White cat in Wonderland~その白い猫はイケメンに溺愛される~

ハルカ

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Because there was you~2人の本当の出逢い~

最終話

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「つーか、お前こそ、なんで俺って分かんなかったんだよっ」
 突然、海斗が怒り出した。
 なんでそうなる?
「だって、あん時は太陽眩しくって海斗の顔なんてほとんど見えなかったし……」
 睨まれて、なんとなくビクついてしまった……。
「見えなかったし? なんだよ?」
 なんでそんなに不機嫌なんだよー!
 文句言いたいけど今日はなんだか海斗が怖くて何にも言えない……。
「えっと……俺も……その、海斗のこと、高校生だと思ってたから」
 今でも大人っぽいけど、あの時も同級生にはとても見えなかったし。
 俺はなんか俺だけ責められてるみたいで口を尖らせた。
「はぁ!? なんだよ、それっ」
 海斗はますます機嫌が悪くなった。
 いいじゃんか。俺なんて小学生の――しかも女子って言ったくせにっ! って思いながらも声に出しては言えなかった。
 海斗の眉間にいっぱい皺寄ってるし。怖い……。
 俺が黙ってると、海斗は不機嫌に俺から目を逸らして前髪をガシガシやってる。
 なんでそんなに怒ってるんだよ。
「んだよ……勘違いかよ」
「何? 勘違いって……」
 俺は、海斗の言葉になんとなく引っ掛かって、ムッとした。
「……結局お前も、『俺の名前』かってこと」
 海斗は俺を見ることなく、不機嫌に答える。
「はぁ? 何? 名前って……っ!? ちょっとっ! 俺がそんな風に海斗のこと見てるって思ってるわけっ?」
 最初、海斗が言ってる意味が分かんなくって首傾げたけど、言わんとしたことが分かった途端、俺はこれ以上ないくらいにムカついた。
 俺をなんだと思ってるんだっ!
「……じゃあ聞くけど、お前は? 俺のこといつから好きになった? なんで好きになった? どこが好きなんだ?」
 俺の言葉に驚いて振り返った海斗はじっと俺を見たと思ったら、一気に捲くし立てた。
「えっ? えっ? えっ? そ、そんな一遍に言うなよっ」
 俺は訳分かんなくて頭がグルグルする。
「じゃあ……俺のこと、いつから好き?」
 じっと見つめてくる。
「え……分かんない……。気付いたのは……あの事件があった時だけど……」
 一生懸命考えるけど、そんなこと、俺にだって分かんないよ。いつから海斗が好きかだなんて――。
「もっと前だよ。お前さ、俺のこと見てたよな」
「えっ?」
 海斗の言葉に驚いて頭が真っ白になる。何言ってんだ? そんなことっ――。
「俺はずっとお前を見てたから分かるよ。お前、よく俺と目が合っただろ?」
 今度はニヤリと俺をじっと見る。
 うーん……確かに……よく目が合って……その度にこの意地悪な顔で俺を見てたんだ。
「え?」
 はたと気付く。海斗は俺を見てた?
「そうだよ。いつも優希を見てた。じゃあ、俺のどこが好き?」
 ぼーっとして口に手を当てた俺をじっと覗き込んできた。
 あれ? 今俺声に出してた?
 そして、次の海斗の質問に、
「……顔?」

 バシッ

 なんとなく答えたら頭を叩かれた。
「いってぇ……何すんだよっ」
「あのな……顔とかって言うなっ。もっとあるだろう」
 頭を擦りながら睨む俺を不機嫌な顔で眺めてる。
「じゃあ、金」
「おーまーえーはーっ」
 ヘラって笑って答えたら、今度は頭をぐりぐりしてきた。
「いててててっ」
 俺は痛くて涙が出てきた。
 本気でやるなっつーのっ!
「痛いっ! もうっ! ……でも、そういうとこが……好き……かも」
 俺は顔が熱くなるのを感じながらぼそっと話した。

 海斗はいつでも俺に真正面から向き合ってくれていた。
 意地悪なこと言ったり、すぐ頭ぐりぐりするけど。
 そう、いつも俺のこと、真っ直ぐ見つめてくれてたんだ。
 周りの奴らは優しかったけど……いつも俺を弱者みたいに扱ってた。
 小さいから、女みたいだから。女にまで庇ってもらってたり……ほんとは嫌だった。
 でも、海斗は違った。
 バカにするけど……そういった扱いは一切しなかった。
 ちゃんと『俺』を見てくれていた。

「ふふん。だったら許すっ」
 そう言って海斗は俺の肩に腕を回して俺の頭にキスをしてきた。
「もうっ! 何すんだよっ! つか、何様っ! だいたい、さっきの『勘違い』って何っ? それに俺のこと入学式で分かったって言ってたくせに何で言わなかったんだよっ」
 俺はグイッと海斗を引き剥がすと思いっきり睨み付けた。
「……いや、勘違いっていうのは……優希も同じだと思ったんだ」
 海斗は急に俺の肩に頭を乗っけてきた。重い……。
「同じって?」
 肩をずらして頭落っことしてやろうかと思ったけど……やめた。
「うん。同じ時から俺のこと、想ってくれてたのかなぁって。声掛けなかったのも言わなかったのも、優希も俺に気が付いてくれるかもって、なんか期待してたんだろうな」
「…………」
 俺は、何て答えたらいいのか分かんなくて黙ってた。
 その代わりに俺も海斗の頭に自分の頭を当てた。
「……そんなの、別にどうだっていいじゃん……」
 それだけ言うのが精一杯だった。
「優希って名前さ……いい名前だよな」
 海斗は俺の答えにくすっと笑うと、突然そんなことを言ってきた。
「やだよっ! こんな女みたいな名前っ! せめて漢字だけでも違えばさっ」
 俺は海斗の頭から自分の頭を離すと、海斗の言葉にムッとした。
 冗談じゃない。こんな名前っ……大っ嫌いっ!
「そんなことないよ。優希の両親はいい名前を付けたって思う。『優しい希望』なんて最高じゃん」
 海斗はそう言って俺の肩から頭を離すと、今度はじっと俺の顔を覗き込んできた。
 顔近いーっ!
 ぎょっとして顔が真っ赤になる。
 え? 優しい……希望?
 急に何を言われたのか、きょとんとしてしまった。
「俺にとっても、優希はすっごく優しい光で包まれた、俺の希望だよ。ね、優希」
 海斗はそう言って俺の首に抱きついてきた。
 ちょっとぉー! どさくさに紛れて何してんだー!

「俺の……天使」

 ぼそりと耳元で囁いたと思ったら、俺を少し離して……キスをした。
 海斗の『コレ』って……たぶん、甘えなんだよな……?
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