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迷宮離脱(第一層)⑤
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迷宮一層。
その一角――正規ルート付近の場所に、十人ほどの冒険者が集まっている。
「一体何があったらこんなことになんだよ……」
「魔物の仕業?」
「ストーンナイトでもこんな大破壊は無理だろ」
彼らの目の前には通路を丸ごとふさぐ瓦礫の山があった。
少し前に謎の轟音があり、それが気になってやって来た彼らを出迎えたのがそれだった。おそらく天井が崩落したらしい。
「これ、誰か下敷きになったりしてねえだろうな」
「見たとこ大丈夫そうだが……」
と、鎧をまとった一人が確認しようと近づいた、その瞬間だった。
「――【<雲>雷撃】」
何かが聞こえた気がした次の瞬間、瓦礫が反対側から吹っ飛ばされてきた。
「「「ぎゃああああああああああああ!?」」」
近づいていた冒険者もろとも吹き飛ばされる。
衝撃のあと、瓦礫には大きな穴が空いていた。ちょうど人間が通れるくらいの。
そこを通って出てきたのは――
「……追放王子」
冒険者たちの間にわずかな緊張が走る。
誰かが呟いた通り、出てきたのはくすんだ銀髪の少年だった。
誰ともつるまず、目つきや言葉遣いがすさみきった様子は『一匹狼』という言葉がよく似合う。
だが、瓦礫の大穴から出てきた彼の後をついてもう一人が現れた。
「けふっ、うう、シグ。砂煙がすごいよ」
「仕方ねえだろ、瓦礫吹っ飛ばす以外にどう出ろってんだ」
あの追放王子が、誰かと連れ立っている。
しかも何だか仲良さげだ。
「……、」
追放王子はその場の冒険者たちを興味なさそうに見ると、正規ルートのほうに歩いて行った。コートに素足という恰好の少女もその後を追う。
残された冒険者は顔を見合わせた。
「……追放王子と一緒にいた女の子見たかよ」
「ああ。くっっっそ美人だった」
「なんであんな子がシグなんかと一緒に……?」
そんなやり取りの中、一人の冒険者が叫ぶ。
「おい、瓦礫の奥にまだ誰かいるぞ!?」
その言葉に、慌ててシグが開けた大穴から瓦礫の向こうに入っていく冒険者たち。
なぜ精霊術を使えないはずのシグがこんな大穴を開けられたのか、そんな疑問を抱えながらも人命優先。
冒険者一同が瓦礫の向こうに向かったところ。
――ボッコボコに顔を腫らし、髪を剃られて坊主頭になり、さらには全裸(近くに服を燃やしたような形跡アリ)の男三人が倒れ伏していた。
「「「何だこれ!?」」」
慌てて駆け寄り三人組を叩き起こす冒険者たち。あまりにひどいやられようだったので、とりあえず回復薬をかけまくって話せるくらいまで治療する。
誰かがぽつりと言った。
「これ、まさか……追放王子がやったのか?」
状況から考えて、そうとしか思えない。
確かにあの少年は口が悪く喧嘩っ早い。彼ならやりかねない、とその場の誰もが思ってしまう。
「俺、ちょっと追いかけてくる。さすがにこれは見過ごせな――」
冒険者の一人が言ったとき。
「待て、やめろ止まれ! 何もしなくていい!」
倒れていたはずの、普段なら羽根つきの旅行帽をかぶっているウェスターという男が鬼気迫る形相で止めにかかった。
「何で止めるんだよ。お前被害者じゃないのか?」
「いや、あ、あいつは悪くねえ。悪いのは俺たちなんだ。それでいいから、あいつの機嫌を損ねるようなことをしないでくれぇ! 頼むっ!」
何かに怯えるように、がたがた震えながら懇願するウェスター。
おそろしいトラウマを刻み込まれてしまったようにも見えた。
一体何があったんだ、と、その場の冒険者たちが訝しげに顔を見合わせた。
その一角――正規ルート付近の場所に、十人ほどの冒険者が集まっている。
「一体何があったらこんなことになんだよ……」
「魔物の仕業?」
「ストーンナイトでもこんな大破壊は無理だろ」
彼らの目の前には通路を丸ごとふさぐ瓦礫の山があった。
少し前に謎の轟音があり、それが気になってやって来た彼らを出迎えたのがそれだった。おそらく天井が崩落したらしい。
「これ、誰か下敷きになったりしてねえだろうな」
「見たとこ大丈夫そうだが……」
と、鎧をまとった一人が確認しようと近づいた、その瞬間だった。
「――【<雲>雷撃】」
何かが聞こえた気がした次の瞬間、瓦礫が反対側から吹っ飛ばされてきた。
「「「ぎゃああああああああああああ!?」」」
近づいていた冒険者もろとも吹き飛ばされる。
衝撃のあと、瓦礫には大きな穴が空いていた。ちょうど人間が通れるくらいの。
そこを通って出てきたのは――
「……追放王子」
冒険者たちの間にわずかな緊張が走る。
誰かが呟いた通り、出てきたのはくすんだ銀髪の少年だった。
誰ともつるまず、目つきや言葉遣いがすさみきった様子は『一匹狼』という言葉がよく似合う。
だが、瓦礫の大穴から出てきた彼の後をついてもう一人が現れた。
「けふっ、うう、シグ。砂煙がすごいよ」
「仕方ねえだろ、瓦礫吹っ飛ばす以外にどう出ろってんだ」
あの追放王子が、誰かと連れ立っている。
しかも何だか仲良さげだ。
「……、」
追放王子はその場の冒険者たちを興味なさそうに見ると、正規ルートのほうに歩いて行った。コートに素足という恰好の少女もその後を追う。
残された冒険者は顔を見合わせた。
「……追放王子と一緒にいた女の子見たかよ」
「ああ。くっっっそ美人だった」
「なんであんな子がシグなんかと一緒に……?」
そんなやり取りの中、一人の冒険者が叫ぶ。
「おい、瓦礫の奥にまだ誰かいるぞ!?」
その言葉に、慌ててシグが開けた大穴から瓦礫の向こうに入っていく冒険者たち。
なぜ精霊術を使えないはずのシグがこんな大穴を開けられたのか、そんな疑問を抱えながらも人命優先。
冒険者一同が瓦礫の向こうに向かったところ。
――ボッコボコに顔を腫らし、髪を剃られて坊主頭になり、さらには全裸(近くに服を燃やしたような形跡アリ)の男三人が倒れ伏していた。
「「「何だこれ!?」」」
慌てて駆け寄り三人組を叩き起こす冒険者たち。あまりにひどいやられようだったので、とりあえず回復薬をかけまくって話せるくらいまで治療する。
誰かがぽつりと言った。
「これ、まさか……追放王子がやったのか?」
状況から考えて、そうとしか思えない。
確かにあの少年は口が悪く喧嘩っ早い。彼ならやりかねない、とその場の誰もが思ってしまう。
「俺、ちょっと追いかけてくる。さすがにこれは見過ごせな――」
冒険者の一人が言ったとき。
「待て、やめろ止まれ! 何もしなくていい!」
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「いや、あ、あいつは悪くねえ。悪いのは俺たちなんだ。それでいいから、あいつの機嫌を損ねるようなことをしないでくれぇ! 頼むっ!」
何かに怯えるように、がたがた震えながら懇願するウェスター。
おそろしいトラウマを刻み込まれてしまったようにも見えた。
一体何があったんだ、と、その場の冒険者たちが訝しげに顔を見合わせた。
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