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番外編 卒業式

小田原愛子

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*小田原愛子 本編 を見ていない方はネタバレ注意です*



 今日は2/26、金曜日。
 卒業式まであと1週間を切った。
 桜丘学院は毎年3月1日が卒業式で、今の期間は3年生は自由登校期間。
 まあ、私たち教職員には自由通勤なんてないんだけどね。
 自由登校なのに、柏木くんはいる。
 普段の授業はサボってここに来るはずなのに。
 真面目なんだか不真面目なんだか。

「もうそろそろ卒業式だね」

 私はベッドでだるそうに、こちらに背中を向けて寝ている、柏木くんに向かって言う。

「うん」
「やっとだるい日々から解放されるんだね!」
「まあ」
「自由登校期間なのに今日も来たんだ?」
「暇だから」
「家でくつろげばいいじゃない」

 そういうと柏木くんはくるっと体を回転させ、こちらに顔を向けた。
 眠そうな顔を布団から少し出している。

「やだ」
「どうして?」

 そう聞くと、柏木くんは布団からいきなり腕を出し、私をベッドへと引っ張った。
 不意打ちだったので態勢を崩して、柏木くんに重なってしまう。

「先生のこと、抱き納めに来た」

 そう言って柏木くんは体を起こし、私を抱きしめた。

「抱き納めって・・・」
「うん、もう俺、先生から卒業するから」
「そ、そうよね、柏木くん、春から大学生だものね」

 あれ、なんで私、悲しいんだろう?
 おかしいじゃない。生徒と先生との恋なんてあってはならないのに・・・。

「だから、最後にめちゃめちゃに抱かせてよ?」
「でも、私たちはまだ生徒と先生だから・・・」
「じゃあなんで泣いてんの?」

 えっ?
 私は自分でも頬から暖かいものが流れていることに気がつかなかった。
 泣いている?
 私が泣いている?悲しくて?寂しくて?
 柏木くんに抱いてもらえるのが最後だから?

「抱いて欲しいんじゃないの?
 俺、先生からいっぱい社会で生きるためのこと学んだから、先生のこと優しく抱けると思うんだけど?」
「柏木くん・・・」

 そっか、私、柏木くんのことが、
 好きになってたんだ。

「抱いて」

 そう言うと柏木くんは私に優しくキスをした。
 とろけてしまうようなキス。
 そしてゆっくりと白衣を脱がされる。私は同じように柏木くんのシャツのボタンを外して脱がす。
 2人でお互いの服をゆっくり脱がせ、裸になって抱き合った。
 お互いの熱を密に感じて、何もしていないのに涙が溢れてくる。
 柏木くんはその涙を指で静かに拭って、私のことをベッドに倒した。
 ゆっくりと指をつたわせる。

「あっ」
「先生、早いよ。もうここ、勃ってる」
「やだあっ」

 片方の乳首をくるくると円を描きながら弄ぶ。
 こんなに上手じゃなかったのに・・・。
 私が育てた技術をこれからは私とではなく、他の女性とすると思うとまた悲しくなった。
 もう片方の乳首は舌を使ってれろれろと舐める。

「ねえ、先生、俺のこと、好きなの?」
「・・・ん」
「何?」
「・・・好き・・・」
「そっか」

 そして柏木くんは自分のものを中に入れ始めた。
 暖かくて濡れている。柏木くんも私で感じているんだ。

「じゃあさ、やっぱり、今日で最後にするね」
「な、なんで?」
「だって、俺も先生のこと、好きになっちゃってたからさ」

 話しながらも少しずつ奥に攻めてくる。
 これが夢であって欲しいと思いながら、感じてしまっている事実に目がさめる。

「俺、先生のこと大切だから。
 だから、生徒との恋愛が他にバレたりして、先生が先生でいられなくなるのはいやなんだよね」
「でも!柏木くんは、もう卒業するでしょ?」
「卒業したら付き合うの?
 そんなことしたら、先生はここにいられなくなるだろ?
 卒業した途端付き合うとか、絶対怪しまれるって、俺でもわかる」
「柏木くん・・・んあっ」

 柏木くんは少しずつ激しく動き始めた。
 嫌だ、イキたくない!もし、私がイッてしまったら終わってしまう。

「やだ、柏木くん、やだ!イキたくない!」
「俺、先生をイカせないと卒業できないからさ」
「んああっ!」

 どうしよう、私、感じちゃってる。

「やだ、はなれたくないっ」
「ごめん、先生」
「あっ、あっ、んんっ、やだっ」

 柏木くん、上手。
 私が上手にさせた。
 私が上手にさせなければ、離れずにすんだかもしれないのに。
 でも、あのとき、無視していたら柏木くんにこんな感情抱けなかった。
 恋愛を忘れかけていた私に、もう一度青春を教えてくれた柏木くん。

「ん、んん~っ、はあ、はあ、かしわぎ、くんっ」
「何?」
「あり、がとうっ、んんあ、あああーーっ」

 わたしはイッてしまった。



 そして柏木くんは素早く着替え、帰る準備をする。
 私はなんて別れを告げれば良いかわからず、寝ているふりをしてしまう。

「じゃあね、先生。ありがとう。俺の青春は全部先生だったから」
「・・・っ」


 バタン


「ひっく、ひっく、かしわぎ、くんっ・・・」

 私は布団の端を握りしめ、顔を埋めて泣いた。
 




 おしまい
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