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卒業後
826 星暦557年 紫の月 24日 肩凝り対策(17)
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「少しこう、結界か何かで反発力を表面に這わせたらもっと押した時に気持ち良く押せるようにならないかな?
ちょっとこれ、固すぎるか柔らかすぎるかでイマイチ過ぎる」
試作品を頭の後ろに当てて動かしながら、提案する。
ここ数日で色々と魔術回路を魔術院とシェフィート商会お抱えの工房とから入手して幾つか試作品を作ったのだが・・・。
まず、オモチャにあるバランスを取る機能とか行き止まりにぶつかった際の処理とか云った、オモチャには必要だが頭を揉み解す魔具には不要な機能を取り去るのにそこそこ手間がかかった。
これだけ手間暇かけて簡略化したんだから、特許全部の使用料は絶対に払いたくない。
まあ、幸い特許料が掛かる新しい魔術回路と、特許期限切れのとさして違いはなかったので昔のを使えばいいと思っている。
残念ながらオモチャを歩かせるためのバランスを取る機能は比較的新しい物の方がいいらしく、特許切れの魔術回路で現存のを差し替えるのは難しそうだったが。
それはさておき、やっと必要な部分だけの魔術回路を抜き出して試作品を幾つか作ってみたところ・・・素材が難しい事が判明。
棒だけだと木を使っても固すぎて痛く、布や綿とかで覆ってもイマイチ固いままか、覆いすぎると上手く力が伝わらなくって意味がなくなってしまう。
かと言って柔らかいぬいぐるみの足みたいのでやってみたら、柔らかすぎてちゃんと力を加えられ無くて殆ど解す機能を発揮できない。
それこそ、骨付きの干し肉でも使おうかと一瞬考えた位だが・・・流石に腐って大変なことになるだろうし、そうじゃなくても髪の毛が脂だらけになるから無理だというのは口に出す前から分かる。
俺でも頭が干し肉臭くギトギトになるのは嫌だ。
「魔術回路で反発力を表面に生み出すことで木で押しても固い部分が直接ゴリゴリ当たらない様にしたらもう少し気持ちいいかも知れないが・・・魔力の消費量が大変なことになりそうだな。
もっと柔らかくて強い人間の身体のような素材が何かないかな・・・」
アレクが黒板を睨みながら考え込む。
「寝袋とか広告幕に使った空気を通さない生地って水も通さないよね?
それに水か・・・ゼラチンでドロッとさせた水を入れるのはどうかな?」
シャルロが提案した。
「水をぎっしり詰めて水圧で固さを保たせるならそれも有りだが、ゼラチンだと体温で溶ける可能性があるから、海藻の一種から採れる寒天とかの方が良いんじゃないか?
ただ、それでも圧力を掛けて体に押し当ててもドロドロな状態が残るか微妙だが・・・」
アレクがちょっと首を傾げる。
ゼラチンも寒天も食べ物の材料だろ??
それをマッサージする素材に使えるのか?
ああいうのって、空気に触れさえしなければドロドロっぽい状態を保つのかね?
「まあ、試してみて感触が良さそうだったら耐久テストとかしていけばいいと思うが・・・なんかこう、破れた時の惨状が怖い気がするんだが。
女の髪の毛の上でデロデロの液体が零れるなんてことをしたら、恨まれないか?」
男でもデロデロの液体を頭から被るのは嫌がるが、女でそれが起きると髪型がかなり悲惨なことになりそうだ。
「何通りかの濃度の高い液体と、後は砂とかで試してみるのもありかも?」
シャルロが提案する。
「砂は案外と固いぞ。
それよりはちょっと柔らかくて小さな粒状の実とかクッション素材とかの方がいいかも。
まあ、どれも試作して比べてみよう」
砂は靴下に詰めて振りまわしたら凶器になるんだぞ?
スラムでは手軽かつ足のつきにくい武器として使われることもあった。
自分の足には穴が開きまくっている靴下を履いているくせに、武器用に態々新しい靴下を定期的に買っている奴も居たものだ。
まあ、それはさておき。
スピードが無く、ゆったりと押される程度だったら砂を詰めた袋に棒の芯が入っている形でも意外と悪くはない可能性だって無きにしも非ずだ。
取り敢えず、全部実験してみて気持ちがいいのから耐久テストをやっていこう。
頭がデロデロになったら魔術学院の温泉でしっかり洗えば良いし。
濡れたらデロデロになるけど、乾いたらさらっと取れるような素材を知らないか、アスカにでも聞いてみようかな?土竜《ジャイアント・モール》だから地下の素材については良く知っているだろうし、温泉が好きなら濡れた時に変わった状態になる素材に関する知識もあるかも?
【後書き】
久しぶりに使い魔のアスカ君が登場?
ちょっとこれ、固すぎるか柔らかすぎるかでイマイチ過ぎる」
試作品を頭の後ろに当てて動かしながら、提案する。
ここ数日で色々と魔術回路を魔術院とシェフィート商会お抱えの工房とから入手して幾つか試作品を作ったのだが・・・。
まず、オモチャにあるバランスを取る機能とか行き止まりにぶつかった際の処理とか云った、オモチャには必要だが頭を揉み解す魔具には不要な機能を取り去るのにそこそこ手間がかかった。
これだけ手間暇かけて簡略化したんだから、特許全部の使用料は絶対に払いたくない。
まあ、幸い特許料が掛かる新しい魔術回路と、特許期限切れのとさして違いはなかったので昔のを使えばいいと思っている。
残念ながらオモチャを歩かせるためのバランスを取る機能は比較的新しい物の方がいいらしく、特許切れの魔術回路で現存のを差し替えるのは難しそうだったが。
それはさておき、やっと必要な部分だけの魔術回路を抜き出して試作品を幾つか作ってみたところ・・・素材が難しい事が判明。
棒だけだと木を使っても固すぎて痛く、布や綿とかで覆ってもイマイチ固いままか、覆いすぎると上手く力が伝わらなくって意味がなくなってしまう。
かと言って柔らかいぬいぐるみの足みたいのでやってみたら、柔らかすぎてちゃんと力を加えられ無くて殆ど解す機能を発揮できない。
それこそ、骨付きの干し肉でも使おうかと一瞬考えた位だが・・・流石に腐って大変なことになるだろうし、そうじゃなくても髪の毛が脂だらけになるから無理だというのは口に出す前から分かる。
俺でも頭が干し肉臭くギトギトになるのは嫌だ。
「魔術回路で反発力を表面に生み出すことで木で押しても固い部分が直接ゴリゴリ当たらない様にしたらもう少し気持ちいいかも知れないが・・・魔力の消費量が大変なことになりそうだな。
もっと柔らかくて強い人間の身体のような素材が何かないかな・・・」
アレクが黒板を睨みながら考え込む。
「寝袋とか広告幕に使った空気を通さない生地って水も通さないよね?
それに水か・・・ゼラチンでドロッとさせた水を入れるのはどうかな?」
シャルロが提案した。
「水をぎっしり詰めて水圧で固さを保たせるならそれも有りだが、ゼラチンだと体温で溶ける可能性があるから、海藻の一種から採れる寒天とかの方が良いんじゃないか?
ただ、それでも圧力を掛けて体に押し当ててもドロドロな状態が残るか微妙だが・・・」
アレクがちょっと首を傾げる。
ゼラチンも寒天も食べ物の材料だろ??
それをマッサージする素材に使えるのか?
ああいうのって、空気に触れさえしなければドロドロっぽい状態を保つのかね?
「まあ、試してみて感触が良さそうだったら耐久テストとかしていけばいいと思うが・・・なんかこう、破れた時の惨状が怖い気がするんだが。
女の髪の毛の上でデロデロの液体が零れるなんてことをしたら、恨まれないか?」
男でもデロデロの液体を頭から被るのは嫌がるが、女でそれが起きると髪型がかなり悲惨なことになりそうだ。
「何通りかの濃度の高い液体と、後は砂とかで試してみるのもありかも?」
シャルロが提案する。
「砂は案外と固いぞ。
それよりはちょっと柔らかくて小さな粒状の実とかクッション素材とかの方がいいかも。
まあ、どれも試作して比べてみよう」
砂は靴下に詰めて振りまわしたら凶器になるんだぞ?
スラムでは手軽かつ足のつきにくい武器として使われることもあった。
自分の足には穴が開きまくっている靴下を履いているくせに、武器用に態々新しい靴下を定期的に買っている奴も居たものだ。
まあ、それはさておき。
スピードが無く、ゆったりと押される程度だったら砂を詰めた袋に棒の芯が入っている形でも意外と悪くはない可能性だって無きにしも非ずだ。
取り敢えず、全部実験してみて気持ちがいいのから耐久テストをやっていこう。
頭がデロデロになったら魔術学院の温泉でしっかり洗えば良いし。
濡れたらデロデロになるけど、乾いたらさらっと取れるような素材を知らないか、アスカにでも聞いてみようかな?土竜《ジャイアント・モール》だから地下の素材については良く知っているだろうし、温泉が好きなら濡れた時に変わった状態になる素材に関する知識もあるかも?
【後書き】
久しぶりに使い魔のアスカ君が登場?
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