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卒業後
1001 星暦557年 桃の月 22日 家族(?)サービス期間(25)
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「今日は街の店をちょっと見て回りましょうよ」
領事館の転移門がある部屋から出て、シェイラが外を見回して提案してきた。
「ああ、良いよ。
蚤市は飽きてきた?」
まだ蚤市の6割ぐらいしか回り切れていないので、全部見て回るつもりかと思っていたのだが、飽きたのだろうか?
一昨日は休息日ということで王都でちょっとのんびりしつつシェイラの親父さんにちゃちゃっと会ったり(これで年初に会いに行かずに済ますつもりらしい)、王都の美味しい食事処でゆったりとアファル王国の食事を楽しんだりして過ごした。
昨日は先日オーダーした服と靴を見に行って特に問題なく出来上がりつつあるのを確認して、後は王都の骨董品店や博物館を回った。
今日はまた蚤市だと思っていたのだが・・・違うらしい。
「飽きてはいないけど、店を見て回って何かオーダーしたい物が出てきた場合、年末ぎりぎりだったら色々と時間的制約が出て来るでしょ?
オーダーなり取り寄せなり、必要に応じて問題なく頼める今のうちに回っておきたいの」
なるほど。
確かに蚤市を見終わった後に街を回って何かを仕立てさせたり、取り寄せさせようとしたら時間の調整が面倒だ。
後日俺が来るのは構わないが、シェイラが発掘現場の方に戻った後からだったらシェイラを連れて東大陸までまた来ようと思った場合は俺がヴァルージャまで転移し、シェイラを連れてジルダスまで転移し、ヴァルージャまで戻って・・・となると魔力のやりくりが難しくなるな。
「そう言えば、新しい香辛料とやらも結局今日受け取る予定になったし、それを売っている店があったらちょっとどんな感じなのか見ても良いかもな」
ついでに砂糖を買っておこう。
タイミングが合わなくてまだ買ってなかったから、丁度いいだろう。
「そうね」
シェイラが頷き、門番の居る出口の方へと向かう。
入り口付近の待合室を覗き込んだら、バルダンがそこそこのサイズの荷物を持って待っていた。
・・・この荷物は領事館に帰る時間まで預かって貰おう。
持ち歩いたら邪魔だし、街中で浮浪児やスリに狙われそうだ。
「おはよう!
言われていた香辛料とそれを使った飴や薬と大元の実を持ってきたぜ」
荷物を手で持ち上げて見せながらバルダンが言った。
香辛料が飴はまだしも薬になるのか??
・・・いやまあ、香辛料も薬になるという話は以前にも聞いたことがあるが、その場合って薬にもなるけど量によっては毒になるとか麻薬代わりになると言ったような文脈で聞いた気がするんだが、大丈夫なのか??
バルダンの持ってきた袋の中を覗き込んだら、赤子の頭位もありそうな固そうな実が入っていた。
少なくともこのサイズの実がなる苗をアファル王国で育てるのは無理っぽい気がするから直接これの栽培その物がアファル導入するのは無いかな?
だが、ジルダスで育てて最終的な加工物が交易品として大量に持ち込まれるとなったら麻薬になりそう物ならちょっと心配なんだが。
「ちなみにこの飴とか薬って食べたらどんな効果があるんだ?」
実を手に取って匂いを嗅ぎながら尋ねる。
比較的ありがちな甘い果物の匂いが仄かにする。
まあ、俺は薬とか麻薬に詳しい訳ではないから匂いから何かが分かる訳ではないんだが。
「ちょっと眠気が覚めて元気になるって話だぜ。
南の方だと夜番なんかの時にこの実に穴をあけてジュースを飲んで眠気覚ましにするって聞いた事がある」
コンコン、と曲げた指の関節で実を叩きながらバルダンが言った。
う~ん、どうもますます危険そうじゃないか?
なんかこう、目が覚める効果がある食材とか薬って疲れた時の疲労回復や仕事が沢山ある時の補助薬《ブースター》になるって話だし、それが更に精製されて効果を上げたら万能感・・・とまで言わなくても自分が有能になった気持ちになる麻薬にならないか?
まあ、中毒性が無ければちょっとぐらい気分が良くなる程度だったら残業まみれな役人を助ける都合のいい飲み物になるだけかも知れないが。
でも万能感って肉体的に中毒性が無くても精神的には依存性が高そうな気もする。
「これって現時点でもジルダスで実なりその加工物なりが売られているのか?」
「ああ。
実はちょっと大きくて重いから高級素材の卸売をしている店にしかないが、加工品は薬局や香辛料の店にあるぜ」
バルダンが頷きながら言った。
ふむ。
ウォレン爺に渡して麻薬っぽい効果が無いか、調べさせた方が良いかも知れないな。
一応街中でどんな感じに普通に売られているのかも確認しておくか。
領事館の転移門がある部屋から出て、シェイラが外を見回して提案してきた。
「ああ、良いよ。
蚤市は飽きてきた?」
まだ蚤市の6割ぐらいしか回り切れていないので、全部見て回るつもりかと思っていたのだが、飽きたのだろうか?
一昨日は休息日ということで王都でちょっとのんびりしつつシェイラの親父さんにちゃちゃっと会ったり(これで年初に会いに行かずに済ますつもりらしい)、王都の美味しい食事処でゆったりとアファル王国の食事を楽しんだりして過ごした。
昨日は先日オーダーした服と靴を見に行って特に問題なく出来上がりつつあるのを確認して、後は王都の骨董品店や博物館を回った。
今日はまた蚤市だと思っていたのだが・・・違うらしい。
「飽きてはいないけど、店を見て回って何かオーダーしたい物が出てきた場合、年末ぎりぎりだったら色々と時間的制約が出て来るでしょ?
オーダーなり取り寄せなり、必要に応じて問題なく頼める今のうちに回っておきたいの」
なるほど。
確かに蚤市を見終わった後に街を回って何かを仕立てさせたり、取り寄せさせようとしたら時間の調整が面倒だ。
後日俺が来るのは構わないが、シェイラが発掘現場の方に戻った後からだったらシェイラを連れて東大陸までまた来ようと思った場合は俺がヴァルージャまで転移し、シェイラを連れてジルダスまで転移し、ヴァルージャまで戻って・・・となると魔力のやりくりが難しくなるな。
「そう言えば、新しい香辛料とやらも結局今日受け取る予定になったし、それを売っている店があったらちょっとどんな感じなのか見ても良いかもな」
ついでに砂糖を買っておこう。
タイミングが合わなくてまだ買ってなかったから、丁度いいだろう。
「そうね」
シェイラが頷き、門番の居る出口の方へと向かう。
入り口付近の待合室を覗き込んだら、バルダンがそこそこのサイズの荷物を持って待っていた。
・・・この荷物は領事館に帰る時間まで預かって貰おう。
持ち歩いたら邪魔だし、街中で浮浪児やスリに狙われそうだ。
「おはよう!
言われていた香辛料とそれを使った飴や薬と大元の実を持ってきたぜ」
荷物を手で持ち上げて見せながらバルダンが言った。
香辛料が飴はまだしも薬になるのか??
・・・いやまあ、香辛料も薬になるという話は以前にも聞いたことがあるが、その場合って薬にもなるけど量によっては毒になるとか麻薬代わりになると言ったような文脈で聞いた気がするんだが、大丈夫なのか??
バルダンの持ってきた袋の中を覗き込んだら、赤子の頭位もありそうな固そうな実が入っていた。
少なくともこのサイズの実がなる苗をアファル王国で育てるのは無理っぽい気がするから直接これの栽培その物がアファル導入するのは無いかな?
だが、ジルダスで育てて最終的な加工物が交易品として大量に持ち込まれるとなったら麻薬になりそう物ならちょっと心配なんだが。
「ちなみにこの飴とか薬って食べたらどんな効果があるんだ?」
実を手に取って匂いを嗅ぎながら尋ねる。
比較的ありがちな甘い果物の匂いが仄かにする。
まあ、俺は薬とか麻薬に詳しい訳ではないから匂いから何かが分かる訳ではないんだが。
「ちょっと眠気が覚めて元気になるって話だぜ。
南の方だと夜番なんかの時にこの実に穴をあけてジュースを飲んで眠気覚ましにするって聞いた事がある」
コンコン、と曲げた指の関節で実を叩きながらバルダンが言った。
う~ん、どうもますます危険そうじゃないか?
なんかこう、目が覚める効果がある食材とか薬って疲れた時の疲労回復や仕事が沢山ある時の補助薬《ブースター》になるって話だし、それが更に精製されて効果を上げたら万能感・・・とまで言わなくても自分が有能になった気持ちになる麻薬にならないか?
まあ、中毒性が無ければちょっとぐらい気分が良くなる程度だったら残業まみれな役人を助ける都合のいい飲み物になるだけかも知れないが。
でも万能感って肉体的に中毒性が無くても精神的には依存性が高そうな気もする。
「これって現時点でもジルダスで実なりその加工物なりが売られているのか?」
「ああ。
実はちょっと大きくて重いから高級素材の卸売をしている店にしかないが、加工品は薬局や香辛料の店にあるぜ」
バルダンが頷きながら言った。
ふむ。
ウォレン爺に渡して麻薬っぽい効果が無いか、調べさせた方が良いかも知れないな。
一応街中でどんな感じに普通に売られているのかも確認しておくか。
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