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第七章
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「ふうん……そんな親しい間柄ってわけでもなさそうだね。まあ、親しい間柄ですって言われても困るけどね。だって、アンタ、どう見ても二十代前半? いってても二十五歳くらいじゃない? 十歳以上も年の離れた若い男と付き合ってます……なんて言われてもさあ……娘としては複雑だよね。そんな薄っぺらそうな関係でわざわざ私を探しに来るって、私的には、なーんかピンとこないんだけど……それって、アンタに何かメリットあるの? それとも、ただのお人好し? ていうか、自分で探しに来いよって感じなんだけど」
俺は、愛美の態度に対して、だんだんムカついてきた。このガキの、どのへんが、真面目で礼儀正しくて素直で明るい? 今のところ、その特徴に当てはまる印象はゼロだ。十歳も年下の大して可愛くもない小娘に「アンタ」呼ばわりされるのもバカバカしくなってきた俺は、無駄な敬語を使うのをやめ、デフォルトの谷村舜モードで、この小娘に対応することにした。
「俺もさ、よく解んないんだよね。ただ、君のお母さんさ、携帯の待受画面の写真見ながら、すっげえ思い詰めた顔しててさ……あの待受の画像、高校の入学式の時のだろ? 俺はたまたま通りがかっただけなんだけど、何か放っておけなくてさ……事情聞いたら、俺の双子の兄のこと思い出しちゃって……君のお母さん、だいぶテンパっててヤバそうだったからさ、俺が君を探しに行くって言っちゃったんだよね。俺は、君が言うようなお人好しでもなんでもないよ。どっちかって言うと、冷たい人間の方だと思うけど」
「なんで、双子の兄のこと思い出したの? なんかあったの?」
「ああ……いなくなっちゃったんだ」
「いなくなったって? 家出? 失踪?」
愛美は、俺への警戒を少し解いたのか、やっと、まともに話をする気になったようだ。
「七年前のちょうど今頃、正確に言うとゴールデンウィーク明けてからだけど……自殺したんだよ……当時付き合っていた彼女を親友に盗られたとか……なんかよくわかんねえけど……そんなくらだらない理由で……」
「く……くだらなくなんかないっ!」
愛美は、感情を剥き出しにして声を荒げた。
「くだらねえよ! バカバカしい! 失恋ごときで、好き勝手にホイホイ死なれたら、残された者たちはどうしたらいいんだよ? アイツにどれだけの輝かしい未来が待ってたと思う? どれだけの人たちがアイツの将来の活躍に期待してたと思う? どれだけの人たちがアイツの所為で夢を諦めたと思う? どれだけの人たちが……アイツを愛していたと思う? ふざけんな! ふざけんな! ふざけんな! ふざけんな!」
今度は、俺が、感情を剥き出しにして声を荒げたので、逆に愛美が俺を気遣ってきた。
「わ……悪かったよ……詳しいことは知らないけどさ……アンタも辛い思いをしてきたんだね……ごめん……実を言うと、私も死のうと思ってたんだ……」
本気で死のうと思っている人間が、母校の中学校に忍び込むのに、当時の制服を着るなどという冷静な判断ができるとは、俺には到底思えなかった。ただ、死にたいだの死のうだの言って周りの人間を困らせて同情されたいだけなんだろう。
俺は、愛美の態度に対して、だんだんムカついてきた。このガキの、どのへんが、真面目で礼儀正しくて素直で明るい? 今のところ、その特徴に当てはまる印象はゼロだ。十歳も年下の大して可愛くもない小娘に「アンタ」呼ばわりされるのもバカバカしくなってきた俺は、無駄な敬語を使うのをやめ、デフォルトの谷村舜モードで、この小娘に対応することにした。
「俺もさ、よく解んないんだよね。ただ、君のお母さんさ、携帯の待受画面の写真見ながら、すっげえ思い詰めた顔しててさ……あの待受の画像、高校の入学式の時のだろ? 俺はたまたま通りがかっただけなんだけど、何か放っておけなくてさ……事情聞いたら、俺の双子の兄のこと思い出しちゃって……君のお母さん、だいぶテンパっててヤバそうだったからさ、俺が君を探しに行くって言っちゃったんだよね。俺は、君が言うようなお人好しでもなんでもないよ。どっちかって言うと、冷たい人間の方だと思うけど」
「なんで、双子の兄のこと思い出したの? なんかあったの?」
「ああ……いなくなっちゃったんだ」
「いなくなったって? 家出? 失踪?」
愛美は、俺への警戒を少し解いたのか、やっと、まともに話をする気になったようだ。
「七年前のちょうど今頃、正確に言うとゴールデンウィーク明けてからだけど……自殺したんだよ……当時付き合っていた彼女を親友に盗られたとか……なんかよくわかんねえけど……そんなくらだらない理由で……」
「く……くだらなくなんかないっ!」
愛美は、感情を剥き出しにして声を荒げた。
「くだらねえよ! バカバカしい! 失恋ごときで、好き勝手にホイホイ死なれたら、残された者たちはどうしたらいいんだよ? アイツにどれだけの輝かしい未来が待ってたと思う? どれだけの人たちがアイツの将来の活躍に期待してたと思う? どれだけの人たちがアイツの所為で夢を諦めたと思う? どれだけの人たちが……アイツを愛していたと思う? ふざけんな! ふざけんな! ふざけんな! ふざけんな!」
今度は、俺が、感情を剥き出しにして声を荒げたので、逆に愛美が俺を気遣ってきた。
「わ……悪かったよ……詳しいことは知らないけどさ……アンタも辛い思いをしてきたんだね……ごめん……実を言うと、私も死のうと思ってたんだ……」
本気で死のうと思っている人間が、母校の中学校に忍び込むのに、当時の制服を着るなどという冷静な判断ができるとは、俺には到底思えなかった。ただ、死にたいだの死のうだの言って周りの人間を困らせて同情されたいだけなんだろう。
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