青の嬢王と勿忘草

咲月檸檬

文字の大きさ
2 / 13

お母さん、碧、死者への償い

しおりを挟む
  夢から目覚めた後私は淏さんに会う前に、碧の人間関係図を作った。

すると連絡が取れない私を心配して淏さんが家に来た。

淏さんにコーヒーを出して、私は昨日の夢を淏さんに話そうか悩んでいた。

ぼーっとしていると、淏さんが心配そうに見つめていた。

『すみません。少し考え事をしていて』

「昨日のスマホの件か?」

『少し違います。碧の事ではありますが…。』

「嫌ならいいんだよ?辛い事も傷付く事もある、強引に捜査に付き合わせるのも…。危険な事もあるかもしれない。俺が1番
怖いのは咲乃に何かある事だ、だから今も心配になり来てしまった。咲乃には選ぶ権利があるんだ。」

淏さんが私の事考え、心配し怯えてる事が分かった。

私は真犯人に罪を償って欲しい何て思えない。

そんな事をしても大切な人は帰って来ない事を私は知っている。

私は昨日の事を淏さんに話し、その上で淏さんの意見を聞こう。

そして淏さんに昨日の夢の話をした。

淏さんは私の話を真剣に聞いてくれた。

淏さんは少し考えて言った。

「俺は信じるよ。そんな意味のない嘘をつくやつだと思ってないし、筋は通ってる気がする。」

『ありがとうございます…』

「他にも何かあるの?」

私の腑に落ちない表情に淏さんは言った。

『私は償いの意味がないと思います。真犯人が償いをしても碧はもう帰って来ません。償いになんの意味があるんですか?私
は理解が出来ない、碧も淏さんも償ってほしいんですよね?』

淏さんは不思議そうに言った。

「んー俺はね、碧に帰って来て欲しいから償って欲しいんじゃないから。咲乃は帰って来て欲しかったの?」



そうだ…私は帰って来て欲しかったんだ。

強くて、優しいお母さんに…

『そうですよね。私何言ってるんだろう。』

私は涙が止まらなくなった。

「あいつからお母さんの話は聞いてるよ…今更だけど線香あげさせてくれないか?」

淏さんはお母さんの仏壇にお線香をあげてくれた。

そして私はお母さんの話をした。

お母さんが父を恨んでいる人間の犯行だった事。

その犯人が見つかっていない事も、父のそれからの人生も全て。

淏さんはおとなしく私の話を聞いてくれてた。

『こんな話をしてすみません。』

「…それはいいんだけど、咲乃は犯人を知りたい?」

『うん、でないとお母さんが報われない。』

「俺も同じ。碧を殺した真犯人を知りたい。2人に出来る事だよ。」

『私に出来るかな?』

「初めから思っていたけど、1人じゃないぞ!俺を頼れ、これでも現役刑事だぞ!」

『ありがとう、そうだよね。」

私は1人じゃない。

そんなことに今更気付くなんて。

「碧の事が済んだら、お母さんの事件も調べよう。」

そう言う淏さんの眼差しは優しく、強い。

まるでお母さんみたいで安心出来る。

『そうですね、早く真犯人を探さないと冤罪で捕まっている人が可愛そうです‼︎』

「そうだな。2人で頑張ろう。」

『はい!』

そして私たちは犯人探しに取り掛かる。



  死んだ人間は戻って来ない。

だからこそ生きている人間は、死んだ人間に出来る事を探す。

そして私達は見つけた。

2人の為に新しい朝が来る私達が出来る事。

私達はその答えに向かって歩き出す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...