アルファポリスに週一で小説を投稿していたら気づけば5年が経っていました。

hennmiasako

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 私がアルファポリスに小説の投稿を5年間ずっと続けてこれたのは私が努力家でも、根性があるからでも、負けず嫌いでも、一途で頑固だからでも、責任感からでも、使命感からでも、書きたいという情熱からでもありません。

 私が臆病者だったからです。
 私は恐怖心から小説の投稿を辞めることができなかっただけでした。

 私はアルファポリスに小説を投稿して零の意味を知りました。零の恐怖を知り、零の絶望を知ってしまいました。
 だからこそ、零ではないことの価値を知ることができました。

 0ではない、1であることの尊さを実感することができました。

 0すれすれの人間は0の恐怖を味わいます。
 だからこそ、逆に0ではない現状の有難みを知り、現状を高く評価できます。

 きっと千や万や百しか知らなければ、十や一にすら価値を感じられないかもしれません。
 それはとても贅沢なことです。

 私が続けることができたのは「零ではない」ことに意味を見出し、「零ではない」ことに価値を感じることができたからです。

 「零ではない」ことはとても大きい意味を持っていて、途轍もない価値があります。

 だからこそ、「零になること」を恐れ、必死に「零ではない」状態を維持してきました。

 きっと千や万が普通で百にすら価値を感じない人は簡単に零にできるのでしょう。
 「千や万でないなら百や十も零と同じだ」と傲慢に言えるのでしょう。

 同じことではないのに。

 そこには百も十も一もある。
 何も無くなんかない。

 零でないなら意味がある。価値がある。
 万も千も百も十も一も同じ意味がある。
 「零ではない」という意味がある。
 だから、万も千も百も十も一も同じ価値がある。
 「零ではない」という価値がある。

 百や十や一に価値が無いという人は贅沢な人間。零の恐怖を知らない傲慢な人間。

 私は零の恐怖を知る臆病な人間。

 一から零にはまだなっていません。
 なっていないからこそ、知らないからこそ、逆に強く恐れました。

 もしかしたら零になってみたら以外に大したことはないかもしれません。
 でも、想像以上にダメージを受けるかもしれません。

 分からないからこそ一層怖がりました。

 底が全く見えません。
 底なし沼に落ちるような恐怖。
 以外に浅い可能性もありますが、深くて二度と上がってこれない可能性もあります。
 堕ちてみないと分かりません。

 でも、堕ちて二度と書けなくなることが怖い。
 這い上がれないかもしれない。
 浮き上がれないかもしれない。

 私には自信も根性も熱意も無い。
 自分に自信が持てない。
 自分はそこまで強いと思えない。

 一度沈んだら、浮かんでこれないと無意識に感じていました。
 私は自分の弱さを分かっています。
 だから、私は零に怯え恐怖しました。

 だからこそ、私は書き続けました。
 恐怖に打ち勝つためでも、強くなるためでもありません。
 恐怖から逃げるため、必死に歩き続けました。崖っぷちから落ちないように無我夢中でしがみついていただけです。

 根性でも誠実さでも熱意や情熱でもなく、ただの臆病さと恐怖からでした。

 読者が減る恐怖や喪失感や虚無感や焦燥感などよりも、読者が零になるという未知の恐怖が上回っていました。
 だからこそ、読者の有難みをこの上なく感じることができました。

 この人たちのおかげで零にならない。

 私はたった一人の読者にも感謝しました。
 その人のおかげで底なし沼に落ちずに済んでいたからです。

 それは正に命綱のようでした。

 太ければ太い程安心できるけど、太くなければ意味がないというわけではありません。
 命綱かあるかないか。それが重要でした。

 読者が多いのは良いことです。嬉しいし安心できます。満足感、達成感、充足感もたくさん得られます。
 でも、少なくても有難いことです。命綱だから、無いと真っ逆さまに落ちてしまいます。

 落ちたら二度と上がってこられないかもしれない。
 そんな恐怖から読者が一人でもいる状態が私を救ってくれました。

 読者という存在は本当に有難い存在です。
 書き手のモチベーションアップどころではなく、書き手生命を救ってくれる命の恩人でした。

 私が小説を書いて投稿を5年間続けて小説を完結させることができたのは読者のおかげです。
 私の小説を読んでくれた一人一人に感謝しています。

 そして、完結後に小説を読んでくれている読者にも感謝します。
 私の5年間の時間と苦労が報われます。

 私は小説を書いてアルファポリスに投稿することで多くの経験をすることができました。

 私の小説を投稿させてくれたアルファポリスにも感謝しています。

 どうもありがとうございました。

 

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