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卒業後
922 星暦557年 緑の月 3日 熟練の技モドキ(4)
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『ふむ。
妖精も種族によっては植物の意思も感じ取れるが・・・人間が肉を食べ過ぎたら微妙に胃もたれするのと同じように、植物も何か悪い物を吸収したら具合が悪いとは分かるが、何を過剰摂取したのかや何が足りないのかは植物自身にも分かっておらん事が多いぞ?』
早速呼び出してみたアルフォンスの言葉はこれだった。
なるほど。
実際に人間だって、毒を盛られても気持ち悪くなっているのは分かっても何を盛られたかなんてそれこそ専門の薬師でもない限り分からないし、栄養のバランスが偏っていて体調が悪くても何が足りないのかなんて体感では普通は分からないよな。
『私は植物の効能は分かるし、その植物がどのような土地に育つかも分かるが・・・肥料や水のやり方に関しては詳しい知識は無いな』
ラフェーンが続ける。
パストン島に行った時に色々と便利な植物を教えてくれていたが、ああいうのってユニコーンが本能的に知っている知識なのかね?
土地に生えてる薬草とかを感じ取れるんだから特殊能力っぽい何かはあるんだろうが、実際に果樹園に行って美味しい果物の作り方のアドバイスをするのはまだしも、魔具でそれをする為に役に立つアドバイスを貰うのは難しそうだな。
まあ、魔具が出来上がった後にサンプルとしての『理想的環境』としての成分割合とか環境情報を売るんだったら色々と役に立ちそうな情報を教えて貰えそうだが。
『土の成分だったら分かるし教えられるが、何が植物に良いかは知らんぞ?
毒になって植物が死に絶える物は覚えているから分かるが』
アスカがおやつ代わりにか持ってきたポリポリと岩を齧りながら最後に言った。
「ふ~ん。
つまり、まずは魔具を作ってみてそれで成分探知の結果が正しいかをアスカに確認してもらい、正確な魔具が作れるようになったらラフェーンにどういう土壌成分の組み合わせが特定の作物や果樹に良いのか教えて貰い、最後に実験する際にアルフォンスに植物の方に実感を確認して貰うって感じかな?」
シャルロがちょっと首を傾げて考えてから言った。
多分それでいいんだろうが・・・。
アルフォンスって一応王様なんだろ?
俺たちの開発の実験に付き合わせて良いのか?
まあ、忙しかったら部下を寄越してもらえば良いんだろうけど。
「そうなると人間の学者は必要無いか?」
学者を雇う費用だってただじゃあないんだし。
魔力払いが出来る使い魔に助けて貰う方が経済的だよな。
「いや、効果の検証は農作物学会にやって貰う方が売り込みやすい。
『開発者の使い魔が検証しました』じゃあ高額な魔具を売りこむ為の信用を得にくい」
アレクが指摘した。
あ~。
確かにね。
新しい肥料を入手して撒くのだって上手くいかなきゃ大損だし、今迄のやり方でそれなりに育っているんだったら態々変える必要はないと思う農家のおっさんは多そうだからなぁ。
「つうかさ、今更だけど普通の農家のおっさんが魔具を買ってまでして態々土の状態を良くしようとするのかな?
それよりはそれこそ磁器とか特殊な合金を使う何かを分析して、模倣するのに使われそうな気がするんだが」
新しい開拓地とか、新しい作物を試す為だったら使うだろうが、そんな需要がそれ程あるんかな?
まあ、領主とかだったら色々と考えているかも知れないが・・・却って農作物の出来が悪くてなんとかして改善しようと考えている地域の領主なんかは貴族でも資金繰りが厳しくって魔具なんて買おうと思えなさそうな気がする。
「農作物に関しては、それこそ国に売りつけたら領主に貸し出す形で使わせて農作物の生産性を上げさせるのに使う可能性は高いと思う。
だが・・・模倣に使われるのは困るな。
磁器を砕いて分析した場合、焼く前の素材が分かるような結果が出るのか確認する必要があるかも知れないな。
火を通すことで素材の性質が変わるとか、自然に採掘できる素材に手を加えないと磁器にならないというのだったら良いのだが」
アレクが眉を顰めて考え込んだ。
「それを言うなら金属とかの合金の成分も秘匿情報じゃない?
作り方も重要だけど、それは見ていたらある程度盗めちゃうから、合金に混ぜる素材の割合とかが分かっちゃったら不味いかも?」
シャルロが指摘する。
確かに、錆びにくい鉄や、軽くても強い金属といった物は船の部品や武器・防具を作る際に重要だろう。
どれも開発にがっつり金をかけていて、人を殺してでも情報を秘匿したがるような内容だよなぁ。
国だって他国に情報が流れるのを嫌がるだろうし。
『別に成分なんぞ土竜《ジャイアント・モール》なり土系の幻獣に聞けば対価の魔力を払えばいつでも教えて貰えるぞ?』
俺たちが何を悩んでいるのか分からんという感じでアスカに指摘された。
・・・マジか~。
合金とか、磁器とかの成分とか材料ってアスカに聞けば全部直ぐに分かるの??
つまり、他の国とか工房の人間も、土系の幻獣を召喚できる魔術師を雇えば盗聴用の魔具なんぞをあちこちに仕掛けなくてもあっさり分かったんだ・・・。
うへぇぇ。
【後書き】
ヤバすぎる情報だけど、対応策は無さげw
聞かなかった振りで記憶から消去するのが一番かな?
妖精も種族によっては植物の意思も感じ取れるが・・・人間が肉を食べ過ぎたら微妙に胃もたれするのと同じように、植物も何か悪い物を吸収したら具合が悪いとは分かるが、何を過剰摂取したのかや何が足りないのかは植物自身にも分かっておらん事が多いぞ?』
早速呼び出してみたアルフォンスの言葉はこれだった。
なるほど。
実際に人間だって、毒を盛られても気持ち悪くなっているのは分かっても何を盛られたかなんてそれこそ専門の薬師でもない限り分からないし、栄養のバランスが偏っていて体調が悪くても何が足りないのかなんて体感では普通は分からないよな。
『私は植物の効能は分かるし、その植物がどのような土地に育つかも分かるが・・・肥料や水のやり方に関しては詳しい知識は無いな』
ラフェーンが続ける。
パストン島に行った時に色々と便利な植物を教えてくれていたが、ああいうのってユニコーンが本能的に知っている知識なのかね?
土地に生えてる薬草とかを感じ取れるんだから特殊能力っぽい何かはあるんだろうが、実際に果樹園に行って美味しい果物の作り方のアドバイスをするのはまだしも、魔具でそれをする為に役に立つアドバイスを貰うのは難しそうだな。
まあ、魔具が出来上がった後にサンプルとしての『理想的環境』としての成分割合とか環境情報を売るんだったら色々と役に立ちそうな情報を教えて貰えそうだが。
『土の成分だったら分かるし教えられるが、何が植物に良いかは知らんぞ?
毒になって植物が死に絶える物は覚えているから分かるが』
アスカがおやつ代わりにか持ってきたポリポリと岩を齧りながら最後に言った。
「ふ~ん。
つまり、まずは魔具を作ってみてそれで成分探知の結果が正しいかをアスカに確認してもらい、正確な魔具が作れるようになったらラフェーンにどういう土壌成分の組み合わせが特定の作物や果樹に良いのか教えて貰い、最後に実験する際にアルフォンスに植物の方に実感を確認して貰うって感じかな?」
シャルロがちょっと首を傾げて考えてから言った。
多分それでいいんだろうが・・・。
アルフォンスって一応王様なんだろ?
俺たちの開発の実験に付き合わせて良いのか?
まあ、忙しかったら部下を寄越してもらえば良いんだろうけど。
「そうなると人間の学者は必要無いか?」
学者を雇う費用だってただじゃあないんだし。
魔力払いが出来る使い魔に助けて貰う方が経済的だよな。
「いや、効果の検証は農作物学会にやって貰う方が売り込みやすい。
『開発者の使い魔が検証しました』じゃあ高額な魔具を売りこむ為の信用を得にくい」
アレクが指摘した。
あ~。
確かにね。
新しい肥料を入手して撒くのだって上手くいかなきゃ大損だし、今迄のやり方でそれなりに育っているんだったら態々変える必要はないと思う農家のおっさんは多そうだからなぁ。
「つうかさ、今更だけど普通の農家のおっさんが魔具を買ってまでして態々土の状態を良くしようとするのかな?
それよりはそれこそ磁器とか特殊な合金を使う何かを分析して、模倣するのに使われそうな気がするんだが」
新しい開拓地とか、新しい作物を試す為だったら使うだろうが、そんな需要がそれ程あるんかな?
まあ、領主とかだったら色々と考えているかも知れないが・・・却って農作物の出来が悪くてなんとかして改善しようと考えている地域の領主なんかは貴族でも資金繰りが厳しくって魔具なんて買おうと思えなさそうな気がする。
「農作物に関しては、それこそ国に売りつけたら領主に貸し出す形で使わせて農作物の生産性を上げさせるのに使う可能性は高いと思う。
だが・・・模倣に使われるのは困るな。
磁器を砕いて分析した場合、焼く前の素材が分かるような結果が出るのか確認する必要があるかも知れないな。
火を通すことで素材の性質が変わるとか、自然に採掘できる素材に手を加えないと磁器にならないというのだったら良いのだが」
アレクが眉を顰めて考え込んだ。
「それを言うなら金属とかの合金の成分も秘匿情報じゃない?
作り方も重要だけど、それは見ていたらある程度盗めちゃうから、合金に混ぜる素材の割合とかが分かっちゃったら不味いかも?」
シャルロが指摘する。
確かに、錆びにくい鉄や、軽くても強い金属といった物は船の部品や武器・防具を作る際に重要だろう。
どれも開発にがっつり金をかけていて、人を殺してでも情報を秘匿したがるような内容だよなぁ。
国だって他国に情報が流れるのを嫌がるだろうし。
『別に成分なんぞ土竜《ジャイアント・モール》なり土系の幻獣に聞けば対価の魔力を払えばいつでも教えて貰えるぞ?』
俺たちが何を悩んでいるのか分からんという感じでアスカに指摘された。
・・・マジか~。
合金とか、磁器とかの成分とか材料ってアスカに聞けば全部直ぐに分かるの??
つまり、他の国とか工房の人間も、土系の幻獣を召喚できる魔術師を雇えば盗聴用の魔具なんぞをあちこちに仕掛けなくてもあっさり分かったんだ・・・。
うへぇぇ。
【後書き】
ヤバすぎる情報だけど、対応策は無さげw
聞かなかった振りで記憶から消去するのが一番かな?
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