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卒業後
211 星歴553年 赤の月25日 手伝い再び
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ハラファ達は相変わらず廃墟に入り浸っていた。
ただ、流石に今の時期は寒いので二日に一回は街に帰って体を温めているらしい。
「寒くなり始めた頃に、桃の月ならまだ大丈夫だと思って我慢したら酷い風邪を引いてしまってね。
くしゃみで修復中の古代の本をを吹き飛ばしてしまってからは諦めて体を温めることにしたんだけど、一度風邪を引くと中々治らなくって。
しょうが無いからそれ以来は1日おきに街でしっかり体を温めて栄養のある食事を取ることにしたんだ」
アルマが笑いながら教えてくれた。
レディ・トレンティスにはお土産に防寒結界を持ってきたが、流石にそれなりに高額になるし何人いるかも分からなかったので考古学者チームには軽いつまみ程度の物しか持ってきていなかった。これで防寒結界を与えていたら絶対に魔石が尽きるまでこちらに籠もっていたんだろうなぁ。
「取り敢えず、まだこちらのセクションの目録作りが終わっていないから、それをしながら必要に応じて固定化の術とかを掛けておいてくれると非常に助かるな。
勿論、書類の復元を手伝ってくれるのだったらそちらも大歓迎だし、他にもやることはいくらでもあるから飽きたら言ってくれ」
とガルバが提案してきた。
街の見取り図は大まかには終わり、どの建物が何だったのかも書き込まれていた。
だが、相変わらず作業量に対して人手が圧倒的に足りていないようだ。
「じゃあ、今日は取り敢えず俺とシャルロとケレナは目録作りと固定化の術、アレクは書類復元をするか?で、使えそうな魔術回路があったら目を付けておいて明日からそちらの研究もしてみるという感じでどうだ?」
文書や本の復元が一番の情報源になる上に技能も必要なので手伝いが必要な作業だが、これは俺とシャルロには向いていない。
アレクは幸い興味も丁寧さも技能もあるのでそちらの手伝いをしていたら良いだろう。
「そうだね。今日は使えそうでまだ魔術院に登録されていない回路がないか、よく見ながら目録作りをしよう」
シャルロが紙とペンを手に取りながら頷く。
こちらに来る前に魔術院でこの廃墟に関して買い取られた魔術回路に関しては調べてある。古くて劣化が激しかっただけあって、手つかずな廃墟であったにもかかわらず、あまり登録されていなかった。
それでもオーパスタ神殿遺跡としては多い方だったらしいが。
◆◆◆
やはり古代でも魔道具はそれなりに高級品だったのか、家の中に残っていた物で魔術回路がついているのは明らかに元から壊れていたのだろうガラクタと、大きすぎて持ち運べない物が殆どだった。
大きすぎて持ち運べないのは個人の家ではなく井戸や公共浴場のような公共の場が多かったが。
そういった大きな魔道具も既に機能していないか、登録されていたかだった。
・・・まあ、当然だが。
探して直ぐに見つかるなら既に見つけられているだろう。
俺達は各家を廻ってケレナが目録を作る間シャルロが固定化の術を掛け、俺が隠し金庫や何か使えそうな魔術回路がないか見て回っていた。
他の資料から分かったのか、見取り図に何軒かは「ハスヤット家」とか「ジャール家」といった住民の名前が記載されていたり、「衣服屋」や「食事処」といった職業がメモされていたりしていて面白い。
食事処などはそれなりに大きなキッチンがあり、昔の調理道具を見てどのように使ったのか考えると中々楽しい。今も同じような使い方をしているのであろうと想像出来る物もあれば、見たこともない道具もある。
「うん?」
ふと、天井に目をやって魔術回路が目に入った。
あちこちが切れているが、キッチンも客が食べる部屋もどちらの天井にも回路がある。
よくよく見てみると、同じような回路が何カ所か見てとれる。
・・・考えてみたら、他の家の台所天井にも似たようなのがあったな。
例えあちこちが切れていても、壊れていない箇所を重ねていけば完全な回路が入手できるかも知れない。
「どうしたの?」
目録を書き込んでいたケレナが尋ねてきた。
「どうもこの天井にある魔術回路って他の家の台所にあったのと同じような感じのものな気がする。
台所の魔術回路ってことは換気か何かだと思うけど、他の家のともあわせれば完全な回路が出来ると思わないか?
折角だから実用性がどうであれ、1つぐらいまず機能する回路を作ってみたい」
「天井一面の魔術回路なんて、大変じゃない?もっと手頃な魔道具から始めた方が良くない?」
ケレナが不思議そうに聞いてきた。
「魔道具は同じタイプのが複数見つかるとは限らないからね。一般的に家に使う魔術回路の方が簡単に復元できるかも知れない。どうせ、天井一杯なのは部屋のサイズに合わして出力を高めるためだから、テストするときはもっと小さくても大丈夫だし」
シャルロは俺に同意したようだ。
「じゃあ、はい、これ。それで出来る範囲の回路を写し取ってみてよ」
肩から掛けていた鞄(基本的にシャルロのお菓子とお茶が入っている)に何故か入っていた銅線を俺に渡しながらシャルロが言った。
「おう。ちょっとやってみるわ」
ただ、流石に今の時期は寒いので二日に一回は街に帰って体を温めているらしい。
「寒くなり始めた頃に、桃の月ならまだ大丈夫だと思って我慢したら酷い風邪を引いてしまってね。
くしゃみで修復中の古代の本をを吹き飛ばしてしまってからは諦めて体を温めることにしたんだけど、一度風邪を引くと中々治らなくって。
しょうが無いからそれ以来は1日おきに街でしっかり体を温めて栄養のある食事を取ることにしたんだ」
アルマが笑いながら教えてくれた。
レディ・トレンティスにはお土産に防寒結界を持ってきたが、流石にそれなりに高額になるし何人いるかも分からなかったので考古学者チームには軽いつまみ程度の物しか持ってきていなかった。これで防寒結界を与えていたら絶対に魔石が尽きるまでこちらに籠もっていたんだろうなぁ。
「取り敢えず、まだこちらのセクションの目録作りが終わっていないから、それをしながら必要に応じて固定化の術とかを掛けておいてくれると非常に助かるな。
勿論、書類の復元を手伝ってくれるのだったらそちらも大歓迎だし、他にもやることはいくらでもあるから飽きたら言ってくれ」
とガルバが提案してきた。
街の見取り図は大まかには終わり、どの建物が何だったのかも書き込まれていた。
だが、相変わらず作業量に対して人手が圧倒的に足りていないようだ。
「じゃあ、今日は取り敢えず俺とシャルロとケレナは目録作りと固定化の術、アレクは書類復元をするか?で、使えそうな魔術回路があったら目を付けておいて明日からそちらの研究もしてみるという感じでどうだ?」
文書や本の復元が一番の情報源になる上に技能も必要なので手伝いが必要な作業だが、これは俺とシャルロには向いていない。
アレクは幸い興味も丁寧さも技能もあるのでそちらの手伝いをしていたら良いだろう。
「そうだね。今日は使えそうでまだ魔術院に登録されていない回路がないか、よく見ながら目録作りをしよう」
シャルロが紙とペンを手に取りながら頷く。
こちらに来る前に魔術院でこの廃墟に関して買い取られた魔術回路に関しては調べてある。古くて劣化が激しかっただけあって、手つかずな廃墟であったにもかかわらず、あまり登録されていなかった。
それでもオーパスタ神殿遺跡としては多い方だったらしいが。
◆◆◆
やはり古代でも魔道具はそれなりに高級品だったのか、家の中に残っていた物で魔術回路がついているのは明らかに元から壊れていたのだろうガラクタと、大きすぎて持ち運べない物が殆どだった。
大きすぎて持ち運べないのは個人の家ではなく井戸や公共浴場のような公共の場が多かったが。
そういった大きな魔道具も既に機能していないか、登録されていたかだった。
・・・まあ、当然だが。
探して直ぐに見つかるなら既に見つけられているだろう。
俺達は各家を廻ってケレナが目録を作る間シャルロが固定化の術を掛け、俺が隠し金庫や何か使えそうな魔術回路がないか見て回っていた。
他の資料から分かったのか、見取り図に何軒かは「ハスヤット家」とか「ジャール家」といった住民の名前が記載されていたり、「衣服屋」や「食事処」といった職業がメモされていたりしていて面白い。
食事処などはそれなりに大きなキッチンがあり、昔の調理道具を見てどのように使ったのか考えると中々楽しい。今も同じような使い方をしているのであろうと想像出来る物もあれば、見たこともない道具もある。
「うん?」
ふと、天井に目をやって魔術回路が目に入った。
あちこちが切れているが、キッチンも客が食べる部屋もどちらの天井にも回路がある。
よくよく見てみると、同じような回路が何カ所か見てとれる。
・・・考えてみたら、他の家の台所天井にも似たようなのがあったな。
例えあちこちが切れていても、壊れていない箇所を重ねていけば完全な回路が入手できるかも知れない。
「どうしたの?」
目録を書き込んでいたケレナが尋ねてきた。
「どうもこの天井にある魔術回路って他の家の台所にあったのと同じような感じのものな気がする。
台所の魔術回路ってことは換気か何かだと思うけど、他の家のともあわせれば完全な回路が出来ると思わないか?
折角だから実用性がどうであれ、1つぐらいまず機能する回路を作ってみたい」
「天井一面の魔術回路なんて、大変じゃない?もっと手頃な魔道具から始めた方が良くない?」
ケレナが不思議そうに聞いてきた。
「魔道具は同じタイプのが複数見つかるとは限らないからね。一般的に家に使う魔術回路の方が簡単に復元できるかも知れない。どうせ、天井一杯なのは部屋のサイズに合わして出力を高めるためだから、テストするときはもっと小さくても大丈夫だし」
シャルロは俺に同意したようだ。
「じゃあ、はい、これ。それで出来る範囲の回路を写し取ってみてよ」
肩から掛けていた鞄(基本的にシャルロのお菓子とお茶が入っている)に何故か入っていた銅線を俺に渡しながらシャルロが言った。
「おう。ちょっとやってみるわ」
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