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卒業後
1009 星暦558年 藤の月 5日 棚以外にも使えるよね?(6)
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「そっか、オルゴールも普通のはゼンマイバネで動いているんだな」
魔具で動かす赤ちゃん用オモチャの輪にオルゴールの銅板っぽいのを着けて鳴らすとして。
そのオルゴールの構造を確認しようとシャルロが持ってきた『お手軽』なオルゴールを分解してみたところ、中に魔術回路があってネジで回した力を何かに蓄積するのかと漠然と想像していたのだが、意外にも魔術回路は全くなかった。
単に伸縮性のある長い素材がぐるぐると中で巻かれているだけで、ネジを捻るとこのゼンマイバネに力が蓄えられ、それがオルゴールの銅板の筒を動かすようだ。
「魔具のオルゴールはネジを回さずとも軽く触れるだけで鳴りだして、魔石が切れるまで幾らでも音楽を奏で続けるんだ。
魔術回路でゼンマイを巻いてそれを解放する事で動くと言う機能を代替している感じだな」
アレクが教えてくれた。
なる程ね。
オルゴールなんて興味も縁も無かったから、どんな構造になっているか調べたことも無かった。
簡単に手で再現できないような難しい事をやっているんだから魔具だろうと思い込んでいたのだが、魔術回路を使わなくてもこんな風に機械的に動く仕組みがあるのか。
「・・・もしかして、時計も魔具じゃないのか??」
高いし壊れやすい精密な道具だしということで、当然魔具だと思っていたのだが。
「あれも魔具のもあるが、一番高級で正確な時計は魔具では無いな。
ああいう細かくて正確性が求められる道具はイマイチ魔具に向いていないらしい」
アレクが言った。
魔術師ってもっと原理とか新しい機能とかが好きな人間が多くて、果てしなくいつまでも変わらない正確性ってそれ程興味がない人間が多そうだからなぁ。
確実に正確な動きをする魔具を作るなんて言う根気のいる開発は向いていないのかも。
新しい魔術回路の開発だって根気が要るが・・・機能そのものが開発できたら満足しちゃって、細かい部分の確認作業を果てしなく繰り返して正確性を確認するのをちゃんとやる魔術師って少なそうだ。
それに、どの程度魔術回路で時計の構造を簡略化できるか知らないが、魔術回路を使って特許料を払い、魔術師の確認作業も必要となったら金がかかる。時計の中身を余程簡単に出来ない限り、今以上に高くなってしかも下手したら正確性に劣るとなったら誰も買わないだろう。
まあ、いつか研究してみても良いが・・・精密な仕組み動く道具を作る職人の商売を妨害するような魔具を造る価値があるかは微妙なところだな。
アファル王国の魔具が何かの理由で衰退しても問題がない様に、違う原理に基づく道具作りの技術が残る方が良い気がする。
まあ、その頃には俺はとっくのとうに死んでそうだから知ったこっちゃないが。
・・・もしかしたら俺とシェイラの子や孫がいる可能性はあるかも?
それはさておき。
「オルゴールのゼンマイを巻く部分を同調機能を使った魔具で周囲や乳母の魔力で行い、それで飾り紐とオルゴールの銅板を動かす感じにすればいいかな?
だとしたらかなり開発の手間が省けそうだ」
これを分解して赤ちゃんをあやす用の飾り紐を付けられる形にして、ゼンマイの部分に魔術回路をちょちょっと付けたら終わりか?
「いやいや、それじゃあ高くつき過ぎないか?
シャルロは『お手軽』と言ったが、そのオルゴールだってそれなりに高級品だぞ?」
アレクが呆れたように言った。
「オルゴールってなんの部分が高くつくんだ?
銅板部分?それともゼンマイ部分?
銅板部分だったら音楽をもっと単純な短いメロディーを繰り返すようにしたら良いんじゃないか?」
確かにオルゴールって高いという話だが。
「単純な同じメロディーがずっと続いていたら赤ちゃんも周囲の人間も飽きてうんざりするんじゃないか?」
アレクが疑わしげに聞いてくる。
まあ、確かに水滴が垂れるような同じ音がずっと続くのはイラつく。
音楽モドキなメロディーも同じ旋律がずっと続いたら気に障るかも?
「ゆっくり子守歌っぽいのが流れる感じにしたら良いかも?
そうしたら旋律部分をかなり単純に出来るんじゃないかな?
ゼンマイに関しては、ゼンマイが緩み切った場合でも大人が同調端末を手に取っていたらその魔力で動き続ける形にしたら、普通のオルゴール程ゼンマイ部分をしっかり大きく作らなくても済むから安上がりになる、とか」
赤ちゃんが寝ている間はゼンマイへ力をため込み、起きてオモチャを動かし始めてもオルゴールを動かすのと魔力でゼンマイを巻くのと同時にできないかな?
「まあ、取り敢えず試作品を造ってみるか。
流石にそのオルゴールの銅板を切り刻む訳にはいかないから、後でシェフィート商会から子守歌のオルゴールを作る工房でも教わってそこから銅板だけでも入手できないか、聞いてみよう」
アレクが言った。
「ついでにゼンマイバネも安いのを入手できないか聞いてくれ。
俺の腕じゃあしっかりいいのが作れるか、怪しい」
鍛冶師ならバネを作れなきゃいけないんだが・・・俺は鍛冶師見習いモドキと言っても実質武器特化だからなぁ。
魔具で動かす赤ちゃん用オモチャの輪にオルゴールの銅板っぽいのを着けて鳴らすとして。
そのオルゴールの構造を確認しようとシャルロが持ってきた『お手軽』なオルゴールを分解してみたところ、中に魔術回路があってネジで回した力を何かに蓄積するのかと漠然と想像していたのだが、意外にも魔術回路は全くなかった。
単に伸縮性のある長い素材がぐるぐると中で巻かれているだけで、ネジを捻るとこのゼンマイバネに力が蓄えられ、それがオルゴールの銅板の筒を動かすようだ。
「魔具のオルゴールはネジを回さずとも軽く触れるだけで鳴りだして、魔石が切れるまで幾らでも音楽を奏で続けるんだ。
魔術回路でゼンマイを巻いてそれを解放する事で動くと言う機能を代替している感じだな」
アレクが教えてくれた。
なる程ね。
オルゴールなんて興味も縁も無かったから、どんな構造になっているか調べたことも無かった。
簡単に手で再現できないような難しい事をやっているんだから魔具だろうと思い込んでいたのだが、魔術回路を使わなくてもこんな風に機械的に動く仕組みがあるのか。
「・・・もしかして、時計も魔具じゃないのか??」
高いし壊れやすい精密な道具だしということで、当然魔具だと思っていたのだが。
「あれも魔具のもあるが、一番高級で正確な時計は魔具では無いな。
ああいう細かくて正確性が求められる道具はイマイチ魔具に向いていないらしい」
アレクが言った。
魔術師ってもっと原理とか新しい機能とかが好きな人間が多くて、果てしなくいつまでも変わらない正確性ってそれ程興味がない人間が多そうだからなぁ。
確実に正確な動きをする魔具を作るなんて言う根気のいる開発は向いていないのかも。
新しい魔術回路の開発だって根気が要るが・・・機能そのものが開発できたら満足しちゃって、細かい部分の確認作業を果てしなく繰り返して正確性を確認するのをちゃんとやる魔術師って少なそうだ。
それに、どの程度魔術回路で時計の構造を簡略化できるか知らないが、魔術回路を使って特許料を払い、魔術師の確認作業も必要となったら金がかかる。時計の中身を余程簡単に出来ない限り、今以上に高くなってしかも下手したら正確性に劣るとなったら誰も買わないだろう。
まあ、いつか研究してみても良いが・・・精密な仕組み動く道具を作る職人の商売を妨害するような魔具を造る価値があるかは微妙なところだな。
アファル王国の魔具が何かの理由で衰退しても問題がない様に、違う原理に基づく道具作りの技術が残る方が良い気がする。
まあ、その頃には俺はとっくのとうに死んでそうだから知ったこっちゃないが。
・・・もしかしたら俺とシェイラの子や孫がいる可能性はあるかも?
それはさておき。
「オルゴールのゼンマイを巻く部分を同調機能を使った魔具で周囲や乳母の魔力で行い、それで飾り紐とオルゴールの銅板を動かす感じにすればいいかな?
だとしたらかなり開発の手間が省けそうだ」
これを分解して赤ちゃんをあやす用の飾り紐を付けられる形にして、ゼンマイの部分に魔術回路をちょちょっと付けたら終わりか?
「いやいや、それじゃあ高くつき過ぎないか?
シャルロは『お手軽』と言ったが、そのオルゴールだってそれなりに高級品だぞ?」
アレクが呆れたように言った。
「オルゴールってなんの部分が高くつくんだ?
銅板部分?それともゼンマイ部分?
銅板部分だったら音楽をもっと単純な短いメロディーを繰り返すようにしたら良いんじゃないか?」
確かにオルゴールって高いという話だが。
「単純な同じメロディーがずっと続いていたら赤ちゃんも周囲の人間も飽きてうんざりするんじゃないか?」
アレクが疑わしげに聞いてくる。
まあ、確かに水滴が垂れるような同じ音がずっと続くのはイラつく。
音楽モドキなメロディーも同じ旋律がずっと続いたら気に障るかも?
「ゆっくり子守歌っぽいのが流れる感じにしたら良いかも?
そうしたら旋律部分をかなり単純に出来るんじゃないかな?
ゼンマイに関しては、ゼンマイが緩み切った場合でも大人が同調端末を手に取っていたらその魔力で動き続ける形にしたら、普通のオルゴール程ゼンマイ部分をしっかり大きく作らなくても済むから安上がりになる、とか」
赤ちゃんが寝ている間はゼンマイへ力をため込み、起きてオモチャを動かし始めてもオルゴールを動かすのと魔力でゼンマイを巻くのと同時にできないかな?
「まあ、取り敢えず試作品を造ってみるか。
流石にそのオルゴールの銅板を切り刻む訳にはいかないから、後でシェフィート商会から子守歌のオルゴールを作る工房でも教わってそこから銅板だけでも入手できないか、聞いてみよう」
アレクが言った。
「ついでにゼンマイバネも安いのを入手できないか聞いてくれ。
俺の腕じゃあしっかりいいのが作れるか、怪しい」
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