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白
白凪
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「温かい…」
詩珠は静かに紅茶を飲み干した
悴んでいた指先に暖かな血色が戻ってきた
慎也はなだらかな口調で詩珠に
色々質問してみる
「家はどこ? 親は? 学校は?」
詩珠は首を横に振るばかりで答えはしなかった
しばらくして大きな振り子時計から
六時を告げる思いベルの音がした
詩珠は顔を上げると慎也にお礼をいい
家をあとにした
慎也は残ったコップと詩珠の残り香が満ちた
部屋に1人ぽつんと取り残されてしまった
「兄様?そろそろ出勤では?」
少しするとドア越しに燐の声が慎也の意識を振るった
気づけば既に6時半。
慌てて身支度を整え階段を駆け下りる
玄関では制服姿の燐と蓮が待ってましたと言わんばかりの笑みで慎也を迎えていた
有名私立に通う二人はまだ冬休みだというのに毎日のように学校に行っている
「兄様の学校に通えなくて残念です」
「お仕事頑張ってください!」
と2人は駐車場で慎也を見送った
軽自動車のバックミラーにはリムジンに乗りこむ
2人が見え
何度見ても見慣れない光景だと慎也は肩を落とした
学校についたのはもう7時すぎ
慌てて職員室に飛び込むと
他の先生達に暖かな笑いを浴びせられ
慎也は照れながらどうぞよろしくと挨拶に回った
席に着くと隣の教師が話しかけてくる
ネームプレートとは「東野 仁」
と書かれており温厚で優しそうな先生だった
「生徒との顔合わせはまだ先ですけど、やはり職場には慣れていただきたくて、」
どうやら職員顔合わせが慎也に迷惑だったのではないかと感じていたらしい
慎也はいえいえと頭をかく
「東野先生。いいんですよ、学期が始まったら七時出勤なんてありえないんですから。いい訓練です」
と後ろから厳しい口調が慎也の後ろめたさを
貫く
「庵野先生。そんなに新任の先生を責めなくても、、」
と東野は庵野と呼ばれた先生をなだめる
「しっかりしてくださいね」
庵野は慎也を睨むかのように見ると
その場を後にした
「小林先生。今日は顔合わせもありますけど、新学期に向けての準備に人手が欲しくて呼んだんです。手伝ってもらえますかね」
慎也は快く承諾すると
「小林 慎也」と言うネームプレートを渡された
再婚相手の苗字は使う気にはならず(悪い意味ではない)母の旧姓を未だに使っていた
慎也はそれを首にかけると東野のあとについて
職務を始めた
「すみませんねぇ、本当は4月からの出勤なのに」
「いいんですよ。」
そんな話をしながら慎也はふと廊下を見た
すると男子生徒の制服が廊下の角をひらりと
舞った気がした
「こんな時期に生徒がいるんですか?」
東野先生は少し不思議そうな顔をすると
「あぁ、真柴ですよ 絵が好きでね。休みの日も熱心に美術室に通ってるんですよ」
慎也は妙な胸騒ぎがした。
詩珠は静かに紅茶を飲み干した
悴んでいた指先に暖かな血色が戻ってきた
慎也はなだらかな口調で詩珠に
色々質問してみる
「家はどこ? 親は? 学校は?」
詩珠は首を横に振るばかりで答えはしなかった
しばらくして大きな振り子時計から
六時を告げる思いベルの音がした
詩珠は顔を上げると慎也にお礼をいい
家をあとにした
慎也は残ったコップと詩珠の残り香が満ちた
部屋に1人ぽつんと取り残されてしまった
「兄様?そろそろ出勤では?」
少しするとドア越しに燐の声が慎也の意識を振るった
気づけば既に6時半。
慌てて身支度を整え階段を駆け下りる
玄関では制服姿の燐と蓮が待ってましたと言わんばかりの笑みで慎也を迎えていた
有名私立に通う二人はまだ冬休みだというのに毎日のように学校に行っている
「兄様の学校に通えなくて残念です」
「お仕事頑張ってください!」
と2人は駐車場で慎也を見送った
軽自動車のバックミラーにはリムジンに乗りこむ
2人が見え
何度見ても見慣れない光景だと慎也は肩を落とした
学校についたのはもう7時すぎ
慌てて職員室に飛び込むと
他の先生達に暖かな笑いを浴びせられ
慎也は照れながらどうぞよろしくと挨拶に回った
席に着くと隣の教師が話しかけてくる
ネームプレートとは「東野 仁」
と書かれており温厚で優しそうな先生だった
「生徒との顔合わせはまだ先ですけど、やはり職場には慣れていただきたくて、」
どうやら職員顔合わせが慎也に迷惑だったのではないかと感じていたらしい
慎也はいえいえと頭をかく
「東野先生。いいんですよ、学期が始まったら七時出勤なんてありえないんですから。いい訓練です」
と後ろから厳しい口調が慎也の後ろめたさを
貫く
「庵野先生。そんなに新任の先生を責めなくても、、」
と東野は庵野と呼ばれた先生をなだめる
「しっかりしてくださいね」
庵野は慎也を睨むかのように見ると
その場を後にした
「小林先生。今日は顔合わせもありますけど、新学期に向けての準備に人手が欲しくて呼んだんです。手伝ってもらえますかね」
慎也は快く承諾すると
「小林 慎也」と言うネームプレートを渡された
再婚相手の苗字は使う気にはならず(悪い意味ではない)母の旧姓を未だに使っていた
慎也はそれを首にかけると東野のあとについて
職務を始めた
「すみませんねぇ、本当は4月からの出勤なのに」
「いいんですよ。」
そんな話をしながら慎也はふと廊下を見た
すると男子生徒の制服が廊下の角をひらりと
舞った気がした
「こんな時期に生徒がいるんですか?」
東野先生は少し不思議そうな顔をすると
「あぁ、真柴ですよ 絵が好きでね。休みの日も熱心に美術室に通ってるんですよ」
慎也は妙な胸騒ぎがした。
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