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碧のタクシーくん。
しおりを挟む朝起きると淏さんからLINEが来ていた。
“おはよう。今日は碧に足にされてたと、思われる男に会いに行く。”
なんだか業務連絡って感じ。
でもまぁ今までは連絡なんてきた事無かったし、淏さんも何か送りたかったんだろうなぁ。
返信しないと‼︎
“おはようございます(´∀`*)分かりました。いつもの時間で良いですか?”
“うん。”
なんか新鮮だぁ‼︎
早く淏さんに会いたいな。
私は急いで家を出て、淏さんとの待ち合わせ場所に向かった。
『淏さん‼︎』
私は淏さんの姿が見えた時、私は思わず大きな声で呼んでしまった。
少し恥ずかしい。
「一瞬ルビちゃんかと思った。」
小馬鹿にした様に言われてしまった。
『ごめんなさい…。』
私が膨れると、淏さんは声を出して笑い出した。
「もう行くぞ。」
淏さんは歩き始めた。
淏さんに会えて浮かれてるのは、私だけなのかな?
まぁ遊びで会ってる訳じゃないし…。
『今日は【ダイスケさん】って人でしたよね?』
「うん。でも俺はこいつが1番碧を恨んでる、と思ってるんだ。」
『恨んでる…。碧は何でそんな恨まれる事ばかりしていたんだろう。』
「それは碧に聞かないと、でももう聞けないから探してる。」
『そうですよね。』
私達はダイスケさんとの待ち合わせ場所の、カフェに向かった。
そこでいつまで待っても、ダイスケさんは現れない。
『ダイスケさん来て来てくれませんね…。』
「こうなるとダイスケの家に行くか。」
『自宅知ってるんですか? 』
「これでも刑事だからな。」
『あ!忘れてた。そういえば刑事さんですよね。』
「お前なぁ…まぁいい。行くぞ。」
『はい!』
こうして私は、ダイスケさんの自宅に向かった。
ダイスケさんは大学近くの、アパートの1階に住んでいるらしい。
「着いたぞ。」
『ここですか…意外と碧の家から遠いですね。』
「部屋の窓が空いてる。」
その声に反応し、私は部屋の方向を見ると部屋の窓は全開だった。
『でもエアコンついてますよ?』
「おかしいな…俺の後ろにいろ。」
淏さんは何かを感じ、自分の後ろに私を隠す様に部屋に進み始めた。
私にも妙な緊張感が走る。
淏さんがドアをノックした。
「ダイスケさん?待ち合わせしていた者ですが。」
応答は無かった。
淏さんがドアノブを回すと、ドアが開いた。
『鍵かけられて無いんですか?』
「そうみたいだな。」
淏さんがドアを開けて中に入ると、そこには首を吊ってる男性がいた。
「ダイスケ‼︎」
淏さんはそう呼んで、男性に駆け寄った。
『その人がダイスケさん…。』
「咲乃!警察呼べ!もう彼は死んでる。」
『はい。』
私が警察を呼ぶ為にスマホを、取り出すとメールが来た。
それはいらないアドレスからだった。
“アマリコノジケンニクビヲツッコムト、カレノヨウニクビヲシメラレルヨ。サキノチャン?ソレハカレシモオナジダ。”
何なの?
あまりに不気味だが、まずは警察だ。
それから少しして、警察が来た。
私は淏さんの車で待ち、淏さんは警察の人と共に働いていた。
頑張ってる淏さんの姿を見て、私も何かしたくなった。
私はこのメールに返信してみる事にした。
“あなたは誰?”
返信が来るかも分からない、でも何もしないよりはマシだ。
返信から15分後返信が来た。
“誰だと思う?”
やっぱり言うつもりは無いんだ。
“あなたが碧を殺したの?”
この質問もありきたり…でもなんて来るか期待は出来る。
1時間経っても返信は来なかった。
すると淏さんが帰って来た。
「お待たせ。大丈夫か?」
『淏さん、少し疲れました。』
「そうだよな。何か食べに行くか?それから家に送る。」
『そうですね。ありがとうございます。』
私の事情聴取は淏さんの計らいで、後日することになった。
ダイスケさんの姿を思い出すと、震えが止まらない。
「家に来るか?なにか作るよ?」
『はい、淏さんに相談したい事もあるし。』
「相談?」
『後で話します。』
あのメールの事を話そう。
心配症の淏さんの事だからきっと凄く心配させる事になる。
でも淏さんに隠し事はしたくないし、碧にも関わってる事だ。
そして私達は淏さんの家に着いた。
淏さんは直ぐに私の好きな、レモンティーを用意してくれた。
『レモンティーだ!』
思わず声を出して喜んだ。
「本当に好きなんだな。」
淏さんは少し安心したように言った。
『お母さんがよく作ってくれたんですよ。』
「思い出の味何だな。」
それから淏さんはサンドイッチを作ってくれた。
『淏さんっておしゃれなんですね。』
すると淏さんはドヤ顔をしていた。
私達はサンドイッチを食べ終えて、本題に入った。
「そう言えば相談って何だ?」
『それが…』
私はメールの事を淏さんに話した。
淏さんは険しい表情で聞いていた。
「今もその返信は来てないのか?」
その言葉に私はスマホを見てみると、メールが来ていた。
『30分前に返信が来ていました。』
「なんて?」
“カノジョガシンダノモ、ヨケイナコトニクビヲツッコンダカラ、アンナコトニナッタンダ。”
「どいうことだ?」
『碧が何かに首を突っ込んで、あんな事になったって事?だとしたら何の事件…。』
「メールの返信したらどうだ?」
『そうですね。その事件について聞いて見ましょう。』
“その事件は何ですか?”
『送りました。』
「そいつに対しての疑問は3つある。」
『3つ?』
「1つはそいつは誰なのか?、2つ目は咲乃のアドレスを何で知ってるのか?、3つ目は碧とダイスケを殺したのはそいつなのか?」
『なるほど。全部カタカナうちにも気になりますね。』
「もしかしたら咲乃の知ってる奴、なんじゃないかな?文章の癖で身元がバレるの嫌なんじゃないかな?」
『それはあるかも、そしたらアドレスの件も解決ですね。』
「そのアドレス警察の方で調べてみるよ。」
『お願いします。メールがあったら直ぐに教えますね。』
「うん。じゃそろそろ送るよ。」
『はい。』
私は淏さんに送ってもらい家に帰った。
家の前まで送ってもらうと、玄関の前には勿忘草の花束があった。
私には身に覚えのない花束だった。
家の前までついて来てくれた淏さんが、花束に気付きました。
「あの花何?」
『分からない。あれ多分勿忘草…。』
淏さんは私より前に出て、花束に近づいていきカードに気付きました。
「カードがある。」
『え?何て書いてあるんですか?』
「《89054》って番号だけだな。」
89054…なんか聞いた事あるような…。
『なんか聞いた事あるような。』
「とりあえず今日は俺の家に泊まりな。」
え?
でもこの家に1人でいるのは怖いし…。
『お世話になります。』
「大丈夫。手は出さないから。」
ん?
なんかそれはそれで女として、情けないような…。
私淏さんの彼女なのに…。
でも手を出されるのも、違うしなぁ。
私達はこうして、淏さんの家に戻った。
淏さんは碧と2人暮らしをしていたので、部屋数は3つリビングと淏さんの部屋と碧の部屋だ。
淏さんは気を使ってくれて、淏さんの部屋で寝るように言ってくれた。
淏さんはリビングで寝るらしい。
『本当に良いんですか?』
「リビングで寝かせる訳にはいかないだろ?」
『私はそれでもいいんですけど…』
「いいから言う事聞きなさい。」
『…一緒に寝ませんか?』
「お前…意外と大胆だな。」
『変な意味とかは無いんですけど。なんか申し訳ないと思いまして…。』
淏さんは少し考え、呆れた様に言った。
「じゃ一緒に寝るか!」
『!!!!』
私は少し驚き思わず百面相してしまった。
「もうダメです。絶対に一緒に寝ます。もう一緒に寝たいです。」
『なんかスイッチ入りましね。』
こうして私達は一緒に寝ることになった。
「おやすみ」
『おやすみなさい』
私眠れるかなぁ。
そう思ってると気付いたら、眠り朝になっていた。
んん?
朝か。
なんか抱きつかれてる。
んん?!
淏さんに抱きつかれてる!!!!
なんで?
てか私どうしたらいいんだ。
取り敢えず起きてもらおう。
『淏さん?起きて下さい。』
「…。」
起きない…。
私が困ってると、淏さんは勝手に起きた。
「あ…悪い。俺抱き癖がありまして…。」
『なるほど。』
「うん…。」
『私が朝ごはん作りますか?』
「え?いいの?俺朝弱いからすげぇ助かる。」
『うん。美味しいもの作る様に頑張りますね。』
そのまま淏さんは新聞を取りに言って、私は身支度をした後朝ごはんを作り始めた。
『出来ましたよ。』
「おお‼︎朝はやっぱり白いご飯だよな!碧は朝パン派だったからスゲェ嬉しい。」
白いご飯にそんなに喜ぶとは、思わなかったけど…。
まぁいいか!
『早く食べましょう?』
「…なんか夫婦みたいだなぁ」
なっ!
なんて事を!!
そんな事言ったら、急に恥ずかしくなるじゃん‼︎
『なんて事言い出すんですか!やっとこの環境に慣れつつあったのにぃ!』
もうっ!顔が熱いよぉ!
きっと今顔赤いよぉぉぉ。
「可愛いなぁ。色々あるけど咲乃との何気ない日常に救われる。」
そう言いながら味噌汁をすする淏さんは、なんだかまだ辛そうだった。
碧が亡くなって、真犯人探して、碧の秘密にして来た顔を知って、気持ちが全然着いて行かないよね…。
『私もです。淏さんと一緒だから何も怖くない。私達なら大丈夫です。』
改めて感じる、淏さんの大切さが…。
「ありがとう。」
それから私達は世間話をして、ご飯を食べた。
思えば淏さんとこんなに、ゆっくりご飯食べたの初めてかも。
「言い忘れてたけど今日は碧の葬式なんだ。」
そう言えばハガキが来てたな…。
捜査に忙しくて、日付感覚なくなってた…。
『そうでしたね。喪服家に取りに行かないと。』
「危ないし付き合うよ。そのまま一緒に行こう。」
『淏さん準備とかいいんですか?』
「碧の葬式とかはお袋に頼んであるから。」
淏さんは少し顔曇らせて言った。
『碧のお母さんと会うの、久しぶりだな。メル友なんですよ?』
私は何故かドヤ顔をしてしまった。
「お袋と面識あるのか?」
『成人式の時碧の着付けに付き合ったので、その時に会って意気投合したんです。』
「それでメル友にまでなるか?」
『んー確かに…でもやりとりはたまになんですよ?』
「そうか…。」
碧のお母さんは私にもとても良くしてくれて、私もいつのまにか本当のお母さんの様にしたっていたもんなぁ。
『でも碧が亡くなってからは、やりとりしてないです。私も何て声をかけたらいいのか分からなくて。お世話になったのに、情けないです。』
「お袋は意外と平然としてるよ。」
『でも娘を亡くしたら辛いと思いますよ?』
「親父が人前で、そういうの見せるのを嫌うんだ。だからお袋も…。」
『じゃ私がお母さんの、表に出せない気持ちを聞いてきます。きっと誰かに話したいだろうし…。』
「そうしてくれると助かるよ。俺はそこまで両親に恩を感じないから。」
『え?』
それはどう言うことなんだ…。
でもなんか今日はそこまで聞いてはいけない気がする。
今日は碧の葬式なんだし…。
いつか淏さんから言ってくれる、のを待とう。
私達はご飯を食べ終え、淏さんの家を出た。
あの花束は玄関に置いたままにしていた。
しかし私達が玄関の前に行くと、あの花束は無くなっていた。
『どう言うことなの?』
「俺達が来た後に送った相手が、持ち帰ったんだろうな…。」
私は何だかんだ凄く怖くなった。
「しばらく俺の家に住もう。こんなんじゃお前が危ない。」
私は強く頷いた。
頷く事しか出来なかった。
「取り敢えず身の回りの荷物をまとめてこい。」
私は身の回りの荷物をまとめて、その間に淏さんは庭や家の中を見回り、私はこの家を出た。
安心して戻れる日は来るのだろうか。
私達は私の家を出て、碧の葬式に向かった。
応援ありがとうございます!
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