金にならない商売だからね。魔術師で続けるのはアルマみたいな変わり者だけなんだよ。残りは普通の歴史バカさ」
「全部をちゃんと処理するのは自信がないんで、とりあえず軽く固定化をかけますか」
アルマに教わった書類用の固定化の術を隠し金庫の扉越しにかけてから隠し扉を開く。
「おお!!」
俺を押しのける勢いでガルバが顔を突き出す。
残念ながらインクが褪せていて何も見えなかったが。
「あ~。インク復元の術はちゃんと見せてもらってなかったですね。固定化の術を強化してアルマさんに持って行きましょう」
「そんなぁ・・・」
がっくりとガルバがへたり込んだ。
おやおや。
考古学なんて根気との戦いでしょうに。
頑張って下さいな。
一緒にレディ・トレンティスの屋敷の傍の遺跡を一緒に見て回ることになったらガルバが嬉しそうに声をかけてきた。
・・・イマイチお礼に聞こえないところが笑える。
いや、本人はお礼を言っているつもりなんだろうけど、本音がダダ漏れ。
ま、考えてみたらこの遺跡はゴキもどきに追いかけられた後は下を見るのに忙しくて上の部分をちゃんと見て回らなかったからな。ここで専門家と一緒に回るのも面白いだろう。
「とりあえず、中心の建物から始めようか。その後は中心から回って行こう」
了解。
中心の神殿モドキな建物には隠し金庫は無かった。
右隣の建物に入って中を見回す。
街の中心部だから高さがあり、2階建てになっている。他の部分は段々街の天井が低くなり、一階建てになっていく。2階建ての家に住めたのは有力者と言うことなんだろうなぁ。
現在の基準で考えたら、当然金庫がある。
まあ、現在の基準で考えたら街の有力者の家がたったの2階建てでこんなに小さいということはあり得ないけど。王都の家のサイズで言ったら普通の商人の家ぐらいだ。
俺たちの家よりも小さいぐらいじゃないか?
丘の中に住むなんて言う非実用的なことをしているからサイズが小さくなるんだよねぇ。
本当に、何故こんな不便な生き方をしたのか、理由がはっきりしたら是非教えてもらいたいところだ。
「で、どう?ありそうかな?」
まるで手品の種を明かすかのようにワクワクしながらガルバが聞いてきた。
おいおい。まだ家に一歩入っただけじゃないか。
とは言え。
殆ど何も残っていなくて面白くないな。
持ち出せるものはとっくのとうに今までここを探検した冒険者たちや学者、近所の子供たちに持って行かれたんだろう。
とりあえず、心眼《サイト》で建物を透視して隠し金庫を探す。
今の基準で考えれば小さな家だし、家具も何もないから壁と床の空間を探せばいいだけなので簡単だ。
一階の床にあるスペースは食糧保存庫《パントリー》だな。
流石にこれは見逃してはいないだろう。隠れてもいないし。
後は・・・上の階の床と壁か。2か所も分かれていると言うことは、それなりに隠す財産があったのかな?
開けてみたが、中は空っぽだった。
「やはり隠し金庫はあったのか・・・」
ガルバが愕然としたような顔をしている。
「ま、とりあえず新しい遺跡だけが違う訳ではなく、普通に隠し金庫が必要な程度に貨幣経済が発達していたと言うことですかね?」
「そうなんだろうな」
「とは言っても、牢獄を密封する準備期間があったんだから、宝石とか貨幣が残っているとは思えないですけどね。そう言えば、あの牢獄の書き込みが何と書いてあったのかご存知ですか?」
確かハラファ達は旧遺跡の方の牢獄後の研究もしていたはず。
だから新しい方の発掘が遅れたとかいう話だから。
「ああ。どうやらあれは宗教上の問題だったようだな。神について色々議論して自分は間違っていないと主張していた」
うわ~。
自分の神を否定したから飢え死にするよう、街を捨ている際に態々牢屋を封印するか?
狂信的な集団だったんだなぁ。
新遺跡の方はもう少しまともな人間が住んでいたことを期待したいな。
「お!ここのは何か残ってる」
中央広場を面している一番小さな二階建ての家を見回して思わず声が出た。
今まで見て回った金庫は全て空だったのだが、ここのは何か残っている。
紙っぽいから、持って行ってもしょうがない書類だったのかな?
「気をつけてくれよ!扉を開く空気の動きで書類が崩壊しないように先に固定化の魔術をかけよう!」
俺の声に駆け寄ってきたガルバが俺の手を抑える。
「了解。じゃあ、どうぞ」
「頼むよ。僕は魔術師じゃないんでね」
あれ?
そうなんだ。
「考古学者なんて言うのは金にならない商売だからね。魔術師で続けるのはアルマみたいな変わり者だけなんだよ。残りは普通の歴史バカさ」
「全部をちゃんと処理するのは自信がないんで、とりあえず軽く固定化をかけますか」
アルマに教わった書類用の固定化の術を隠し金庫の扉越しにかけてから隠し扉を開く。
「おお!!」
俺を押しのける勢いでガルバが顔を突き出す。
残念ながらインクが褪せていて何も見えなかったが。
「あ~。インク復元の術はちゃんと見せてもらってなかったですね。固定化の術を強化してアルマさんに持って行きましょう」
「そんなぁ・・・」
がっくりとガルバがへたり込んだ。
おやおや。
考古学なんて根気との戦いでしょうに。
頑張って下さいな。
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